業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における国内外経済は、世界的な半導体などの供給不足や国際物流網の停滞、新型コロナウイルス変異株による感染再拡大など厳しい状況が続く中で、ワクチン接種の進行や行動制限の緩和により経済活動が持ち直し、製造業全般の設備投資や生産活動、ならびに個人消費に回復の兆しがみられました。

当社グループが属するエレクトロニクス業界においては、車載、医療機器および産業機器など、広範な分野で半導体や電子部品の需要が拡大し、一部の電子部品などでは需要増に生産が追い付かず供給不足が継続、加えて単価上昇も進行しました。

このような状況の中、当社グループの中核事業である電子部品事業は、様々な業界からの顧客要望に前広に対応するとともに、独立系商社としての強みを活かした営業活動を展開し、販売物量の確保を最優先に取り組みました。この結果、当連結会計年度における当社グループの売上高は、4,958億27百万円(前年同期比17.4%増)となりました。

利益面では、売上高の増加および売上総利益率の改善による売上総利益の増加に加えて、テレワークの促進などコロナ禍の中での働き方改革や経費抑制にも継続して取り組み、営業利益は209億15百万円(前年同期比82.4%増)、経常利益は214億56百万円(前年同期比90.9%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に実施した企業買収にともない特別利益として計上した「負ののれん発生益」(79億63百万円)が解消したものの、経常利益が大きく増加したことにより154億1百万円(前年同期比35.1%増)となりました。

売上高は2020年3月期以来2期ぶりの過去最高を更新し、営業利益、経常利益は3期連続、親会社株主に帰属する当期純利益は2期連続での最高益更新となりました。

 

セグメントごとの業績は次のとおりであります。

a.電子部品事業(半導体、一般電子部品、EMSなどの開発・製造・販売など)

当事業では、部品販売ビジネスは、一部の半導体や電子部品において供給難が長期化する中、広範な業界からの顧客要望を前広に取り込んだ結果、期を通して好調な販売が継続しました。また、独立系商社としての調達力の強みや知見を活かして、多方面から販売物量を確保できたことも当事業の収益を押し上げました。加えて、加賀FEI株式会社や株式会社エクセルなど買収会社においてはPMIが順調に進捗し収益拡大に貢献しました。

一方、EMSビジネスは、車載、医療機器および産業機器向けを中心として、引き続き好調に推移しました。

一部工場で新型コロナウイルス感染拡大にともなうロックダウンや部品不足によるライン休止が発生しましたが、顧客工場との連携を緊密に取るなど工程管理を徹底し、影響の低減に努めました。

これらの結果、売上高は4,338億52百万円(前年同期比22.7%増)、セグメント利益は181億7百万円(前年同期比122.1%増)となりました。

b.情報機器事業(パソコン、PC周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品およびオリジナルブランド商品など完成品の販売など)

当事業では、教育機関向けパソコンおよびセキュリティソフトなどPC周辺機器は好調な販売が持続しましたが、法人向けパソコンはリモートワーク需要が一巡するとともに電子部品不足による製品供給難の影響もあり、低調な販売となりました。また、LED照明機器やネットワーク機器などの設備設置ビジネスにおいても、設備・機器や資材などの調達難や納期遅延による工期延伸の影響を受け、低調に推移しました。

これらの結果、売上高は396億16百万円(前年同期比18.1%減)、セグメント利益は20億85百万円(前年同期比16.0%減)となりました。

c.ソフトウェア事業(CG映像制作、アミューズメント関連商品の企画・開発など)

当事業では、コロナ禍での巣ごもり需要を背景として、スマートフォンゲーム向けCG制作の需要は堅調に推移するも、納期対応にともなう開発費等の増加により採算が悪化しました。

これらの結果、売上高は27億67百万円(前年同期比5.6%減)、セグメント損失は26百万円(前年同期はセグメント利益2億63百万円)となりました。

d.その他事業(エレクトロニクス機器の修理・サポート、アミューズメント機器の製造・販売、スポーツ用品の販売など)

当事業では、パソコンおよびPC周辺機器などのリサイクルビジネスにおいて、電子部品不足によるPC製品などの供給難が続く中、リユース品やリサイクル品への需要が高まり、好調に推移しました。

これらの結果、売上高は195億90百万円(前年同期比11.4%増)、セグメント利益は6億26百万円(前年同期比32.0%増)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物につきましては、392億40百万円(前連結会計年度比50億92百万円の減少)となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、15億54百万円の支出(前年同期は99億99百万円の収入)となりました。これは主に、棚卸資産の増加によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、67億72百万円の支出(前年同期は24億53百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、11億55百万円の収入(前年同期は68億51百万円の支出)となりました。これは主に、借入金による収入と、加賀FEI株式会社の株式追加取得、自己株式の取得および配当金の支払いによるものであります。

 

③仕入、受注及び販売の実績

a.商品仕入実績

当連結会計年度のセグメント別の仕入実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

電子部品事業(百万円)

377,693

132.7

情報機器事業(百万円)

33,062

78.3

ソフトウェア事業(百万円)

その他事業(百万円)

15,898

119.2

合計(百万円)

426,655

125.4

 

b.受注実績

当連結会計年度のセグメント別の受注実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

電子部品事業

557,591

143.6

245,511

201.6

情報機器事業

47,404

99.3

8,901

799.5

ソフトウェア事業

1,685

40.4

341

24.0

その他事業

41,100

233.5

24,306

869.2

合計

647,782

141.5

279,061

219.5

 

c.販売実績

当連結会計年度のセグメント別の販売実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

電子部品事業(百万円)

433,852

122.8

情報機器事業(百万円)

39,616

81.9

ソフトウェア事業(百万円)

2,767

94.4

その他事業(百万円)

19,590

111.4

合計(百万円)

495,827

117.4

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.売上高の10%を超える主な相手先が存在しないため、「最近2連結会計年度の10%を超える主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合」の記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態

・資産合計

当連結会計年度末における総資産は2,721億39百万円となり、前連結会計年度末に比べ351億35百万円の増加となりました。

流動資産は2,339億84百万円となり、前連結会計年度末に比べ338億5百万円の増加となりました。これは主に、商品および製品が165億3百万円、原材料及び貯蔵品が70億72百万円それぞれ増加したことによるものであります。

固定資産は381億55百万円となり、前連結会計年度末に比べ13億29百万円の増加となりました。これは主に、機械装置及び運搬具が14億6百万円増加したことによるものであります。

・負債合計

負債は1,663億39百万円となり、前連結会計年度末に比べ243億97百万円の増加となりました。これは主に、借入金が130億28百万円、支払手形及び買掛金が66億39百万円それぞれ増加したことによるものであります。

・純資産合計

純資産は1,058億円となり、前連結会計年度末に比べ107億37百万円の増加となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益154億1百万円などによる利益剰余金128億54百万円の増加によるものであります。

b.経営成績

当社グループが属するエレクトロニクス業界は、大きな変革期に入っており、特にエレクトロニクス商社における企業間競争は激しさを増しております。同時に、今般の新型コロナウイルス感染症拡大および半導体や電子部品の供給難により、取引先への影響が懸念されるなど、先行き不透明な状況が続いております。

当社グループが持続的に成長するためには、高付加価値の創出が必要と認識しております。これらを踏まえ当社グループは、「中期経営計画 2024」を定め、「更なる収益力の強化」、「経営基盤の強化」、「新規事業の創出」、「SDGs経営の推進」を基本方針として取り組んでおります。

また、加賀FEIやエクセルなどにおいて、M&Aによるシナジー効果を最大限に発揮するため、事業の協業や新規商材の獲得および営業拠点の統合など様々な施策を行っております。

当連結会計年度における経営成績は、売上高は4,958億27百万円(前期比17.4%増)、営業利益は209億15百万円(前期比82.4%増)、経常利益は214億56百万円(前期比90.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は154億1百万円(前期比35.1%増)となりました。なお、当連結会計年度の新型コロナウイルス感染症やロシア・ウクライナ情勢による業績への影響は軽微でありますが、今後の業績への影響につきましては、注視していく必要があるものと考えております。

 

・売上高

売上高は前連結会計年度に比べ17.4%増加の4,958億27百万円となりました。国内売上高は前連結会計年度に比べ9.6%増加の2,634億15百万円となり、海外売上高は27.6%増加の2,324億12百万円となりました。

・セグメント別概要

 電子部品事業(半導体、一般電子部品、EMSなどの開発・製造・販売など)

売上高は4,338億52百万円(前期比22.7%増)となりました。これは主に、半導体や電子部品の販売増加およびEMSビジネスの伸長などによるものであります。

 情報機器事業(パソコン、PC周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品およびオリジナルブランド商品などの販売など)

売上高は396億16百万円(前期比18.1%減)となりました。これは主に、パソコンやPC周辺機器ならびにセキュリティソフトの販売が減少したことなどによるものであります。

 ソフトウェア事業(CG映像制作、アミューズメント関連商品の企画・開発など)

売上高は27億67百万円(前期比5.6%減)となりました。これは主に、スマートフォンゲーム向けCG制作の堅調な需要などによるものであります。

 その他事業(エレクトロニクス機器の修理・サポート、アミューズメント機器の製造・販売、スポーツ用品の販売など)

売上高195億90百万円(前期比11.4%増)となりました。これは主に、リユース品やリサイクル品の需要増加などによるものであります。

・売上原価、販売費及び一般管理費

売上原価は前連結会計年度より608億51百万円増加し4,352億80百万円となりました。売上高に対する売上原価の比率は87.8%となっております。

販売費及び一般管理費は前連結会計年度より31億62百万円増加し396億32百万円となりました。販売費及び一般管理費増加の主な要因は、売上高増加に伴う販売費の増加によるものであります。

・営業外収益(費用)

営業外収益(費用)は前連結会計年度より7億66百万円増加し5億40百万円の収益(純額)となりました。その増加の主な要因は、為替変動による為替差益の計上によるものであります。

・経常利益

経常利益は上記記載の結果、前連結会計年度より102億14百万円増加し214億56百万円となりました。

・特別利益(損失)

特別利益(損失)は投資有価証券売却3億63百万円益などの特別利益5億96百万円を計上し、投資有価証券評価損2億60百万円、貸倒引当金繰入額1億29百万円などの特別損失7億5百万円を計上しております。

・親会社株主に帰属する当期純利益

以上の結果、税金等調整前当期純利益は前連結会計年度より68億75百万円増加し213億48百万円となり、法人税、住民税及び事業税や、法人税等調整額、非支配株主に帰属する当期純利益を差し引くと、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度より40億1百万円増加し154億1百万円となりました。

 また、1株当たり当期純利益は、前連結会計年度より161円39銭増加し576円46銭となりました。

 

 なお、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を与える大きな要因につきましては、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

当連結会計年度のキャッシュ・フロー状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

b.資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループは、必要な運転資金及び設備投資資金については、自己資金又は借入等により資金調達することとしております。今後も営業活動により得られるキャッシュ・フローを基本に将来必要な運転資金及び設備投資資金を調達していく方針であります。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による資産・負債および収益・費用の報告金額および開示に影響を与える見積りを実施しております。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

この連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

④資本の財源および流動性

a.資金需要

運転資金需要のうち主なものは、当社取扱商品の購入費用及び製品製造のための材料や部品の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、新規事業あるいは商権獲得のためのM&A費用等によるものであります。

b.財政政策

短期運転資金の調達に関しましてはグループ内での資金効率化を行ったうえで金融機関からの借入を基本としております。

M&A・設備投資・長期運転資金の調達に関しましては、直接金融から間接金融まで様々な調達方法の中からその時点の財政状況、資金需要の期間及び目的を勘案し、最適な調達を行うことを基本としております。

 

⑤経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、重要な指標の一つとしてROEを採用しており、中期経営計画2024(2021年11月4日付公表)ではROE8.5%以上の継続的、安定的な確保を目標としております。
 当連結会計年度における当社グループのROEは、15.7%となりました。

 

⑥セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度のセグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

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