文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)「中期経営計画2021」の振り返り
2019年4月より始動し、当連結会計年度が最終年度となる「中期経営計画2021(2019-2021)」の成果につきまして、「経営施策」および「経営数値」に関してご報告させていただきます。
<経営施策>
当社グループは、これまでの3事業年度を通して「中期経営計画2021」の基本方針に沿って、様々な「経営施策」に取り組んでまいりました。
基本方針の1つ目の「収益基盤の強化」として、電子部品商社の同業である加賀FEI株式会社(以下、「加賀FEI」)や株式会社エクセル(以下、「エクセル」)を2019年1月、2020年4月にそれぞれグループ会社に加え、取り扱い商材や顧客の共有・拡大に取り組みました。一方、EMSビジネスでは、加賀FEIの既存顧客に対する営業活動に注力するとともに、重点市場である「車載」「医療」向けを強化し、グループ一丸となってEMS事業の更なる成長に取り組みました。
2つ目の「経営基盤の安定化」では、加賀FEIにおいて、利益率を意識した営業活動を行うとともに事業効率化を図り財務健全性の改善に取り組みました。
3つ目の「新規事業の創出」では、自社リソースやM&Aを積極的に活用し、環境変化に対する耐性強化を図りました。社会課題解決ビジネスとして、防災ヘリコプターやEVバスなどのモビリティビジネスに参入するとともに医療機器ビジネスへの参入準備を進めました。この他ベンチャー企業の19社にも投資を行い、新規ビジネスへの創出に取り組みました。
<経営数値>
このような取り組みの結果、計画最終年度の経営目標として掲げた経営数値につきましては、下記グラフのとおり、売上高は僅かながら目標に届かなかったものの、営業利益およびROEの利益項目につきましては、目標を大幅に超過達成いたしました。大口商権喪失や新型コロナウイルス、半導体不足など計画策定時には不測の出来事がありましたが、それらの影響は概ね排除することができました。
(2)「中期経営計画2024」の策定
当社は、「中期経営計画2021」における順調な業績進捗を踏まえ、次代に向けた当社グループの持続的成長の指針として、2023年3月期から2025年3月期までの3ヶ年の経営計画「中期経営計画2024(2022-2024)」を策定し、2021年11月25日に公表しました。新中期経営計画では、当社が創業60周年を迎える2028年3月期には「売上高1兆円企業」を実現することを念頭に置き、現行事業においてはこれまで通り「利益重視の経営」を徹底しつつ、新たなM&Aにも積極的に挑戦してまいります。
(3)「中期経営計画2024」の概要
当社は、「利益重視の経営」を徹底しつつ、「我が国業界No.1企業」「グローバル競争に勝ち残る企業」を目指すことを中長期のビジョンとしています。このビジョン実現に向けて、次期中期経営計画では、以下の基本方針に沿った諸施策を展開してまいります。
当社は、株主の皆様に対する利益還元を経営上重要な施策の一つとして位置づけ、将来成長に資する投資の推進、中長期的に健全な財務基盤の維持ならびに連結業績の進展を総合的に勘案しつつ、連結配当性向の目安を25〜35%に置き、1株当たり配当金を安定的且つ継続的に充実化することを基本方針としております。
(4)サスティナビリティ中長期経営計画
当社は、「中期経営計画2024」とともに2021年11月、「サステナビリティ中期経営計画」を策定、「すべてはお客様のために」の経営理念のもと、「持続可能な社会の実現」と「持続的なグループの成長」の両立を目指したサステナビリティ経営を推進してまいります。その取り組みにあたっては、お客様、取引先、株主・投資家、従業員、地域社会など全てのステークホルダーとの対話を尊重し、持続可能な社会の実現に積極的な役割を果たすとともに、企業価値の向上を目指します。
<事業活動を通じて環境課題に取り組みます>
事業活動を通じて、CO2排出量の削減、廃棄物の削減と再利用の推進に取り組むとともに、環境に配慮した製品およびサービスを提供することで、地球環境を大切にする社会の実現に貢献します。
<人権を尊重し、人財を育成します>
性別や年齢、国籍や社会的身分、障がいの有無など個人の属性に関係なく、すべてのステークホルダーの人権を尊重します。また、多様な従業員が心身ともに安全且つ健康に働ける職場環境や個々の能力を最大限発揮できる人事制度・教育研修体系を整備し、イノベーションに挑戦する人財づくりに取り組みます。
<社会との相互信頼の確立を目指します>
法令や規則を遵守し、公正な競争、高品質な製品およびサービスの提供、適時適切な情報開示など、誠実な企業活動を実践するとともに、ガバナンス体制の強化を図ることで社会から信頼される企業を目指します。
加賀電子グループは、サステナビリティの推進を重要な経営課題と捉え、加賀電子株式会社の代表取締役社長が委員長となる「SDGs委員会」を設置し、 その直下には「環境」「社会」「ガバナンス」のワーキンググループを配して、グループ横断的にサステナビリティを推進するマネジメント体制を敷いています。経営トップのコミットメントのもと、事業部門とも連携して、各ワーキンググループを通じて、ESG課題に対する方針や施策・目標の策定、進捗管理などグループ一体となってサステナビリティの推進に取り組んでいます。
加賀電子グループは、世界および当社が直面する様々な課題や社会からの要請に真摯に向き合い、「E:環境」「S:社会」「G:ガバナンス」ならびに「B:事業」の4つの観点から、当社の経営にとってインパクトの大きい重要課題を以下の通り特定しました。これらのマテリアリティの取組みを通じて、持続可能な社会の実現に寄与する企業活動を実践し、さらなる企業価値の向上を推進していきます。
■新型コロナウイルス感染症拡大への対応について
新型コロナウイルス感染症につきましては、ワクチン接種の進展や治療薬の開発を背景に回復基調をたどっておりますが、先行き不透明な状況であり、長期化の様相を呈しております。
このような状況のなか、当社グループにおきましては、引き続き総力をあげて従業員およびステークホルダーの皆様の安全確保を最優先に、機動的且つ柔軟な施策を講じることで、当社事業への影響を最小限に留めてまいります。
当連結会計年度の当社の具体的な新型コロナウイルスへの対応は次のとおりです。
国内営業拠点においてはテレワーク・時差通勤などの安全対策を徹底し事業活動を継続しました。緊急事態宣言下では出社率4割を目標に人流の抑制を図り、当社の出社率は上期41.5%、下期45.8%となりました。その他、各拠点ごとに検温器、パーテーション、光触媒脱臭機を設置、さらに抗ウイルスコーティングを施すなど、ウイルスを持ち込まない、移さない対策を徹底しております。
海外生産拠点(中国・アジア地域・欧州・米州)においては、入場時の検温、ゴーグル・マスクの着用、生産ラインにおけるソーシャルディスタンスの確保、社有バスを利用した通勤によるソーシャルディスタンスの確保などを徹底した結果、各国におけるロックダウンによる操業停止期間を除き、操業を継続いたしました。
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