当社グループは社会課題の解決に積極的に取り組むとともに、情報ネットワークソリューションサービス、電子デバイスという2つの事業を通じてお客さまの業務や事業に貢献することを目的に経営に努めております。
2022年5月に創業90周年を迎えた当社は、100周年さらにその先の未来に向けグループ一丸となって飛躍していきたいとの想いから、2022年6月に経営理念を刷新いたしました。新たな経営理念は存在意義を言語化したパーパス「人と知と技術で、可能性に満ちた“余白”を、ともに。」と、価値観・行動指針を定めたバリューズで構成しております。当社グループはパーパスのもと、お客さまやその先の社会に向け当社グループらしい「事業的価値」「社会的価値」を提供することで、更なる成長と豊かな世界の実現を目指してまいります。
① 経営環境
近年のデジタル技術の進歩は著しく、その影響は当社グループが属する情報通信業界のみならず社会全体に広がっております。新型コロナウイルス感染症は、これら技術の利活用や社会浸透に拍車をかけ、お客さま、さらには社会全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)実現に向けた動きや既存システムのクラウドシフトが加速しており、当社グループを取り巻く環境は大きな変革期を迎えております。
こうしたなか、当社グループでは、最先端技術の着実な吸収を通じて「イノベーション」を実現し、お客さまのベストパートナーであり続けることを目標に、2023年3月期を最終年度とする中期経営計画「Innovation2023」に取り組んでいます。付加価値の高いサービスを確実にお客さまへ届けることを通じて、当社にとっても景気に左右されない安定した事業構造になるよう、さまざまなサービスの開発、提供を進めています。
当社グループでは、創業以来「社会貢献」を社是に掲げ、また、前回の中期経営計画においては「健康経営」を進めてきました。今後は、働き方改革や、人材の育成および多様性確保に従来以上に積極的に取り組む一方で、地球環境にも十分配慮し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
2年目にあたる当期の進捗は以下の通りです。
情報ネットワークソリューションサービス事業においてはお客さまの迅速なDX実現に向けたサービス新体系「Total SolutionService Framework(TSF)」を発表し、具体的なサービスとして「DagreeX(電子契約・証憑書類の一元管理サービス)」、「TCloud for Voice(電話回線の交換機(PBX)をクラウド化するサービス)」「CT-e1/SaaS(クラウド型コンタクトセンターサービス)」等をリリースしました。加えて、競争力強化を目的にJIG-SAW株式会社及び株式会社ネクストジェンとの協業をそれぞれ開始いたしました。電子デバイス事業においては、経営判断の迅速化、当該事業の経営責任の明確化を目的に当社から分社化いたしました。また、経営基盤の強化として、取締役会の構成を監督機能に集中した経営体制とし3分の1以上を独立社外取締役とすることを決定いたしました。
中期経営計画「Innovation 2023」において、以下の目標達成を目指します。
(2023年3月期目標について)
2020年5月15日に発表した中期経営計画「Innovation 2023」では「売上高1,260億円・営業利益46億円・ROE9%」としておりましたが、新型コロナウイルス感染拡大の収束が長期化していることやウクライナ情勢悪化に伴う先行き不透明感など、社会経済情勢が中期経営計画策定時の前提とは大きく異なる状況が続いているため、2022年5月13日に上記の目標値に修正いたしました。
③ 対処すべき課題
当社は、中期経営計画「Innovation 2023」において、対処すべき課題および対策を「重点施策」として取りまとめております。詳細は以下のとおりであります。
ⅰ)サービス化による事業構造の変革
情報ネットワークソリューションサービス事業においては、お客さまの既存資産を最新技術で高度化するモダナイゼーション※1によるビジネスの拡大を図ります。また、当期に発表したサービス新体系「Total SolutionService Framework(TSF)」のもと、お客さまのDX実現に向けたサービスをさらに強化してまいります。
電子デバイス事業においては、成長が見込めるHMI※2、メモリストレージ、組込製品といった分野に事業をシフトし、事業構造の変革を進めることで、拡大する需要を確実に捉えてまいります。
※1 モダナイゼーション…既存の資産を活かしつつ、新技術を用いて情報システムを刷新すること
※2 HMI(Human Machine Interface)…人間と機械が情報をやり取りする装置やソフトウエア
ⅱ)データドリブンビジネスの推進
“ビジネスモデルの変革”や“働き方の変革”といったお客さまの抱える課題に対し、AI技術を駆使したデータ利活用サービス等を提供することにより、DXの実現を支援してまいります。当期においては、経済産業省が定める「DX認定事業者」に認定されました。引き続きデータサイエンティストの育成を進め、データドリブンビジネスを通じたDXへの取り組みに注力いたします。
ⅲ)経営基盤の強化
経営活動における最大の資産ともいうべき社員にとって働きやすく魅力ある会社であることが重要と考え、社員のモチベーション向上に繋がる人事制度や働きやすい環境の整備に取り組んでまいります。また、業務プロセス見直しを通じた効率化、グループ力底上げに資するグループ・ガバナンス体制の整備を進め、より一層強固な経営基盤の構築を実現してまいります。さらに、企業価値向上に向けた資本業務提携や協業についても検討してまいります。
(3) サステナビリティ活動
当社はこれまでも事業を通じた社会貢献に取り組んでまいりましたが、昨今の社会や環境の大きな変化を受け、持続可能な社会への貢献が企業価値の向上とともに重要であると考え、改めてサステナビリティ活動として注力することにいたしました。
活動にあたり当社らしいサステナビリティ活動の在り方を検討した結果、注力すべき3つの重要課題(マテリアリティ)を次ページのとおり特定いたしました。自社の成長に向けた取り組みと共に本活動を推進することでグループの企業価値を永続的に高めるとともに、地球・社会システムのサステナビリティに貢献する企業となることを目指します。
また、2022年4月には経営トップの主導のもとサステナビリティに配慮した経営を主導する「サステナビリティ経営委員会」と、各取り組みの連携による課題の協働解決を目指す「サステナビリティ推進委員会」を設置し、取り組みを強化しております。
<サステナビリティ活動のフロー>
<3つの重要課題(マテリアリティ)>
① 心身共に健康で、愛される人材・チームの開発
当社グループの持続的成長は、社員一人ひとりの挑戦に支えられております。挑戦を支える土台である社員と家族の心身の健康を維持・増進し、多様性を尊重し合える働き方が選択できるよう、制度・風土・環境づくりに積極的に取り組んでまいります。さらに、当社グループがあらゆるステークホルダーに価値を提供し、選ばれ続けるためには、個々の能力・やる気を高めるだけでなく、個人・チームとしての魅力も重要であります。挑戦を支える土台づくりと、多様な人材の活躍支援を通じ、愛される人材・チームの開発を目指してまいります。
② 人・社会・地球環境の変化をとらえ、調和ある共存に貢献
地球環境の中で事業活動をする一員として調和ある共存に貢献するには、人を起点とする社会・地球環境の変化をありのままに洞察し、問題解決に当たって知恵を出し合い、具体的な行動を継続することが重要です。当社グループでは、クラウド、仮想化、AI、IoTといった技術を活用して、社会・環境・天然資源への悪影響を最小限に抑え、地球環境へ配慮したサービスを提供いたします。そして、当社グループにおける環境負荷軽減についても積極的に取り組んでまいります。
また、あらゆるステークホルダーとのコミュニケーションを通じ、社員一人ひとりが、広い視野をもって社会へ良い影響をもたらす行動ができるよう活動を推進いたします。
③ 情報通信技術による信頼性高く、革新的なサービスの提供
お客さまに提供する製品・サービスは、安心・安全なものであることを目指し、絶えずセキュリティ・品質の向上を図ります。
また、お客さまや様々な機関・企業との積極的なコラボレーションを通じ、社会課題解決への挑戦を加速いたします。自らのデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進すると同時に、お客さまのDX実現へのサポートを通じ、新しいビジネスの創出に挑戦し続けることで、社会課題の解決を目指します。
<気候変動への取り組みとTCFDへの対応>
当社は、重要課題(マテリアリティ)の一つに「人・社会・地球環境の変化をとらえ、調和ある共存に貢献」を定め、環境負荷軽減に取り組んでおり、活動の一環として2022年5月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への賛同を表明しました。
本活動は、サステナビリティ活動の一つとして実施しており、リスクと機会の特定及び評価は環境推進委員会が担っております。その後は前ページに記載のフローでサステナビリティ経営委員会が重要課題(マテリアリティ)を設定し、経営会議・取締役会に報告するガバナンス体制を構築しています。
当社は継続的に気候変動に関するリスクと機会の分析を進め、持続的な成長と脱炭素社会の実現に向けた活動に取り組みます。
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