業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。

これに伴い、従来の処理方法と比較して、当連結会計年度における売上高は減少しております。

そのため、当連結会計年度における経営成績に関する説明は、前連結会計年度と比較しての増減額及び前年同期比(%)を記載せずに説明しております。

詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種の進展により、経済活動にも緩やかな回復の兆しがみられましたが、新たな変異ウイルスの出現により、収束の見通しが立たず、厳しい状況が続いております。

また、半導体不足や原材料価格動向、ロシアのウクライナ侵攻など地政学的リスクの高まりによる下振れリスクもあり、景気の先行きは依然不透明な状態が続いております。

 

このような環境下、当社グループは、2019年5月に公表いたしました中期経営計画(2020年3月期~2022年3月期)に基づき、当社グループの基盤三事業につき、市場変化に合わせ、より柔軟に事業領域や組織の見直しを行うとともに、新たな事業領域の確立や、相乗効果が見込まれる他社とのビジネス連携・資本提携・M&A等を推進していくことで収益の更なる拡大を目指してまいりました。

 

当連結会計年度は中期経営計画の最終年度でありましたが、連結売上高は108億6千2百万円(前年同期は101億3千9百万円)となりました。損益面では、営業利益は2億4千8百万円(前年同期は2億1千6百万円の営業利益)、営業外費用として主に子会社減資に伴う為替差損を計上し、経常利益は2億4百万円(前年同期は2億2千6百万円の経常利益)、特別損失として本社移転費用等を計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は1億3千9百万円(前年同期は1億5千7百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となり、2021年5月に修正公表いたしました中期経営計画の目標数値を売上は若干下回ったものの、営業利益は上回る結果となりました。

 

セグメントの業績は以下のとおりであります。

 

システムソリューション

システムソリューションにおきましては、総務省運用保守案件の減少により、売上高は31億7千9百万円(前年同期は40億8千8百万円)、営業利益は4千8百万円(前年同期は1億1千4百万円の営業利益)となりました。

 

ネットワークソリューション

ネットワークソリューションにおきましては、衛星通信案件および保守案件の増加により、売上高は14億1千1百万円(前年同期は10億9千3百万円)、営業損失は8千9百万円(前年同期は4千8百万円の営業損失)となりました。

 

電子部品及び機器

電子部品及び機器におきましては、製造設備用センサー部品および防衛省向け案件の増加、連結子会社である株式会社エアロパートナーズにおいて防衛省等の売上の増加があったため、売上高は62億7千2百万円(前年同期は49億5千7百万円)、営業利益は2億8千9百万円(前年同期は1億4千9百万円の営業利益)となりました。

 

なお、セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

当期の財政状態の概況

(資産)

 当連結会計年度末における資産は71億2千2百万円(前連結会計年度末71億6千5百万円)となり、4千2百万円減少しました。これは主に、流動資産では、受取手形、売掛金及び契約資産が2億4千9百万円、前渡金4千1百万円増加しましたが、現金及び預金1億8百万円、商品及び製品1億5千7百万円、主に未収還付消費税等の回収によりその他が1億4千5百万円減少したことにより、1億2千万円減少しました。一方、固定資産は、主に投資有価証券が8千5百万円増加したことにより、7千7百万円の増加となりました。

 

(負債)

 負債は26億8千9百万円(前連結会計年度末28億7千4百万円)となり、1億8千4百万円減少しました。これは主に、支払手形及び買掛金9千4百万円、短期借入金7千3百万円が増加したものの、前受金4億3百万円減少によるものです。

 

(純資産)

 純資産は44億3千3百万円(前連結会計年度末42億9千万円)となり、1億4千2百万円の増加となりました。これは配当金の支払4千5百万円の減少があったものの、当期の親会社株主に帰属する当期純利益1億3千9百万円、為替換算調整勘定が4千3百万円増加したものによります。この結果、自己資本比率は62.2%(前連結会計年度末は59.9%)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1億8百万円減少し、29億7百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果支出した資金は6千7百万円(前年同期は2億9千6百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益1億9千4百万円、棚卸資産の減少1億5千7百万円、未収消費税等の還付による収入1億2千1百万円があったものの、売上債権の増加1億4千6百万円、前受金の減少4億6千万円、法人税等の支払い1億5百万円の支出があったためです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果支出した資金は6千5百万円(前年同期は9千2百万円の支出)となりました。これは主に、本社等の移転による差入保証金の回収1億1百万円があったものの、有形固定資産の取得による支出6千7百万円、投資有価証券の取得による支出8千5百万円等があったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果獲得した資金は1千6百万円(前年同期は3億4千7百万円の支出)となりました。これは主に、配当金の支払4千5百万円の支出、子会社の運転資金のための短期借入金の増加7千3百万円によるものです。

 

③受注及び販売の実績

a.受注実績

 当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

システムソリューション

3,405,307

105.8

1,434,289

111.7

ネットワークソリューション

1,265,180

103.2

519,893

83.4

電子部品及び機器

4,941,552

81.1

4,837,989

78.5

合計

9,612,040

91.2

6,792,172

84.2

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.(会計方針の変更)に記載のとおり、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用し、収益認識に関する会計処理方法を変更したため、事業セグメントの利益又は損失の測定方法を同様に変更しております。

  当該変更により、従来の方法に比べて、当連結会計年度のシステムソリューション事業の期首受注残高は67,322千円減少し、ネットワークソリューション事業の期首受注残高は38,732千円増加しております。

 

b.販売状況

 当連結会計年度の販売状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

販売高(千円)

 

システムソリューション

3,179,158

 

ネットワークソリューション

1,411,048

 

電子部品及び機器

6,272,528

 

合計

10,862,735

 

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.(会計方針の変更)に記載のとおり、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用し、収益認識に関する会計処理方法を変更したため、事業セグメントの利益又は損失の測定方法を同様に変更しております。

  当該変更により、従来の方法に比べて、当連結会計年度のシステムソリューション事業の売上高は69,666千円減少し、ネットワークソリューション事業の売上高は4,912千円増加しております。

3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 

相手先

 

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

  至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

防衛省

2,576,027

25.4

3,224,919

29.7

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度は、前連結会計年度に続き新型コロナウイルス感染症の収束目途が立たず、年間を通じて、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発出される状況下での業務遂行となりました。

このような環境下で、上半期は受注残の前倒し売上も寄与して営業利益が黒字となりましたが、下半期に入ると、オミクロン株の世界的な感染者急増の影響によるサプライチェーンの崩壊で、納期遅延や顧客の予算計画縮小、凍結、案件失注も重なり、年度末まで通期業績の見通しが立たない状況となりました。一方、コロナ禍の長期化による様々な自粛が、結果的に経費削減につながったことから、通期でも計画を上回る営業利益となりました。

 

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、システムソリューションにおいては中央省庁向け大型システムの案件が挙げられます。同システムの定期的な更新案件により売上高が大きく増加することがあるものの、大型案件は利益率が低いこと、また事業年度ごとに売上高の増減が激しくなり、収益基盤が安定していないことが課題です。モノを「買う」時代から「借りる」時代へと社会が大きく変化しているなかで、物販からサービス提供型のビジネスモデルへと変革を推し進め、収益の安定化を目指しております。

ネットワークソリューションにおきましては比較的利益率が高い案件が多く、競争の激化等により失注した場合、売上高及び利益の増減が大きくなり、業績が安定しないことが課題です。また、電子部品及び機器におきましては、連結子会社である株式会社エアロパートナーズにおける防衛省向け案件が挙げられます。防衛省向け案件は入札方式であるとともに、近年多年度に亘る契約案件が増えており、落札したとしても同年度中に売上に至らない場合があります。そのため同事業においても事業年度ごとの収益安定のため、民間向けの案件を増やしていくことが課題と捉えています。

 

セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

システムソリューション

システムソリューションにおきましては、文教向けのリモート環境構築需要が、前期同様に好調に推移いたしましたが、製造業向け3次元CADビジネスは前期同様、中央省庁向けビジネスは案件縮小で前期を下回り、IoT関連、3次元画像撮影・解析システム等の新規ビジネスにおいても、予算凍結や失注もあり、計画を未達となりました。

東日本でのビジネスにおいては、新たな注力事業分野として捉えるAI、画像認識、VR/AR等のビジネスを拡大することを企図しておりますが、特にVR/ARビジネスが着実に成長しています。

西日本でのビジネスにおいては、従来の文教向けシステムや3次元CADビジネスに加えて、引き続き民間向けビジネスモデルの創出に注力しております。

 

ネットワークソリューション

ネットワークソリューションにおきましては、衛星通信案件の予算執行の遅れ、放送局、CATVの設備投資予算の削減、映像配信のインターネット配信化で競合が増え、計画から大きく乖離する結果となりました。

伝送・配信システムのビジネスにおいては、低軌道衛星分野でのビジネスに参入するとともに、デジタルビデオ配信分野でのSaaSビジネスを拡大し、大型案件に依存しない体質に変革することが課題と捉えています。

FWA(固定無線アクセス)システムのビジネスにおいては、民間大手ゼネコン向けに無人化施工システムの拡販を推し進めるとともに、鉄道向けビジネスへの参入、映像関連製品とFWAパッケージビジネスの立ち上げなど、当社独自のソリューションで高収益化の実現を目指すことが重要だと考えます。

 

電子部品及び機器

電子部品及び機器におきましては、産業用ロボティクスや半導体製造装置などの市場の好調を受け、サーボモータ等で使用されるLED製品の需要が前期を上回り好調に推移いたしました。また、新型コロナウイルス感染症対策の背景も相まって、導電性接着剤が非接触カードの需要で大きく貢献しました。グループ会社の株式会社エアロパートナーズにおける防衛省向けビジネスは、コロナ禍の影響を受けることなく、連結業績の向上に貢献いたしました。

防衛省向けビジネスは、前述のように入札方式であること、また、近年多年度に亘る契約案件が増えていることから、事業年度ごとの収益安定のため、民間向けの案件を増やしていくことが課題と捉えています。

電子部品および材料のビジネスにおいては、長期化するコロナ禍の影響で非接触カードの需要が増え、関連商材も順調に推移いたしました。今後はAfterコロナを見据えて、新たな市場開拓と商材の拡大に注力することが重要と考えます。

中国・香港でのビジネスにおいては、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けていた顧客の需要が回復し、順調に推移しました。しかしながら、いまだ収まらない新型コロナウイルス変異株のアジア地域への拡大に加え、欧米諸国によるロシアへの経済制裁の影響などの不確実性もあり、今後とも市場動向を見極め、適切な収益体制で臨むことが課題と考えております。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については次のとおりであります。

 

a.契約債務

2022年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。

 

年度別要支払額(千円)

契約債務

合計

1年以内

1年超3年以内

3年超5年以内

5年超

短期借入金

360,000

360,000

リース債務

9,876

6,927

1,965

982

 

b.財政政策

当社グループの資金需要は、主に運転資金需要です。

運転資金需要のうち主なものは、当社グループにおいて商品の仕入の他、販売費及び一般管理費の営業費用に係るものです。商品の仕入については、当社グループは主に顧客からの受注後、個々の商品を発注する受注販売を原則としておりますので、顧客よりの債権の回収と仕入先への支払の時期の差や、個々の受注取引の額の大きさ、取引の集中度により資金需要の時期、量に変動が生じております。また、連結子会社である株式会社エアロパートナーズの主要仕入先は海外仕入先であり、支払が先行する場合が多く、資金需要を増加させる要因となっています。

当社グループは、堅固なバランスシートの維持、事業活動のための適切な流動性資産の維持と資金調達の安定性を財務方針とし、主たる資金需要である運転資金については、内部資金を活用しておりますとともに、増加運転資金の安定かつ効率的な調達を行うため、提出会社におきまして金融機関との間に当座貸越契約及び貸出コミットメント契約10億円を締結しております。(借入未実行残高10億円)また、グループ会社の資金需要については提出会社からの資金の貸出とグループ会社が独自に銀行借入を併用しております。そのために運転資金需要が減少した際には手持ち流動性が増加する場合がありますが、流動性資産の維持・安全性を優先しております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

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