(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済は、新たな変異株の感染者数が増加傾向にある新型コロナウイルス感染症の影響により厳しい状況が続いております。さらに、ウクライナ情勢等による不透明感がみられる中で、輸入原材料価格の上昇、円安傾向及び金融資本市場の変動等もあり、不透明度が増した状態となりました。個人消費については持直しの動きが見られるものの、一部に足踏みが見られる等、景気の先行きは依然として不透明な状況にあります。
当社グループはこのような状況のなか、新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策として、4月23日に4都府県を、また5月12日には6都府県を対象とした政府からの「緊急事態宣言」発出を受け、4月25日から25店舗と1管理事務所、5月12日からは52店舗と1管理事務所の時短営業を実施いたしました。その後、国内の感染状況の推移を注視しながら、「緊急事態宣言」が解除された6月21日からは全事業所において通常営業を再開いたしました。
7月8日に東京都を、また7月30日には6都府県、8月17日には13都府県、8月25日には21都道府県を対象とした政府からの「緊急事態宣言」の再発出を受け、7月12日から25店舗と1管理事務所、8月2日から88店舗と6営業所・4管理事務所、8月20日から113店舗と6営業所・5管理事務所、8月27日から132店舗と1出張所・7営業所・5管理事務所の時短営業を実施いたしました。その後、国内の感染状況の推移を注視しながら、「緊急事態宣言」が解除された10月1日からは全事業所において通常営業を再開いたしました。時短営業解除後も引き続き、お客様や従業員の安全に十分配慮しながら予防対策を講じて営業しております。
宗教用具関連業界においては、生活様式や価値観の変化による購入商品の小型化・簡素化、さらにはそれに伴う単価下落の傾向などが継続しております。また、伝統的形式に縛られない「自分らしい」供養のあり方を求める声も増加傾向にあり、多様化するお客様のニーズへの対応が求められております。加えて、一部の商圏におけるお客様動線の変化に対して、商圏の考え方やそれに伴う店舗立地政策の見直しが求められております。
当社グループはこのような情勢のなか、仏壇仏具事業に関しては、お客様の変化に対応するために新商品の開発と商品の投入を実施してまいりました。墓石事業に関しては、屋内墓苑事業を含むご遺骨供養に対する多様なニーズに対応できることを目的に活動してまいりました。
イ 財政状態
当連結会計年度末における資産合計は、墓石販売に伴う営業保証金の回収等により営業保証金が2億4百万円及び繰延税金資産が1億11百万円それぞれ減少したものの、西日本地区の物流機能向上を目的として福岡ロジスティクスセンターを新設したことなどにより商品が4億11百万円及び販売保証契約に基づく預託により販売保証金が5億60百万円それぞれ増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べて6億17百万円増加し、183億61百万円となりました。
当連結会計年度末における負債合計は、短期借入金が2億63百万円及び長期借入金が4億86百万円それぞれ増加したものの、社会保険料の納付猶予分及び消費税の納税猶予分の納付などにより流動負債のその他が10億53百万円減少(前連結会計年度の流動負債のその他27億14百万円と当連結会計年度の契約負債12億11百万円及び流動負債のその他4億49百万円の合計16億61百万円を比較)したことなどにより、前連結会計年度末に比べて52百万円減少し、84億73百万円となりました。
当連結会計年度末における純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益7億7百万円を計上したことなどにより、前連結会計年度末に比べて6億70百万円増加し、98億87百万円となりました。
当社グループは、自己資本比率を主要な経営指標の目標とし、財務体質の強化に取り組んでおります。
当連結会計年度末においては、社会保険料の納付猶予分及び消費税の納税猶予分の納付などにより流動負債のその他が減少したこと及び利益剰余金が増加したことなどにより、自己資本比率は53.9%(前連結会計年度末は51.9%)となりました。
ロ 経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高は197億92百万円(前期比11.0%増)となりました。
営業利益は13億4百万円(前期比20.9%増)、経常利益は12億33百万円(前期比13.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は7億7百万円(前期比228.0%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
当社グループは、「仏壇仏具・墓石」、「屋内墓苑」及び「飲食・食品・雑貨」を報告セグメントとしております。
<仏壇仏具・墓石>
前連結会計年度は、政府からの「緊急事態宣言」発出を受けて臨時休業した影響で仏壇及び墓石の販売基数が減少したものの、当連結会計年度では「緊急事態宣言」発出を受けても臨時休業には至らなかったこともあり、前連結会計年度に比べ東日本地区・西日本地区ともに、仏壇及び墓石ともに販売基数が改善し、仏壇仏具の売上高は142億57百万円(前期比11.3%増)となり、墓石の売上高は42億40百万円(前期比7.8%増)となりました。仏壇仏具及び墓石を合わせた全体での売上高は184億97百万円(前期比10.5%増)となりました。感染対策としては、来店予約システムを導入し、お客様同士が密にならいないように努めてまいりました。また、お客様への提案等を事前に準備することで在店時間を減らすことで、お客様に安心してご来店・ご購入いただけるようにも努めてまいりました。そのうえで、販売基数については、お客様の変化に対応するために新商品の開発と地域特性に合った商品の投入に加えて販促活動も積極的に実施してまいります。販売単価については、購入商品の小型化・簡素化の傾向は今後も一層進行していくことが予想されるため、販売手法改革に加え、現代の住空間やお客様の価値観に適した商品開発を推し進めてまいります。
<屋内墓苑>
屋内墓苑については、売上高は5億33百万円(前期比8.7%減)となりました。今後も墓石販売とともに、ご遺骨を供養するというニーズに応えられるよう事業を展開してまいります。
<飲食・食品・雑貨>
飲食・食品・雑貨については、売上高は1億6百万円(前期比53.4%増)となりました。
<その他>
その他については、売上高は6億86百万円(前期比48.5%増)となりました。
[新型コロナウイルス感染症拡大予防・対策について]
当社グループは、新型コロナウイルス感染症の流行を受け、社内に新型コロナウイルス感染症対策本部を設置し、2020年4月に基本方針「従業員及びその家族の健康維持・確保を最優先とする」を定め、政府・地方自治体の要請等に鑑み、対応・対策を実施してまいりました。その後、2020年11月には基本方針を「従業員及びその家族の健康を維持・確保しつつ、お客さまへの感染リスクを極小化する」と改定し、当連結会計年度も引き続き全事業所において感染対策を実施しております。
なお、当社グループの報告セグメント別売上高は次のとおりであります。
(報告セグメント別売上高の構成比及び前期比増減)
報告セグメント 等の名称 |
区分 |
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前期比増減 |
|||||
金額 |
構成比 |
金額 |
構成比 |
金額 |
増減率 |
||||
(百万円) |
(%) |
(百万円) |
(%) |
(百万円) |
(%) |
||||
報告セグメント |
仏壇仏具 ・ 墓石 |
東日本 |
仏壇仏具 |
10,056 |
56.4 |
11,307 |
57.1 |
1,250 |
12.4 |
墓石 |
3,361 |
18.8 |
3,555 |
18.0 |
194 |
5.8 |
|||
|
計 |
13,417 |
75.2 |
14,862 |
75.1 |
1,444 |
10.8 |
||
西日本 |
仏壇仏具 |
2,751 |
15.4 |
2,950 |
14.9 |
198 |
7.2 |
||
墓石 |
571 |
3.2 |
685 |
3.5 |
113 |
19.8 |
|||
|
計 |
3,323 |
18.6 |
3,635 |
18.4 |
311 |
9.4 |
||
計 |
仏壇仏具 |
12,808 |
71.8 |
14,257 |
72.0 |
1,449 |
11.3 |
||
墓石 |
3,933 |
22.0 |
4,240 |
21.5 |
307 |
7.8 |
|||
|
計 |
16,741 |
93.8 |
18,497 |
93.5 |
1,756 |
10.5 |
||
屋内墓苑 |
584 |
3.3 |
533 |
2.7 |
△51 |
△8.7 |
|||
飲食・食品・雑貨 |
69 |
0.4 |
106 |
0.5 |
37 |
53.4 |
|||
その他 |
462 |
2.6 |
686 |
3.5 |
224 |
48.5 |
|||
調整額 |
△18 |
△0.1 |
△32 |
△0.2 |
△13 |
- |
|||
合計 |
17,838 |
100.0 |
19,792 |
100.0 |
1,953 |
11.0 |
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、棚卸資産の増加や新型コロナウイルス感染症による社会保険料の納付猶予分及び消費税の納税猶予分の納付等の減少要因があったものの、税金等調整前当期純利益が11億65百万円(前連結会計年度は税金等調整前当期純利益4億88百万円)と増加したことに加え、長期借入れによる収入の増加等により、前連結会計年度末に比べ1億45百万円増加し、37億24百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は62百万円(前連結会計年度は31億98百万円の資金の獲得)となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益11億65百万円に加え、減価償却費2億21百万円などの増加要因があったものの、棚卸資産の増加額4億11百万円及びその他10億28百万円(社会保険料の納付猶予分及び消費税の納税猶予分の納付等)などの減少要因があったためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は3億65百万円(前連結会計年度は4億82百万円の資金の使用)となりました。
これは主に、墓石販売等に伴う営業保証金の回収の純額2億4百万円(回収9億88百万円-支出7億84百万円)などの増加要因があったものの、販売保証金の支出5億54百万円などの減少要因があったためであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は5億73百万円(前連結会計年度は15億19百万円の資金の使用)となりました。
これは主に、長期借入金の返済による支出12億50百万円などの減少要因があったものの、長期借入れによる収入20億円があったためであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
イ 生産実績
生産実績については、当社の業務形態上、重要性が乏しいため記載を省略しております。
ロ 商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績は、次のとおりであります。
事業の名称 |
金額(千円) |
前期比(%) |
宗教用具関連事業 |
7,562,640 |
124.3 |
飲食・食品・雑貨事業 |
64,190 |
158.6 |
合計 |
7,626,830 |
124.5 |
(注)金額は、仕入価格によっております。
ハ 受注実績
受注実績については、当社の業務形態上、重要性が乏しいため記載を省略しております。
ニ 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
金額(千円) |
前期比(%) |
仏壇仏具・墓石 |
18,497,910 |
110.5 |
屋内墓苑 |
533,354 |
91.3 |
飲食・食品・雑貨 |
106,960 |
153.4 |
報告セグメント計 |
19,138,225 |
110.0 |
その他 |
686,337 |
148.5 |
調整額 |
△32,345 |
- |
合計 |
19,792,217 |
111.0 |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
連結財務諸表の作成にあたりましては、一定の会計基準の範囲内で見積りが行なわれている部分があり、過去の実績や現在の状況等を勘案し、合理的と考えられる見積り及び判断を行なっております。
当社グループが採用した重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況」に記載しておりますが、財政状態及び経営成績に特に重要な影響を与える会計方針と見積りは、以下のとおりであります。
イ 霊園建墓権取得のための営業保証金に対する貸倒引当金
開園前の霊園に対する営業保証金につきましては、霊園の開発状況に基づき回収可能性を合理的に見積っております。また、開園済みの霊園に対する営業保証金につきましては、回収までに長期を要するものがあり、顧客の動向や霊園個別の事情を考慮した当社の墓石受注販売計画に基づく営業保証金の回収予測等に基づき、回収可能性を合理的に見積もっております。回収可能性の判断は、霊園ごとの将来予測に依存するため、将来において霊園の開発状況や当社の建墓状況に大きな変化があった場合には、引当金を追加計上する可能性があります。
ロ 棚卸資産の評価
当社グループの棚卸資産の評価につきましては、収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により評価損を計上しております。今後、市場状況の悪化により収益性の低下の事実を新たに反映する必要が生じた場合、棚卸資産の評価損を計上する可能性があります。
ハ 減損会計における将来キャッシュ・フロー
当社グループが減損損失を認識するかどうかの判定において用いられる将来キャッシュ・フローは、資産グループごとに予算等社内における管理会計の計画数値を基に見積もっております。将来キャッシュ・フローは見積りに依存するため、将来において当社グループをとりまく環境に大きな変化があった場合など、その見積額が変動した場合は、減損損失を追加計上する可能性があります。
ニ 繰延税金資産の回収可能性の評価
繰延税金資産の回収可能性の判断につきましては、将来の課税所得を合理的に見積もっております。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存するため、将来において当社グループをとりまく環境に大きな変化があった場合など、その見積額が変動した場合は、繰延税金資産の回収可能性が変動し、繰延税金資産の取崩又は追加計上の可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ 経営成績等
a 財政状態
当連結会計年度末の財政状態につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況 イ 財政状態」に記載のとおりであります。
b 経営成績
仏壇仏具事業においては、当社グループの強みのひとつである知名度を最大限活用することが重要と認識し、「しあわせ少女 ゆうかちゃん」を起用したTVCMや新聞折込チラシなどの販促活動を展開いたしました。また、新聞折込チラシについては全店共通の紙面・販促内容とは別に、地域特性に合わせた紙面を一部営業店において追加で投入するなど、積極的な集客活動を行なってまいりました。特に2月から3月にかけては、お彼岸でお客様のご供養に対する関心が高まる時期であるため、TVCM、WEBリスティング広告、新聞折込チラシなどの従来の販促策を期間・量ともに増やすとともに、新たに新聞広告を掲載し、お客様の消費を喚起する販促活動を行ないました。近年、新聞の購読率は減少の一途をたどっておりますが、当社の顧客層については減少率も微減、購読率も比較的高いことから、依然としてチラシ等で情報を収集している部分もあり、集客策として一定の効果を上げているため、現時点では継続しております。今後はスマートフォンをはじめとしたWEBでの情報収集に移行していくことが見通されるため、販促効果を注意深く確認しながら、徐々にWEBを中心とした販促策にシフトしていくことを検討してまいります。
2021年12月には公式ホームページのリニューアルと自社ECサイトを開設いたしました。公式ホームページのリニューアルでは、近年増加の一途をたどるスマートフォンユーザーのニーズに対応することと、自社ECでは、当社の取扱商品と商品に関わる情報を多くのお客様にお伝えすることで、更に今後もデジタル上で情報収集を行なうお客様が増加することに鑑みてリニューアル等を実施いたしました。
また当社の品揃えは、お客様のご要望や実際の販売状況から当社にご来店されるお客様に合わせて常に改善を行なってまいりましたが、一方で当社にご来店されていない顧客層があることも検討すべきと考えております。特に富裕層向けの商品ラインナップが充分ではないと考えており、今後は実験的に高価格帯商品の品揃えを増やし、新規顧客の獲得を目指します。ロングテールの商品については、ECサイトとの親和性が高いため、実験にあたってはECサイトと実店舗との連携を強化しながら推進してまいります。
今後も引き続き、市場全体に当社をアピールし、かつ地域に合わせた営業戦略を実行し、さまざまなお客様のニーズに応えられるよう販促・商品の品揃えなどを積極的に行なってまいります。
また一方で、ご遺骨の供養を検討されるお客様に対して、墓石及び屋内墓苑の従来からのラインナップに、近年関心が高まっている多種多様な埋葬ニーズ(樹木葬・合葬墓・海洋葬など)も加えた遺骨供養に関するトータルソリューションの提案を積極的に展開してまいります。ご遺骨供養の方法については、多様化の傾向は今後も継続するものと考えておりますが、人々の宗教的慣習から来る埋葬に対するイメージは、従来から大きく変わらないため、新しい形態についても一定の正当性と様式を守った形で提供していく必要があると考えており、開発・販売の際は留意してまいります。
店舗施策については、近年ショッピングセンターや百貨店などの商業施設内への出店を推進してまいりましたが、業績の推移やお客様の動向を慎重に分析した結果、2店舗(9月に埼玉県川口市と愛知県名古屋市千種区)の退店を決定し、実施いたしました。また、施設の建て替えを伴う契約期間の満了により別途1店舗(12月に福岡県福岡市東区)の退店を実施しております。一方で、業績を順調に伸ばしている営業店(百貨店)もあり、今後も様々な視点で分析を行なうことにより、早期に収益を上げられる店舗モデル及び条件を明らかにしてまいります。特に百貨店は顧客層が当社の顧客層と近く、また年代が高いほど利用頻度も高いことから、顧客層が比較的若いショッピングセンター内の営業店と比較してもお客様が多くご来店くださっているため、今後は当社顧客との類似性についても調査しながら検討を行なってまいります。移転は、移転先の立地・場所・環境などを複合的に検討してまいります。
今後もお客様の価値観や生活様式の変化が進む環境の中、供養に関連する全ての事業分野において、新しい商品・サービスの開発及びアソートメントの見直しに取り組んでまいります。
このように、各事業において施策を推進した結果、売上高は197億92百万円(前期比11.0%増)となりました。
経費については、前期は新型コロナウイルス感染拡大防止に向けた緊急事態宣言に伴う臨時休業期間中に発生した固定費(人件費2億15百万円、賃借料等設備経費1億円)を特別損失に計上した影響で前期を上回ったものの、売上高が大幅に上回ったことにより、営業利益は13億4百万円(前期比20.9%増)、経常利益は12億33百万円(前期比13.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は7億7百万円(前期比228.0%増)となりました。
c キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
ロ 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、前述の「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 会社の対処すべき課題」に記載のうち特に、「お客様の供養に対する価値観の変化」が当社の経営に最も大きな影響を与える要因と認識しております。お客様の生活様式や価値観の変化への対応に遅れが発生した場合、既存販売商品における小型化・低価格化の一層の進行、さらには販売数量の減少によって、業績悪化の可能性があります。
このような状況に陥らないために、当社はお客様の供養に対する価値観変化の把握に努めており、得られた知見や仮説等を、取扱い商品・サービスの見直しや拡充及び新業態への取組みなどに活かしてまいります。
また、お客様の供養に対する価値観の変化とともに、留意し、対応すべき課題と考えているのが、「デジタル化」です。この2年間の世界的な新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、情報収集やECでの商品購入など、お客様の購買行動もリアルからWEBに移行しつつあり、デジタル領域の重要性がさらに高まっております。対応が遅れてしまうと、お客様との接点において他社に先行されてしまう可能性がある反面、この領域を強化することができれば、実店舗のある当社の優位性は相乗的に高まると考えており、資源を集中的に投下し、機能強化を図ってまいります。
ハ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
a 資金需要
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品仕入代金の支払資金のほか、人件費及び販売促進費等の販売費及び一般管理費であります。
投資を目的とした資金需要のうち主なものは、早期に収益を上げられる店舗モデルを展開するための新規出店、店舗移転、既存店舗の改装等に係る設備投資や、墓石販売に伴う建墓権取得のための営業保証金の差入れ及び屋内墓苑販売業務委託契約に伴う販売保証金の預託等によるものであります。
b 財政政策
当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金または銀行借入により資金調達することとしております。
このうち、借入による資金調達に関しましては、運転資金につきましては短期借入金により調達することとしており、設備投資、営業保証金(建墓権)及び販売保証金に係る資金につきましては長期借入金(原則として5年以内)により調達することとしております。
また、運転資金の効率的な調達を行なうため取引銀行5行と当座貸越契約(当座貸越極度額合計30億円)を締結しております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債残高は43億78百万円、有利子負債依存度は23.8%となっております。
ニ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、仏壇仏具・墓石・屋内墓苑の販売を中心とする事業強化により、主にROA、売上高伸張率、自己資本比率を主要な経営指標の目標とし、各指標の向上を目指しております。
各指標の進捗状況は次のとおりであります。
当社グループ
回次 |
第54期 |
第55期 |
第56期 |
|
決算年月 |
2020年3月 |
2021年3月 |
2022年3月 |
|
ROA |
(%) |
- |
1.2 |
3.9 |
売上高伸張率 |
(%) |
- |
99.6 |
111.0 |
自己資本比率 |
(%) |
52.7 |
51.9 |
53.9 |
(注)1 第54期のROAについては、親会社株主に帰属する当期純損失であるため記載しておりません。
2 第54期の売上高伸張率については、第54期より連結財務諸表を作成しているため記載しておりません。
提出会社
回次 |
第54期 |
第55期 |
第56期 |
|
決算年月 |
2020年3月 |
2021年3月 |
2022年3月 |
|
ROA |
(%) |
- |
0.8 |
3.9 |
売上高伸張率 |
(%) |
94.1 |
99.5 |
110.8 |
自己資本比率 |
(%) |
52.9 |
52.0 |
53.8 |
(注)第54期のROAについては、当期純損失であるため記載しておりません。
ホ セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
仏壇仏具については、臨時休業の影響により、東日本地区・西日本地区ともに、販売基数は増加したことにより、売上高は142億57百万円(前期比11.3%増)となりました。また、営業政策として、前期よりも多く実施した新聞折込チラシの回数増加やTVCM放映等の販促活動強化と、当社ホームページ改修による商品掲載数及び商品情報の充実やお客様動線の強化(来店予約システムの導入)等により、レジの来店組数やお位牌の受注等が前期よりも増加したことも要因の1つになりました。
墓石については、仏壇仏具同様に臨時休業の影響により、東日本地区・西日本地区ともに、販売基数が増加したことに加え、販売単価も改善されたことにより、売上高は42億40百万円(前期比7.8%増)となりました。東日本地区の販売基数が増加した要因においては、当社ホームページに掲載している情報量を増加したこと等の販促活動の強化により公営霊園の販売が堅調に推移した結果、販売基数が増加したことによるものです。
これらの結果、仏壇仏具及び墓石を合わせた全体での売上高は184億97百万円(前期比10.5%増)、セグメント利益は14億59百万円(前期比1.9%増)となりました。
感染対策や低接触・非接触型の営業体制を整え、お客様に安心してご来店・ご購入いただけるよう努めてまいります。そのうえで、販売基数については、魅力的かつ差別化された商品品揃えを実現することで改善を図ってまいります。さらに、例えば富裕層のお客様など、当社にこれまであまりご来店いただけていない顧客層にも着目し、対象となる商品ラインナップを実験的に投入し、新たな顧客層の獲得を目指してまいります。
このように、目的買いのお客様への対応を強化することと並行して、潜在的なニーズをお持ちのお客様へも情報発信し、アプローチを行なってまいります。仏事・供養については、例えば誰も田舎のお墓の手入れができない、現在あるお仏壇を、いずれ子供に引き継ぐことになるが、大きすぎるし、古いので、このままでは引き継げない、などの潜在的なニーズを抱えているお客様がいらっしゃいます。当社のホームページやその他の販促媒体を通して、同様の事例を紹介し、その解決方法や当社の商品・サービスの特徴を分かりやすく提示することで、このようなお客様のニーズを顕在化させ、幅広い集客を目指してまいります。
販売単価については、購入商品の小型化・簡素化の傾向は今後も一層進行していくことで、販売単価も低下していくことが予想されます。しかし、ここ数年間、販売手法改革を目指し、ご来店くださるお客様、特に大切なご家族を亡くされたお客様に対して、しっかりと寄り添ってお話を伺い、最適なご提案を差し上げることに注力してきた結果、販売単価の低下を一定程度抑えることができております。引き続き、接遇及び提案力の強化を図りながら、一方では現代の住空間に適した商品開発を推し進めてまいります。
仏壇仏具・墓石におけるセグメント資産は、東日本地区において75億52百万円(前期比1.2%増)となり、西日本地区においても19億56百万円(前期比4.8%減)となりました。
屋内墓苑については、新型コロナウイルス感染症流行の影響が他の事業と比較しても大きく、来苑客数が引き続き低調に推移したことに加え、完売により当社の受託販売物件数が減少した結果、売上高は5億33百万円(前期比8.7%減)、セグメント利益は1億32百万円(前期比9.3%減)となりました。新型コロナウイルス感染症の今後の影響は不透明な状況ではありますが、消毒などの基本的な感染対策をしっかりと実施し、来苑予約によって、お客様が安心して施設を見学していただけるような体制を整えるとともに、販売員の対応力強化と寺院との連携に注力し、各物件の魅力を高めてまいります。また、墓石及び屋内墓苑を購入されるお客様の属性が類似していることから、当社はこれまで墓石と屋内墓苑の一体的な販売を行なってきており、今後も継続してまいります。一方、近年はその他の埋葬ニーズ(樹木葬・合葬墓・海洋葬など)も更に高まってきております。特に樹木葬は、「永代供養できる」という機能と、「自然に還る」というイメージから、お客様の要望が増加しており、対応を強化する必要があり、その一環として樹木葬タイプの墓地の開発を推進してまいります。今後は墓石・屋内墓苑を含めた、ご遺骨供養全般において、お客様の多様なニーズに応えるべく、商品開発、人員体制の拡充及び教育、効果的な販促活動などを総合的に行なってまいります。
屋内墓苑におけるセグメント資産は28億48百万円(前期比31.5%増)となりました。
飲食・食品・雑貨については、売上高は1億6百万円(前期比53.4%増)、セグメント損失は62百万円(前期はセグメント損失86百万円)、セグメント資産は11百万円(前期比3.2%増)となりました。
その他については、売上高は6億86百万円(前期比48.5%増)、セグメント損失は17百万円(前期はセグメント損失27百万円)、セグメント資産は1億71百万円(前期比14.6%減)となりました。
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