課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営の基本方針

当社グループは、創業の精神である「信用本位」「感謝報恩」「よろこびのあきない」を基本理念と位置づけております。

この精神を原点に、宗教用具関連事業を通じて、「心の平和と生きる力」を実現することを当社の使命と捉え、そのために必要なサービスや商品のきめ細やかな提供と、様々な価値観の変化を先取りした柔軟な提案を追求してまいります。それとともに、当社の使命を実現するにあたり、これまで長年取り組んできた「供養」の領域をさらに掘り下げて、お客様の抱えているお悩みやお困りごとにフォーカスし、新たな価値提案を検討してまいります。

また、当社は「供養」の領域を拡大し、その一環として日常の「祈り・願い・感謝」の提案を実現するために子会社 株式会社田ノ実を設立し、運営してまいりました。2022年6月1日付で当社は株式会社田ノ実を吸収合併いたしましたが、引き続き「祈り・願い・感謝」を「食」の視点からとらえ、「手を合わせる心豊かなライフスタイル」を発信してまいります。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、仏壇仏具・墓石・屋内墓苑の販売を中心とする事業強化により、主にROA、売上高伸張率、自己資本比率を主要な経営指標の目標とし、各指標の向上を目指しております。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、「仏壇仏具事業」「墓石事業」「屋内墓苑事業」を宗教用具関連事業の中核と位置づけ、各事業が連動して顧客創造を進めることで、相乗効果を図ってまいります。

「仏壇仏具事業」については、さまざまなお客様にお応えできるように地域毎に商品の品揃えを実施するとともに、自社ECサイトの商品アイテム数や商品説明を充実させることで、リアル店舗とデジタル店舗の顧客接点の増加を目指してまいります。公式ホームページは、2021年12月にリニューアルを行ないましたが、今後もお客様の利便性をより良くしていくためホームページは更新してまいります。

商品開発もお客様のニーズに応えられるように取り組んでまいります。

店舗施策については、より多くの顧客接点が見込める立地や店舗形態(百貨店など)の検討を行ない、新規出店や移転、統廃合などを推し進めてまいります。

「墓石事業」と「屋内墓苑事業」を含めた遺骨収蔵に関する事業については、「樹木葬・合葬墓・海洋葬」などの多様なニーズに対応できるよう体制づくりを目指してまいります。

また、「飲食・食品・雑貨事業」では、上記の宗教用具関連事業とは別の供養にとらわれずに日常の「祈り・願い・感謝」を「食」を通して提案し、新たな顧客接点の増加を目指してまいります。

今後はなお一層変化するお客様のニーズに対応した商品・サービスの提供とともに、「供養」の枠組みにとらわれず、日常の「祈り・願い・感謝」の提案を拡大し、「手を合わせる機会」を創造してまいります。

当社は、2023年3月期から新たな中期経営計画が始まります。中期経営計画では『“売り切り型”からの脱却』をテーマにお客様から安心・安全にお求めになれるようにと、お求めになった後も定期的に関係性を継続できるようなサービスの開発・仕組みを検討・実験し推し進めてまいります。

 

(4) 会社の対処すべき課題

宗教用具関連業界を取り巻く環境は、新型コロナウイルスの流行により非接触で購入できるECで商品を購入されるお客様の増加、生活様式や価値観の変化による購入商品の小型化・簡素化、さらにはそれに伴う単価下落の傾向などが継続しております。また、伝統的形式に縛られない「自分らしい」供養のあり方を求める声も増加傾向にあり、多様化するお客様のニーズへの対応が求められております。加えて、一部の商圏におけるお客様動線の変化に対し、商圏の見直しやそれに伴う店舗施策の見直しが求められております。

このような環境変化に対応するため、引き続き地域毎の市場・顧客・競争環境に対し、柔軟かつ機動的にマネジメントを実行し、今後も地域に合わせた営業戦略をもとにその地域のお客様のニーズに応えられるよう販促・商品の品揃えなども柔軟かつ積極的に行なってまいります。さらに、2021年12月に公式ホームページのリニューアルを行ないましたが、今後もよりお客様の利便性を高められるよう更新を行なってまいります。

店舗施策では、お客様が最も利用しやすい立地や店舗形態の検討を行ない、新規出店や移転、統廃合などを推し進めてまいります。お客様のニーズに適合する立地・売場面積・品揃えや運営体制とそれに基づく収益構造において最適な店舗の在り方を仮説・実験・検証したうえで、出退店・移転に関わる戦略を策定し、要件に合った移転・退店及び新規出店を検討・決定してまいります。

墓石販売に関連する動きとしては、都市部への人口集中や高齢化などによりアクセスの良い霊園の需要が高まる一方、都市部を中心に霊園開発に関する規制の強化が進んでいることから、お客様のニーズを満たす霊園が不足しております。こうした外部環境変化を受けて、2010年代から霊園に代わる新たな遺骨収蔵施設として、自動搬送式納骨堂が注目を集め、当社も複数の施設において受託販売を積極的に行なってまいりました。しかしながら、首都圏を中心に新規物件が続々と開苑したことで、需要に対しての供給量が大幅に上回った結果、競争が激化しております。この市場の飽和状態は依然として継続しており、当社が受託販売している施設と他社施設との差別化が課題となっております。一方で、お客様の埋葬に対する価値観はさらに多様化しており、個別にお墓を所有しない合葬墓や海洋葬などの新たな埋葬ニーズや形態のほか、墓石の代わりに樹木を墓標としてご遺骨を地中に埋葬する「樹木葬」を希望するお客様も増えております。さらには先祖代々の墓所・墓石を処分し、ご遺骨を移転させる「墓じまい」を相談されるお客様も増加しております。

このように、お客様が遺骨を収蔵する選択肢として、墓石及び屋内墓苑を購入する顧客属性の類似性に着目し、一体的な販売を推進するとともに、多様な埋葬ニーズ(樹木葬・合葬墓・海洋葬など)に対応できるよう強化してまいります。特に前述のとおり、お客様の要望が増えている「樹木葬」については、当事業年度において東海地区で1物件開発し、1月より受託販売を開始しましたが、当初の想定よりも多くのお客様にご購入いただいていることから、同様の樹木葬タイプの墓地の開発が課題となっており、スピード感をもって推進してまいります。

また、当社は長年にわたって宗教用具関連業界で事業を展開しており、事業活動を通して当社が対象とするお客様の価値観やライフスタイルについて、理解を深めてまいりました。このようなお客様を対象に、供養に関わらず様々な領域で、当社の理念や強みに沿った形での新たなビジネスの可能性が内在していると考えており、さらなる研究と検討を継続してまいりました。今後は当社のお客様との関係性を深め、お客様のニーズをより広く・深く把握していくとともに、実験的に商品・サービスを提供していくことをとおして、事業化の可能性を探ってまいります。

飲食業界においては、コロナ禍の影響、人材不足の問題、食材価格の高騰に加えて、競争状況が激しいなか、外食業界を取り巻く環境は、依然として厳しい状況が続くものと予想されます。このような環境の中でもお客様に継続して支持いただけるよう季節メニューの展開や、季節の行事ごとのコンセプトに応じた品揃え、内食需要に対応した調味料などの品揃えを強化するとともに、店舗内外で継続的に販促を行ない、自社ECサイトでの法事ギフトの開始等の施策により、新規顧客とともにリピート顧客を確保してまいります。また、店内で飲食されたお客様への食材販売の促進やデリバリー・テイクアウトにも対応してまいります。

なお、当社は2022年6月1日付において、株式会社田ノ実を吸収合併いたしました。合併の目的は、当社と株式会社田ノ実が一体となることで意思決定の迅速化と業務効率の改善を図るとともに、当社の店舗網や自社ECサイトを利用・活用することにより株式会社田ノ実が取り扱っている法事用等のギフト商材を広く展開することにあります。

新型コロナウイルス感染症の収束の目途が見えず、景気の低迷が懸念されます。このような状況の中、当社は引き続き、感染リスクの低減に努めるとともに、自社ECをはじめとする非接触または低接触な販売を推進し、業績確保に努めてまいります。

全社的な課題としては、近年「働き方改革」と言われるように、多様なキャリアや勤務形態を望む社員に見られるような価値観の多様化や、労働関連法令の改正などの「人」に関わる環境変化や、生産年齢人口の減少や、デジタルツールの進化などの「労働力」に関する環境変化を受け、人材マネジメント体系の再構築と新人事制度の設計が重要な課題であると認識し、外部リソースを活用しながら検討を進めております。

 

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