文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
井筒屋グループは、お客様・お取引先・株主各位ならびに従業員に対し、適正な利益配分を行い、「秩序のうえに立つ創造的繁栄」を図ることを経営理念と定め、この理念に徹するとともに、「奉仕こそ繁栄の基」という奉仕の精神を日常の実践的心構えといたしております。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、売上高営業利益率ならびに売上高経常利益率を重要な経営指標としております。
当該指標を採用した理由は、投資家が当社グループの経営方針・経営戦略等を理解するうえで重要な指標で
あり、経営方針・経営戦略等の進捗状況や企業価値の的確な把握が可能であると判断するためであります。
<井筒屋グループ中期3ヵ年経営計画 (2022年度)の数値目標>
現時点におきましては、中計1年目となる2022年度の数値計画のみを策定し、中計2年目
以降の数値計画につきましては、外部環境の影響による業績動向を踏まえた上、策定・開示
を行ってまいります。
(3)経営環境
①企業構造
当社グループは、主要事業である百貨店事業を中心とした各事業会社により構成されています。グループ共通の経営理念やビジョンの下、グループガバナンスを効かせております。各社の自立性や採算性を基本とし、事業を行っております。
②市場環境
人口減少や少子高齢化等、企業を取り巻く環境は急速に変化しています。また、新型コロナウイルス感染症の拡大はいまだ収束の目途が立っておらず、今後も厳しい経済状況が予想されるなか、百貨店業におきましても、集客のための催事やイベントの休止、縮小を余儀なくされ、業界を取り巻く環境は厳しさが続くと思われます。
新型コロナウイルス感染症の拡大以降、社会や経済、消費者の購買動向は大きく変わっていくことが予想されます。百貨店の従来型の集客による量の拡大を主としたビジネスモデルから、より効果的な営業活動と効率的な運営を図る、質の向上を主としたビジネスモデルへの転換が必要となります。
③競合他社との比較
当社グループは、地域に根ざす百貨店として、これまで以上に地域のお客様にご満足いただける品揃え・ サービスを提供することで、他小売業との差別化を進め、将来にわたる安定的な収益基盤の確立と、財務体質の健全化を図ってまいります。
④顧客動向・顧客基盤
国内市場は、人口減少、少子高齢化等の加速が見込まれ、顧客数及び消費量の減少が続くことが予想されます。また、富裕層を中心とした高額商品や食品をはじめ生活必需品の販売は堅調に推移しており、商品カテゴリー別の好不調が鮮明になってきております。お客様が百貨店に期待される品揃えとサービスを着実に捉えるべく、引き続きお客様第一主義を基本とした営業戦略の企画・立案に努めてまいります。
⑤新型コロナウイルス感染症の影響および対応
新型コロナウイルス感染症拡大に伴う臨時休業や営業時間の短縮をはじめ、大型催事の中止など営業機会の縮小による入店客数の大幅な減少や、インバウンド需要の激減などにより、いまだ厳しい営業活動が続いております。商況は徐々に復調の兆しが見え始めておりますが、新型コロナウイルス感染症拡大以前の水準には至っておりません。
こうした状況の下、当社グループは、お客様の安心・安全を第一に考え、新型コロナウイルス感染症拡大防止のための様々な施策を講じ、お客様に安心してご来店いただける環境を整えてまいりました。
(4)中長期的な会社の経営戦略
当社グループでは、新たに「井筒屋グループ 中期3ヵ年経営計画(2022年度~2024年度)」を策定いたしました。本計画につきましては、コロナ禍により加速・顕在化した環境変化を踏まえ、従来型の規模や量を追求する事業モデルを見直す契機と捉え、量から質への「新たな事業モデルへの道筋をつける中計」と位置づけ、中長期の戦略実現に向けた検討・準備と、グループ保有資産の更なる強化に努めてまいります。
① 当社グループのビジョン
グループビジョン:「地域小売業のリーディングカンパニーとして発展していく」
事業戦略:サステナビリティを基盤とした“質”の追求
当社グループに関わる全てのステークホルダー(顧客、取引先、従業員、株主)ならびに地域社会とのつながりの“質”を深化させ、地域共創基盤として持続可能な地域社会の発展に寄与してまいります。
営業戦略:リアルとデジタルの両面から上質な人生を提案する
顧客情報を統合し諸施策に活用することで、店舗やネットショッピング等複数のチャネルを通じて顧客ニーズへ対応してまいります。
② 戦略の方向性
[短中期]
・店舗における百貨店らしさの追求(競争優位性の確立・差別化)
自主編集運営ゾーンの刷新等による店舗価値の向上を図ってまいります。
・効率的な店舗運営と効果的な販売促進体制の維持(収益性の維持・向上)
SNS活用等効果的な宣伝経費運用により高収益構造の維持に努めてまいります。
[中長期]
・デジタルデバイスを基軸とした顧客単価向上(顧客接点の創造)
井筒屋アプリの導入により顧客統合基盤を構築し、効率的な営業施策を推進してまいります。
・優良顧客基盤×デジタルデバイスの活用(新たな収益基盤の確立)
将来的には、統合された顧客情報を活用し、顧客の求めるソリューションを提供してまいります。
③ 本中計1年目(2022年度)の数値目標
現時点におきましては、中計1年目となる2022年度の数値計画のみを策定し、中計2年目以降の数値計画につきましては、外部環境の影響による業績動向を踏まえた上、策定・開示を行ってまいります。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
今後の経済環境につきましては、ワクチン接種等の感染対策の浸透や政府・自治体による各種政策の実施効果により、経済の自律的回復力が高まることが期待されますものの、長引く国際的緊張の高まりをはじめ、世界的なサプライチェーンの停滞、原材料価格の動向による下振れリスク、金融市場の変動など不安要因も多く見られ、依然として先行き不透明な状況が続くものと思われます。
このような状況の下、当社グループでは、新たに「井筒屋グループ 中期3ヵ年経営計画(2022年度~2024年度)」を策定いたしました。コロナ禍により加速・顕在化した環境変化を踏まえ、本計画は従来型の規模や量を追求する事業モデルを見直す契機と捉え、量から質への新たな事業モデルへの道筋をつけるものとしております。
対処すべき課題として位置づけておりますものは、次のとおりであります。
・店舗における百貨店らしさを追求するべく、好調カテゴリーの強化を図るとともに、百貨店の強みを活かした自主編集売場を構築することにより、店舗価値の向上および売場の活性化に努めてまいります。
・SNS活用による効率的な販売促進活動の拡大や、社内業務の見直しによる効率化を推進し、収益性の維持・向上を図ってまいります。
・中長期の政策といたしまして、デジタルデバイスを活用したお客様の利便性の向上および効果的な営業施策の実施を目指すべくデジタル戦略を推進してまいります。
以上を当社グループの対処すべき課題とし、これまで取り組んでまいりました事業構造改革を定着・発展させ、将来にわたる安定的な収益基盤の確立と、財務体質の健全化に努めてまいります。
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