課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。

(1)経営方針

 当行グループは、銀行業を中核事業としており、銀行の持つ社会的・公共的責任を自覚し、より調和のとれた健全かつ透明性の高い経営を目指してまいります。

 また、お客さまの多様なニーズに的確かつ迅速にお応えできる体制整備と自由闊達で創造力と活力に溢れた企業風土を醸成し、行員一人ひとりが十分に個性を発揮でき、働きがい・生きがいをもてる銀行を確立していくことを経営の基本方針としております。

(2)経営環境及び経営戦略等

 当行グループを取り巻く経営環境は、マイナス金利政策による収益性の低下やフィンテック企業等の他業種からの既存分野への参入、また、埼玉県マーケットが肥沃であるが故の競合の激化など先行きが見通しにくい状況と認識しております。

 また、2022年入り後は、新たな変異株による新型コロナウイルス感染症の再拡大やロシアのウクライナ侵攻に伴う世界経済の先行き不透明感の強まり、資源・資材価格の高騰、サプライチェーンの分断等による景気の下振れリスクが懸念されるなど昨年度に続き厳しい環境下におかれております。

 地域金融機関は、地域経済において必要不可欠なインフラであるため、お客さまや従業員の健康・安全を最優先に感染予防に取組みつつ、全拠点で「緊急相談窓口」を常設し、資金繰り支援や返済条件見直しなど、迅速・柔軟な対応により金融仲介機能の発揮に努めております。

 このような環境下、当行グループにおいては、金融仲介機能の一層の発揮とお客さま本位の業務運営の実践を通じ、地域経済および社会の活性化に貢献する持続可能なビジネスモデルの確立、その前提となる経営の健全性・透明性の更なる向上に向けた不断の努力が求められております。

 また、少子高齢化などの人口動態の変化はもとより、デジタル化など業態を超えた動きの進展、昨年来のコロナ禍での経済活動や生活様式の変化を考慮し、中長期的な視点で地域の特徴を活かした独自の成長戦略を描き、遂行してまいります。

 

 当行グループは、2013年4月よりスタートさせた長期ビジョン「埼玉に新たな価値を創造する『地域No.1銀行』」(名称:MVP~Musashino Value-making Plan)の実現に向けて、「成長ドメイン」「創造ドメイン」の2つの事業領域(ドメイン)でそれぞれ地域No.1の領域を築くことを基本方針として、過去2回の中期経営計画に基づき、ビジネスモデルの変革に取り組んでまいりました。

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 2019年4月から、長期ビジョンの最終フェーズとして中期経営計画「MVP 70」をスタートさせ、埼玉の発展に貢献する「地域No.1銀行」として圧倒的地位を確保することを目指し、「お客さまと地域にずっと寄り添っていく銀行」と「人を大切にし、人を成長させる銀行」をキーメッセージとして、新たな戦略を積極果敢に遂行してまいります。具体的な内容は以下のとおりであります。

①成長戦略

・地域No.1のソリューションに向けたセグメント別の営業態勢への転換

・法人のお客さまへの取引深度の向上・永続的取引の追求

・個人のお客さまのライフプランに寄り添った生涯にわたるサポート

・人とデジタルの融合によるお客さま接点拡充

②デジタルトランスフォーメーション(DX)

・戦略的なデジタル投資と構造改革の断行により業務量の大幅削減を実現し、より付加価値の高いサービスの提供・お客さまのニーズに基づくソリューション提案ができる組織を形成

③創造戦略

・「地域のためにできること」を常に念頭に置き、地域の皆さまと協働活動をリードすることで、地域課題解決者として「一番に相談される存在」となり価値ある地方創生を先導

④人材戦略

・お客さまと地域にずっと寄り添っていくためのプロフェッショナル人材の育成

・多様な人材が調和し、すべての「個の力」が発揮される働きがいのある組織を形成

⑤アライアンス戦略

・千葉・武蔵野アライアンスによる、地銀連携のフロントランナーとして進化した地方銀行の姿の実現

・TSUBASAアライアンスによる、広域連携を活かした金融サービスの高度化

⑥有価証券戦略

・「マーケットに左右されない安定的なコア収益の確保」と「マーケット機会を捉えた収益の積上げ」を両立できる態勢を構築

⑦グループ戦略

・グループ全体でのサービスラインナップを拡充し、様々なお客さまの課題解決を通じて、連結収益の増強を追求

⑧経営管理態勢・コンプライアンス・ESG/SDGs

・透明性、客観性の高いコーポレート・ガバナンス態勢を継続的に高度化

・RAFによる収益・リスク管理の高度化

・経営へのESG視点の採り入れとSDGsに基づく実践

 

中期経営計画「MVP 70」

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(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等(2023年3月期)

 

預金等残高

(単体)

貸出金残高

(単体)

当期純利益

(単体)

  4.9兆円

  3.9兆円

  100億円

 

 

(4)対処すべき課題等

①中期経営計画「MVP 70」

 激しく変化する経営環境や業界動向などを見極めながら、お客さまの課題解決と地域社会の発展に貢献するため、中期経営計画「MVP 70」を2019年4月からスタートさせ、「お客さまと地域にずっと寄り添っていく銀行」、「人を大切にし、人を成長させる銀行」を目指す姿に掲げ、以下に注力した取組みを行っております。

 人とデジタルの強みをそれぞれ引出しながら、お客さま接点の一層の強化に努めるとともに、お客さまの期待に応える提案力・課題解決力を有する人材の計画的育成、ITリテラシーの向上、および新たなニーズにお応えするサービスラインナップ拡充に努めております。

 そして、地元経済を支える企業の皆さまにこれまで以上に寄り添うべく、2020年10月に設置した「コンサルティング営業室」を中心に、本業支援に一層力を注いでおります。経営者との積極的な対話を通じ、1社1社の経営課題や潜在的ニーズを的確に把握し、それにお応えするお客さま目線のソリューションを提供していくことで、企業の経営革新やビジネスモデル再構築などを支援し、持続的成長に貢献してまいります。

 また、デジタルトランスフォーメーション(DX)を更なる成長の糧とすべく、日進月歩で成長・進化している様々なテクノロジーの積極的な取り入れやデータ分析の高度化を進めております。タブレット端末を活用した新営業店システムの導入やスマートフォンアプリ「武蔵野銀行アプリ」など、各種銀行取引を来店することなくご利用できるよう全面リニューアルを順次実施しているほか、電子契約などお手続きのペーパーレス化や営業活動におけるリモート環境の整備など、お客さま満足や生産性・効率性向上に繋がる取組みを引続きスピード感を持って推進してまいります。

 

②サステナブルな地域社会の実現に向けて

 経営の健全性や透明性を確保するため、コーポレート・ガバナンスの高度化に取組むとともに、コンプライアンス体制の強化および社会規範の遵守にも継続して取組んでまいります。あわせて、SDGsや環境・社会・企業統治(ESG)の観点を積極的に経営に取入れ、「武蔵野銀行SDGs宣言」のもと、持続可能な地域社会の創造に貢献すべく業務に邁進してまいります。

 2021年9月にTCFD提言への賛同を行い、その後、「サステナビリティ基本方針」等を制定し、より実効性のあるサステナビリティ経営の実践に向け、取組んでおります。

 2022年3月には、サステナビリティに関わる全行的な取組みを統括・推進する専門組織として、「サステナビリティ推進室」を設置しました。地元企業の皆さまのサステナビリティ経営支援、より主体的な地方創生・地域活性化に取組んでいくとともに、先鋭化する気候変動・生物多様性などの環境問題についても、組織横断的に取組んでまいります。

 また、今年度に入り、2022年6月には、地域商社「むさしの未来パートナーズ株式会社」を設立いたしました。地域商社では、家事や買物代行等の高齢者の日常生活面での課題に対し、サービスを提供する事業者紹介などの生活支援及び商品開発や販売支援といった県内企業の商流支援に取組んでまいります。

 引続き、コロナ禍での業務継続体制を堅持するとともに、アライアンス戦略も有効活用しながら、企業の皆さまの本業支援やお客さまの安定した資産形成など、各種ご相談に真摯に対応すべく、本分である金融仲介機能の発揮とコンサルティング機能の強化に努めてまいります。

 

③創業70周年

 本年4月をもって、当行は創業70周年を迎えました。創業以来変わらぬ「地域共存」「顧客尊重」の経営理念のもと、お客さま、株主さま、地域社会など、全てのステークホルダーの期待にお応えできるよう、グループ役

職員一同更なる研鑽に努め、これからも地域の皆さまと手を携えながら、永続的な発展を目指してまいります。

 

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