本項における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当行グループが判断したものであります。
(経営方針)
(1)経営の基本方針
当行は、「地域産業の育成・発展と地域に暮らす人々の豊かな生活の実現」を当行グループの「企業理念」として制定し、その実現に向けて、社会に対する経営のコミットメントとして「経営理念」を、役職員が日々の活動において大切にする価値観として「行動理念」を掲げております。
当行グループは、この3つの理念を心の拠り所として、地域のみなさまにご満足いただける商品・サービスの提供に取り組んでおります。
〔企業理念〕 「地域産業の育成・発展と地域に暮らす人々の豊かな生活の実現」
〔経営理念〕 「トライアングル・バランスの実現」
「職員の満足(働きがい)」「お客さま(地域)のご満足」「株主の方々(投資家のみなさま)のご満足」をバランスよく高める経営を実現します
〔行動理念〕 『「誠実」×「情熱」×「行動」』
(2)企業統治の基本方針
当行グループは、企業理念を実現し、そして、株主の方々に当行の株式を安心して保有していただくことを目的として、「コーポレート・ガバナンスの基本方針」を制定しております。
当行は「指名委員会等設置会社」であり、この基本方針に基づいて、指名委員会等設置会社の特徴である「業務執行と監督の分離によるガバナンス態勢の強化」「業務執行の決定権限の委任による業務執行のスピードアップ」「社外取締役が過半数を占める三委員会の設置による経営の透明性向上(当行では三委員会とも社外取締役が委員長を務めております)」を実現するとともに、経営戦略などの本質的な議論の活性化や、株主のみなさまをはじめとするあらゆるステークホルダーとの対話を深めながら、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指しております。
(3)中長期的な会社の経営戦略及び目標とする経営指標
2022年4月より、Fプロジェクト(※)としての10年後のビジョン(ありたい姿)「Fプロジェクト Vision 2032」を掲げ、その実現に向けた中長期戦略として、10年間の「長期経営計画」(2022年4月1日~2032年3月31日)及び「中期経営計画Ⅰ」(2022年4月1日~2025年3月31日)を開始しております。
※福井銀行グループと福邦銀行グループの総称
(金融経済環境)
当期の日本経済は新型コロナウイルス感染症や世界経済の先行き不透明感により一進一退の状況が続きました。上半期は堅調な生産活動により回復基調にあったものの、半導体などの部品調達の停滞や感染症拡大による消費活動の抑制により、再びマイナス成長の局面となりました。下半期は新型コロナウイルス感染者数の減少により消費活動は回復基調にあったものの、資源価格の高騰やウクライナ情勢による先行き不透明感により、企業活動は一部停滞がみられました。今後は、引き続きウクライナ情勢や国際金融資本市場の動向にも注意が必要な状況にあります。
福井県内経済においては、宿泊、交通、飲食サービスは厳しい状況が続くものの、生産活動は持ち直しの傾向がみられました。また、北陸新幹線敦賀延伸関連工事を中心とした公共投資が引き続き見込まれ、県内経済の底支えが期待されます。一方で、不確実性の高まっている世界経済及び日本経済の変動による県内経済への影響には注意が必要な状況にあります。
(10年後のビジョン~Fプロジェクト Vision 2032~)
新しいグループ体制「Fプロジェクト」として、一層の地域の持続的発展を実現していくために、『Fプロジェクト Vision 2032~私たちは 職員・お客さまの多様なチャレンジに伴走し「地域価値循環モデル」を実現します~』を掲げました。職員一人ひとりが個性を発揮し、ウェルビーイングを実現するための「チャレンジ」や、お客さまが課題を乗り越え、事業成長や資産形成を実現するための「チャレンジ」、地域の魅力度を高め、活力にあふれた地域を実現するための「チャレンジ」に伴走することにより、地域内で生み出された価値(地域価値)が循環し続ける未来の実現を目指します。
さらに、職員、お客さま、地域のチャレンジに伴走した先に達成を目指す10年後のゴールとして、4つのチャレンジゴールを掲げました。まず、お客さま、地域の発展を見据えたゴールとして「1人あたりの福井県民所得+100万円」、「福井県活力人口100万人」を掲げ、その達成に向けて「ウェルビーイングを実感する職員の比率100%」を目指すとともに、結果として「連結当期純利益100億円」の達成をチャレンジゴールとしています。
(ビジョン達成に向けた戦略・戦術~「長期経営計画」・「中期経営計画Ⅰ」~)
「長期経営計画」では、10年間一貫して取り組む戦略として「ウェルビーイング実現に向けた取組み」、「3つのドメインによる事業展開」、「事業ポートフォリオの構築(経営資源配分)」の3つの柱で取り組んでまいります。Fプロジェクトが展開する事業領域(ドメイン)を「コンサルティングドメイン」、「ユーザビリティドメイン」、「ファンダメンタルドメイン」の3つに分け、それぞれのドメインへの経営資源配分と期待するリターンを定めました。「コンサルティングドメイン」では、お客さまの課題解決支援ニーズに対して職員の伴走支援によるソリューションを提供してまいります。「ユーザビリティドメイン」では、お客さまの金融ニーズに対してデジタルを中心としたチャネルにより金融インフラサービスを提供してまいります。「ファンダメンタルドメイン」では、Fプロジェクトのグループ体力向上に向けて中長期目線でバランスのとれたマーケット運用を実践してまいります。さらに、3つのドメインによる事業展開の土台となる職員のチャレンジに伴走するために、職員のウェルビーイングを高める施策を4つのキーファクター「理念・方針」、「組織・風土」、「環境・処遇」、「意欲・成長」を軸に進めてまいります。
「中期経営計画Ⅰ」は、「Fプロジェクト Vision 2032」の第Ⅰフェーズとしてスタートダッシュを切る3年間と位置づけ、「ウェルビーイング戦術」、「コンサルティング戦術」、「ユーザビリティ戦術」、「ファンダメンタル戦術」、「機能別戦術」に分けて実行してまいります。さらに、具体的な取組方針として、11のアクションプランを策定しました。アクションプランに紐づいた施策を実行し、「Fプロジェクト Vision 2032」の実現を目指します。
(グループ経営の強化~シナジー効果の最大化・最速化~)
Fプロジェクトのシナジー効果を最大化・最速化するために、グループ経営の強化をより一層図ってまいります。
お客さま・地域の視点では、福井銀行・福邦銀行の両行がこれまで築き上げてきたお客さまとの信頼関係や地域ネットワークを活かし、グループ総力をあげて課題解決の幅広い支援を行ってまいります。具体的には、2022年4月に人材紹介会社「株式会社福井キャリアマネジメント」の事業を開始したほか、2022年度中に観光地域商社の設立を予定するなど、新分野への事業展開を行ってまいります。
業務運営の視点では、店舗戦略を両行連携で立案・実行していくことにより、お客さまの利便性を確保しながら効果的な店舗運営を行ってまいります。さらにバックオフィス部門を中心とした本部機能統合を進めることにより、効率的な運営体制を構築してまいります。これらの施策により創出した人財を成長分野へシフトしてまいります。
(目標とする経営指標)
「中期経営計画Ⅰ」では、2025年3月期の目標経営指標として次の指標を掲げております。11のアクションプランの実行により本指標を達成し、次代に向けた経営基盤の確保を図ってまいります。
(対処すべき課題)
当行をはじめとして、地域金融機関を取り巻く環境は、基盤地域の人口減少、少子高齢化の進展、マイナス金利政策の長期化による収益環境の悪化、異業種の銀行参入など、先行きに対する不透明感が増しております。また、引き続き新型コロナウイルス感染症の拡大が与える影響が大きいことに加え、ウクライナ情勢による世界経済の不透明感も高まっていることから、当面は厳しい状況が続くものと予想されます。
一方で福井県では、北陸新幹線の県内延伸や中部縦貫自動車道の県内開通などの交通網の整備により、地域の発展が期待されており、当行にとりましても、脅威と機会が表裏一体で存在しているものと認識しております。そのような激しい環境変化に対応していくために、Fプロジェクトでは10年後のビジョン(ありたい姿)として、「Fプロジェクト Vision 2032」を掲げました。ビジョンでは地域価値が循環する地域、すなわち持続可能な地域モデルを目指しており、その実現に向けて10年間の「長期経営計画」と3年間の「中期経営計画Ⅰ」を策定いたしました。これらの計画のスピーディな実行により、地域の持続的な発展に貢献してまいります。
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