課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営の基本方針

①経営理念

当行グループは、「お客さま・地域社会との共存共栄」「活気ある企業風土の醸成」「健全性の確保と企業価値の創造」をめざすとの経営理念のもと、お客さま、地域社会、株主さま、役職員すべてにとって価値のある企業であり続けるため、健全性と収益性のバランスのとれた発展の実現につとめるとともに、真に信頼される銀行づくりを進めてまいります。

②行動指針

当行グループは、上記「経営理念」の実現に向け、役職員がステークホルダーの皆さま方とともに大切にしたい価値観や考え方を「百十四銀行 行動指針」として以下の通り定めております。

 

   ・対話を密にし、相互の信頼を深めます
   ・プロフェッショナルとして成長するための努力を惜しみません
   ・多様性(ダイバーシティー)を理解し、人権を尊重します
   ・環境の負荷軽減に努め、地域の活性化に貢献します
   ・ステークホルダーの期待を超える行動を実践します

(2)経営環境及び対処すべき課題

当行グループは、地元香川県においては、預金で約5割、貸出で約4割の高いシェアを獲得しております。また、香川県以外にも1950年代に開設した大阪支店及び東京支店をはじめ、全国10都府県に店舗網を展開しております。近年では、県外のお客さまに香川県のお客さまを紹介する取引も増える等、この広域店舗網は当行グループの大きな強みとなっております。
 その他にも、当行グループは、国際業務と船舶関連融資を強みとしております。国際業務については、お客さまの海外進出支援や外貨資金調達に加えて、デリバティブを用いたリスクヘッジ等手厚いサポート体制を構築しております。また、船舶関連融資は、審査や融資の手法が特殊であるため金融機関の参入は容易ではありませんが、当行グループは、こうした融資を古くから手掛けてきた関係で、船を造る造船会社さま、船を所有するオーナーさま、船を運航する運航会社さま等、川上から川下に至るまで幅広い取引を実現しております。今後も、このような得意分野を伸ばすとともに、新たな事業領域を開拓していくことで、当行グループの競争優位性を高めていきたいと考えております。

一方で、人口減少・少子高齢化等の社会問題が深刻化する中、低金利政策の長期化や国を挙げたデジタル化の進展等、地域金融機関を取り巻く環境は大きく変化しており、持続可能なビジネスモデルへの転換が今まで以上に求められております。また、長期化する新型コロナウイルス感染症の影響に加え、サプライチェーン停滞による部品・原材料の供給制約、資源価格の高騰、さらには地政学的リスク顕在化の影響等、企業にとって収益下押しあるいはコストアップにつながる新たな要因も多く見受けられました。お客さまの事業活動や地域の経済活動は多大な影響を受けており、幅広い業種で厳しい状況が続くと思われます。このような経営環境や課題に対応するため、2020年度にスタートした中期経営計画「トライ☆ミライ!」(2020年度~2022年度)において、伝統的な預貸金中心のビジネスモデルから脱却すべく、「総合コンサルティング・グループへの転換」を図っております。新型コロナウイルス感染症やウクライナ情勢等の影響を受けているお客さまに対する資金繰り支援はもちろんのこと、低迷する事業の正常化に向けた経営改善及び事業再生のご支援、加速する様々な環境変化に対応するための業態転換や販路開拓支援等、お客さまの成長・発展に資する取組みに注力するとともに、これらの戦略実現に欠かせない専門人材の育成、及び業務効率化等の構造改革を並行して進めております。

また、2015年度の国連サミットにおいて社会課題を解決し持続可能(サステナブル)な世界を実現するための開発目標(SDGs)が採択され、SDGsを達成するための取組みが世界中で広がっております。当行も、これまで「SDGs宣言」、「環境方針」、「人権方針」、及び「環境・社会に配慮した投融資方針」を制定し、地域を取り巻く様々な課題の解決に取り組んでまいりました。サステナビリティに係る社会的要請の一層の高まりを踏まえ、高度な水準で課題解決に取り組む「サステナビリティ経営」を実践すべく態勢整備を図っております。

なお、このような状況下、2022年3月26日から27日にかけて、外部委託先が運営するデータセンターの電源障害を受けて、当行オンラインシステムが全面障害となり、ATMやインターネットバンキング等で一時取引ができない状態となりました。当行は、即時に対策本部を設置のうえ対応いたしましたが、復旧までに時間を要したことで、お客さま、地域の皆さま、株主の皆さまには、多大なご迷惑とご心配をおかけしましたことを、改めて深くお詫び申し上げます。今後、本件の発生原因究明と、それに基づく再発防止につとめてまいります。また、近年リスクが高まっている自然災害、感染症まん延時等の緊急時においても、地域社会に必要不可欠な金融サービスの提供を継続できるよう、一層の業務継続体制強化に取り組んでまいります。

 

 

■中期経営計画「トライ☆ミライ!」(2020年度~2022年度)

 

[めざすべき姿]

当行ならではの新たな価値提供を通じて、お客さま・地域の未来を共創する総合コンサルティング・グループ

[基本方針]

地域社会の社会環境が厳しさを増すなか、持続可能な社会の実現に向けて、百十四グループは、金融の枠を超えた「地域のプラットフォーマー」となり、お客さま及び地元香川が抱える課題を解決することで、様々なステークホルダーが笑顔で過ごせる未来の共創に取り組んでまいります。

 

「お客さま・地域との共通価値創造」

お客さま・地域の価値創造への取組みが当行の信頼向上及び成長につながるよう、深度ある対話を通じたお客さま本位のコンサルティングを実践する。

「競争優位性の確立」

一層の業務効率化及び人材の育成・確保を進め、重点戦略の領域に、経営資源を戦略的に投入する。

 

※百十四グループが持つコンサルティング機能や情報網等のプラットフォーム(基盤)をもとに、金融の枠を超えて地域のお客さまが抱える様々な課題の解決を図る姿。

 

 [戦略体系図]

 


 

   [重点戦略の概要]

 ①総合コンサルティング・グループへの転換

 ・お客さま起点の業務運営の徹底
 ・ソリューション強化を実現する体制の構築
 ・経営コンサルティング業務への参入
 ・地元産業発展への貢献

  ②市場価値の高い人材の育成

 ・プロフェッショナル人材の育成
 ・やりがいのある職場づくりと多様なキャリアへの対応

  ③未来につなげる構造改革

 ・営業戦略を支えるチャネル改革
 ・業務プロセス改革を通じた人員創出
 ・徹底したローコスト経営の実践
 ・営業店・本部で稼ぐ力の強化

 

[目標とする経営指標]

  中期経営計画「トライ☆ミライ!」で目標とする経営指標は下表の通りです。

指標を利用する理由

経営指標

2022年度

目標

事業の収益性を追求

①  連結当期純利益

60億円以上

経営の健全性を追求

② 連結自己資本比率

9.0%以上

経営の効率性を追求

③   単体OHR

75%以下

 

                 ① 連結当期純利益は「親会社株主に帰属する当期純利益」

                 ② 連結自己資本比率は経過措置を考慮したバーゼルⅢベースの連結コア資本比率

                 ③ OHR=経費÷業務粗利益

(注)中期経営計画の進捗状況及び経営指標の2021年度実績については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載しております。

 

■サステナビリティ経営に向けた取組み

[ガバナンス]

・取締役会の監督下に「サステナビリティ委員会」を設置し、お客さま・地域社会の持続可能性向上に向けた取組みを組織横断的に協議することで、「サステナビリティ経営」の推進・強化を図っております。

[環境]

・気候変動リスクの低減や脱炭素社会の実現に向け、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言の枠組みに則り、事業活動を通じて発生するCO2排出量の削減目標を設定しております。

[当行のCO2排出量の長期削減目標と実績(Scope1、Scope2)]

目標

[中間目標]2030年度までに2013年度比50%削減

[最終目標]2050年までにカーボンニュートラル実現

実績(2021年度)

2013年度比34.2%削減

 

※Scope1:当行自身が燃料(ガソリン等)を燃焼等することにより直接的に発生するCO2排出量

※Scope2:他社から供給された電気等を使用することにより間接的に発生するCO2排出量

[社会]

・投融資を通じてお客さま・地域社会のサステナビリティ向上への取組みを資金面でサポートするため、サステナブルファイナンスの目標を設定しております。

[当行のサステナブルファイナンス投融資累計額の目標と実績]

目標

[目標期間]2021年度~2030年度の10年間

[目標金額]投融資累計額5,000億円(うち環境系2,000億円)

実績(2021年度)

549億円(うち環境系204億円)

 

・働きやすい職場づくりへの取組みを通じ、多様な人材がやりがいをもって活躍できる場の創出を目指す施策として、全管理職に占める女性管理職比率や男性職員の育児目的休業及び休暇取得率の目標を設定しております。

[当行の女性管理職比率の目標と実績]

目標期間

目標

実績

2019年度~2021年度

25.0%

25.1%

2022年度~2026年度

30.0%

 

 

[当行の男性職員の育児目的休業及び休暇取得率の目標と実績]

目標

[目標期間]2026年度まで

[目標数値]80%以上

実績(2021年度)

54.6%

 

 

 

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