有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、当行グループはこれらのリスクの発生可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であり、これらのリスク管理体制につきましては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載しております。
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
下表に記載したリスクのうち、当行グループの将来の経営成績等に与える影響の程度や発生可能性に照らして、「信用リスク」「市場リスク」「気候変動に関するリスク(移行リスク・物理的リスク)」「巨大災害等のリスク」「新型コロナウイルス感染症拡大に関するリスク」「システムリスク」を重要なリスクと認識しております。
(信用リスク、市場リスク)
「信用リスク」は、銀行業務の運営において顕在化する可能性が相対的に高く、当行グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があると認識している重要なリスクであります。中小企業取引はその業績が景気等に左右されることを前提として支え続けていくビジネスモデルであり、当行は、伝統的営業方針である「永代取引」のプロセスを通じ取引先の経営実態を的確に把握することにより、信用リスクを有する資産の健全性の維持・向上を図っております。また、特定の業種や債務者等に対する過度の与信集中を避けることに努めており、当行の与信は概ね小口に分散されております。なお、与信先の中には与信額が一定額以上の大口与信先も含まれておりますが、大口与信先については、与信額が5億円以上の与信先を定期的にALM委員会等に報告するなどにより重点的に管理しております。さらに、中小企業は新型コロナウイルス感染症の拡大による業績悪化の影響を受けやすいと考えられるため、「宿泊業」、「飲食業」など特定の業種の債務者については他の業種と比べて信用リスクが高まると仮定し、貸倒引当金を算定しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
「市場リスク」は、信用リスクと同様の理由により、当行グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があると認識している重要なリスクであります。金融・為替市場は、欧米の金融引き締めに向けた動向やロシアのウクライナ侵攻による地政学的リスクの高まりにより、不安定な動きが続いています。このような状況の中、当行グループは、さまざまな事象を想定したストレステストを実施し、あらかじめ影響や損失を把握するなど、適切なリスク管理に努めております。
また、当行グループは、「信用リスク」及び「市場リスク」について、VaR(バリュー・アット・リスク)法を用いた統合管理を行っております。これらのリスクにより損失が発生した場合に、保有する自己資本で損失をカバーできるようリスクを限定する仕組みである資本配賦制度を用い、経営戦略と一体となったリスク管理を行っております。
(気候変動に関するリスク(移行リスク・物理的リスク))
「気候変動に関するリスク」には、気候関連の規制強化や脱炭素社会への移行に伴うリスク(移行リスク)と、気候変動に伴う自然災害や異常気象の増加等による物理的な被害に伴うリスク(物理的リスク)の2つがあります。気候変動は、地域社会、お客さま及び当行に重大な影響を及ぼすと考えられるため、重要なリスクと認識しております。
〇移行リスク
当行は、移行リスクの把握にあたり、気候関連の規制強化や脱炭素社会への移行による影響及び当行の融資ポートフォリオにおける構成割合の2点を踏まえ、分析対象セクターとして「電力」及び「海運」を選定しております。分析対象の2セクターについて、IEA(International Energy Agency:国際エネルギー機関)の2℃以下(1.5℃)シナリオ等を踏まえ、財務インパクトの影響(分析対象期間:2022年3月末を基準として2050年まで)について分析を行っております。この結果、信用コストの増加額を最大約13億円と算定しております。
〇物理的リスク
当行の事業活動に対する直接の物理的リスクとして、自然災害による本支店等の設備への被害、当行グループ役職員への人的被害が想定されます。これらに対し、「業務継続計画(BCP)」を含む対応マニュアルの整備及び災害対応訓練等を通じた災害対策の実効性向上や、本部建物が被災した場合に備えた2拠点化等を実施しております。また、洪水等で取引先の社屋や工場が被災することにより、担保不動産の毀損や休業による売上減少等が発生し、結果として当行の与信関係費用が増加することが想定されます。これらのリスクの把握については、IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change:国連気候変動に関する政府間パネル)のRCP(代表的濃度経路)8.5シナリオ(4℃シナリオ)等を踏まえ、洪水等の被害による財務への影響分析(分析対象期間:2022年3月末を基準として2050年まで)を行っております。この結果、信用コストの増加額を最大約54億円と算定しております。
(巨大災害等のリスク)
「巨大災害等のリスク」につきましては、当行グループが地盤とする徳島県は、南海トラフ巨大地震の発生が予想されております。当該地震が発生した場合、役職員、店舗等の施設及び取引先に甚大な被害が発生すると想定されることから、当行グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性がある重要なリスクと認識しております。当該リスクについて、「業務継続計画」を含む対応マニュアルを整備し、行内及び地方公共団体等の行外と連携した災害対応訓練を実施することにより、その実効性を高めております。また、本部が被災した場合に備え本部機能を2拠点に分散するとともに、徳島県外にシステムのバックアップセンターを設置し、災害時の金融機能維持及び業務継続態勢を確保しております。
(新型コロナウイルス感染症拡大に関するリスク)
「新型コロナウイルス感染症拡大に関するリスク」につきましては、業務継続の観点から重要なリスクとして認識しております。お客さまや職員の感染を防止し業務継続態勢及び金融機能の維持に努めるとともに、お客さまの資金繰り支援などについて引続き最優先で対応しております。
感染防止対策としては、部店内の消毒や換気などの基本的な対策のほか、勤務スペースの分離、在宅勤務やWeb会議の活用により、お客さまや職員が同時に感染するリスクを回避しております。
新型コロナウイルス感染症の経済への影響については、2022年度は、全体としては前年度並み若しくは若干低下するものの、「宿泊業」、「飲食業」など特定の業種においては依然として影響が大きいと仮定しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(システムリスク)
「システムリスク」につきましては、多様化・複雑化する業務にコンピュータ・システムは欠くことのできない存在となっており、コンピュータ・システムの停止や誤作動、サイバー攻撃等による情報の漏洩・改ざん等が発生した場合には、お客さまに多大なご迷惑をおかけするとともに当行グループの信用失墜につながるため、重要なリスクと認識しております。
このため、災害や障害等に備え、「緊急事態対応計画(コンティンジェンシー・プラン)」を策定するとともに、コンピュータ機器、通信回線等の二重化によるバックアップ体制の整備、さらに情報資産の保護に向けての安全対策に関するルールとして「情報資産管理基本規程(セキュリティポリシー)」、「情報資産安全対策基準(セキュリティスタンダード)」を制定するなど、種々のシステムリスク対策に取組んでおります。また、高度化、巧妙化しているサイバー攻撃等へ対応する会議体(AWA-CSIRT)を設置し、サイバーセキュリティ管理態勢の整備・強化を図っております。
(注)表中の「○」は、当行グループの将来の経営成績等に与える影響の程度や発生可能性に照らして、重要なリスクと認識しているリスクであります。
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