課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 

以下の内容は、当行グループの主体であります提出会社(当行)についてのものであります。

また、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において、提出会社(当行)が判断したものであります。

 

(1) 経営方針 

経営の基本方針

当行は「地域密着と健全経営」を経営理念に掲げております。

佐賀・福岡を中心とした地域の銀行として地場産業の振興・発展をお手伝いし、地域社会の皆さまの豊かな生活づくりに奉仕すること、さらには、お客さまにご満足いただける質の高いサービスを提供することで、株主の皆さま、お客さま、そして地域の皆さまのご期待に応えていくことが当行の使命と考えております。

近年においては、佐賀・福岡経済圏に県境という垣根が無くなりつつある中、当行は経営理念を踏まえ、地域の皆さまとの末永い信頼関係を築いていけるよう、着実に歩みを進めてまいります。

 

中長期的な経営戦略

①第16次中期経営計画

当行は2019年度からスタートした第16次中期経営計画(2019年4月1日~2022年3月31日)の最終年度を迎えました。「このまちで、あなたと・・・ 地域の活力を未来へつなぐ銀行」を目指す姿とし、その基本方針に「コンサルティングを起点とする営業態勢の構築と生産性向上による効率化を進め、対顧客利益の黒字化を実現します。」「地域経済の活力となる良質な金融サービスを提供し、さらなる金融仲介機能の向上を実現します。」の2つの項目を掲げ、これら基本方針に全役職員一丸となって取り組んだ結果、一般的には「本業利益」と言われる2021年度の「対顧客利益」は、前事業年度比12億14百万円増加の26億12百万円となり、9期ぶりに黒字となった前事業年度に引き続き2期連続の黒字となりました。
 2022年4月1日よりスタートした第17次中期経営計画では、10年後の当行グループの“ありたい姿”からバックキャスト思考で考え、“地域の発展なくして当行グループの発展なし”という地域銀行グループとしての使命を再認識し、当行グループ一体となってステークホルダーの期待に応え、地域の将来に亘る発展・成長を支え続けていくため、マーケットインの発想でお客さま起点の戦略に取り組み、サステナブルなビジネスモデルを確立してまいります。

 

②2021年度に行った主な施策

 ○ 店舗・チャネル

店舗などのお客さまとのチャネルにつきましては、お客さまのニーズや動向を踏まえた上で、見直しを実施しました。 

有人店舗につきましては、2021年8月に兵庫支店(さぎんパーソナルプラザ佐賀)を新たなコンセプトの個人特化店として旧呉服町支店跡地に移転しました。2021年11月に北方支店大町出張所を大町町役場内へ移転し、有田支店、有田駅前支店、有田駅前支店西有田出張所(現有田支店西有田出張所)を新築の同一建物内へブランチインブランチ方式にて移転統合しました。新店舗には有田町役場東出張所が入居し、銀行と行政のサービスをワンストップでご利用いただけるようになりました。これにより、地元自治体庁舎へ入居した2店舗を含め、3例目となります。この他、2022年2月に八幡支店を小倉支店へ、2022年3月に武雄西支店(さぎんパーソナルプラザ武雄)、鳥栖駅前支店(さぎんパーソナルプラザ鳥栖)、唐津駅前支店(さぎんパーソナルプラザ唐津)をそれぞれ同一建物内の武雄支店、鳥栖支店、唐津支店へ、いずれもブランチインブランチ方式にて統合しました。無人店舗(店舗外現金自動設備)につきましては、3カ所に新設し、14カ所を廃止しました。
 この結果、当事業年度末の有人店舗数は本支店72カ店、出張所31カ所、無人店舗(店舗外現金自動設備)は66カ所となりました(休止中の1カ所を含みません)。

 

 ○ 地方創生及び事業性評価に向けた取組み

地方創生に向けた取組みについては、「お客さまの付加価値向上」と「地域の価値向上」の2つの面から当行グループが能動的にお手伝いすることで、活力ある地域未来の創造=地域社会の発展に資することを目指しています。
 2020年4月に新設した9つの「ブロック制」による営業態勢をベースとし、事業性評価の視点でお客さまの成長の芽、強み弱み、ニーズ、課題等についての理解を深め、お客さまと共に将来像を描き、適切なソリューションの提供によるお客さまの付加価値向上の実現に当行グループをあげて取組んでおります。これによりこれまで多くのお客さまとコンサルティングサービス契約を締結してまいりました。
 また、2021年10月には当行100%出資により銀行高度化等会社(銀行法改正により100%子会社として設立を認められた会社)である地域商社「さぎんコネクト株式会社」を設立しました。この地域商社では食品を中心としたお客さまの販路拡大支援のほか、お客さま同士の新たな繋がりの創出による新商品開発など、地域と連携した面的な取り組みによる地域の価値向上に繋がる活動を行ってまいります。
 さらに、2021年12月には、地域の魅力を全国に発信するための新たな試みとしてSNSの運用を開始したほか、地方創生に向けた各種連携協定を締結しました。当行は今後もこのようなお客さまの付加価値向上、地域の価値向上への取り組みを通じ、持続可能な地域社会の形成に深く関わってまいります。

 

 ○ 取扱商品・サービスなどの拡充

当行グループはお客さまの悩みや課題を解決する「コンサルファーム」となるべく、取扱商品・サービスの拡充に取り組んでおります。
 事業者のお客さま向けには、事業承継支援やM&Aなど、お客さまに寄り添う取り組みを、営業店・本部一体となって積極的に行っております。少子高齢化の進展に伴う事業承継ニーズの高まりや多様化する事業承継の形態に対応するため事業承継ファンド「さぎんブリッジファンド」を設立したほか、コンサルティングサービスをご利用していただきやすくするためにメニューの一部について小口パッケージ化を行いました。これらの取り組みは、コンサルティングの根幹となる事業性評価の再構築に繋がるとともに、お客さまの経営課題や事業承継のニーズに幅広く対応できるサービスラインアップの充実が図れたことで、ご相談いただく件数も増加しております。
 個人のお客さま向けには、住宅資金や資産形成、相続など専門性を要する相談ニーズに対応するため、「兵庫支店(さぎんパーソナルプラザ佐賀)」を個人特化店としてリニューアルオープンしたほか、お客さまへの資産運用サービスの一層の充実を目的として100%子会社である株式会社佐銀キャピタル&コンサルティングにて金融商品仲介業務を開始しました。当行グループは今後も「人生100年時代のライフコンサルタント」を目指し、グループ一体となって質の高いサービスの提供に取り組んでまいります。
 一方、デジタル化の急速な進展やお客さまニーズの多様化など、環境は目まぐるしく変化しています。当行においても、お客さまの手書き記入負担を軽減するタブレット、窓口受付システム「SmileUp(スマイルアップ)」の本格導入や、お客さまのご質問に迅速丁寧にお応えする「クラウド型FAQ(よくあるご質問)サービス」の導入等を実施しました。今後も多様なお客さまのニーズにお応えするため、インターフェイス(お客さまとの接点)の充実やデジタルプラットフォームの構築等、DX(デジタルトランスフォーメーション)に積極的に取り組んでまいります。

 

 ○ SDGsへの取組み

2022年1月より「さぎんSDGs取組支援・宣言サポートサービス」の取扱いを開始し、地元企業のSDGsの取組み促進に向けた支援をおこなっています。本サービスはお客さまの現状の取組み評価に基づいて対話をおこない、今後のSDGsの取組みを表明する「SDGs宣言」の策定及び実行の支援を実施するもので、2022年3月までに68件をお引受けしております。
 2020年6月よりお取扱いしているSDGs私募債「地域の芽 未来の芽・育む債」については、当事業年度新たに110件/64億円(累計259件/155億円)をお引受し、SDGs私募債発行に伴う引受手数料の一部を活用して、12百万円をSDGsの普及拡大や社会的課題解決への取り組みを行う団体へ寄付および寄贈しております。
 また、前事業年度に続き、各事業者の方や地域が抱える課題等に対して、お客さまとともに解決の道を探る議論を行うため、「SDGs異業種交流会」を2021年10月から12月にかけてブロック別に計9回開催いたしました。当交流会では、ウィズコロナ、アフターコロナに向けて、「将来のビジネスモデルの変化に向けた取組み」や「SNSを活用したマーケティング」などブロックごとに設けたテーマに沿って活発な交流がおこなわれ、お客さま同士の新たな結びつきが数多く生まれています。
 さらに、当行自体の取組みとして2022年3月には、脱炭素社会の実現に向けた地域の取組み機運を高めるべく、地元の電力会社と連携協定を締結し、地域の脱炭素化を推進していくことを公表いたしました。
今後も、金融の枠を超えた幅広い視点で、地域の課題解決や産業の振興に努め、地域の持続的な成長・発展に貢献してまいります。

 

(2) 経営環境及び対処すべき課題

昨今、新型コロナウイルスの感染拡大は、世界経済や国内経済に大きな影響を与え、いまだ予断を許さない状況にあります。当行グループとしましても、ウィズコロナの中で新しい生活様式への変化やDX化がもたらすお客さまニーズの変化等を的確に捉え、これまで以上に地域のお客さまに寄り添って、さまざまな課題解決に取り組んでいく必要性を強く感じています。
 また、世界的なインフレの進展、ウクライナ情勢がもたらす資源高や円安など金融環境の転機に迅速に対応していく必要があります。
 第16次中期経営計画では、コンサルティング起点の営業態勢への移行や生産性向上に向けたBPR等の効率化施策に取り組んでまいりました。その結果として最重要課題であった対顧客利益の黒字化を実現するなど、着実に歩みを進めてまいりました。
 しかし一方で、非金融分野での地域への貢献やDX化によるサービスのご提供などには課題が残りました。
 2022年4月からは、ブロック(地域)内へ専門スキルを持つ行員配置をさらに拡充し、現場力をさらに高め、お客さまに“地域ワンストップ”で質の高いソリューションや情報を提供してまいります。また、地域振興の観点から、課題を抱えたお客さまの企業支援や再生支援という極めて重要な役割を担っていくため、企業再生に主体的に取り組む部署として審査管理部企業経営サポート室を経営サポートグループとして営業支援部内に移設し、コンサル領域を拡大(コンサル空白地帯を無く)し、お客さまのライフステージに応じた適切なソリューションを提供する態勢(コンサルファーム態勢)を整備しています。
 当行は2022年3月に創業140年を迎えました。2022年4月からスタートした第17次中期経営計画では、創業150年を迎える10年後の当行グループのありたい姿“金融の枠を超えて地域を支え続ける総合サービス企業グループ”からバックキャスト思考で考え、“地域の発展なくして当行グループの発展なし”という地域銀行グループとしての使命を再認識いたしました。持続可能な地域社会・経済の実現のために、「このまちで、あなたと・・・ 金融の枠を超えて地域の価値向上を実現する銀行グループ」となることを目指し、当行グループ全役職員が一丸となって取り組んでまいります。

なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う経済への影響は、当面続くものと想定しております。主に当行グループの貸出金等の信用リスクに一定の影響があると認識しておりますが、これによる与信費用の増加は、政府や自治体の経済対策や金融機関による支援等もあり、多額にはならないとの仮定を置いております。当該仮定には不確実性があり、新型コロナウイルス感染症の状況やその経済への影響が変化した場合には、損失額が増減する可能性があります。

当行では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に応じて、「新型コロナウイルス対策本部」を設置し、行員のマスク着用等の感染防止策を講じるほか、時差出勤や在宅勤務、交代勤務等の業務継続対策も行っております。また、お客さまの資金繰りを迅速かつ丁寧に支援するため、当行から積極的に情報提供するとともに、相談窓口設置等の対応を行っております。今後も地域金融機関としての社会的責任を全うしてまいります。

 

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