※「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」において、億円単位で記載している金額は億円未満を四捨五入しております。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの事業の取組状況、財政状態及び経営成績の状況、キャッシュ・フローの状況、並びに営業取引の状況の概要(以下「経営成績等」)は次のとおりであります。
〔国内リース事業分野〕
・オムロン ソーシアルソリューションズ株式会社との業務提携契約に基づき、太陽光発電向けパワーコンディショナの定額貸出サービス「POWER CONTINUE」の提供を開始いたしました。オムロン ソーシアルソリューションズ株式会社が機器の交換工事・保守等を担い、当社が機器に関する金融・サービス及びサブスクリプション統合プラットフォーム「TCplats」を提供いたします。発電効率の高い機器への入替を促進する本サービス提供を通じ、太陽光発電の長期稼働に貢献し、気候変動、環境への取り組みを通じたクリーンエネルギー普及に注力してまいります。
・伊藤忠商事株式会社と、脱炭素社会の実現に寄与する分散型電源並びに関連機器のサブスクリプションサービスを提供するため、共同で株式会社IBeeTを設立いたしました。昨今の蓄電池市場においては、再生可能エネルギーの普及や自然災害に対するレジリエンス向上・停電対策の観点から、蓄電システムのニーズ拡大が見込まれており、家庭用蓄電システム「Smart Star」をサブスクリプションサービスで提供いたします。今後も新たなエコシステム及びサーキュラーエコノミー(循環経済)を創出する等、脱炭素社会と分散型エネルギー社会の実現に向けて貢献してまいります。
・株式会社ふくおかフィナンシャルグループとリース事業に関する資本業務提携に関する契約を締結いたしました。今後、傘下の十八総合リース株式会社(2022年4月1日付で商号をFFGリース株式会社へ変更)を持分法適用関連会社として、ふくおかフィナンシャルグループの強固な顧客基盤と当社が有するリース等の多様な金融・サービスノウハウを融合することにより、株式会社福岡銀行や株式会社熊本銀行のお取引先も含め、多様なニーズへの対応並びに持続的な地域社会の発展に貢献してまいります。
〔国内オート事業分野〕
・電気自動車のリース・レンタル事業の拡大を図るため、バッテリーの診断評価・リユース事業等を展開するMIRAI-LABO株式会社と資本業務提携契約を締結いたしました。当社グループ会社である日本カーソリューションズ株式会社、ニッポンレンタカーサービス株式会社及び株式会社オリコオートリースを中心に、MIRAI-LABO株式会社の使用済みバッテリー診断評価技術を活かした電気自動車(乗用車、トラック等)のリース・レンタルビジネスを一層強化し、今後EVバッテリーのリユース・リサイクルなど、環境に配慮したモビリティサービスの拡充・提供にも注力してまいります。
・株式会社ゼンリンの長崎県長崎市での観光型MaaSの実証実験において、株式会社ゼンリン、ニッポンレンタカーサービス株式会社及び当社による協業を開始いたしました。本協業では、郊外エリアの魅力ある観光スポットへの移動の利便性向上と旅行者の観光エリアの周遊活性化を推進するため、レンタカーを活用する等、各社の強みを掛け合わせたモビリティサービス分野における取り組みを推進してまいります。
〔スペシャルティ事業分野〕
・NTTアノードエナジー株式会社、三井住友信託銀行株式会社及び三井住友トラスト・インベストメント株式会社と共同で国内の再生可能エネルギー事業への投資を目的としたファンドを設立しました。各社が有する再生可能エネルギーの開発・運営に関する知見を結集し、環境問題等の社会的課題の解決に取り組むことにより、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
・連結子会社であるAviation Capital Group LLCは、エアバス社に対しA220 Family 20機、A320 neo Family 40機の計60機を発注いたしました。今回発注した機体は、前世代機に比べ燃料消費量を20~25%削減できる運航コストに優れたナローボディー機で、2024年から2028年の間に納入される予定です。今後も、短・中距離路線の増加を背景にナローボディー機の需要拡大が見込めることから、燃費効率の高い次世代機への更新を推進し、航空業界の発展並びに世界のCO2排出量削減に貢献してまいります。
・「内幸町一丁目街区(東京都千代田区内幸町一丁目)」の開発を推進する事業者10社の1社として、日比谷公園と一体となった比類なき街づくり「TOKYO CROSS PARK構想」に参画します。当街区は都心最大級の延床面積110万㎡の開発プロジェクトであり、日比谷公園とつながるとともに、オフィスや商業施設、ホテル、住宅機能等を備える予定です。当社は他の9社と共創し、街づくり、デジタル、カーボンニュートラル等それぞれの分野の強みをかけあわせ、新たな価値創造や社会的課題解決を推進する、次世代スマートシティを実現してまいります。
〔国際事業分野〕
・NTTグローバルデータセンター株式会社との協業第一弾となるインド・ムンバイにおけるデータセンター事業運営を2021年8月に開始いたしました。インドは、政府主導による5Gサービスの推進及びeコマース市場の成長を背景としたデータ使用量の急増が予想されており、同国におけるデータセンターの市場規模は急成長する見通しです。データセンター事業は、デジタルインフラの整備等につながる社会的意義の高い取り組みであり、今後もNTTグループとの協業を通じ、社会的課題を解決することにより、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
・環境省及び公益財団法人地球環境センター(GEC)が募集した「2021年度二国間クレジット制度(Joint Crediting Mechanism:JCM)資金支援事業のうちエコリース事業」において、当社が代表事業者として応募した「タイ/食品工場への1.85MW太陽光発電システムの導入」他、2案件が採択されました。採択された案件は、2020年度に制定された「JCMエコリース事業」として、タイでは初めての採択となります。今後も、当社グループの海外ネットワークと付加価値の高い金融・サービス機能を活用し、ASEAN各国におけるクリーンエネルギーの普及など社会的意義の高い取り組みを推進してまいります。
〔財務基盤の充実と強化〕
・株式会社格付投資情報センター(R&I)より取得している当社の格付「A」の方向性が、2021年4月に安定的からポジティブに変更され、本年6月に格付が「A+」(ポジティブ)に変更されました。
・S&Pグローバル・レーティング・ジャパン株式会社より取得している格付「BBB」のアウトルックが、ネガティブから安定的に変更されました。
・当社はこれまで、再生可能エネルギー事業の拡大並びに従業員エンゲージメントの向上につながる、ESGファイナンスの一つであるサステナビリティ・リンク・ローンによる調達を推進してまいりました。サステナビリティ・リンク・ローンは、借り手の経営戦略に基づくサステナビリティ目標と連携したサステナビリティ・パフォーマンスターゲット(SPTs)を設定し、借入条件とSPTsを連携させる調達手法で、調達累計額は2,000億円を超えました。当社は今後ともESGファイナンスによる調達を推進することにより、環境・社会課題の解決や持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
〔その他経営基盤の強化〕
・金融安定理事会(FSB)により設置された「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同を表明いたしました。「環境に配慮した循環型経済社会の実現」に向けて気候変動への対応を重要な課題と認識しており、サステナビリティ経営の実践にあたり、マテリアリティ(重要課題)を定めています。脱炭素社会への貢献は重要課題の一つであり、TCFDへの賛同は当社の気候変動への対応を加速するものです。今後ともTCFDの提言に沿って気候変動が当社のビジネスに及ぼす影響の分析を進め、中長期の視点から経営戦略に反映させるとともに、気候関連の適切な情報開示に取り組んでまいります。
・事業領域の拡大に伴い、投資案件が増加するとともに付随するリスクも複雑化しており、多様化する投資リスクを適切にコントロールし事業ポートフォリオの最適化を目的として、投資マネジメント委員会を設置し、投資採択基準の明確化やモニタリングプロセスの構築等、投資管理の枠組みの策定・運用を開始いたしました。今後は、新たな枠組みの下で、投資に係るリスク管理の一層の高度化に向けた取り組みを強化してまいります。
・従業員が失敗を恐れず新しい取り組みにチャレンジする新規事業提案制度『TC Biz Challenge』を活用し、事業性ビジネス推進に向けた人材の育成に取り組んでまいります。第一回『TC Biz Challenge』では全応募36件の内、1件が実証実験フェーズへ進捗しております。
・「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)2021」に当該制度創設以来7年連続で選定されました。DX戦略の構築を担うDX戦略部を新設のうえ、DXに係る戦略・経営目標の策定を行うなど、取り組みを一層強化してまいりました。ニッポンレンタカーサービス株式会社では、年間10万件以上のお客さまアンケートについて、AIを活用したデータ分析・自然言語処理により解析し、お客さまサービスの着実な向上と安全・安心なレンタカーの提供につなげています。加えて、利便性の高いスマートフォン向けアプリの開発・予約Webページのリニューアル等、新商品・サービスの開発や既存サービス改善にも取り組み、モビリティビジネスにおけるDX実現に注力してまいります。
業績につきましては、売上高は前期比778億円(6.5%)増加し1兆2,780億円、売上総利益は、航空機事業において減損損失が発生するなど減益となったものの、国際事業や国内オート事業の増益により前期比61億円(3.0%)増加し2,071億円となりました。
販売費及び一般管理費は、前期比6億円(0.5%)増加し1,244億円となりました。
営業外損益は、前期比69億円(725.0%)増加し78億円の利益となりました。主な要因は、持分法投資利益の 増加であります。
これらにより、経常利益は前期比124億円(15.9%)増加し905億円となりました。
また、特別損益は投資有価証券売却益の減少等により前期比29億円の利益減少となる11億円の損失、法人税等は前期比72億円(30.8%)増加し307億円、非支配株主に帰属する当期純利益は前期比12億円(16.4%)増加し 84億円となりました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比11億円(2.3%)増加し503億円となりました。
なお、12月決算会社である主な海外子会社・海外関連会社の連結財務諸表作成にかかる期中平均の為替レートは、当連結会計年度109.90円/米ドル(2021年1月~12月)、前連結会計年度106.77円/米ドル(2020年1月~12月)であります。
当連結会計年度末の財政状態につきましては、資産合計は、前期末比609億円(1.1%)増加し5兆6,638億円となりました。
負債合計は、前期末比463億円(0.9%)減少し4兆8,682億円となりました。有利子負債は、前期末比335億円(0.8%)減少し4兆2,474億円となりました。
純資産合計は、前期末比1,072億円(15.6%)増加し7,956億円となりました。主な要因は、利益剰余金が331億円増加したこと及び為替換算調整勘定が619億円増加したことであります。
この結果、自己資本比率は前期末に比べ1.7ポイント上昇し11.9%となりました。
なお、12月決算会社である主な海外子会社・海外関連会社の連結財務諸表作成にかかる期末の為替レートは、
当連結会計年度末115.02円/米ドル(2021年12月末)、前連結会計年度末103.52円/米ドル(2020年12月末)であります。
セグメント別の業績及びセグメント資産の状況については、④ 営業取引の状況に記載しております。
(単位:百万円)
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動では、賃貸資産の取得による支出が3,181億円となったこと等に対し、税金等調整前当期純利益が894億円、賃貸資産減価償却費が1,803億円、賃貸資産除却損及び売却原価が1,508億円、営業貸付債権の減少による収入が731億円となったこと等により、2,274億円の収入(前連結会計年度は513億円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動では、投資有価証券の売却及び償還による収入が105億円となったこと等に対し、投資有価証券の取得による支出が162億円となったこと等により、161億円の支出(前連結会計年度は974億円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動では、長期借入れによる収入が9,720億円、社債の発行による収入が2,680億円となったこと等に対し、長期借入金の返済による支出が7,950億円、社債の償還による支出が3,443億円、コマーシャル・ペーパーの純増減額による支出が2,617億円となったこと等により、2,014億円の支出(前連結会計年度は189億円の収入)となりました。
これらにより、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前期末比231億円増加し2,400億円となりました。
連結会計年度におけるセグメント資産残高、セグメント売上高及びセグメント利益をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(単位:百万円)
(単位:百万円)
(注) 売上高について、セグメント間の内部売上高又は振替高は含まれておりません。
(単位:百万円)
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、2019年12月のAviation Capital Group LLCの完全子会社化に続き、2020年2月のNTTとの資本業務締結契約等を踏まえ、「第四次中期経営計画」を1年で終了し、2020年度を初年度とする「新・第四次中期経営計画」(3ヵ年)を策定いたしました。
2020年度から2022年度までの「新・第四次中期経営計画」において策定した基本方針及び経営戦略にもとづき、当社グループは、「金融機能を持つ事業会社」として、パートナー企業との事業性ビジネスを含めたグローバルな安定事業基盤の確立などに注力してきました。
なお、当社グループの当連結会計年度における具体的な取り組みは、「(1)経営成績等の状況の概要 ①事業の取組状況」に記載のとおりであります。
当社グループの重要な経営指標である経常利益は、航空機事業において減損損失が発生するなどスペシャルティ事業が減益となったものの、国内リース事業、国内オート事業及び国際事業のいずれも増益となったことから、全体では前期比124億円(15.9%)増加し905億円となりました。
セグメント別の経常利益及びROAについて分析した結果は以下のとおりであります。
(単位:億円)
*ROA:経常利益/((前期末セグメント資産+当期末セグメント資産)/2)
特別損益は、投資有価証券売却益を5億円計上するなど特別利益合計で6億円計上したものの、一部投資株式の減損処理による投資有価証券評価損を7億円計上するなど特別損失合計で17億円計上し、合計で11億円の損失となりました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比11億円(2.3%)増加し503億円となりました。一方で、後述する自己資本増加の影響が大きく、ROEは前期に比べ0.6ポイント低下し8.1%となりました。
負債合計は、前期末比463億円(0.9%)減少し4兆8,682億円となりました。有利子負債は、前期末比335億円(0.8%)減少し4兆2,474億円となりました。
純資産合計は、前期末比1,072億円(15.6%)増加し7,956億円となりました。うち、自己資本は、前期末比1,029億円(18.0%)増加し、6,730億円となりました。これは、利益の積上げにより、利益剰余金が前期末比331億円増加したことに加え、為替の変動により為替換算調整勘定が前期末比619億円増加したためであります。
この結果、自己資本比率は前期末に比べ、1.7ポイント上昇し11.9%となりました。
当社グループは、合併以降、ファイナンス・リース、貸付等の金融を主軸としたビジネスからの変革に注力し、航空機、オート、不動産等モノの価値に着目した事業を拡充してきましたが、次の10年に向けた事業基盤を強固にしていく中で、最適な資本構成を踏まえたバランスシートマネジメントを推進しております。
(キャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローについては、税金等調整前当期純利益を894億円計上したことに加え、ファイナンス・リース、割賦債権、営業貸付債権といった金融債権の回収を進めたこと等により、2,274億円の収入となりました。一方で、NTTグループとインドでのデータセンター事業の運営協業のために関連会社株式を取得したこと等により、投資活動によるキャッシュ・フローは161億円の支出となりました。引き続き各事業分野の営業基盤強化に向けた成長事業への投資を実行する一方で、ROA向上に向け収益性や成長性を考慮した健全なポートフォリオの維持に注力しております。
財務活動によるキャッシュ・フローは2,014億円の支出となりました。これは、主に、事業活動で得られた資金をコマーシャル・ペーパーの返済2,617億円に充てたものであります。一方で、成長事業への投資に必要な資金を確保するため、長期借入金及び社債など長期の有利子負債による調達を行いました。
これらにより、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前期末比231億円(10.7%)増加し2,400億円となりました。
当社グループは、金融情勢の変化に機動的に対応しつつ調達先の分散や調達手段の多様化を図ることで、調達の安定性を高めること及び資金コストの低減を基本方針としております。また、ALM(資産・負債総合管理)の実施により、市場リスクについて多面的な分析を行い、各種リスクを適切にコントロールしております。
当社グループの資金調達は、国内外の金融機関からの借入による間接調達と社債、コマーシャル・ペーパー、ユーロ・ミディアム・ターム・ノート、リース債権流動化といった資本市場からの調達による直接調達で構成されております。
当連結会計年度末において、間接調達は、前期末比2,774億円(10.8%)増加し2兆8,444億円となりました。
直接調達は、前期末比3,109億円(18.1%)減少し1兆4,030億円となりました。
資金調達の安定化に向け、調達の長期化を推進するため、短期借入金の返済やコマーシャル・ペーパーの一部償還を行う一方で、長期借入金や社債による調達へと切り替えを進めた結果、当連結会計年度末の長期調達比率は84.5%となり、前期末に比べて6.2ポイント上昇しました。
当社グループは、流動性を確保するため取引金融機関135行と当座貸越契約及びコミットメントライン契約を締結しており、当連結会計年度末の契約総額は、前期末に比べて809億円増額の1兆7,963億円、借入未実行残高は1兆4,085億円となっており、資金の流動性は十分に確保されております。
当社グループは、「新・第四次中期経営計画」における経営指標として、利益項目だけでなく、安定的な財務基盤を支える資金調達力を強化するため、引き続き自己資本比率を経営指標として採用するとともに、株主資本コストを上回る資本効率を重視していることから、引き続きROEを経営指標として採用しております。
当連結会計年度において、連結経常利益905億円、親会社株主に帰属する当期純利益503億円、連結自己資本比率11.9%、連結ROE8.1%となりました。
2023年3月期の経済環境について、新型コロナウイルス感染症の収束時期を予測することは困難であり、また新たな変異株の出現といったリスクはあるものの、行動制限の緩和・解除の動きは着実に広がり、経済活動への影響は徐々に減少していくものと予想されます。一方で、ロシア・ウクライナ情勢は世界経済に不確実性をもたらし、市況の高騰等を通じたインフレ圧力が金融政策に影響を与え、米国金利の上昇、株式市場のボラティリティ拡大など経済環境は不透明な状況にあります。
このような経済環境下で、新・第四次中期経営計画の最終年度である2023年3月期の業績見通しは経常利益1,000億円(前期比10.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益200億円(同60.2%減)となります。
新・第四次中期経営計画の目標として経常利益1,300億円、親会社株主に帰属する当期純利益800億円としておりましたが、新型コロナウイルス感染症やロシアのウクライナ侵攻による影響を大きく受けた航空機事業の業績が未達となることが主因であります。なお、他の事業については、概ね順調に推移する見通しです。
また、純利益が大きく減益となる要因につきましては、連結子会社Aviation Capital Group LLCがロシアの航空会社向けリース機体について減損処理するためであります。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な後発事象)」に記載しております。
当社グループは、継続的な業容の拡大や企業体質の強化に向けた取り組みが企業価値の増大につながるものと考え、それらを実現するために内部留保の充実を図るとともに、長期的かつ安定的に利益還元を行うことを基本方針としております。内部留保資金につきましては、良質な営業資産の購入資金に充当するなど今後の経営に有効に活用してまいります。
当連結会計年度の配当につきましては、当期業績や財務状況、今後の経営環境等を総合的に勘案し、期初予想のとおり、年間1株当たり143円といたしました。配当性向(連結)は34.7%であります。なお、2023年3月期の配当について、親会社株主に帰属する当期純利益は200億円と大幅な減益を見込んでおりますが、その要因がキャッシュアウトを伴わない一過性の減損であることに加え、財務の健全性の観点からも、資本に対するリスク量について今後の収益力を加味した場合、リスク耐久力を維持できると考えられることから、長期的かつ安定的に利益還元を行う基本方針も踏まえ、2022年3月期と同額の1株当たり年間配当金143円とする予定であります。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的と判断される前提に基づいて実施しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4.会計方針に関する事項」に記載のとおりですが、重要なものは以下のとおりであります。
a. 賃貸資産の減損損失の計上
賃貸資産は、概ね独立したキャッシュ・フローを生み出す最小単位を基礎としてグルーピングを行い、減損の兆候の有無を判断しています。減損の兆候が識別された場合には、二次リースの可能性及び将来の市況等を考慮したリース料や処分価値等を見積り、減損の認識の要否を判断しております。その結果、減損の認識が必要と判定された賃貸資産については、回収可能価額を正味売却価額又は使用価値のいずれか高い金額とし、帳簿価額との差額を減損損失として計上しております。
経営者は、賃貸資産の評価にあたって用いた会計上の見積りは合理的であり、賃貸資産が回収可能な合理的な額として計上されていると判断しております。ただし、予測不能な前提条件の変化等により、回収可能価額の決定に使用した見積りが変化した場合は、将来当社グループにおいて減損損失の追加計上を実施する可能性があります。
なお、航空機リースにかかる賃貸資産の減損について、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)①賃貸資産の減損」に記載のとおりであります。
b. のれんの減損損失の計上
企業結合で生じたのれんは、会社単位を基礎としてグルーピングを行っております。のれんの償却については、その効果の発現する期間を個別に見積り、5年から20年以内の合理的な年数で定額法により償却を行っております。経営者は、その資産性について、子会社の業績や事業計画等を基に検討を行っており、その検討の内容は合理的であると判断しております。ただし、予測不能な前提条件の変化等により、将来において当初想定した収益力もしくは費用削減効果が見込めなくなり、減損の必要性を認識した場合には、のれんの減損損失の計上が必要となる可能性があります。
c. 貸倒引当金の計上
貸倒引当金は、取引先の経営状態や支払状況等によって分類区分された債権について、一般債権については貸倒実績率により、破産更生債権等については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。
経営者は、債権の評価にあたって用いた会計上の見積りは合理的であり、貸倒引当金は十分計上され、債権が回収可能な額として計上されていると判断しております。ただし、債権の評価には経営者が管理不能な不確実性が含まれており、予測不能な前提条件の変化等により債権の評価が変動する可能性があります。この場合には、将来当社グループが貸倒引当金を増額又は減額する可能性があります。
d. 金融商品の時価評価
金融商品の時価には、市場価格に基づく価額の他、市場価格がない場合には合理的に算定された価額が含まれております。有価証券のうち、市場価格のない株式等については、取得原価をもって計上しておりますが、発行会社の財政状態の悪化により実質価額が著しく低下した場合には減損処理を行っております。
当社グループで行っているデリバティブ取引は、金利関連取引(金利スワップ取引等)、通貨関連取引(為替予約取引及び通貨スワップ取引等)であり、それらの時価は取引金融機関から提示された価格等によっており、金利、外国為替相場等のインプットを用いた将来キャッシュ・フローの割引現在価値により算定されています。
経営者は、金融商品の時価の評価にあたって用いた会計上の見積りは合理的であると判断しております。ただし、当該価額の算定においては一定の前提条件等を採用しているため、予測不能な前提条件の変化等により金融商品の評価に関する見積りが変動する可能性があります。この場合には、将来当社グループにおける時価評価額が変動する可能性があります。
e. 繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産は、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を判断した上で計上しております。
経営者は、繰延税金資産の回収可能性の評価の見積りは合理的であり、繰延税金資産が回収可能な額として計上されていると判断しております。
ただし、予測不能な前提条件の変化等により回収可能価額の決定に使用した見積りが変化した場合は、将来当社グループにおいて繰延税金資産の取崩し又は追加計上により損益に影響を及ぼす可能性があります。
「特定金融会社等の開示に関する内閣府令」(平成11年5月19日 大蔵省令57号)に基づく、当社の貸付金(営業貸付金、その他の営業貸付債権、関係会社短期貸付金及び関係会社長期貸付金)の状況は次のとおりであります。
(注) 当期の貸付債権の譲渡の合計額は、78百万円であります。
(注) 期間は、約定期間によっております。
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