課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社は、経営理念及び経営方針を以下のとおり定め、社会に対する企業責任を積極的に果たしてまいります。

『経営理念』

「東京センチュリーグループは、
高い専門性と独自性を持つ金融・サービス企業として、
事業の成長に挑戦するお客さまとともに、
環境に配慮した循環型経済社会の実現に貢献します。」

 

<経営方針>

・お客さまとの連携や、グループの総力の結集をもって、
あらゆる可能性を追求しながら、
グローバルに最良の商品・サービスを提供し、
お客さまの事業発展に貢献します。

 

・新しい事業領域を切り拓きつつ、
持続的成長を実現することにより、
中長期的な企業価値の向上に努めます。

 

・多様な人材の能力と個性の積極的な発揮を促す風土を醸成し、
すべての役職員が専門性を高め、
成長と誇りを実感できる企業を目指します。

 

・企業の社会的責任を常に意識し、
循環型経済社会づくりを担う存在として、
積極的かつ誠実に事業活動を行います。

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略

当社は、2020年度から2022年度までの「新・第四次中期経営計画」(3ヵ年)において、以下の基本方針のもと、次の10年に向けた強固な事業基盤を確立させ、持続的な成長に向けて着実に進展を図ってまいります。

<基本方針>

1.「金融機能を持つ事業会社」として、パートナー企業との事業性ビジネスを含めたグローバルな安定事業基盤の確立

 

2.環境変化に対応した新しい金融・サービスを不断に創出し、良質かつ強固な事業ポートフォリオを構築

 

3.中長期的な企業価値向上を支える経営基盤の確立

 

 

<経営戦略>

1.営業基盤強化


 

2.経営基盤強化


 

3.サステナビリティに関する取り組み

 当社のサステナビリティの根源は、金融・サービス企業としてステークホルダーの皆さまとともに持続的な成長と企業価値の向上を図り、循環型経済社会の実現に貢献することにあります。SDGsの目標を読み解き、10年後・20年後の未来を想定し、必要とされる金融・サービスの創出を志向するバックキャスティングのもと、サステナビリティ経営を推進しています

 

 



 

(3) 経営環境及び対処すべき課題

当連結会計年度におけるわが国経済は、世界的な新型コロナウイルスの感染拡大が一進一退を繰り返す中、経済活動の停滞により厳しい状況が続きました。また、足元ではウクライナ危機等の地政学リスクが顕在化し、混沌とする国際情勢の中、景気の先行きは不透明な状況にあります。
 

① 国内リース事業

国内リース事業分野を取り巻く環境は、2021年度リース取扱高が4.2兆円(前期比91.9%,リース事業協会公表)となり、従来型リースビジネスマーケットは縮小傾向にあり競合他社との競争が激化しております。

このような状況下、基盤となるリースビジネスのソリューション・サービス機能を拡充しバリューアップに努めるとともに、有力パートナーとの互いの強みを活かした共創ビジネスを拡大させ、飛躍的かつ持続的な成長を目指してまいります。当連結会計年度に新たに株式会社ふくおかフィナンシャルグループとリース事業における共創ビジネスをスタートしております。株式会社ふくおかフィナンシャルグループが有する強固な顧客基盤と当社が有する多様な金融・サービスノウハウを融合することにより、お客様の多様なニーズへ対応するとともに持続的な地域社会の発展に貢献してまいります。また、伊藤忠商事株式会社と協働で、中古スマートフォン等を活用した法人向けレンタルサービス「Belong One」の提供を開始いたしました。

当連結会計年度に新たにオムロン ソーシアルソリューションズ株式会社と、当社が提供するサブスクリプション統合プラットフォーム「TCplats」を活用した、低圧野立て太陽光発電向けパワーコンディショナの定額貸出サービス「POWER CONTINUE」の提供を開始しております。技術革新を背景に企業における設備投資の在り方は大きく変化しており、リース・金融ビジネスとデジタル技術を融合したサブスクリプション等の新たなサービスを創出・拡大するとともに、脱炭素社会の実現に向け積極的に取り組んでまいります。

ビジネススタイルの変化にあわせた組織改革や業務プロセス見直しを進め、継続的な業務効率の改善を図ってまいります。また、人的資本への投資・強化を最重要課題と捉え、エンゲージメント向上に一層注力することで、顧客ニーズに応えられる人材の育成・組織力向上に努めてまいります。

 

 


 

 

 

② 国内オート事業

国内オート事業を取り巻く環境は、自動車の技術革新や利用手法の多様化が進み、「100年に一度の変革の時代」と言われる大きな変化の時を迎えております。サービス面においても、異業種からの参入やIT技術を活用した新たなビジネスの台頭等、競争が厳しくなっております。

このような状況下、これまでの高品質なサービスの追求に加え、新たな発想のもと付加価値の高いビジネスを創出することにより変革の時代を乗り越えていく方針を掲げ、事業運営を進めております。

EV・コネクテッドをはじめとする自動車技術の進化や移動需要の多様化に対応したサービスの展開、デジタルを活用した新たなモビリティサービスの創造や業務効率化に取り組んでまいります。また、当連結会計年度に資本業務提携したEVバッテリーの診断評価・リユース事業を展開するMIRAI-LABO株式会社を事業パートナーとして、EV普及推進に加え、EVバッテリーのリユース・リサイクルなど、環境に配慮したモビリティサービスの拡充にも注力してまいります。

新型コロナウイルス感染症拡大の長期化による移動需要の減退により、レンタカー事業を中心に影響が続いてきましたが、その影響は徐々に縮小されております。新型コロナウイルス感染症の収束時期を正確に予想することは困難な状況ですが、業績への影響の極小化に努めてまいります。また、半導体の調達を含めたサプライチェーンの問題による新車供給遅延の影響についても、注視を継続してまいります。

 

 


 

 

③ スペシャルティ事業

スペシャルティ事業を取り巻く環境は、新型コロナウイルス感染症による影響の長期化や2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻を受け、不確実性が増しております。一方で、カーボンニュートラルの実現に向けたESG/SDGsの世界的な動きが加速する等、ビジネスの機会も増加しており、当事業の発展に向けて明るい兆しとなっております。

このような状況下、パートナー企業との協業によるシナジー創出を推進し、社会的意義が深く付加価値の高いビジネス創出を引き続き目指してまいりました。当連結会計年度には、株式会社アドバンテッジパートナーズとの共同投資第二号案件である昭和電工マテリアルズ株式会社の蓄電デバイス・システム事業のカーブアウトや、IHGホテルズ&リゾーツとの協業第二号案件であるホテルインディゴ軽井沢の開業などの事業を通じて、CO 2 削減や地域再生への貢献を進めてまいりました。また、富山市公設地方卸売市場再整備事業や、NTTアノードエナジー株式会社、三井住友信託銀行株式会社と共同組成した再生可能エネルギーファンドの進捗等により、脱炭素社会実現への貢献並びに、地域創生を推進する枠組みを構築いたしました。

しかしながら、Aviation Capital Group LLCを中心とする航空ビジネスは、航空旅客需要の減退に伴う航空会社の業績低迷やロシア・ウクライナ情勢等を背景に、引き続き厳しい事業環境に直面しております。ロシア・ウクライナ情勢に関しては、当社はその影響を最小限にすべく、保険会社に対する請求権の行使や、リース機体の確保、債権の回収など適切な対応を進めております。一方で航空需要については欧米を中心に徐々に回復の傾向が見られており、当社航空ビジネスを早期に成長戦略の軌道に戻すべく、エアバス社に次世代航空機の発注を行うなど、事業基盤強化の布石を着実に打つ年度となりました。今後も業界及び顧客動向を注視しながら、事態収束後のビジネス展開並びに新たな収益機会の創出に向けた準備を継続してまいります。

今後のスペシャルティ事業の成長のためには、ポートフォリオ・マネジメント、ガバナンス強化、組織・人事制度のグローバル・スタンダード化並びに人材開発が、引き続き重要な課題であると認識しております。こうした課題を解決しながら不確実な事業環境にも対応できるレジリエントな組織づくりを進め、パートナー企業、お客さまとの関係を一層深めることで社会的要請に応え、持続可能な社会の実現に引き続き貢献してまいります。

 

 


 

 

④ 国際事業

国際事業を取り巻く環境は、5GやIoTといった新しいデジタル技術の普及が進み、関連投資の増加及び情報セキュリティニーズが高まっております。また、ウィズコロナに伴うテレワークの定着化やeコマース市場の拡大等により新たな需要も発生しております。

このような状況下、新たなニーズに対応すべく、世界30カ国以上に拡がるグローバル拠点網と各国優良企業とのアライアンスを生かして事業基盤の拡大と深化に取り組んでまいります。IT機器におけるFMV(Fair market value)リースやリース満了後のITADサービス(コンプライアンスに準拠したIT資産の適切な処分)等のライフサイクルマネジメント事業拡大への取組みを継続して進めております。また、グローバルベースでの自動車ファイナンス・サービス事業にも注力するとともに、米国においては中小型トラックや特殊車両などのディーラー事業を展開し、販売からファイナンスまでワンストップサービスを提供してまいります。

世界的な環境意識の高まりに対して、地球温暖化対策や日本メーカーの低炭素技術の拡大サポート、パートナー国の経済発展に貢献できるJCM(二国間クレジット制度)事業を推進いたします。当社はJCMの代表事業者を務めており、2020年にスタートしたJCMエコリース事業制度の第1号案件を含む10件のCO2排出削減プロジェクトが環境省に採択されました。今後も同事業を推進し、循環型経済社会の発展に貢献してまいります。

新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、地政学リスクが高まる中、世界的に不確実性が高い状況が継続しております。経済・政治動向や金利・為替の急激な変動等が注視すべき課題となっております。リスクマネジメントに細心の注意を払い、商品・サービスを差別化して提供するソリューションプロバイダーを目指し、社員のプロフェッショナル化を促すとともに、多様な人材の登用や育成を通じて従業員のエンゲージメント向上を図ってまいります。

 

 


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