業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当期における当企業グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当期における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が促進され、感染者数の減少傾向が見られたことから、景気は回復基調に向かいました。一方で、ウクライナ情勢に起因する原材料価格の高騰や、国内外の金融政策に伴う為替変動が企業の収益力に大きな影響を及ぼす可能性が懸念されており、2022年3月末の日経平均株価は2021年3月末と比較し4.7%下落しました。

このような経済環境下において、当社の当期における連結業績は収益(売上高)が前期比41.1%増の7,636億円、税引前利益は同194.0%増の4,127億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は同352.4%増の3,669億円となり、各項目で創業以来の過去最高を更新しました。なお、新生銀行の連結子会社化に伴い生じた負ののれん発生益等や2022年1~3月分の新生銀行の連結業績を除いた当期の連結業績(参考値)については、収益(売上高)が前期比29.1%増の6,987億円、税引前利益は同42.6%増の2,001億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は同60.5%増の1,301億円となりました。

事業別では、金融サービス事業は、当第3四半期より新生銀行を当セグメントに含め負ののれん発生益2,638億円を計上したこと等により収益、税引前利益ともに過去最高を更新しました。アセットマネジメント事業も、投資先未上場銘柄における評価益及び売却益が寄与したほか、韓国のSBI貯蓄銀行も過去最高の通期業績を達成したことから、収益、税引前利益ともに過去最高を更新しています。バイオ・ヘルスケア&メディカルインフォマティクス事業は、持分法適用関連会社であるメディカル・データ・ビジョンの株価下落に伴い、約94億円の評価損を計上したことが要因となり、前期比で税引前損失が32億円拡大しました。

 

報告セグメントごとの業績は次のとおりであります。

なお、従来「アセットマネジメント事業」に含めていたSBIエステートファイナンス株式会社及びSBIギャランティ株式会社を、当期の第2四半期より「金融サービス事業」に含めております。このため、前期についても当期のセグメント構成に合わせて組み替えております。また、株式会社新生銀行を当期の第3四半期より「金融サービス事業」に含めております。

 

 

収益

 

税引前利益

 

前期

 

当期

 

前期

 

当期

 

百万円

 

百万円

 

百万円

 

百万円

金融サービス事業

314,159

 

396,179

26.1

 

86,386

 

282,924

227.5

アセットマネジメント事業

205,871

 

317,831

54.4

 

84,188

 

165,962

97.1

バイオ・ヘルスケア&メディカル

インフォマティクス事業

5,627

 

9,920

76.3

 

(8,630)

 

(11,845)

525,657

 

723,930

37.7

 

161,944

 

437,041

169.9

その他

21,733

 

44,293

103.8

 

(10,562)

 

(11,990)

消去又は全社

(6,245)

 

(4,605)

 

(11,002)

 

(12,327)

連結

541,145

 

763,618

41.1

 

140,380

 

412,724

194.0

(%表示は対前期増減率)

 

(金融サービス事業)

証券関連事業、銀行業、保険事業を中核とした多様な金融関連事業を行っております。

当期における収益は396,179百万円(前期比26.1%増加)、税引前利益は282,924百万円(同227.5%増加)となりました。これは主に、株式会社新生銀行を、当期の第3四半期より「金融サービス事業」に含めたことに伴い、負ののれん発生益を263,847百万円計上したこと等の要因によるものであります。

 

(アセットマネジメント事業)

国内外のIT、フィンテック、ブロックチェーン、金融及びバイオ関連のベンチャー企業等への投資に関する事業、海外における金融サービス事業及び金融商品の情報提供等を行う資産運用サービス事業を行っております。

当期における収益は317,831百万円(同54.4%増加)、税引前利益は165,962百万円(同97.1%増加)となりました。これは主に、企業への投資において認識される「FVTPLで測定する金融資産から生じる収益」の増加等の要因によるものであります。

 

(バイオ・ヘルスケア&メディカルインフォマティクス事業)

生体内に存在するアミノ酸の一種である5-アミノレブリン酸(ALA)(※)を活用した医薬品・健康食品・化粧品の開発・販売や、がん及び免疫分野等における抗体医薬・核酸医薬の研究開発に関する事業、医療・健康情報のデジタル化や医療ビッグデータの活用を推進するソリューション・サービスの提供及び医療金融に関する事業等を行っております。

当期における収益は9,920百万円(同76.3%増加)、税引前利益は11,845百万円の損失(前期は8,630百万円の損失)となりました。

(※)5-アミノレブリン酸(ALA)とは、体内のミトコンドリアで作られるアミノ酸で、ヘムやシトクロムと呼ばれるエネルギー生産に関与するたんぱく質の原料となる重要な物質ですが、加齢に伴い生産性が低下することが知られています。ALAは、焼酎粕や赤ワイン、高麗人参等の食品にも含まれるほか、植物の葉緑体原料としても知られています。

 

なお、当期末の総資産は17,838,200百万円となり、前期末の7,208,572百万円から10,629,628百万円の増加となりました。また、資本は前期末に比べ866,163百万円増加し、1,583,258百万円となりました。

 

② キャッシュ・フロー

当期末の現金及び現金同等物残高は2,499,370百万円となり、前期末の802,702百万円から1,696,668百万円の増加となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、314,046百万円の支出(前期は178,403百万円の支出)となりました。これは主に、「税引前利益」が412,724百万円及び「顧客預金の増減」が184,308百万円の収入となった一方で、「営業債権及びその他の債権の増減」が373,371百万円の支出、「負ののれん発生益」が263,847百万円、「債券貸借取引受入担保金の増減」が165,985百万円の支出及び「営業投資有価証券の増減」が164,644百万円の支出となったこと等の要因によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、1,838,517百万円の収入(前期は82,071百万円の支出)となりました。これは主に、「子会社の取得による支出(取得した現金及び現金同等物控除後)」が、株式会社新生銀行を連結したことにより1,734,730百万円の収入となったこと等の要因によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、163,302百万円の収入(前期は210,822百万円の収入)となりました。これは主に、「短期借入金の純増減額」が257,418百万円の支出及び「社債の償還による支出」が158,994百万円となった一方で、「社債の発行による収入」が541,125百万円となったこと等の要因によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

生産及び受注の実績については、該当する情報がないため記載しておりません。また、販売の実績については、「① 財政状態及び経営成績の状況」に各セグメントの収益として記載しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当企業グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当期末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積もり

当企業グループの連結財務諸表はIFRSに準拠して作成しております。IFRSに準拠した連結財務諸表の作成において、経営者は、他の情報源から直ちに明らかにならない資産及び負債の帳簿価額について、見積もり、判断及び仮定の設定を行う必要があります。見積もり及びそれに関する仮定は、関係が深いと思われる過去の経験及びその他の要素に基づいております。実績はこれらの見積もりと異なる場合があります。

当企業グループの会計方針については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等」の「(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3 重要な会計方針」に記載のとおりであります。また、当該会計方針のうち、将来に関する仮定及び報告期間末における見積もりの不確実性の要因となる事項で、特に重要性があるものについては、「(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 2 作成の基礎 (4) 見積もり及び判断の利用」に記載しております。これらは、当期及び来期以降に資産や負債の帳簿価額に対して重大な調整をもたらすリスクを含んでおります。

 

② 当期の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当期における当企業グループを取り巻く事業環境は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が促進され、感染者数の減少傾向が見られたことから、景気は回復基調に向かいました。一方で、ウクライナ情勢に起因する原材料価格の高騰や、国内外の金融政策に伴う為替変動が企業の収益力に大きな影響を及ぼす可能性が懸念されており、2022年3月末の日経平均株価は2021年3月末と比較し4.7%下落しました。他方、インターネット金融サービス事業を取り巻く事業環境については、金融取引において少しでも有利な条件を求める消費者が増える傾向にあり、モバイル端末を含むインターネット金融サービスを活用するメリットに対する認知も引き続き拡大しているとともに、感染症対策という観点からも対面での金融取引からの移行も進んできました。同事業への異業種からの参入も増えており、競争の激化は予想されるものの、今後も引き続き成長が見込まれる市場と認識しております。

 

(金融サービス事業)

金融サービス事業の収益は、前期比26.1%増加の396,179百万円、税引前利益は前期比227.5%増加の282,924百万円となりました。

グループ最大の収益源である株式会社SBI証券では、オンラインでの国内株式取引の売買手数料引き下げ等の施策の段階的推進により、委託手数料収入が減少したものの、引受・募集・売出手数料や金融収益等が伸長した結果、営業利益は過去最高を更新しました。

また、株式会社新生銀行の連結子会社化に伴い、第3四半期に負ののれん発生益等として2,020億円を計上し、第4四半期からは同行の期間損益の取り込みを開始しています。また、持分法適用関連会社の住信SBIネット銀行株式会社も業容が順調に拡大し、経常利益は過去最高を更新しています。SBIインシュアランスグループ株式会社では保有契約件数が堅調に増加し、各項目で過去最高を達成しました。

 

(アセットマネジメント事業)

アセットマネジメント事業の収益は、前期比54.4%増加の317,831百万円、税引前利益は前期比97.1%増加の165,962百万円となりました。

IFRSに基づく保有銘柄の各期末における公正価値の変動による損益及び売却損益は、未上場銘柄において多額の評価益を計上したことが寄与し、過去最高を更新しました。また、韓国の株式会社SBI貯蓄銀行も、正常債権が順調に拡大し債権全体の延滞率も1.4%と過去最低水準となったことで過去最高の通期業績を達成し、安定的な利益源として貢献しています。なお、当事業に係る投資先企業のIPO、M&Aの実績は、国内13社・海外9社(IPO 19社・M&A 3社)の計22社となりました。

 

(バイオ・ヘルスケア&メディカルインフォマティクス事業)

バイオ・ヘルスケア&メディカルインフォマティクス事業の収益は、前期比76.3%増加の9,920百万円、税引前利益は11,845百万円の損失(前期は8,630百万円の損失)となりました。

機能性表示食品や健康食品などで5-アミノレブリン酸(5-ALA)配合の商品ラインナップを拡充するSBIアラプロモ株式会社では、コロナ禍における健康志向の高まりを受けて過去最高の売り上げを達成しました。また、SBIバイオテック株式会社は当期中に2本のパイプラインでマイルストーンを達成したことにより、マイルストーン収入を計上し通期黒字化を達成しています。一方で、持分法適用関連会社であるメディカル・データ・ビジョン株式会社の株価下落に伴い、同社株式の評価損約94億円を計上しました。

なお、米国Quark Pharmaceuticals, Inc.については、2022年2月に全株式の売却が完了しています。

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因は、「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載しております。

 

④ 戦略的事業展開について

戦略的事業展開については、「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。

 

⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

(a) 資金需要及び資金の調達源

当企業グループの事業活動における主な資金需要としては、証券関連事業における信用取引に係る顧客への貸付資金、銀行関連事業及び海外金融サービス事業における貸付資金、投資事業における投資資金等があります。これらの資金需要に対して、市場環境や長短のバランスを考慮し、銀行借入による間接金融、社債やエクイティファイナンス等の直接金融、証券会社や証券金融会社との取引、コールマネー、顧客預金の受入及び貸出金その他の資産の流動化等により資金を調達しております。

 

(b) キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フロー」に記載しております。

 

 

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