文中において将来について記載した事項は、当連結会計年度末現在において判断、予測したものであります。
Ⅰ 経営成績の状況の分析
当連結会計年度(2021年4月1日~2022年3月31日)の当社グループの経営成績の状況は、営業収益3,204百万円(前連結会計年度比13.6%減)、営業総利益1,232百万円(同3.3%増)、営業損失237百万円(前連結会計年度 営業損失163百万円)、経常損失412百万円(前連結会計年度 経常損失399百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益19百万円(前連結会計年度比42.5%減)となりました。その内訳は次のとおりです。
(a) 営業収益・営業原価内訳 (単位:百万円)
|
前連結会計年度 自 2020年4月 1日~ 至 2021年3月31日 |
当連結会計年度 自 2021年4月 1日~ 至 2022年3月31日 |
営業収益合計 |
3,709 |
3,204 |
うち 管理運営報酬等 |
122 |
117 |
うち 営業投資有価証券売却高 |
2,112 |
1,732 |
うち 組合持分利益・インカムゲイン等 |
1,450 |
1,330 |
うち その他営業収益 |
24 |
24 |
|
|
|
営業原価合計 |
2,516 |
1,971 |
うち 営業投資有価証券売却原価 |
1,199 |
887 |
うち 営業投資有価証券評価損・投資損失引当金繰入額 合計 |
199 |
160 |
うち 組合持分損失等 |
1,109 |
914 |
うち その他営業原価 |
7 |
10 |
|
|
|
営業総利益 |
1,192 |
1,232 |
(管理運営報酬等)
管理運営報酬等には、投資事業組合等の管理報酬と事務受託報酬が含まれます。管理運営報酬等の総額は、前連結会計年度に比べ減少し117百万円(同4.5%減)となりました。このうち管理報酬は、清算手続きを開始したファンドからの報酬の減少に伴い減少しました。一方、事務受託報酬は、受託ファンド数の増加等に伴い増加しました。
(投資損益)
(単位:百万円)
|
前連結会計年度 自 2020年4月 1日~ 至 2021年3月31日 |
当連結会計年度 自 2021年4月 1日~ 至 2022年3月31日 |
||||
プロジェクト 投資資産 |
プライベートエクイティ 投資資産 |
合計 |
プロジェクト 投資資産 |
プライベートエクイティ 投資資産 |
合計 |
|
営業投資有価証券売却高 (A) |
689 |
1,422 |
2,112 |
669 |
1,062 |
1,732 |
営業投資有価証券売却原価(B) |
501 |
697 |
1,199 |
521 |
365 |
887 |
実現キャピタルゲイン (A)-(B) |
188 |
725 |
913 |
147 |
697 |
845 |
営業投資有価証券評価損・ 投資損失引当金繰入額 合計(C) |
― |
199 |
199 |
― |
160 |
160 |
投資損益 (A)-(B)-(C) |
188 |
525 |
713 |
147 |
537 |
685 |
営業投資有価証券売却高は、前連結会計年度から減少して1,732百万円(同18.0%減)となりました。これに伴い、売却高から売却原価を差し引いた実現キャピタルゲインも、前連結会計年度から減少して845百万円(同7.4%減)となりました。
プライベートエクイティ投資では、営業投資有価証券売却高及び実現キャピタルゲインは、前連結会計年度から減少しました。前連結会計年度に比べて、投資金額が多額な未上場株式の売却が減少したため営業投資有価証券売却高が減少しました。一方で、投資倍率の高い上場株式の売却が増加したため、実現キャピタルゲインは減少したものの一定額を確保しました。プロジェクト投資では、前連結会計年度の主な売却はメガソーラープロジェクト2件でした。一方、当連結会計年度は、メガソーラープロジェクト1件とディストリビューションセンター1件の一部を売却しました。ディストリビューションセンタープロジェクトの売却が一部に留まったため、営業投資有価証券売却高及び実現キャピタルゲインが前連結会計年度から減少しました。
営業投資有価証券評価損及び投資損失引当金繰入額の合計は、前連結会計年度から減少し160百万円(同19.9%減)となりました。主な減少要因は、前連結会計年度に比べて、投資残高が比較的少額である投資先企業に対する引き当てが中心だったためです。
以上の結果、実現キャピタルゲインから営業投資有価証券評価損及び投資損失引当金繰入額の合計を控除した投資損益は、前連結会計年度から減少して685百万円の利益(同3.9%減)となりました。
(組合持分利益・インカムゲイン等)
営業収益のうち組合持分利益・インカムゲイン等には、当社グループが運営するプロジェクトの売電収益及び野菜の販売額等、他社が運営するプロジェクトの持分利益(売電収益を源泉としたプロジェクトの純利益や、プロジェクトの売却益)、他社が運営するプライベートエクイティファンドの持分利益、利息・配当収入、及びその他の収益が含まれています。
当連結会計年度の組合持分利益・インカムゲイン等の合計額は、前連結会計年度から減少し1,330百万円(同8.3%減)となりました。このうち、当社グループが運営するプロジェクトの売電収益や野菜の販売額等が1,157百万円(同11.8%減)を占めます。主な減少要因は、売電中のメガソーラープロジェクトの一部を前連結会計年度に売却したためです。
(組合持分損失等)
営業原価のうち組合持分損失等には、当社グループが運営するプロジェクトの売電原価及び野菜の製造原価等、他社が運営するプロジェクトの持分損失(建設中のプロジェクトのコスト等)、及び他社が運営するプライベートエクイティファンドの持分損失等が含まれています。
当連結会計年度の組合持分損失等の合計額は、前連結会計年度から減少し914百万円(同17.6%減)となりました。このうち、当社グループが運営するプロジェクトの売電原価及び野菜の製造原価等が850百万円(同3.3%減)を占めます。主な減少要因は、売電中のメガソーラープロジェクトの一部を前連結会計年度に売却したためです。
また、他社が運営するプライベートエクイティファンドの持分損失が前連結会計年度から減少し32百万円(同85.7%減)となりました。
以上の結果、営業収益は3,204百万円(同13.6%減)、営業原価は1,971百万円(同21.7%減)、営業総利益は1,232百万円(同3.3%増)となりました。
(b) 販売費及び一般管理費、営業損益
販売費及び一般管理費の合計額は、前連結会計年度に比べて増加し1,470百万円(同8.4%増)となりました。主な増加要因は、人件費の増加や営業貸付金に対して貸倒引当金を計上したためです。
これらの結果、営業損失は237百万円(前連結会計年度 営業損失163百万円)となりました。
(c)営業外損益及び経常損益
営業外収益は、前連結会計年度から減少し82百万円(前連結会計年度比10.2%減)となりました。投資事業組合運用益が減少した一方で、外貨建て資産の回収に伴う為替差益が増加しました。
営業外費用は、前連結会計年度から減少し256百万円(同21.8%減)となりました。主な要因は、借入金の残高減少に伴う支払利息の減少です。
これらの結果、経常損失は412百万円(前連結会計年度 経常損失399百万円)となりました。
(d)特別損益及び親会社株主に帰属する当期純損益
(特別損益)
特別利益は、前連結会計年度は、3件のメガソーラープロジェクトの売却に伴い固定資産売却益622百万円が発生したこと等により、合計で637百万円でした。一方、当連結会計年度は、より大規模な1件のメガソーラープロジェクトを売却し固定資産売却益836百万円が発生したこと等により、合計で936百万円(前連結会計年度比47.1%増)となりました。
特別損失は、前連結会計年度は、投資有価証券評価損25百万円が発生したこと等により、合計で29百万円でした。一方、当連結会計年度は、投資有価証券売却損107百万円が発生し合計で107百万円(同267.1%増)となりました。
これらの結果、税金等調整前当期純利益は417百万円(同100.3%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純損益)
法人税等合計については、前連結会計年度及び当連結会計年度ともに、税効果会計について適切に見積もった結果、繰延税金資産を計上しておりません。
非支配株主に帰属する当期純損益については、当社グループが運営するファンドやプロジェクトの損益のうち、当社グループ以外の出資者に帰属する部分が計上されています。当連結会計年度においては、これらのファンドやプロジェクトで利益が発生したため、393百万円の利益(同148.9%増)となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は19百万円(同42.5%減)となりました。
Ⅱ キャッシュ・フローの状況の分析
(単位:百万円)
|
前連結会計年度 自 2020年4月 1日~ 至 2021年3月31日 |
当連結会計年度 自 2021年4月 1日~ 至 2022年3月31日 |
営業活動によるキャッシュ・フロー |
1,728 |
△145 |
投資活動によるキャッシュ・フロー |
61 |
212 |
財務活動によるキャッシュ・フロー |
△1,216 |
△1,007 |
現金及び現金同等物期末残高 |
3,301 |
2,397 |
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
前連結会計年度に比べ営業投資実行に伴う支出が増加したことから145百万円の支出(前連結会計年度1,728百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
収入額が前連結会計年度から増加し、212百万円の収入(同61百万円の収入)となりました。主な要因は、投資有価証券の売却による収入が219百万円(同46百万円)に増加したためです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
長期借入金の返済により、1,007百万円の支出(同1,216百万円の支出)となりました。返済額を減額したため、前連結会計年度に比べて支出額が減少しました。
これに現金及び現金同等物に係る換算差額36百万円を加算した結果、当連結会計年度末において現金及び現金同等物の残高は903百万円減少して2,397百万円となりました。
Ⅲ 財政状態の分析
(資産)
期末残高 |
前連結会計年度末 (2021年3月31日現在) |
当連結会計年度末 (2022年3月31日現在) |
||
金額(百万円) |
引当率(%) (b)/(a) |
金額(百万円) |
引当率(%) (b)/(a) |
|
資産合計 |
25,165 |
- |
20,231 |
|
うち 現金及び預金 |
6,486 |
- |
5,666 |
|
うち 有形固定資産 |
7,852 |
- |
4,148 |
|
うち 営業投資有価証券(a) |
9,379 |
- |
9,538 |
|
うち 投資損失引当金(b) |
△1,349 |
14.4 |
△1,492 |
15.6 |
資産合計は、前連結会計年度末から減少し20,231百万円(前連結会計年度末25,165百万円)となりました。
このうち現金及び預金は、前連結会計年度末から減少し5,666百万円(同 6,486百万円)となりました。主な減少要因は、営業資産への投資実行に伴い当社単体の現金及び預金が減少したことです。なお、当該金額には、当社グループの運営するファンドに帰属する預金が含まれています。これらは各ファンドの組合契約に従い運用しなければならない資金であり、当社グループに帰属する資金と明確に分別して管理しています。当社グループに帰属する資金は、連結キャッシュ・フロー計算書の現金及び現金同等物の期末残高の2,397百万円(同 3,301百万円)となります。加えて、当社グループが展開するプライベートエクイティ投資はその事業特性上株式市場等の変動要因による影響が極めて大きく、加えて昨今の変動の激しい環境下においては合理的な業績予想が困難な事業です。そのため、プライベートエクイティ投資からの資金回収額が大きく下振れすることも想定されます。そのような状況の中、経費や利息の支払い及び借入金の返済だけでなく、将来の成長に向けた投資を確実に行うために、当社グループは常に一定の現預金残高を保有する必要があります。
有形固定資産は、主に、当社グループが運営するプロジェクトの再生可能エネルギー発電所設備、植物工場、障がい者グループホームが計上されています。大型のメガソーラープロジェクト1件の売却に伴い前連結会計年度末から大きく減少して4,148百万円(同 7,852百万円)となりました。
営業投資有価証券には、プライベートエクイティ投資資産に加え、当社が運営するプロジェクトのうち開発が初期段階のものや、他社が運営するプロジェクト投資資産が計上されています。プライベートエクイティ投資資産のうち戦略投資先へ投資を行ったことや上場株式の含み益が増加したことが主因となって、営業投資有価証券は前連結会計年度から増加し9,538百万円(同 9,379百万円)となりました。
また、投資損失引当金は、繰入を行ったことから前連結会計年度末から増加し1,492百万円(同 1,349百万円)となりました。
その結果、当連結会計年度末における引当率(営業投資有価証券の期末残高に対する投資損失引当金の期末残高の割合)は、前連結会計年度末から1.2ポイント上昇して15.6%となりました。
(負債)
負債合計は前連結会計年度末から減少して10,787百万円(前連結会計年度末 16,059百万円)となりました。
このうち借入金と社債の残高は、合計で9,521百万円(同 14,990百万円)となりました。このうち、当社単体の金融機関からの借入額は5,943百万円(同 6,950百万円)です。残額は、当社グループが運営するプロジェクトにおけるプロジェクトファイナンスと社債の残高3,578百万円(同 8,039百万円)です。
(単位:百万円)
|
前連結会計年度末 (2021年3月31日現在) |
当連結会計年度末 (2022年3月31日現在) |
借入金・社債残高合計 |
14,990 |
9,521 |
うち 当社単体借入額 |
6,950 |
5,943 |
うち プロジェクト投資におけるプロジェクトファイナンス・社債 |
8,039 |
3,578 |
当社単体の借入金については、当連結会計年度中に1,007百万円を返済したため、前連結会計年度末から減少しました。また、2022年4月には、追加で309百万円を返済し、その残高を5,633百万円に圧縮しています。今後も、将来の成長に向けた投資資金を確保した上で、当社単体の借入額を返済して参ります。
また、当社グループが運営するプロジェクトにおけるプロジェクトファイナンス・社債は、大型のメガソーラープロジェクト1件を売却したため、前連結会計年度末から残高が大きく減少しました。なお、当社グループの運営するプロジェクトにおけるプロジェクトファイナンス・社債は、プロジェクトの資産や収益のみを返済原資としているため、当社グループの財務健全性には影響を与えません。そのため、当社は、今後も当社グループの運営する再生可能エネルギー等の多様なプロジェクトにおいて、プロジェクトファイナンス・社債による資金調達を組み合わせてレバレッジを効かせた投資を行い、財務健全性を損ねることなく収益性を高めていく方針です。
(純資産)
純資産のうち自己資本は、上場株式の含み益が増加したことが主因となって、前連結会計年度末から増加し7,766百万円(同 7,328百万円)となりました。一方、総資産は前連結会計年度末から減少したため、当連結会計年度末における自己資本比率は前連結会計年度末から9.3ポイント上昇し38.4%(同 29.1%)となりました。また、純資産全体も前連結会計年度末から増加し、9,443百万円(同 9,106百万円)となりました。
Ⅳ営業活動の状況
(a)投資及び融資の状況
当社グループによる自己勘定並びに当社グループが運営の任にある、又は運営の為に必要な情報の提供を行っているファンド、並びに当社グループが運営に関わらない当社以外の第三者が運営するファンドのうち投資対象が特定されているもの等による投融資実行額及び投融資残高の内訳は以下のとおりであります。
①投融資実行額内訳(自己勘定分及びファンド勘定分)
|
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
||
社数又は件数(社・件) |
金額(百万円) |
社数又は件数(社・件) |
金額(百万円) |
|
1)地域別 |
|
|
|
|
プロジェクト投資(全て日本) |
14 |
1,445 |
19 |
1,938 |
プライベートエクイティ投資 小計 |
5 |
322 |
8 |
1,482 |
うち 日本 |
5 |
322 |
8 |
1,482 |
うち 中華圏(中国、香港、台湾)他 |
- |
- |
- |
- |
2)種類別 |
|
|
|
|
プロジェクト投資 小計 |
14 |
1,445 |
19 |
1,938 |
うち 再生可能エネルギー |
4 |
246 |
4 |
497 |
うち ヘルスケア |
5 |
452 |
8 |
219 |
うち スマートアグリ |
1 |
530 |
1 |
415 |
うち ディストリビューションセンター |
4 |
217 |
4 |
632 |
うち その他 |
- |
- |
2 |
174 |
プライベートエクイティ投資 小計 |
5 |
322 |
8 |
1,482 |
うち 戦略投資 |
2 |
214 |
3 |
359 |
うち フィナンシャル投資 |
3 |
107 |
5 |
1,122 |
投資及び融資実行額 合計 |
19 |
1,767 |
27 |
3,420 |
(注) 戦略投資とは、当社グループが投融資を行うプロジェクトにおいてパートナーとなる企業に対する投資です。フィナンシャル投資とは戦略投資以外の企業に対する投資です。
②投融資残高内訳(自己勘定分及びファンド勘定分)
|
前連結会計年度末 (2021年3月31日現在) |
当連結会計年度末 (2022年3月31日現在) |
||
社数又は件数(社・件) |
金額(百万円) |
社数又は件数(社・件) |
金額(百万円) |
|
1)地域別 |
|
|
|
|
プロジェクト投資(全て日本) |
33 |
6,088 |
43 |
6,344 |
プライベートエクイティ投資 |
88 |
6,767 |
86 |
7,440 |
うち 日本 |
48 |
3,652 |
47 |
4,510 |
うち 中華圏(中国、香港、台湾)他 |
40 |
3,115 |
39 |
2,929 |
2)種類別 |
|
|
|
|
プロジェクト投資 |
33 |
6,088 |
43 |
6,344 |
うち 再生可能エネルギー |
21 |
3,999 |
19 |
3,286 |
うち ヘルスケア |
6 |
738 |
14 |
952 |
うち スマートアグリ |
1 |
532 |
1 |
879 |
うち ディストリビューションセンター |
4 |
540 |
6 |
801 |
うち その他 |
1 |
277 |
3 |
424 |
プライベートエクイティ投資 |
88 |
6,767 |
86 |
7,440 |
うち 戦略投資 |
6 |
1,155 |
7 |
1,432 |
うち フィナンシャル投資 |
82 |
5,612 |
79 |
6,007 |
投資及び融資残高 合計 |
121 |
12,855 |
129 |
13,784 |
(注) 戦略投資とは、当社グループが投融資を行うプロジェクトにおいてパートナーとなる企業に対する投資です。フィナンシャル投資とは戦略投資以外の企業に対する投資です。
投融資実行額は、前連結会計年度から増加し27社、3,420百万円(前連結会計年度比93.5%増)となりました。投融資残高は、当連結会計年度末において129社、13,784百万円(前連結会計年度末 121社、12,855百万円)となり、前連結会計年度末から増加しました。
プロジェクト投資は、投融資実行額が前連結会計年度から増加し19件、1,938百万円(前連結会計年度比 34.1%増)となりました。主な増加要因は、メガソーラープロジェクトの既存案件への投資及びディストリビューションセンタープロジェクトの新規案件への投資額が増加したためです。投融資残高は、前連結会計年度末から増加し6,344百万円(前連結会計年度末6,088百万円)となりました。稼働済みのメガソーラープロジェクト2件を売却したため再生可能エネルギープロジェクトは残高が減少しましたが、他の種類のプロジェクト投資は投資実行に伴いそれぞれ残高が増加しました。
なお、当連結会計年度末現在において投資を行っているメガソーラープロジェクト(JAICソーラー2号投資事業有限責任組合からの投資も含む)は、売却や回収した案件を除き合計で14件(16発電所)、33.0MWとなりました。このうち、当社が出資した持分に帰属する部分は14.2MWです。また、メガソーラー以外の再生可能エネルギープロジェクトに対する投資実績は、木質バイオマス発電プロジェクトが1件、2.0MW、バイオガス発電プロジェクトが2件、1.1MW、バイオガス発電所のオペレーターが1件、風力発電プロジェクトが1件、最大25.2MWです。
プライベートエクイティ投資は、原則として、当社の自己資金を用いる場合は、経営理念に従った事業テーマに基づきプロジェクト投資のパートナー企業に対して選別的に戦略投資を行います。また、ファンドの資金を用いる場合は、ファンドの投資方針に基づいてフィナンシャル投資を行います。当連結会計年度の投融資実行額は、前連結会計年度から増加し8社、1,482百万円(前連結会計年度比360.2%増)となりました。主な増加要因は、戦略投資先へ追加投資を行ったことやフィナンシャル投資で事業承継を支援するファンドから大型の投資を実行したためです。投融資残高は、投資実行額の増加に伴って、前連結会計年度末から増加し7,440百万円(前連結会計年度末6,767百万円)となりました。
(b)IPO(新規上場)の状況
当社グループによる自己勘定並びに当社グループが運営の任にある、又は運営の為に必要な情報の提供を行っているファンドから投資を行った投資先企業の新規上場の状況は以下のとおりです。
当連結会計年度においては、当社の戦略投資先であるリニューアブル・ジャパン株式会社がIPOを実現しました。当社は近年、当社グループが投融資を行うプロジェクトにおいてパートナーとなる企業に対し投資を行うとともに、プロジェクトでの協業を通じて積極的な支援を行う「戦略投資」に注力してきましたが、その成果の一つが現れたものです。
① 新規上場(IPO)の状況(自己勘定分及びファンド勘定分)
|
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
IPO社数(国内・海外 合計) |
2社 |
4社 |
初値換算投資倍率(国内・海外 平均) |
2.3倍 |
3.7倍 |
(注)初値換算投資倍率=初値換算による保有株式の時価/保有株式への投資額(IPO時簿価残高)。なお、初値換算投資倍率の計算には株式交換等による上場株式取得分は含めておりません。
② 新規上場した投資先企業の一覧
前連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
社数 |
投資先企業名 |
上場年月日 |
上場市場(注) |
事業内容 |
本社 |
国内:2社 海外:-社 |
株式会社ファンペップ |
2020年12月25日 |
東京証券取引所マザーズ |
機能性ペプチドを用いた医薬品等の研究開発事業 |
東京都 |
クリングルファーマ株式会社 |
2020年12月28日 |
東京証券取引所マザーズ |
HGF(肝細胞増殖因子)タンパク質を用いた難治性疾患の治療薬の研究開発 |
大阪府 |
当連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
社数 |
投資先企業名 |
上場年月日 |
上場市場(注) |
事業内容 |
本社 |
国内:4社 海外:-社 |
ワンダープラネット株式会社 |
2021年6月10日 |
東京証券取引所マザーズ |
エンターテインメントサービス事業 |
愛知県 |
株式会社ラストワンマイル |
2021年11月24日 |
東京証券取引所マザーズ |
インサイドセールス等を活用した新電力、新ガス、インターネット回線等のインフラサービスの取次販売及び自社サービス「まるっとシリーズ」の提供 |
東京都 |
|
リニューアブル・ジャパン株式会社 |
2021年12月22日 |
東京証券取引所マザーズ |
再生可能エネルギー発電所開発・運営事業 |
東京都 |
|
株式会社TORICO |
2022年3月23日 |
東京証券取引所マザーズ |
コミックの全巻売り EC サイト「漫画全巻ドットコム」の運営及びマンガ・アニメ関連グッズの販売などを行う各種マンガ事業 |
東京都 |
(注)上場市場は、上場年月日時点の市場を記載しています。
(c)ファンドの状況
当連結会計年度末における当社グループが管理、運用又は投資情報の提供を行っているファンドの運用残高は、10ファンド、16,463百万円(前連結会計年度末11ファンド、16,450百万円)となりました。
当連結会計年度においては、1ファンド(ファンド総額 1,001百万円)を新規設立しました。一方で、2ファンド(ファンド総額1,678百万円)が減少しました。これに為替の変動による増加を加味した結果、ファンド総額は前連結会計年度末と同程度となりました。
①運用残高
|
前連結会計年度末 (2021年3月31日現在) |
当連結会計年度末 (2022年3月31日現在) |
||||
|
ファンド数 |
ファンド総額 (百万円) |
ファンドの 純資産額 (百万円) |
ファンド数 |
ファンド総額 (百万円) |
ファンドの 純資産額 (百万円) |
運用期間中 |
4 |
6,510 |
2,720 |
5 |
7,511 |
3,349 |
満期延長中 |
4 |
6,913 |
2,279 |
2 |
4,328 |
818 |
清算期間中 |
3 |
3,026 |
1,053 |
3 |
4,624 |
1,237 |
合計 (うち当社グループ出資額) |
11 |
16,450 (5,434) |
6,053 |
10 |
16,463 (4,953) |
5,404 |
②運用期間中のファンド(当連結会計年度末(2022年3月31日現在))
ファンド名 |
設立時期 |
ファンド満期 |
ファンド総額 (百万円) |
特徴 |
JAIC企業育成投資事業有限責任組合 |
2016年2月 |
2026年2月 |
2,000 |
主に国内のベンチャー企業を対象として、他社の運営するファンドが保有する投資証券の買い取り等、広範な投資機会を追求するファンド |
サクセッション1号投資事業有限責任組合 |
2017年6月 |
2027年6月 |
3,000 |
当社と㈱あおぞら銀行で設立した合弁会社(持分法を適用していない関連会社)が運営するファンド 日本国内の事業承継問題を抱える中小企業を投資対象とする |
JAICソーラー2号投資事業有限責任組合 |
2020年3月 |
2039年12月 |
1,359 |
稼働済みメガソーラープロジェクトを投資対象とするファンド |
北海道地域中小企業グローバル化支援投資事業有限責任組合 |
2020年4月 |
2026年12月 |
151 |
当社と㈱アジアンマーケット企画が共同で運営するファンド 北海道に所在もしくは展開している企業の海外展開支援や、インバウンド需要向け事業展開支援を行う |
AJC企業育成投資事業有限責任組合 |
2021年6月 |
2031年6月 |
1,001 |
当社と㈱あおぞら銀行で設立した合弁会社(持分法を適用していない関連会社)が運営するファンド 主に国内のベンチャー企業を対象として、他社の運営するファンドが保有する投資証券の買い取り等、広範な投資機会を追求するファンド |
(注) 1 外貨建によるファンドは、各連結会計年度末日現在の為替レートを乗じて計算した金額を記載しております。従って、運用資産の増減額には為替による影響額も含まれております。
2 ファンド総額につきましては、コミットメントベース(契約で定められた出資約束金額ベース)の金額を記載しております。
Ⅴ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
(当社グループの資金状況)
「Ⅱ キャッシュ・フローの状況の分析」に記載のとおりであります。
(借入金の状況)
「Ⅲ 財政状態の分析 (負債)」に記載のとおりであります。
(手許資金の状況)
「Ⅲ 財政状態の分析 (資産)」に記載のとおりであります。
(ファンドの状況)
「Ⅳ 営業活動の状況(c)ファンドの状況」に記載のとおりであります。
(投資活動の状況)
「Ⅳ 営業活動の状況(a)投資及び融資の状況」に記載のとおりであります。
(株主還元の状況)
「第4 提出会社の状況、3. 配当政策」に記載のとおりであります。
Ⅵ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されており、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。
当社グループの財政状態や経営成績において大きな影響があり、かつ重要な経営判断や見積りを必要とする重要な会計方針は、投資損失引当金に関する会計方針です。投資損失引当金は、投資先会社の実状を勘案して投資の損失に備える必要があると判断された場合、将来の損失見積額を計上しております。当該見積りの不確実性の内容やその変動により経営成績等に生じる影響などは、「第2事業の状況、2事業等のリスク Ⅱ営業活動に関するリスク (1)プライベートエクイティ投資に係るリスク」に記載しております。なお、新型コロナウィルス感染症の影響については、本感染症が人々の生活に与えた影響の一部は新しい生活様式として定着し、これに対応して企業の経済活動も変化していくと仮定しております。
上記の詳細は「第5経理の状況、1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
Ⅶ 上記ⅠからⅥの分析等に基づく対応及び、経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況、1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
Ⅷ 主要な販売先の状況
最近2連結会計年度の主な相手先別の売上高及び当該売上高の総売上高に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
||
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
北海道電力株式会社 |
858 |
23.2 |
745 |
23.3 |
(注)単一の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の10%以上に該当する外部顧客が、上記の他に、前連結会計年度において2社、当連結会計年度において1社ありますが、秘密保持契約を締結しているため、記載を省略しております。
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