文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループでは、私たちが創業より大切にしてきた価値観や事業活動の基礎となる考え方を表すものとして、以下の「創業の精神」「経営理念」を定めております。また、これからどのような姿を目指すのかを明確にするため、「長期ビジョン」を掲げております。
創業の精神 |
「信為萬事本(信を万事の本と為す)」 |
「信義は全てのものごとの基本である」と捉え、消費者の皆様・お取引先の皆様との 「信用」と「信頼」を第一に考え、事業に取り組む。 |
経営理念 |
「夢のある未来」「豊かな社会」の実現に貢献する |
当社の事業を通じ、すべてのステークホルダーにとって 「夢のある未来」「豊かな社会」となるよう尽力する。 |
長期ビジョン |
「アジアのコンシューマーファイナンスカンパニーとしてトップブランドを確立する」 |
当社グループは、コンシューマーファイナンスを通じて、人々の生活が豊かになるよう、グループの役職員が一体となり、これからも真摯に事業へ取り組んでまいります。
(2)中長期的な会社の経営戦略
2022年度よりスタートしました第14次中期3カ年経営計画「MOVE 70」では、当社グループの持続的成長と企業価値の向上を目指し、長期ビジョンである「アジアのコンシューマーファイナンスカンパニーとしてトップブランドを確立する」の実現に向け、経営体質のさらなる強化を図ってまいります。そして、中期経営計画「MOVE 70」では、「強みを活かした国内事業の収益基盤拡充」 「将来の成長をけん引する海外事業の収益基盤確立」「国内・海外の成長を加速する経営基盤の強化」「ESG経営の推進」という4つの「3年後のあるべき姿」を掲げ、これらの実現に向けた戦略の着実な実行により、さらなる成長拡大を図ってまいります。
(3)目標とする経営指標
2022年度を初年度とする中期3カ年経営計画「MOVE 70」で掲げた目標値は、以下のとおりです。
(億円)
連結 |
2022年度 |
2023年度 |
2024年度 |
営業収益 |
1,670 |
1,755 |
1,845 |
経常利益 |
290 |
325 |
365 |
親会社に帰属する当期純利益 |
195 |
220 |
245 |
ROE(%) |
10.6 |
10.9 |
11.3 |
(億円)
単体 |
2022年度 |
2023年度 |
2024年度 |
営業収益 |
1,405 |
1,450 |
1,495 |
経常利益 |
260 |
275 |
300 |
当期純利益 |
180 |
190 |
205 |
(4)優先的に対処すべき課題
2022年度よりスタートしました中期3カ年経営計画「MOVE 70」では、当社グループの持続的成長と企業価値の向上を目指し、長期ビジョンである「アジアのコンシューマーファイナンスカンパニーとしてトップブランドを確立する」の実現に向け、経営体質のさらなる強化を図ってまいります。
<当社グループにおける優先的に対処すべき課題>
(国内事業)
・これまで培ってきた国内営業基盤や取引基盤を活かしたさらなる収益性の向上
・デジタル技術の活用による業務プロセスや働き方の最適化を通じた生産性の向上とコスト削減
(海外事業)
・商品多角化やエリアの拡大などによる一層の競争力と収益力の強化
・事業環境の変化への対応やあらゆるリスクの低減に向けた態勢の整備と強化
(グループ全般)
・新たな商品・サービスの提供などDXによる収益の拡大
・社会のデジタルシフトをはじめ生活様式の変化に適応した働き方改革やお客さま・加盟店ニー
ズに応える商品・サービスの拡充
・グループベースでの事業機会に関するリスクの管理強化と、その実行に向けたリスクの定量化
・気候変動や環境保全、多様性や人権の尊重などあらゆる環境・社会課題の顕在化に伴う、経済
価値と社会価値の双方を実現するサステナビリティへの取り組み
環境変化や想定される機会・リスクを的確に捉え、以上の諸課題に対処すべく、中期経営計画では4つの「3年後のあるべき姿」を掲げ、これらの実現に向けた戦略の実行と各種施策への取り組みに注力してまいります。
<4つの3年後のあるべき姿と戦略>
①強みを活かした国内事業の収益基盤拡充
・クレジット事業・ファイナンス事業は、これまで培ってきた営業基盤や取引基盤を活かし、マ
ーケットニーズに応える商品と提案力の強化によるさらなる需要喚起を図るとともに、新たな
収益源の創出に向けた取り組みを加速させ、収益基盤を拡充してまいります。
・カード・ペイメント事業は、デジタルを活用したお客さま接点・加盟店接点の強化に注力する
とともに、加盟店のニーズや販売戦略に沿ったマルチ決済サービスの提供、新規アライアンス
による加盟店の拡大を通じた事業の拡充を図ってまいります。
②将来の成長をけん引する海外事業の収益基盤確立
・海外事業は、各国の情勢と各社の状況を踏まえた商品・サービスの拡充や営業エリアの拡大な
どにより競争力を一段と強化するとともに、AI・システムの活用による与信精度の向上や債権
管理体制を強化し、4カ国における収益力のさらなる強化を図ってまいります。
・各種リスクの低減に向けた内部統制の強化をはじめ、当社の各部門と海外子会社の直接的なコ
ミュニケーションの活性化を図ることにより、グループ経営管理態勢を強化してまいります。
③国内・海外の成長を加速する経営基盤の強化
・戦略的パートナーである三菱UFJフィナンシャル・グループとのデジタルを起点とした協働
ビジネスの創出によるシナジー拡大や、さらなる連携による事業基盤・財務基盤の強化を図っ
てまいります。
・デジタル技術の活用による業務プロセスや働き方の最適化を通じたさらなる生産性向上とコス
ト削減を実現するとともに、新たな商品・サービスの開発や収益拡大に寄与するデータ利活用
基盤の構築など全社的なDXを推進してまいります。
・グループベースでのリスク対比リターンの向上や、リスク管理プロセスを支える体制の構築に
よる収益力の強化など統合リスクマネジメントのさらなる推進を図ってまいります。
④ESG経営の推進
・ファイナンスサービスを通じた脱炭素化の推進や、環境負荷軽減への対応など環境保全に向け
た取り組みを強化してまいります。
・安心・安全で利便性の高いサービスの提供のほか、多様性や人権の尊重など社会課題の解決に
向けた取り組みを推進してまいります。
・コーポレートガバナンスや統合リスクマネジメントの強化など、ガバナンスの高度化を図って
まいります。
(5) 統合リスクマネジメント(ERM)への取り組み
①ERMの全体像
・持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図るべく、グループベースでのリスクマネジメン
トの高度化に取り組んでまいります。
・ERMを適切に機能させるため、収益・リスク・資本を定量化し、これらのバランスをコントロ
ールすることで、財務の健全性確保・リスク対比の収益性並びに資本効率の向上を図ります。
②資本政策の方向性
・財務の健全性確保とさらなる成長への原資となる内部留保の充実を図りながら、利益水準に見
合う安定・継続的な配当を実施いたします。中期3カ年経営計画「MOVE 70」における連結配
当性向につきましては、30%を目安として安定的な利益還元に努めてまいります。
③事業ポートフォリオマネジメントの考え方
・国内・海外事業を「収益性」と「成長性」に基づいて「正常事業」と「要改善事業」に分類
し、それぞれの対応策を検討・実行してまいります。これらの継続的なモニタリングを通じ
て、既存事業の成長を促すリソース投入や新たな事業への投資を図ります。
(6) 気候変動への取り組みとTCFDへの対応
当社グループでは、持続可能な社会の実現に向けて、事業を通じて顕在化する環境・社会課題の解決に貢献することが重要であると考えております。環境課題のなかでも、とりわけ気候変動については、お客様、加盟店などの取引先、事業活動へ深刻な影響を与える重要な課題の一つであると認識しております。現在、気候変動が財務に与える影響を分析し、開示するTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に向けた対応に取り組んでおります。
①ガバナンス
・当社グループは、『「夢のある未来」「豊かな社会」の実現に貢献する』という経営理念のも
と、「サステナビリティ基本方針」を策定し、事業活動を通じて社会課題の解決に貢献するこ
とで持続可能な社会の実現と企業価値向上に努めております。
・取締役会及び経営会議は、地球環境の保全・管理が人類共通の重要課題であることを認識
し、サステナビリティ推進室等からの定期的な報告に基づき、気候変動問題に関する重要事項
について審議し、その取り組みを監督します。
・取締役会及び経営会議のメンバーでもある経営企画担当役員を当社グループのサステナビ
リティ推進リーダーとして、事業活動や経営戦略との一体化を図りながら、サステナビリティ
にかかる取り組みを推進してまいります。
②戦略
・当社グループでは、将来の気候変動が当社事業に与える影響を検討するため、シナリオ分析に
取り組んでおります。
・シナリオ分析にあたっては、「2℃シナリオ」を含む複数の気候変動シナリオを想定し、リス
クと機会の両面から、気候変動に伴う中長期の社会環境及び当社グループ事業環境の変化につ
いて分析しております。
<リスク>
気候変動に関する政策・規制強化に伴うエネルギー調達費用の上昇や、自然災害発生によるフ
ァイナンス商品の担保価値毀損等により、当社の業績が影響を受ける可能性があります。
リスクの種類 |
リスクの概要 |
|
移行リスク |
政策及び規制 |
カーボンプライシング進行によりエネルギー価格が高騰、エネルギー調達費用が増加 |
移行リスク |
市場 |
脱炭素関連商品への不対応や対応遅延により取扱い機会が減少 |
移行リスク |
評判 |
気候変動問題への取り組み不足により当社の評判が悪化し、取引機会の喪失や人材採用難、資金調達費用が増加 |
物理リスク |
急性 |
自然災害により当社ファイナンス商品の担保価値が毀損、与信関連費用が増加 |
物理リスク |
急性 |
自然災害により自社・加盟店・提携店等において業務が中断、対策・復旧費用が増加 |
<機会>
機会として、脱炭素関連・環境配慮型商品の取扱い機会拡大が見込まれます。
機会の種類 |
機会の概要 |
製品及びサービス |
脱炭素関連設備・機材、環境配慮型商品の取扱い機会拡大 |
評判 |
積極的な気候変動問題への対応により当社の評判が向上、採用優位性確保、資金調達費用が低下 |
③リスク管理
・当社グループは、気候変動リスクが、当社経営全般に影響を及ぼしうる重要なリスクであり、
気候変動リスクが顕在化した場合、信用リスク、オペレーショナルリスクなどを中心に、当社
グループにおける各リスク・カテゴリーに波及する可能性のあるものと認識をしております。
・気候変動関連リスクについては、当社グループの「リスクマネジメント規程」のもとで、信用
リスクやオペレーショナルリスクなどと一体的にリスクを管理する態勢の整備を進めておりま
す。
④指標と目標
・ジャックスグループは、GHG排出量の削減をサステナビリティにおける最重要課題の一つとし
て認識し、中長期の削減目標を設定、排出量の削減に積極的に取り組んでおります。
<ジャックスグループのScope1,2排出量>
(単位:tCO2)
対象 |
CO2排出量実績 |
|
2019年度 |
2020年度 |
|
Scope1 |
1,728 (22%) |
1,618 (22%) |
Scope2 |
6,015 (78%) |
5,837 (78%) |
合計 |
7,743(100%) |
7,456(100%) |
Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出
Scope2:他社から供給された電力、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
<ジャックスグループの中長期GHG排出削減に向けた取り組み>
当社グループでは、改正省エネ法の特定事業者として、エネルギー使用量の年1%以上
を削減目標とし、低燃費車両の導入やコピー用紙の削減、電力等のエネルギー利用削減に取り
組んでまいりました。今後は、2050年ネットゼロに向け、更なるエネルギー使用量の削減、再
生可能エネルギー調達への切り替えによる排出量削減に取り組んでまいります。
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