文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営環境の概況
当連結会計年度における世界経済は、引き続き新型コロナウイルスやその変異株の感染拡大と経済活動正常化の舵取りとの間で困難な状況が続きました。更に、米国の金融政策と金利動向、ロシアによるウクライナ侵攻、中国における新型コロナウイルス感染拡大などの諸問題の先行き不透明感に対して神経質な展開が続きました。足元は、金融政策の方向性や上記のような諸問題への警戒感も燻り、依然として予断を許さぬ状況が継続しておりますが、ウィズコロナの経済活動正常化に伴って世界経済は徐々に再度の成長局面へと回帰していく事が期待されます。
このような環境下、国内株式市場において、日経平均株価は期初29,441.91円で始まりました。堅調な米国株式市場などを背景に日経平均株価は上昇し、4月6日に30,208.89円を付けました。その後、新型コロナウイルスのデルタ株の感染拡大や米国金融緩和縮小などが懸念され日経平均株価は下落し、8月20日に26,954.81円を付けました。
その後は菅首相が自民党総裁選への不出馬を表明したことをきっかけに日経平均株価は上昇、9月14日には高値30,795.78円を付けました。しかし新型コロナウイルスのオミクロン株の感染拡大などが懸念され日経平均株価は下落し、12月3日に27,588.61円を付けました。
年明け後は米国金融政策の引き締め前倒し観測やロシアのウクライナ侵攻を受け、日経平均株価は3月9日に安値24,681.74円まで売られる場面がありました。その後は米国金融政策への不透明感が和らいだこと等や円安の進行を背景に買い戻され、3月末の日経平均株価は27,821.43円で取引を終了しました。
米国株式市場においては、主要株価指数であるダウ工業株30種平均は期初33,054.58米ドルで始まり、景気回復への期待感や堅調な企業決算などを背景に緩やかな上昇基調が続きました。11月から12月半ばにかけては、新型コロナウイルスのオミクロン株の感染拡大や金融政策正常化前倒し観測により、ダウ工業株30種平均は不安定な値動きとなりました。年明け後は12月のFOMC議事録公表以降、金融引締め懸念の高まりから調整色が鮮明となり、2月24日にはロシアのウクライナ侵攻をうけ一時32,272.64米ドルまで売られる場面もありました。その後も資源高への懸念などから軟調に推移しましたが、3月15日以降は期末のリバランス等から戻りを試す展開となり、3月末にダウ工業株30種平均は34,678.35米ドルで取引を終了しました。
当社が注力している中国・香港株式市場において、主要株価指数であるハンセン指数は期初28,594.55ポイントで始まりました。ストックコネクト取引を通じた中国本土からの継続的な資金流入が支えとなったものの、米中関係の先行き不透明感や中国大手不動産企業の債務問題、中国政府によるネット企業への相次ぐ規制強化などが上値を抑えました。年明け直後は確りとなる場面も見られましたが、2月24日のロシアのウクライナ侵攻による警戒感の台頭に新型コロナウイルスのオミクロン株の感染拡大による都市封鎖への懸念なども重なって、ハンセン指数は3月15日に2016年2月以来の安値水準となる18,235.48ポイントを付けました。その後は中国政府の政策対応への期待から値を戻し、3月末のハンセン指数は21,996.85ポイントで取引を終了しました。
なお、当社グループは、第3四半期までは堅調に推移しましたが1月以降、ロシアによるウクライナ侵攻等を受け、投資マインドが低下したことにより外国証券や投資信託の収益が減少したため、前連結会計年度と比べ営業収益等は減少しました。将来において新型コロナウイルスの感染拡大は、経済活動の停滞、投資家マインドの後退による市場環境の悪化やお客さまへの訪問の制限等、業績に影響を与える可能性がありますが、当社グループは、感染症対策の充実やワクチンの開発等を通して、この影響は限定的であると考えております。ただし、固定資産の減損及び繰延税金資産の計上の前提となる将来収支計画の見積りに関しては、将来の不確実性等一定の影響を考慮して算定しております。
(2)中期的経営ビジョン
対面リテール証券の経営環境は、人口減少・顧客の高齢化、また、近時は新型コロナウイルスの感染拡大や地政学上のリスクの発生、インフレの進行等により、金融市場におけるアドバイスのニーズも高まっており、ビジネスチャンスも広がっております。
このような環境下、当社は、2020年4月より外部機関の意見も踏まえ、第六次中期経営計画(5カ年計画)「もっと ずっと...ともにTO YOU 」をスタートさせました。目指すべき将来像として、世代を超えて信頼され、資産運用・資産形成のアドバイザーとして選ばれる「スーパー・リージョナル(地域密着型)・リテール証券会社」を掲げ、お客さまロイヤルティを追求した営業スタイル改革により、これまで以上に「お客さま本位」の経営で顧客基盤を拡充し、持続的な成長モデルへの進化を目指します。
(3)戦略骨子・施策概要
第六次中期経営計画では、お客さまごとにカスタマイズした営業スタイル改革を実現し、お客さまのロイヤルティ向上につなげ、持続的成長が可能なビジネスモデルの確立を目指してまいります。また、働き甲斐のある職場環境や人事評価などにより従業員満足度を上げ、質の高い顧客サービスの実現につなげてまいります。
<基本方針>
・「もっと」これまで以上にお客さまから信頼され、「もっと」頼りにされる存在に
・「ずっと」次世代までも末永く
・「ともに」お客さま、ご家族さま、地域の方々と「ともに」歩む存在に
<重点施策>
・ お客さまへの付加価値提供
付加価値戦略…お客さまニーズの把握、ニーズに合った付加価値提案など
・ お客さまとの接点の多様化
チャネル戦略…マルチチャネルの活用、地域特性を踏まえた営業店体制、IFA事業の展開など
・ 組織・人材基盤の強化
業務戦略…営業店・本社の効率化、顧客対応時間の捻出、コスト効率化など
組織戦略…本社の支援機能強化・再構築配置・不動産賃貸業の開始
人材戦略…業績評価・人事評価、人材育成・人材配置など
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