業績

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、国内における雇用環境の改善、企業の設備投資の増加等を背景に、緩やかな回復基調が続いていたものの、米国等における通商問題、英国のEU離脱等の海外経済動向に加え、2020年2月に入ってからの世界的に広がる新型コロナウイルス感染拡大による状況から先行き不透明な状況が一段と強まりました。

当社グループを取り巻く環境について、主要顧客である証券会社においては、個人向け委託手数料の減少等による厳しい収益環境の中、顧客の高齢化、次世代投資家の取り込みといった課題や、業界再編、新たなテクノロジーの導入といった動きが進んでおります。また、地域金融機関においては、長引く低金利環境下での非金利収入の確保が急務となっております。さらに、FinTechに代表される新興系金融企業においては、ビジネスが拡大する段階で急増する事務作業の効率化やコンプライアンス対応等が課題となっております。

このような状況の下、当社グループは、2018年4月より「証券業の共同インフラ会社」構想をより一層具体的にすることを目的として、「クオリティファーストの徹底」「デジタライゼーションの推進」「統合BPOソリューションサービスの提供体制の整備」「統合BPOソリューションサービスの拡充・展開」の4つを重要経営課題とする五カ年計画「DCT2022」(2018年度~2022年度)をスタートさせております。

当社グループは、この「証券業の共同インフラ会社」構想の具体化を進めることで、証券会社から銀行・新興系金融企業までの幅広い金融分野のお客様に対し、それぞれの業態ごとに標準的なプラットフォームを構築し、お客様のニーズや業態に合わせて最適なソリューションを提供してまいります。

当連結会計年度においては、前連結会計年度から引き続き、地銀系証券会社向けBPOサービス「Dream-S&S」や総合証券会社向けBPOサービス「Dream-US」に注力しているほか、バックオフィス業務において、e-KYCや画像審査などオンラインでの本人確認の体制を整備し、電子化対応を開始しました。また、当社の連結子会社である株式会社DSB情報システムが提供する売買審査管理システム「Dream-TIMS」において、高度なクラウド環境を利用したクラウド版「TIMS-CE」やマネー・ロンダリング対策(AML)としてのモニタリング機能をオプション搭載して提供を開始しております。さらに、最新のデジタル技術を組み合わせたソリューションとして、人工知能(AI)を活用し証券取引市場において相場操縦などを検知し売買審査業務の効率化を実現できる機能、電子サインを使用した相続プラットフォームサービス「D-SIGN」など新たなサービスの提供開始に向けて順次取り組みを進めております。

また、新型コロナウイルス感染症の影響について、当社グループの主要顧客である証券会社においては業務が継続され、当社グループはトータルソリューションサービスの提供を行っていることから、現時点におけるその影響は僅少であると考えております。

当連結会計年度の経営成績につきましては、ITサービス事業を中心として新規顧客の獲得および新規案件の受託等により、営業収益は203億59百万円(前連結会計年度比8.0%増)、業務体制の見直しを実施し、適切なコスト管理に取り組んだこと等により、営業利益12億21百万円(前連結会計年度比47.4%増)、経常利益は12億86百万円(前連結会計年度比45.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は10億66百万円(前連結会計年度比17.4%増)となりました。

 

セグメント別の状況は、以下のとおりであります。

当連結会計年度から、報告セグメントに含まれていた「金融事業」について、融資残高が減少したこと等により、量的な重要性が乏しくなったため、「その他」の区分として記載する方法に変更しており、以下の前連結会計年度比較については、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。

 

(バックオフィス事業)

バックオフィス事業におきましては、新規顧客の獲得等により、営業収益は97億86百万円(前連結会計年度比4.0%増)、業務体制の見直しを実施し、適切なコスト管理に取り組んだこと等により、セグメント利益(営業利益)は4億93百万円(前連結会計年度比84.0%増)となりました。

 

ITサービス事業

ITサービス事業におきましては、新規顧客の獲得および新規案件の受託等により、営業収益は87億57百万円(前連結会計年度比10.7%増)、セグメント利益(営業利益)は2億52百万円(前連結会計年度比30.5%増)となりました。

 

証券事業

証券事業におきましては、株式市況が低調に推移したものの前年度に獲得した顧客の寄与等により、営業収益は15億60百万円(前連結会計年度比10.8%増)、セグメント利益(営業利益)は3億39百万円(前連結会計年度比33.8%増)となりました。

 

その他

上記3つ以外の事業セグメントとして、金融事業等があります。当連結会計年度においては、営業収益は2億55百万円(前連結会計年度比106.4%増)、セグメント利益(営業利益)は49百万円(前連結会計年度比4.7%減)となりました。

 

(2) 財政状態の状況

当連結会計年度末における資産合計は413億22百万円で、前連結会計年度末に比べ10億80百万円増加しました。これは主に、預託金、預け金、信用取引貸付金が減少したものの、現金及び預金が増加したことによるものです。また、負債合計は164億87百万円で、前連結会計年度末に比べ4億27百万円増加しました。これは主に、信用取引借入金が減少したものの、信用取引貸証券受入金、有価証券貸借取引受入金、退職給付に係る負債が増加したことによるものです。純資産合計は248億34百万円で、前連結会計年度末に比べ6億52百万円増加しました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は176億3百万円となり、前連結会計年度末より60億67百万円増加しました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は次のとおりであります。

 

営業活動によるキャッシュ・フロー

53億61百万円の資金の増加(前連結会計年度は28億68百万円の資金の増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益13億34百万円、減価償却費5億47百万円、預託金の減少額9億20百万円、信用取引資産の減少額17億92百万円、有価証券担保借入金の増加額7億28百万円により資金が増加したことによるものであります。

 

投資活動によるキャッシュ・フロー

10億52百万円の資金の増加(前連結会計年度は17億80百万円の資金の減少)となりました。これは主に、有価証券の取得による支出27億7百万円、無形固定資産の取得による支出4億93百万円があったものの、有価証券の償還による収入24億円、預け金の減少額20億円により資金が増加したことによるものであります。

 

財務活動によるキャッシュ・フロー

3億46百万円の資金の減少(前連結会計年度は2億7百万円の資金の減少)となりました。これは主に、自己株式の取得による支出90百万円、配当金の支払額2億51百万円により資金が減少したことによるものであります。

 

(4) 生産、受注及び販売の実績

当連結会計年度における営業収益をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

営業収益(百万円)

対前年同期比(%)

バックオフィス

9,786

4.0

ITサービス

8,757

10.7

証券

1,560

10.8

その他

255

106.4

合計

20,359

8.0

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 最近2連結会計年度の主な相手先別の営業収益および当該営業収益の総営業収益に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

営業収益(百万円)

割合(%)

営業収益(百万円)

割合(%)

株式会社野村総合研究所

2,081

11.0

2,922

14.4

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

( 5) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債および収益・費用の報告金額ならびに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績および現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性を伴うため、これらの見積りと異なる場合があります。

連結財務諸表の作成のための重要な会計基準等は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項」の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載しておりますが、特に以下の会計上の見積りが重要なものと考えております。

繰延税金資産について

当社グループは、将来の課税所得を合理的に見積もり、回収可能性を判断した上で繰延税金資産を計上しています。将来の課税所得は過去の業績等に基づいて見積もっているため、税制改正や経営環境の変化等により課税所得の見積りが大きく変動した場合等には、繰延税金資産の計上額が変動する可能性があります。

繰延税金資産の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項」の(税効果会計関係)をご覧ください。

 

なお、新型コロナウイルス感染症につきましては、一定期間で感染拡大が抑制され収束に向かい、経済活動は正常化されると想定しております。当社グループは、会計上の見積りを行うにあたり、上述の想定を用いておりますが、現時点において連結財務諸表に影響を与える事項は認識しておりません。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループは、「証券業の共同インフラ会社」構想をより一層具体的かつ計画的に進めていくため、五カ年計画「DCT2022」を策定し、以下の4つの経営課題に取り組んでおります。

 

a.クオリティファーストの徹底

クオリティファーストを徹底し、業務の分析および改善の提案を積極的に行う企業風土を醸成することで業務品質の維持・向上を図ります。

 

b.デジタライゼーションの推進

当社グループのBPO・ITOの知見を活かし、主体的に自らの受託業務のデジタル化を推進することにより、生産性の向上、付加価値の創造を図り、BPOの高度化を目指します。

また、この知見をお客様に提供することを目指します。

 

c.統合BPOソリューションサービスの提供体制の整備

当社グループの持つ各ソリューションをワンストップで提供する体制を整備いたします。

 

d.統合BPOソリューションサービスの拡充・展開

お客様の業態やニーズに合わせた統合BPOソリューションサービスを提供いたします。

 

五カ年計画「DCT2022」の二年目となる2019年度(2020年3月期)の経営成績につきましては、ITサービス事業を中心として新規顧客の獲得および新規案件の受託等により、営業収益は203億59百万円(前連結会計年度比8.0%増)、業務体制の見直しを実施し、適切なコスト管理に取り組んだこと等により、営業利益12億21百万円(前連結会計年度比47.4%増)、経常利益は12億86百万円(前連結会計年度比45.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は10億66百万円(前連結会計年度比17.4%増)となりました。

 

③ セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

セグメントごとの経営成績の状況については、「(1) 経営成績の状況」に記載しております。

 

(6) 資本の財源および資金の流動性

当社グループの資金需要のうち主なものは、営業活動に必要な運転資金(人件費、支払手数料等)、信用取引貸付金および営業貸付金となります。

当社グループは、事業の安全かつ安定的な遂行を行うための手元流動性の確保を基本方針としております。当連結会計年度末において十分な現金及び預金を保有していることから、将来の予測可能な資金需要に対して不足が生じる事態に直面する懸念は少ないものと認識しております。

市場環境の一時的な変化や、不測の事態が発生した際に備え、手元流動性の適当な残高維持や金融機関取引の分散を図っております。

 

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