業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当事業年度のわが国経済においては、新型コロナ感染が拡大と収束を繰り返す中、経済活動抑制策が維持されたことを受けて個人消費の停滞が続きました。また供給サイドでは、部品・部材不足から自動車業界を中心に生産縮小の動きが拡大しました。その結果、日本経済は四半期毎にプラス成長とマイナス成長を交互に継続するなど、景気正常化の遅れが顕著となりました。足元では、商品価格の上昇や円安等による物価高の影響が不安視されています。

海外経済は、「ウィズ・コロナ」の政策の下で一定以上の経済活動を維持、回復基調を継続しました。そうしたなか、足元ではインフレが大きな問題となっており、これに対抗するために各国中銀が金融引き締めを積極化させつつある点は、今後の不安材料と言えそうです。

国内株式市場では、4月に29,400円台で始まった日経平均が新型コロナ感染拡大等を受け夏場にかけて弱含み、8月には一時27,000円を割り込みました。その後、9月初めの菅首相(当時)の退陣表明を機に急反発し、同月中旬には一旦30,000円台を回復したものの、岸田新総裁の誕生を機に成長・改革への期待感が後退、日経平均はその後年末にかけて28,000円台を中心とするボックス相場を継続しました。年明け以降は、米金利上昇やウクライナ情勢の悪化等を受けて下落基調が継続、3月初旬には一時25,000円を下回りました。その後は反発したものの、最終的に27,800円台で当事業年度を終えています。4~3月の東証1部の1日当たり平均売買代金は3兆1,687億円となり、前年同期の2兆8,091億円を上回りました。

米国株式市場では、4月に33,000ドル近辺で始まったダウ平均が、景気正常化を背景に概ね上昇基調を継続しました。9月にやや大きな調整はあったものの、10月には好決算を材料に再度上値を追う展開となり、11月初旬には過去最高値となる36,500ドル台を付けました。その後、同月終盤の新型コロナ変異種(オミクロン株)検出の報道を受け、ダウ平均は一時34,000ドル近辺まで下げたものの、景気正常化シナリオが崩れない中、年末にかけて反発、年明け4日には最高値を36,799.65ドル(終値ベース)まで伸ばしました。その後はFRB(米連邦準備制度理事会)のタカ派化や、ウクライナ情勢の悪化などを背景に一時32,200ドル台まで下落しましたが、悪材料織り込み後は反発に転じ、最終的に34,600ドル台で当事業年度を終えています。

このような状況のもと、当社は地域に密着した対面による営業をビジネスの柱とし、中長期的に成長が見込まれる国内株式、米国株式および投資信託のほか、新たに仕組債の取扱いを始めるなど、商品ラインナップの拡充を図っております。また、お客様の利益の最大化と堅実な資産形成を実現していただくため、お客様のニーズに合わせた商品の提案営業を推進するなど、お客様本位の業務運営を実現しつつ、新型コロナ感染への対策に十分留意しながら営業展開しております。

この結果、当事業年度の財政状態および経営成績は、以下のとおりとなりました。

1)財政状態

当事業年度末の総資産は、2021年3月末(以下、前事業年度末)に比べ2億56百万円減少し97億円、負債は、前事業年度末に比べ3億59百万円減少し22億51百万円、純資産は、前事業年度末に比べ1億2百万円増加し74億49百万円となりました。

2)経営成績

当事業年度の業績は、営業収益28億64百万円(前期比5.8%減)、純営業収益28億47百万円(同6.1%減)、営業利益4億2百万円(同29.6%減)、経常利益4億52百万円(同25.5%減)、当期純利益2億88百万円(同30.1%減)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

現金及び現金同等物の当事業年度末の残高は、前事業年度末に比べ1億30百万円減少し38億56百万円となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、2億34百万円の支出(前期は4億84百万円の支出)、投資活動によるキャッシュ・フローは、3億4百万円の収入(前期は9億7百万円の収入)、財務活動によるキャッシュ・フローは、1億99百万円の支出(前期は1億19百万円の支出)となりました。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

①当期における経営の重点施策と成果

あらゆる分野で急速に広がりつつあるAI・IoTなどの第4次産業革命、少子高齢化による社会構造の変化、「貯蓄から資産形成へ」に向けた証券政策の進展等、証券市場を取り巻く環境は大きく変化しつつあります。

当社では、これらの変化を、対面営業の強みを活かす機会と捉え、「お客様に選ばれる証券会社」をめざし、地域に密着したお客様本位の業務運営に取り組んでまいりました。具体的には、お客様への対応力(情報提供力と相談機能)の一層の充実強化、中長期の視点から少額で始められる積立投信の口座拡大などの取り組みを進めてまいりました。

これまで、中長期で成長の見込まれる第4次産業革命およびゲノム関連を中心とした米国株式、国内株式および投資信託の提案営業を継続的に進めてまいりましたが、2月から3月にかけて、ウクライナ情勢の悪化など、厳しい環境となりました。このような状況下、仕組債の取扱いを始めるなど商品ラインナップの拡充を図り、力を入れてきた含み益営業についても一部実現益を享受してもらうなど、市場に合わせた提案営業に取り組んでまいりました。今後、関係会社である東海東京調査センターと協調して、お客様の資産運用・財産形成に役立てていただくための投資情報の提供に努めてまいります。

また、お客様に適切な助言を行うためには、高い専門性が求められることから、全社員に対してFP資格および相続診断士資格取得を進めております。

 

②重要な会計方針および見積り

当社の財務諸表は、わが国において、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この財務諸表の作成にあたりまして、投資有価証券の評価、金融債権にかかる貸倒引当金、繰延税金資産の回収可能性、固定資産の減損処理などの資産・負債および収益・費用の状況に影響を与える見積りおよび判断については、過去の実績やその時点において入手可能な情報に基づいた合理的と考えられる要因を考慮した上で行っております。多くの不確実な要素が存在する状況において、もっとも適切と考えられる前提条件、情報を通じて実施しておりますが、前提となる客観的な事実や事業環境の変化などにより、見積りと将来の実績が異なる場合があります。

なお、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う影響は、収束時期の見通しが依然困難な状況にあるものの、当社の事業活動および業績への影響は限定的であることから、この財務諸表の作成における重要な会計上の見積りおよび判断の変更は見込んでおりません。

 

③財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析

1)財政状態

(ⅰ)資産

当事業年度末の総資産は、2021年3月末(以下、前事業年度末)に比べ2億56百万円減少し97億円となりました。これは主に、「約定見返勘定」が4億54百万円減少、「信用取引資産」が3億61百万円減少、「投資有価証券」が3億5百万円減少、「現金・預金」が1億30百万円減少、「トレーディング商品」が7億47百万円増加、「預託金」が2億円増加したことによるものです。

(ⅱ)負債

負債は、前事業年度末に比べ3億59百万円減少し22億51百万円となりました。これは主に、「預り金」が1億32百万円減少、「未払法人税等」が1億10百万円減少したことによるものです。

(ⅲ)純資産

純資産は、前事業年度末に比べ1億2百万円増加し74億49百万円となりました。これは主に、「当期純利益」により2億88百万円増加、「その他有価証券評価差額金」により13百万円増加、「剰余金の配当」により1億99百万円減少したことによるものです。

 

2)経営成績

(ⅰ)受入手数料

当事業年度の受入手数料は、19億24百万円(前期比3.8%増)となりました。その内訳は以下のとおりであります。

(委託手数料)

「委託手数料」は、13億52百万円(同11.8%増)となりました。これは主に、株式売買高が増加したため、株式の委託手数料が12億57百万円(同7.2%増)になったことによるものです。

(引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料)

「引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料」は、3百万円となりました。これは、株式の引受手数料によるものです。

(募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料)

「募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料」は、4億4百万円(同20.5%減)となりました。これは主に、投資信託の販売手数料の減少によるものです。

(その他の受入手数料)

「その他の受入手数料」は、1億64百万円(同20.6%増)となりました。これは主に、投資信託の信託報酬の増加によるものです。

(ⅱ)トレーディング損益

「トレーディング損益」は、8億72百万円(同21.4%減)となりました。その内訳は以下のとおりであります。

(株券等トレーディング損益)

「株券等トレーディング損益」は、5億6百万円(同36.4%減)となりました。これは主に、外国株式の取引による収益が減少したことによるものです。

(債券等トレーディング損益)

「債券等トレーディング損益」は、3億65百万円(同16.8%増)となりました。これは、外貨建債券による収益が増加したことによるものです。

(ⅲ)金融収支

金融収支は、51百万円(同24.4%減)の利益となりました。これは、「金融収益」が68百万円(同11.2%減)、「金融費用」が16百万円(同90.1%増)となったことによるものです。

(ⅳ)販売費・一般管理費

販売費・一般管理費は、24億44百万円(同0.6%減)となりました。これは主に、「事務費」が24百万円減少し4億33百万円(同5.3%減)、「不動産関係費」が13百万円減少し1億64百万円(同7.5%減)、「取引関係費」が11百万円増加し2億53百万円(同4.8%増)、「減価償却費」が10百万円増加し34百万円(同44.1%増)となったことによるものです。

(ⅴ)営業外損益

営業外収益は、50百万円となりました。これは主に、「投資有価証券売却益」および「受取配当金」によるものです。

(ⅵ)特別損益

特別損益は、「金融商品取引責任準備金繰入れ」により、3百万円の損失となりました。

 

④キャッシュ・フローの状況の分析並びに資本の財源及び資金の流動性にかかる情報

1)キャッシュ・フローの状況の分析

現金及び現金同等物の当事業年度末の残高は、前事業年度末に比べ1億30百万円減少し38億56百万円となりました。

(ⅰ)営業活動によるキャッシュ・フロー

当事業年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、2億34百万円の支出(前期は4億84百万円の支出)となりました。これは主に、「税引前当期純利益」が4億49百万円、「トレーディング商品の増減額」が△7億47百万円、「法人税等の支払額又は還付額」が△2億54百万円、「預り金及び受入保証金の増減額」が△2億円、「預託金の増減額」が△2億円、「約定見返勘定の増減額」が4億54百万円、「信用取引資産及び信用取引負債の増減額」が2億87百万円であったことによるものです。

 

(ⅱ)投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動によるキャッシュ・フローは、3億4百万円の収入(前期は9億7百万円の収入)となりました。これは主に、「投資有価証券の売却による収入」が4億76百万円、「投資有価証券の取得による支出」が1億18百万円であったことによるものです。

(ⅲ)財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動によるキャッシュ・フローは、1億99百万円の支出(前期は1億19百万円の支出)となりました。これは主に、「配当金の支払額」が1億99百万円であったことによるものです。

2)資本の財源及び資金の流動性について

当事業年度末の現金及び現金同等物の残高は38億56百万円となっており、日常の運転資金としては十分な額を有しております。また、不測の事態に備えるため、当社は取引銀行6行と当座貸越契約または貸出コミットメント契約を締結しております。

なお、現在重要な資金の支出の予定はございません。

 

⑤経営指標の達成状況

当社は2019年4月に修正しました中期経営計画において、2022年3月末までに預り資産を3,200億円(そのうち投資信託残高1,000億円)に積み上げることを目標としております。当事業年度末の預り資産は1,978億円(そのうち投資信託残高331億円)となりました。

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