当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当社は、2020年10月1日付で当社を株式交換完全親会社、日産証券株式会社を株式交換完全子会社とする株式交換を実施いたしました。本株式交換は企業結合会計上の逆取得に該当し、当社が被取得企業、日産証券株式会社が取得企業となっております。このため、当社の前連結会計年度(2020年4月1日~2021年3月31日)の連結業績は、日産証券株式会社の前上期6カ月(2020年4月1日~2020年9月30日)分の連結業績に、当社の前下期6カ月(2020年10月1日~2021年3月31日)分の連結業績を合算した金額となっております。
また、以下の財政状態の状況については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項」における「(会計方針の変更)(純金&プラチナ積立(タートルプラン)の会計処理の変更)」及び「(表示方法の変更)」に記載のとおり、遡及適用及び組替後の前連結会計年度の連結財務諸表の数値を用いて説明をしております。
なお、後記「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」に掲記したとおり、当社グループの事業セグメントは、主として金融商品取引並びに商品デリバティブ取引の受託及び自己売買を行う「金融商品取引業等」の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。
① 財政状態及び経営成績の状況
イ.経済環境
当連結会計年度のわが国経済は、度重なる緊急事態宣言とまん延防止等重点措置の発令により人流が抑制されたことから、飲食、旅行、宿泊などのサービス消費が低迷しましたが、9月末に緊急事態宣言が解除されたことから10月以降のサービス消費は回復傾向となりました。しかし、オミクロン株の感染拡大により1月に再びまん延防止等重点措置が発令されたことから、製造業・非製造業ともに景況感は悪化しました。また、外国人観光客に対する入国規制が続く中、インバウンド需要はほぼゼロの状況が続きました。
金融市場では、NYダウは中国恒大集団のデフォルト(債務不履行)懸念やオミクロン株の欧米での感染拡大などにより一時的に下落する局面があったものの、好調な米国経済を背景に1月上旬まで概ね上昇基調が続きました。その後、FRBが利上げ開始を表明したことから2月末までは軟調な展開となりましたが、ロシアのウクライナ侵攻による景気後退を防止するためFRBは慎重に利上げを進めるとの観測から3月以降は底堅く推移しました。一方、日本では緊急事態宣言とまん延防止等重点措置による行動制限により日経平均株価は上値の重い展開が続いていましたが、9月初めに菅首相が退陣を表明すると、次期政権による大規模な経済対策への期待感から大きく上昇し、9月中旬には約31年振りの高値を付けました。その後は高値警戒感から軟調に推移し、ロシアがウクライナを侵攻すると各国の経済制裁による景気後退懸念から3月上旬には一時25,000円割れまで下落しましたが、米国株が持ち直したことから、3月末には28,000円台まで値を戻しました。
商品市場では、NY金先物はドル安を背景に5月には1,900ドルを超えましたが、米国の景気回復に伴い利上げ時期が早まるとの見方から下落し、2月までは概ね1,800ドルを挟んでレンジ内での推移となりました。その後、インフレへの警戒感から上昇していたところに、ロシアがウクライナに侵攻すると安全資産としての買いが殺到し、3月には2,000ドルを突破しました。WTI原油先物は、デルタ株やオミクロン株の感染拡大による需要減少懸念から一時的に下落する局面があったものの、欧米でのワクチン接種の進展によるエネルギー需要の回復期待の高まりを背景に2月まで概ね上昇基調が続きました。その後、ロシアがウクライナに侵攻すると、経済制裁の一環として米国や英国がロシア産原油の輸入を禁止したことから、3月には一時130ドル台まで上昇し、2008年7月以来の高値を付けました。
ロ.財政状態
(資産の部)
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて2,837百万円増加し、95,835百万円となりました。これは、差入保証金8,624百万円、貸付商品5,703百万円等の増加があったものの、保管預り商品4,432百万円、現金及び預金3,340百万円、投資有価証券1,808百万円等の減少があったこと等によるものであります。
(負債の部)
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べて3,390百万円増加し、82,969百万円となりました。これは、委託者先物取引差金5,254百万円、預り証拠金1,753百万円等の増加があったものの、受入保証金3,015百万円、預り証拠金代用有価証券1,107百万円等の減少があったこと等によるものであります。
(純資産の部)
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べて553百万円減少し、12,866百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益535百万円の計上、配当金の支払172百万円、その他有価証券評価差額金1,022百万円の減少等によるものであります。
ハ.経営成績
当連結会計年度における当社グループの金融商品取引の受入手数料は2,270百万円(前年同期比74.2%)、商品関連市場デリバティブ取引を含む商品先物取引の受入手数料は3,889百万円(同114.8%)となり、受入手数料の合計は6,159百万円(同95.5%)となりました。
また、トレーディング損益(株式・債券等の店頭取引に伴うトレーディング業務等によるもの)は910百万円の利益(同79.6%)、売買損益(貴金属地金取引の売買等によるもの)は22百万円の利益(同39.6%)、金融収益は78百万円(同92.9%)を計上しております。
これらの結果、営業収益は7,197百万円(同93.0%)となり、営業収益から金融費用を控除した純営業収益は7,154百万円(同93.3%)となりました。また、販売費・一般管理費につきましては、7,317百万円(同103.3%)となり、営業損失は163百万円(前年同期は580百万円の営業利益)となりました。なお、当社グループの中核会社である日産証券株式会社における当事業年度における個別業績は、営業利益669百万円、経常利益853百万円、当期純利益1,193百万円を計上するなど堅調に推移しております。
また 、受取配当金で123百万円を計上したこと等もあり、経常利益は6百万円(前年同期比0.9%)となりました。これに加えて投資有価証券売却益989百万円及び関係会社株式売却益223百万円等の特別利益を計上したほか、固定資産の減損損失185百万円及び事業再編損458百万円等を特別損失に計上したことから親会社株主に帰属する当期純利益は535百万円(同33.7%)となりました。
当社グループの当連結会計年度における営業収益の状況は次のとおりであります。
A.受入手数料
(注) 商品先物取引には、金融商品取引法に定める商品関連市場デリバティブ取引を含めております。
B.トレーディング損益及び売買損益
(トレーディング損益)
(注) 商品先物取引には、金融商品取引法に定める商品関連市場デリバティブ取引を含めております。
(売買損益)
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、投資活動による資金の獲得1,448百万円及び財務活動による資金の獲得699百万円があったものの、営業活動による資金の使用5,790百万円があり、これらにより当連結会計年度末における資金は2,681百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果使用した資金は5,790百万円(前連結会計年度は3,175百万円の獲得)となりました。これは、税金等調整前当期純利益464百万円を計上したほか、委託者先物取引差金(貸方)の増加5,254百万円、預り証拠金の増加1,753百万円等の資金増加要因があった一方で、差入保証金の増加8,912百万円、金銭の信託の増加1,600百万円等の資金減少要因があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果獲得した資金は1,448百万円(前連結会計年度は741百万円の使用)となりました。これは、投資有価証券の売却による収入1,311百万円等があった一方で、定期預金の預入による支出588百万円等があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果獲得した資金は699百万円(前連結会計年度は37百万円の獲得)となりました。これは、短期借入金の純増による収入807百万円等があった一方で、配当金の支払による支出171百万円等があったことによるものであります。
当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析は以下のとおりであります。なお、本文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ.財政状態の分析
(資産の部)
当連結会計年度末の総資産は、95,835百万円となりました。資産の主な内訳は差入保証金50,407百万円で、総資産の52.6%を占めております。
(負債の部)
当連結会計年度の負債合計は、82,969百万円となりました。負債の主な内訳は預り証拠金44,700百万円で、負債合計の53.9%を占めております。
(純資産の部)
当連結会計年度末の純資産合計は、12,866百万円となりました。
ロ.経営成績の分析
(営業収益)
当連結会計年度における当社グループの金融商品取引の受入手数料は2,270百万円(前年同期比25.8%減)、商品関連市場デリバティブ取引を含む商品先物取引の受入手数料は3,889百万円(同14.8%増)となり、受入手数料の合計は6,159百万円(同4.5%減)となりました。
また、トレーディング損益(株式・債券等の店頭取引に伴うトレーディング業務等によるもの)は910百万円の利益(同20.4%減)、売買損益(貴金属地金取引の売買等によるもの)は22百万円の利益(同60.4%減)、金融収益は78百万円(同7.1%減)を計上しております。
これらの結果、当連結会計年度の営業収益は、7,197百万円(同7.0%減)となりました。
(営業損失)
当連結会計年度における金融費用は43百万円(同41.2%減)となり、営業収益から金融費用を控除した純営業収益は7,154百万円(同6.7%減)となりました。また、販売費・一般管理費につきましては7,317百万円(同3.3%増)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の営業損失は163百万円(前年同期は580百万円の営業利益)となりました。
(経常利益)
当連結会計年度における営業外収益は、受取配当金123百万円等を計上したことにより、217百万円(前年同期比3.3%減)となりました。
営業外費用は、コンサルティング費用22百万円等を計上したことにより、46百万円(同33.8%減)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の経常利益は6百万円(同99.1%減)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における特別利益は、投資有価証券売却益989百万円、関係会社株式売却益223百万円等を計上したことにより、1,273百万円(同18.9%減)となりました。
特別損失は、事業再編損458百万円、減損損失185百万円等を計上したことにより、816百万円(同47.9%増)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は535百万円(同66.3%減)となりました。
当社グループは、より強固な経営基盤を築き上げるべく、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載いたしましたそれぞれの課題を一つ一つ着実にクリアしてまいります。
また、当社グループの経営成績に重大な影響を与える要因につきましては「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載の通りであります。
なお、新型コロナウィルスの感染拡大が当社グループの経営成績へ与える影響を正確に把握することは困難な状況にありますが、新型コロナウイルス感染症につきましては、一定期間で感染拡大が抑制され収束に向かい、経済活動は正常化されると想定しております。
ハ.キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金の残高は、短期借入金1,150百万円であります。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は2,681百万円であります。
② 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)に基づくとともに、金融商品取引業固有の事項については、「金融商品取引業等に関する内閣府令」(平成19年内閣府令第52号)及び「有価証券関連業経理の統一に関する規則」(昭和49年11月14日付日本証券業協会自主規制規則)に準拠して作成しております。また、商品先物取引業固有の事項については「商品先物取引業統一経理基準」(平成5年3月3日付、旧社団法人日本商品取引員協会理事会決定)及び「商品先物取引業における金融商品取引法に基づく開示の内容について」(平成5年7月14日付、旧社団法人日本商品取引員協会理事会決定)に準拠して作成しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
また、この連結財務諸表の作成にあたり、経営者は会計方針の選択・適用、決算日における資産・負債及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを行っております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表作成にあたって用いた重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
なお、新型コロナウイルス感染症につきましては、一定期間で感染拡大が抑制され収束に向かい、経済活動は正常化されると想定しております。現時点での当社グループへの影響は限定的ですが、今後さらに新型コロナウイルス感染拡大および、現在の状況が長期化した場合には、当社の固定資産の減損等の重要な会計上の見積りに影響を及ぼす可能性があります。
また、新型コロナウイルス感染症による経済への影響については不確実性が高く、今後の状況の変化によっては、当社グループの財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
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