(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度(以下「当期」という。)における当社グループの経営成績等の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当期における国内外の経済情勢は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に端を発する供給制約と、その後の需要回復、労働市場のひっ迫などにより、インフレが世界中で加速しました。先進国では金融政策正常化に向けた動きが本格化し、米国では連邦準備制度理事会(FRB)による資産買入れの縮小に続き、利上げが開始されました。新興国では先進国に先駆けて政策金利の引き上げが相次ぎました。また、ロシアがウクライナに侵攻し、資源や穀物など一段の物価上昇をもたらしました。
株式市場では、日経平均株価は首相交代による政策期待や新型コロナウイルス感染症新規感染者のピークアウトを受けて9月14日に30,795円の高値を付けました。その後は世界景気の回復鈍化懸念や中国不動産大手の経営危機問題などから上値を切り下げる展開となりました。2022年1月以降は、米国が早期に大幅利上げや量的引締めへ転じるとの懸念や、ロシアによるウクライナ侵攻に伴う不透明感から、日経平均株価は3月9日には24,681円の安値を付けましたが、期末にかけては値を戻し、当期末は前期末比4.7%安の27,821円で終えました。一方、米国株はインフレ加速や金利上昇を懸念しつつもじり高となり、NYダウ平均株価は1月5日に36,952ドルの高値を付けました。以降はFRBの引き締め強化観測の高まりやウクライナ危機を受けて2月24日には32,272ドルの安値を付けましたが、当期末は値を戻し、前期末比5.1%高の34,678ドルとなりました。
外国為替市場では、米国金利の上昇を背景にドルは強含みとなりました。ドル円は、じり安歩調ながらも落ち着いた動きでしたが、金利差拡大などを手掛かりに急激な円安となりました。当期末はドル円が1ドル=122.39円と6年3か月ぶりの円安水準、ユーロ円につきましても1ユーロ=136.70円と4年2か月ぶりの円安水準で終えております。
債券市場では、日本の10年国債利回りは一時0.00%まで低下しましたが、その後は国内外の物価動向や金融政策正常化の動きを反映して上昇圧力が強まり、3月には0.25%を付けました。当期末は日本銀行の買いオペもあり0.21%で終えております。
なお新興国では、地下資源の有無、政策金利、インフレ率、地政学的リスクなど国ごとの状況は異なり、中でもロシアの株価や通貨は乱高下を余儀なくされました。しかし、全体としてみると新興国の通貨はもみ合い、株価は弱含みで推移しました。
こうした環境の中、当社は、お客さまの多様なニーズにお応えするため、「特色ある旬の商品」の提供に努めました。また、株主資本の効率的運用の観点から、積極的な財務運営も行ってまいりました。その結果、当期の業績につきましては、営業収益64億92百万円(前期比72.5%)、純営業収益64億41百万円(同72.5%)、営業利益13億円(同33.2%)、経常利益18億80百万円(同42.8%)、親会社株主に帰属する当期純利益21億17百万円(同68.3%)となりました。
② 財政状態の状況
当期の資産合計は、預託金や現金・預金の減少等により、717億96百万円と前期末に比べ60億65百万円減少いたしました。
当期の負債合計は、預り金や短期借入金の減少等により、256億90百万円と前期末に比べ59億7百万円減少いたしました。
当期の純資産合計は、利益剰余金が増加した一方でその他有価証券評価差額金の減少等により、461億6百万円と前期末に比べ1億57百万円減少いたしました。
③ キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報」に記載しております。
④ トレーディング業務の状況
トレーディング商品:連結会計年度末のトレーディング商品の残高は以下のとおりです。
商品有価証券等(売買目的有価証券)
種類 |
2021年3月31日現在 |
2022年3月31日現在 |
||
資産(百万円) |
負債(百万円) |
資産(百万円) |
負債(百万円) |
|
株式・ワラント |
44 |
- |
574 |
- |
債券 |
14,149 |
- |
12,037 |
- |
受益証券等 |
856 |
- |
901 |
- |
その他 |
- |
- |
- |
- |
デリバティブ取引の契約額等及び時価
種類 |
2021年3月31日現在 |
2022年3月31日現在 |
||||||
契約額 (百万円) |
契約額の うち1年超 (百万円) |
時価 (百万円) |
評価損益 (百万円) |
契約額 (百万円) |
契約額の うち1年超 (百万円) |
時価 (百万円) |
評価損益 (百万円) |
|
為替予約取引 |
|
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|
|
|
|
|
売建 |
5,479 |
- |
△216 |
△216 |
4,775 |
- |
△261 |
△261 |
買建 |
559 |
- |
10 |
10 |
1,134 |
- |
18 |
18 |
市場リスクについては、取締役会が半期ごとにポジション・リスク限度額を各トレーディング部門に配分し、各トレーディング部門は、その範囲内で運用することとしております。リスク管理体制としては、各部門が、日々のポジション・リスク額及び損益の状況をチェックのうえ、経営陣に報告しております。更に、総合的な牽制機能として、リスク管理部が、適正な自己資本規制比率維持の観点から、全社的なリスクの状況を把握し、日々、取締役、執行役員及び監査役に報告するほか、毎月末の自己資本規制比率及びその詳細を取締役会に報告しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当期末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(経営成績の分析)
当社グループは、創立以来、「信は萬事の基と為す」を経営の基本理念として、信頼を原点としたFace to Faceのビジネスモデルと健全経営による安定的成長確保を経営の基本方針としております。この経営の基本方針のもと、当社グループを取り巻く競争環境は更に厳しくなるという認識の下、オンライン証券会社や他の中堅証券会社との差別化を図るため、当社グループは、お客さまとの直接対話を行う対面による営業スタイルを堅持しております。また、内外の証券市場で売買される金融商品の販売をその事業基盤としており、その顧客基盤や預り資産については、収益基盤の大きな柱であると認識しております。この基本戦略のもと、当社グループは、全体的な預り資産の増加を図り、顧客基盤の拡大を目指してまいりました。更に当社グループの収益の中心は、証券市場における仲介業者として得られる手数料収入等でありますが、これらは市場環境の変化の影響を大きく受けやすいものとなっております。当社グループは、自己資金を有効活用することで、市場環境に大きく影響を受けない安定した収益構造の多様化を図ってまいりました。当期における経営成績は、投資信託の販売が順調であったことから受入手数料が増加しましたが、お客さま向け外国債券販売が伸び悩んだことや自己保有債券の時価が下落したことなどから債券トレーディング損益が減少いたしました。これらの結果、前期(2021年3月期)に比べ減収減益となりました。それらの内訳及び要因は、以下のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響及び収束時期等につきましては、不確実な要素が多く、現時点において予想することは困難でありますが、今後の金融政策や新型コロナウイルス感染症の影響による企業業績の下振れなどの影響を受けるものと考えられ、当面はその動向を注視していく必要があり、そのため、金融商品取引業者の事業環境については引き続き先行き不透明であると考えております。
営業収益
当期の株式市場においては、日経平均株価は首相交代による政策期待や新型コロナウイルス感染症新規感染者のピークアウトを受けて9月14日に30,795円の高値を付けました。その後は世界景気の回復鈍化懸念や中国不動産大手の経営危機問題などから上値を切り下げる展開となりました。2022年1月以降は、米国が早期に大幅利上げや量的引締めへ転じるとの懸念や、ロシアによるウクライナ侵攻に伴う不透明感から、日経平均株価は3月9日には24,681円の安値を付けましたが、期末にかけては値を戻し、当期末は前期末比4.7%安の27,821円で終えました。これらに伴い、株式市場における売買取引は低調に推移いたしました。また、投資信託の顧客販売については、年間を通して順調に推移いたしました。その結果、当期の「受入手数料」は、19億95百万円(前期比112.3%、2億19百万円増加)となりました。その内訳は以下のとおりであります。
「株券委託手数料」は、株式市場における売買高が減少したことにより、10億70百万円(同98.1%、20百万円減少)となり、「受益証券(上場投資信託)委託手数料」を加えた「委託手数料」は、11億6百万円(同97.4%、30百万円減少)となりました。
主にアンダーライティング(引受)業務に係る手数料で構成される「引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料」は、当社が参入したIPO件数は安定的であったことから、32百万円(同175.5%、13百万円増加)となりました。
投資信託受益証券の募集・売出しの取扱手数料などによって構成される「募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料」は、受益証券(投資信託)の販売の増加により、5億94百万円(同147.2%、1億90百万円増加)となりました。
主に受益証券(投資信託)の代行手数料からなる「その他の受入手数料」は、2億62百万円(同120.4%、44百万円増加)となりました。
当期のトレーディング損益につきましては、債券等トレーディング損益が減少したことから、「トレーディング損益」は、30億30百万円の利益(同50.3%、29億97百万円減少)となりました。内訳は以下のとおりであります。
「株券等トレーディング損益」は、外国株の売買を中心に1億32百万円の利益(同141.9%、39百万円増加)となりました。
「債券等トレーディング損益」は、「多様な商品によるマーケット変化を捉えた機動的な運用提案」を行うことで、お客さまからの信頼を獲得するとともに、お客さまの投資パフォーマンスの向上を目指しましたが、お客さま向け外国債券販売が伸び悩んだこと、また、自己保有債券の時価が下落したことなどから、32億82百万円の利益(同53.6%、28億43百万円減少)となりました。
外貨建債券の為替ヘッジ目的で行っている為替デリバティブ取引を中心とした「その他のトレーディング損益」は3億84百万円の損失(前期は1億91百万円の損失)となりました。
当期の金融収益につきましては、主にトレーディング商品として保有する債券等から得られる受取債券利子や収益分配金で構成されますが、債券等の保有高が増加したことから、当期の「金融収益」は14億47百万円(前期比128.5%、3億20百万円増加)となりました。
当期の「その他の営業収入」は、19百万円(同104.8%、0百万円増加)となりました。
以上の結果、当期の営業収益は、64億92百万円(同72.5%、24億56百万円減少)となりました。
純営業収益
当期の「金融費用」は信用取引支払利息及び支払利息が減少したことにより、51百万円(前期比78.7%、13百万円減少)となりました。営業収益からこの金融費用を差し引いた当期の「純営業収益」は64億41百万円(同72.5%、24億42百万円減少)となりました。
営業損益
当期の「販売費・一般管理費」は、租税公課が減少したものの、人件費、不動産関係費等の増加により、51億40百万円(前期比103.4%、1億69百万円増加)となりました。
当期の純営業収益から販売費・一般管理費を控除した「営業損益」は、営業利益13億円(同33.2%、26億12百万円減少)となりました。
経常損益
当期の「営業外損益」は、投資有価証券の買付を行った結果、受取配当金が増加したことなどにより、「営業外収益」が7億44百万円(前期比107.2%、50百万円増加)となった一方で、外貨建投資有価証券の為替リスクをヘッジする目的で実行する為替デリバティブ取引に係る為替差損が発生したことなどにより、「営業外費用」を1億64百万円(同77.7%、47百万円減少)計上いたしました。この結果、「営業外損益」は、5億80百万円の利益(同120.2%、97百万円増加)となりました。
当期の営業利益に当該利益を加味した「経常損益」は、経常利益18億80百万円(同42.8%、25億15百万円減少)となりました。
税金等調整前当期純損益
当期の「特別利益」は、投資有価証券売却益等合計で14億29百万円(前期は1億18百万円)を、一方、「特別損失」は、投資有価証券評価損等合計で1億92百万円(前期は14百万円)を計上いたしました。この結果、「特別損益」は、12億36百万円の利益(前期は1億3百万円の利益)となりました。
当期の経常利益に当該利益を加味した「税金等調整前当期純損益」は、税金等調整前当期純利益31億17百万円(前期比69.3%、13億82百万円減少)となりました。
親会社株主に帰属する当期純損益
当期の「法人税等合計」は、法人税、住民税及び事業税の減少により、9億99百万円(前期比71.5%、3億98百万円減少)となりました。
この結果、当期の「親会社株主に帰属する当期純損益」は、親会社株主に帰属する当期純利益21億17百万円(同68.3%、9億84百万円減少)となりました。
(財政状態の分析)
当期末の財政状態は、前期末(2021年3月期)に比べ資産、負債及び純資産が減少いたしました。これらの内訳及び要因は、以下のとおりであります。
資産
当期末における「流動資産」は、522億36百万円となり、前期末に比べ52億45百万円減少いたしました。これは主に顧客預り金の分別保管を主な目的とする預託金が27億38百万円減少(当期末131億76百万円)、現金・預金が20億97百万円減少(当期末204億45百万円)したことによるものであります。
当期末における「固定資産」は、195億60百万円となり、前期末に比べ8億19百万円減少いたしました。これは主に長期純投資のために保有する投資有価証券が6億11百万円減少(当期末165億88百万円)、退職給付に係る資産が1億52百万円減少(当期末4億19百万円)したことによるものであります。
この結果、当期末の「資産合計」は、717億96百万円となり、前期末に比べ60億65百万円減少いたしました。
負債
当期末における「流動負債」は、236億44百万円となり、前期末に比べ72億66百万円減少いたしました。これは主にお客さまからの現金の預りを中心とした預り金が34億3百万円減少(当期末126億36百万円)、コールマネー等の短期借入金が25億円減少(当期末88億50百万円)するとともに、法人税、住民税及び事業税の減少により未払法人税等が7億67百万円減少(当期末3億83百万円)したことによるものであります。
当期末における「固定負債」は、20億32百万円となり、前期末に比べ13億58百万円増加いたしました。これは主に長期借入金が15億円増加(当期末15億円)したことによるものであります。
この結果、当期末の「負債合計」は、256億90百万円となり、前期末に比べ59億7百万円減少いたしました。
純資産
当期末における「純資産」は、親会社株主に帰属する当期純利益の発生により、利益剰余金が5億22百万円増加(当期末373億18百万円)した一方で、投資有価証券の時価が下落したことにより、その他有価証券評価差額金が6億80百万円減少(当期末△3億84百万円)いたしました。この結果、「純資産合計」は、461億6百万円となり、前期末に比べ1億57百万円減少いたしました。
(経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載しております。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フローの状況)
当期における営業活動によるキャッシュ・フローは、12億23百万円の使用(前期は88億40百万円の獲得)となりました。主な要因としましては、税金等調整前当期純利益(31億17百万円の獲得)及び預託金の減少(27億38百万円の獲得)が生じた一方で、顧客預り金を中心とした預り金の減少(34億3百万円の使用)及び法人税等の支払い(16億73百万円の使用)があったことによるものであります。
当期における投資活動によるキャッシュ・フローは、11億74百万円の獲得(前期は52億70百万円の使用)となりました。主な要因としましては、純投資目的で保有している投資有価証券について売却が取得を上回ったことによる増加(8億41百万円の獲得)及び償還による増加(4億56百万円の獲得)であります。
当期における財務活動によるキャッシュ・フローは、25億96百万円の使用(前期は1億16百万円の使用)となりました。主な要因としましては、長期資金の借入と返済を行ったことにより残高が増加(5億円の獲得)した一方で、配当金の支払(15億96百万円の使用)及びコールマネー等の短期借入金の返済(15億円の使用)を行ったことによるものであります。
これらの結果、当期における現金及び現金同等物は、前期末に比べ22億26百万円減少し、当期末には190億98百万円となりました。
(財務戦略の基本的な考え方)
当社グループの財務戦略の基本的な考え方は、自己資本を充実させることにより強固な財務基盤を構築するとともに、自己資本を効率的に運用することによって収益性を高め、企業価値の向上を目指すものであります。
金融商品取引業者は、その業務の性格上、自己勘定に基づいて有価証券等の保有や売買取引を行う場合があります。それら保有有価証券の価格変動リスクなどの各種リスクを十分にカバーできる「固定化されていない自己資本の額」を維持し、財務の健全性を表す「自己資本規制比率」を一定の水準以上に維持することが法令等により義務付けられております。当社は、「自己資本規制比率」を高水準に維持することを経営の基本方針といたしますが、上記のとおり、自己資本を効率的に活用して、収益性を高めるために一定のリスク(主に市場リスク)をとる必要もあると考えております。このため、これらリスク額及び自己資本規制比率につきましては、適切なリスク管理体制の下で監視しております。
当社は、財務体質や収益性を測る指標として「信用格付け」を取得しております。当社グループとして、近い将来に新株式や債券の発行による資金調達を行うことは想定しておりませんが、運転資金の安定的な調達を可能とするため、「信用格付け」の水準を安定的に維持することに努めることといたします。
(手許流動性)
当社は、半期ごとに実施する流動性コンティンジェンシープランの検証過程において、緊急事態発生時に、借入金等の返済やお客さまへの預り金の返還などを円滑に行うために当初必要と考えられる手許現預金の水準を決定しております。また、その後必要となる現金需要を賄うために、短期間で現金化が可能となる市場性のある有価証券の保有に努めております。
また、当社グループはお客さま向け販売や自己勘定での取引を目的として、外貨建て有価証券を取り扱っております。これら外貨建て有価証券取引の清算決済においては、期限までに当該外貨を遅滞なく支払う必要があります。しかしながら、外国為替市場の動向によっては決済のための外貨調達が困難になることも想定されます。このような外貨調達リスクを避けるため、市場の状況や取引高を勘案しながら、必要と思われる外貨の種別及び金額をその都度検証し、十分な金額を手許に維持するよう心がけております。
(成長分野への投資活動)
上記目的で必要とされる手許流動性の水準を超える現預金については成長分野や有望市場への投資活動に振り向けることが可能な資金と位置付け、積極的に投資活動を行ってまいります。これによって、新たな収益源の開拓や収益性が向上し、企業価値向上につながると考えております。
(株主還元-利益配分に関する基本方針及び当期の配当)
当社は、株主価値向上の一環として、株主の皆さまに対し積極的な利益還元を図ることを経営の重要な政策の一つとしており、配当につきましては、連結配当性向50%以上及び連結純資産配当率(DOE)2%以上の両基準で算出した数値のいずれか高い金額を基準とし、当社の自己資本の水準及び中長期的な業績動向並びに株価等を総合的に判断し決定する旨を基本方針としております。
当期の配当につきましては、上記の連結配当性向を採用し、1株当たり40円(中間20円、期末20円)の普通配当を支払うことといたしました。なお、配当原資は利益剰余金であります。
配当政策につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載しております。
(資金需要と資金調達)
当社グループの資金需要につきまして、営業活動に係る資金利用といたしましては、お客さま向け販売商品等のトレーディング商品の買付け、信用取引に係るお客さま向けの融資、証券取引サービスを提供するためのインフラ維持に係る費用、人件費などがあります。また、投資活動に係る資金利用といたしましては、投資有価証券の買付け、お客さま向けサービスの向上と取引の安全性を確保するために必要なシステム投資、金融商品取引業者として法令遵守のために必要な制度整備やシステム投資などがあります。
一方、当社グループの運転資金につきましては、自己資金の利用又は借入による資金調達によって賄っております。自己勘定によるトレーディング商品や投資有価証券の買付けにつきましては、原則として自己資金を利用することとしております。借入による資金調達に関しましては、短期借入金及び長期借入金で調達しております。短期借入金については、銀行借入に加えて、コールマネーの調達も行っております。また、当社は運転資金の効率的な調達を行うため取引銀行を含む合計11行との間で、総額50億円のシンジケート方式によるコミットメントライン契約を締結しております。この契約に基づく当期末の借入実行残高は20億円であります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において、一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、有価証券の評価、固定資産の減損、繰延税金資産の計上、減価償却資産の償却、貸倒引当金、賞与引当金、退職給付等の会計処理については、会計関連諸法規をベースに、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる基準により見積り及び判断を行っております。会計処理については、真実性の原則は勿論のこと、特に健全性と継続性の原則に配慮しております。しかしながら、実際の結果は、見積り作成時点での不確実性があることから、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の連結営業収益は、証券市場に係る受入手数料及びトレーディング損益を柱としており、その大半が株式市場及び債券市場を源泉としております。株式・債券市場の好・不調による業績への影響を緩和するため、収益源の多様化を通じて収益の安定性確保に努めておりますが、それでもなお、業績が証券市場の動向に左右され、大きく変動する可能性があります。また、国内外の金融商品市場の急激な変動により、当社が保有している金融商品の評価損益が多額になる可能性もあります。
一般的に、証券市場や外国為替市場は、内外の政治・経済情勢、金利、企業収益等、様々な要因を反映して変動します。したがって、当社グループの連結経営成績についても、証券市場に係るこれらの要因が多大な影響を及ぼす可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
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