(1) 経営成績等の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下「経営成績等」という。)の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症(以下「感染症」)の影響が続く中、ワクチン接種が進むにつれて経済社会活動が段階的に再開され、景気は持ち直しの動きがみられました。しかし、ウクライナ情勢の緊迫化、原材料価格の上昇や金融資本市場の変動、原油などの資源価格の高騰、供給面での制約等による下振れリスクを注視する必要があり、依然として先行きが不透明な状況が続いています。
外国為替市場において、米ドル/円相場は、1ドル=110円台後半で取引が始まり、4月22日にバイデン米大統領が富裕層を対象とした増税提案との報道から米株価が下げ幅を拡大、翌23日には米ドルが107円台半ばの期中安値を付けました。5月12日には米4月CPIが12年7カ月ぶりの高い伸びとなりインフレ懸念が台頭し米長期金利が大きく上昇、6月16日にはFRBが2023年中にゼロ金利政策を解除する方針を示したことで6月末には111円台前半まで上昇しました。7月19日には感染症の再拡大に伴う世界経済の先行き不透明感から米株価が急落し109円台前半まで下落しましたが、9月22日のFOMCの声明で早期のテーパリング開始が示されたことで9月末には一時112円台前半まで上昇、10月20日には2018年12月以来の高値となる一時114円台後半まで上昇しました。11月4日のイングランド銀行による市場予想に反した政策金利据え置き発表により欧州各国の金利低下が米金利にも波及し、9日には112円台後半まで下落するも、22日にFRBのパウエル議長の再任決定やFOMC議事要旨のタカ派な内容を背景にドル買いとなり24日には2017年3月以来となる115円台半ばを付けました。しかし、26日に南アフリカで新たなコロナウイルス変異株(オミクロン株)が発見されたことから11月末には一時112円台半ばまで下落しました。12月1日、前日のパウエル議長のテーパリング加速示唆を受けて一時113円台半ばまで上昇したものの、オミクロン株への警戒感等により3日には一時112円台半ばまで下落しました。その後、15日のFOMCで利上げ時期の前倒しが示されたこと等によりドル買いが進み、1月4日には116円台前半を付けましたが24日にはウクライナ情勢の緊迫化から一時113円台半ばまで下落しました。2月10日に米1月CPIの前年同月比が7.5%上昇と1982年2月以来の高い伸び率となったことや米長期金利が2019年8月以来の2%台に乗せたことにより116円台前半を付けました。3月に入ると米国がゼロ金利政策を2年ぶりに解除し0.25%の利上げ、日銀黒田総裁の金融緩和継続の強調も相俟って、さらに円安が進行し25日には米ドルが2015年8月以来となる期中高値125円台前半を付け、121円台後半で期末を迎えました。3月は感染症の影響を受け乱高下相場となった2020年3月以来、月間値幅が10円超えのボラタイルな展開となりました。
一方、米ドル/円以外の主要な取扱い通貨である欧州・オセアニア通貨については、米ドル/円同様に概ね円安傾向で推移し3月に入ると急速に円安が進みました。また、外国為替相場の変動率は、上半期は著しく低調な水準、下半期は比較的高い水準となり、特に3月が2020年3月以来の非常に高い水準となったため、期を通しては前期を上回る水準となりました。
このような状況の中、当社グループは、海外渡航需要の蒸発によるマネパカードの利用減少等一部サービスに感染症による影響を受けながらも、時差出勤・在宅勤務の推奨、飛沫防止パネルの設置や抗菌処理などオフィス内の環境整備等による感染症拡大防止策を講じ、従業員の安全を最優先としたうえで、お客様のニーズに応えるべく様々な施策を実施してまいりました。
主力サービスであるFXについては、2020年11月後半から、スプレッドを業界最狭水準とする方針に転換し、スプレッドの縮小を段階的に実施するとともに充実したキャッシュバックキャンペーンによりお客様の取引拡大を図っております。特に2021年5月からはパートナーズFXnanoの「米ドル/円」において、時間限定でスプレッド0.0銭(売買同値)とする画期的なキャンペーンを開始しました。
直近では、パートナーズFXnanoにおいては、「米ドル/円」にて1回あたり取引数量3万ドルまで原則24時間スプレッド0.0銭(売買同値)のほか、「豪ドル/円」、「ポンド/円」、「ユーロ/円」、「トルコリラ/円」の4通貨ペアでも当社所定の注文数量まで原則24時間業界最狭水準スプレッドとするなど業界最狭水準スプレッドを恒常的に提示しております。このほか、「ユーロ/円」のスプレッドを1回あたり取引数量20万通貨まで18時~21時は0.0銭(売買同値)とするなどの業界最狭スプレッドを提示するキャンペーンを実施いたしました。また、「約定力100%」のパートナーズFXでは、ゴールデンマネパタイム
(17時~26時)において「米ドル/円」、「ユーロ/円」、「ポンド/円」、「豪ドル/円」をはじめ13通貨ペアでパートナーズFXnanoに次ぐ業界最狭水準スプレッドを提示するキャンペーンを実施いたしました。
CFD-Metals(金/米ドル、銀/米ドル)においても、スプレッドを時間限定で業界最狭水準とするキャンペーンや充実したキャッシュバックの実施によりお客様の取引拡大を図っております。
また、かねてより準備を進めていた暗号資産関連店頭デリバティブ取引(暗号資産CFD)については、2021年12月6日より「ビットコイン/円」、「イーサリアム/円」、「ライトコイン/円」、「ビットコインキャッシュ/円」の主要4銘柄の取扱いにて、サービスを開始しております。既存のお客様に新たな取引機会を提供するとともに、新たなお客様の獲得に繋げることで、継続的な顧客基盤の拡大による収益力の強化を図ってまいります。
これらの結果、当連結会計年度の外国為替取引高は10,187億通貨単位(前期比5.3%増)となりました。また、当連結会計年度末の顧客口座数は347,991口座(前期末比5,869口座増)、顧客預り証拠金は55,068百万円(同6.8%減)、有価証券による預り資産額は11,136百万円(同3.4%減)となりました。
当連結会計年度の営業収益は、トレーディング損益が前期比806百万円増加(19.0%増)し5,323百万円(前期比808百万円増加、17.9%増)となりました。また、連結子会社のコイネージ社を清算するなど不採算事業の見直し等による大幅なコストカットを推進した結果、金融費用と販売費・一般管理費の合計は4,218百万円(同782百万円減少、15.6%減)となりました。
この結果、営業利益は956百万円(同1,566百万円増加、前期は営業損失609百万円)、経常利益は997百万円(同1,626百万円増加、前期は経常損失628百万円)となりました。また、事業撤退損戻入益など31百万円の特別利益計上、データセンター移設費用など10百万円の特別損失計上により税金等調整前当期純利益は1,017百万円(同2,410百万円増加、前期は税金等調整前当期純損失1,392百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は736百万円(同1,786百万円増加、前期は親会社株主に帰属する当期純損失1,050百万円)となりました。
2022年4月4日からの東京証券取引所の市場区分の見直しに関しては、2021年12月にプライム市場を選択する申請書を提出いたしました。当社は移行基準日時点(2021年6月30日)において、プライム市場の上場維持基準のうち流通株式時価総額を充たしておりません。当社グループは、主力サービスであるFXを軸とした「店頭デリバティブ取引」へ経営資源を集中させ、全社的なコストカットや不採算事業の見直しをさらに推し進めており、筋肉質な会社へと生まれ変わりつつあります。今後は、更なる商品性の洗練化やマーケティング施策を更に強化することで新規顧客の獲得等による顧客基盤を拡大し、企業価値をより一層向上させ、2026年3月期末までに上場維持基準である流通株式時価総額100億円以上を目指してまいります。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比較して2,393百万円減少し、78,431百万円となりました。これは流動資産が1,957百万円、固定資産が436百万円減少したことによるものであります。
負債は、前連結会計年度末と比較して3,021百万円減少し、65,408百万円となりました。これは流動負債が2,732百万円、固定負債が289百万円減少したことによるものであります。
純資産は、前連結会計年度末と比較して627百万円増加し、13,022百万円となりました。
(流動資産)
当連結会計年度末における主な流動資産の内訳は、預託金49,215百万円、トレーディング商品(資産)10,445百万円、現金・預金8,032百万円及び短期差入保証金6,794百万円であります。前連結会計年度末と比較して、ウクライナ情勢による為替相場の急変動に備えてのカウンターパーティへの差入保証金の積み増し等による短期差入保証金の増加3,939百万円等の増加要因があった一方、現金・預金の減少3,097百万円、顧客を相手方とする未決済の外国為替証拠金取引に係る評価益の減少等に伴うトレーディング商品(資産)の減少1,785百万円及び商品CFD取引の顧客金銭信託の減少等によるその他の預託金の減少1,627百万円等の減少要因があり、1,957百万円減少しております。
(固定資産)
当連結会計年度末における主な固定資産の内訳は、ソフトウエア456百万円、リース資産(無形固定資産)351百万円、繰延税金資産339百万円、リース資産(有形固定資産)258百万円、長期前払費用206百万円及び投資有価証券144百万円であります。前連結会計年度末と比較して、暗号資産CFDシステムの構築やパートナーズFXnanoにおける取引数量別スプレッドシステムをはじめとした外国為替証拠金取引システムの機能追加等によるソフトウエア及び長期前払費用の取得等の増加要因があった一方、ソフトウエアの減価償却等の減少要因があり、436百万円減少しております。
(流動負債)
当連結会計年度末における主な流動負債の内訳は、受入保証金55,068百万円、短期借入金2,300百万円、トレーディング商品(負債)2,123百万円、預り金1,849百万円及び未払費用1,394百万円であります。前連結会計年度末と比較して、ウクライナ情勢による為替相場の急変動に備えての短期借入金の増加2,300百万円及び顧客を相手方とする未決済の外国為替証拠金取引に係る評価損の増加等に伴うトレーディング商品(負債)の増加906百万円等の増加要因があった一方、外国為替証拠金取引等の証拠金として預託された受入保証金が4,013百万円減少しているほか、預り金が1,775百万円減少しております。この預り金の減少は主に資金移動業に係る預り残高の減少によるものであります。これらの理由により流動負債は2,732百万円減少しております。
(固定負債)
当連結会計年度末における主な固定負債の内訳は、転換社債型新株予約権付社債1,000百万円及びリース債務240百万円であります。前連結会計年度末と比較して、リース債務の返済等により、289百万円減少しております。
(純資産)
当連結会計年度末における主な純資産の内訳は、資本金2,022百万円、資本剰余金2,160百万円、利益剰余金9,718百万円、自己株式△885百万円であります。前連結会計年度末と比較して、親会社株主に帰属する当期純利益の計上736百万円による利益剰余金の増加があった一方、剰余金の配当による利益剰余金の減少122百万円があったこと等により627百万円増加しております。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動により4,573百万円減少、投資活動により302百万円減少、財務活動により1,878百万円増加いたしました。この結果、資金は前連結会計年度末に比べ2,997百万円の減少となり、当連結会計年度末における資金の残高は6,257百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は4,573百万円(前期は1,504百万円の支出)となりました。これは、税金等調整前当期純利益の計上1,017百万円、減価償却費の計上532百万円が資金増加要因となったことに加え、法人税等の還付額305百万円の資金増加要因があった一方、外国為替取引関連及び資金移動業関連の資産負債がそれぞれ差引4,471百万円及び1,668百万円の資金減少要因となったほか、法人税等の支払額237百万円の資金減少要因となったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は302百万円(前期は448百万円の支出)となりました。これは、投資事業組合からの分配による収入28百万円及び投資有価証券の売却による収入10百万円があった一方、暗号資産CFDシステムの構築やパートナーズFXnanoにおける取引数量別スプレッドシステムをはじめとした外国為替証拠金取引システムの機能追加等による無形固定資産176百万円及び長期前払費用161百万円の取得による支出があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は1,878百万円(前期は1,445百万円の支出)となりました。これは、ウクライナ情勢による為替相場の急変動に備えて短期借入金が2,300百万円の純増となった一方、リース債務の返済による支出299百万円及び配当金の支払額121百万円があったこと等によるものであります。
(2) 業務の状況
① 受入手数料の内訳
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当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
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金額(百万円) |
対前期増減率(%) |
|
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委託手数料 |
6 |
51.8 |
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外国為替取引手数料 |
2 |
13.6 |
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その他の受入手数料 |
29 |
2.3 |
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合計 |
39 |
9.4 |
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② トレーディング損益の内訳
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当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
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金額(百万円) |
対前期増減率(%) |
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デリバティブ取引損益 |
5,061 |
19.0 |
|
合計 |
5,061 |
19.0 |
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③ 金融収益の内訳
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当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
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金額(百万円) |
対前期増減率(%) |
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受取利息 |
4 |
△39.4 |
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合計 |
4 |
△39.4 |
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④ その他の売上高の内訳
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当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
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|
金額(百万円) |
対前期増減率(%) |
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システム関係売上高 |
219 |
0.8 |
|
合計 |
219 |
0.8 |
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⑤ 外国為替取引売買の状況
区分 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
||
金額 |
対前期増減率(%) |
||
米ドル/円 |
(百万ドル) |
573,160 |
18.7% |
豪ドル/円 |
(百万ドル) |
123,289 |
0.9% |
英ポンド/円 |
(百万ポンド) |
109,935 |
41.9% |
ユーロ/円 |
(百万ユーロ) |
59,012 |
6.2% |
ユーロ/米ドル |
(百万ユーロ) |
42,253 |
△42.5% |
トルコリラ/円 |
(百万トルコリラ) |
30,197 |
15.6% |
英ポンド/米ドル |
(百万ポンド) |
19,841 |
△39.2% |
メキシコペソ/円 |
(百万ペソ) |
17,691 |
△52.0% |
南アフリカランド/円 |
(百万ランド) |
14,776 |
12.1% |
豪ドル/米ドル |
(百万ドル) |
8,639 |
△42.6% |
その他 |
(百万通貨単位) |
19,966 |
△38.2% |
合計 |
(百万通貨単位) |
1,018,765 |
5.3% |
(注)1.上記金額は、顧客との相対取引による通貨毎の取引高であります。
2.外国為替取引には、CFD-Metals取引(差金決済取引)及び暗号資産CFD取引(差金決済取引)を含めており、それぞれの取引高は原取引資産を米ドル換算した上で集計しております。
⑥ 自己資本規制比率
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前事業年度末 (2021年3月31日) |
当事業年度末 (2022年3月31日) |
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金額(百万円) |
金額(百万円) |
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基本的項目計 ① |
10,330 |
10,738 |
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その他有価証券評価差額金(評価益)等 |
- |
- |
|
金融商品取引責任準備金等 |
0 |
0 |
補完的項目 |
一般貸倒引当金 |
- |
- |
|
長期劣後債務 |
- |
- |
|
短期劣後債務 |
- |
- |
計 ② |
0 |
0 |
|
控除資産 ③ |
2,849 |
2,645 |
|
固定化されていない自己資本 ①+②-③ (A) |
7,481 |
8,094 |
|
|
市場リスク相当額 |
17 |
15 |
リスク相当額 |
取引先リスク相当額 |
161 |
187 |
|
基礎的リスク相当額 |
868 |
964 |
計 (B) |
1,047 |
1,167 |
|
自己資本規制比率 (A)/(B)×100 |
714.2% |
693.3% |
(注)金融商品取引業を営む子会社である株式会社マネーパートナーズの自己資本規制比率を記載しております。
(3) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、本項に記載した将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、経営者は決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを行う必要があります。これらの見積りについては、過去の実績や状況に応じた合理的と考えられる方法により判断しておりますが、実際の結果は見積もり特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。なお、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものはありません。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(ⅰ)経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、当社グループは主として外国為替証拠金取引(FX)に係る事業を行っていることから、営業収益は、経常的に当社グループの顧客の外国為替証拠金取引における投資動向に大きな影響を受けます。とりわけ外国為替市場の変動率(ボラティリティ)は、これが高まれば外国為替証拠金取引(FX)は活発に、低下すれば不活発になる傾向があることから、経営成績に重要な影響を与える主要な要因であると考えております。このため、当社グループは、既存のお客様に新たな取引機会を提供するとともに、新たなお客様の獲得に繋げることで、継続的な顧客基盤の拡大による収益力の強化を図ってまいります。
当連結会計年度の外国為替市場の変動率の状況は、「(1) 経営成績等の概要 ① 経営成績の状況」に記載のとおりであり、上半期は著しく低調な水準、下半期は比較的高い水準となり、特に3月が2020年3月以来の非常に高い水準となったため、期を通しては前期を上回る水準となりました。
(ⅱ)経営成績の状況
当連結会計年度における当社グループの経営成績の状況については、営業収益は、トレーディング損益が前期比806百万円増加(19.0%増)し5,323百万円(前期比808百万円増加、17.9%増)となりました。また、連結子会社のコイネージ株式会社(以下「コイネージ」)を清算するなど不採算事業の見直し等による大幅なコストカットを推進した結果、金融費用と販売費・一般管理費の合計は4,218百万円(同782百万円減少、15.6%減)となりました。
この結果、営業利益は956百万円(同1,566百万円増加、前期は営業損失609百万円)、経常利益は997百万円(同1,626百万円増加、前期は経常損失628百万円)となりました。また、事業撤退損戻入益など31百万円の特別利益計上、データセンター移設費用など10百万円の特別損失計上により税金等調整前当期純利益は1,017百万円(同2,410百万円増加、前期は税金等調整前当期純損失1,392百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は736百万円(同1,786百万円増加、前期は親会社株主に帰属する当期純損失1,050百万円)となりました。
当社グループは、基軸事業である外国為替証拠金取引を含む「店頭デリバティブ取引」へ経営資源を集中させ、既存のお客様に新たな取引機会を提供するとともに、新たなお客様の獲得に繋げることで、継続的な顧客基盤の拡大による収益力の強化を図るべく、基軸事業である外国為替証拠金取引において業界最狭水準のスプレッド提示による顧客基盤の拡大を企図する営業戦略の下、商品性を洗練化し向上させることで、競争力強化と収益性の向上を目指しております。
スワップカバー手法の弾力的な運用と複数の主要取扱通貨ペアにて業界最狭水準スプレッドを提示する営業施策に転換したことに加え、コイネージの清算をはじめとする不採算事業の見直しや全社的なコストカットの推進による販売費・一般管理費の減少が奏功し、収益拡大と損益の黒字化に寄与しております。
(ⅲ)資本の財源及び資金の流動性について
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、当社グループは、外国為替取引を専門とする事業形態をとっていることから、顧客との外国為替取引に係る資産及び負債がそれぞれの大部分を占めております。これらの資産及び負債は、顧客との外国為替取引及び外国為替相場の動向により日々変動いたしますが、当社グループにおいては、顧客との外国為替取引の結果生じる外国為替ポジションの偏りをカウンターパーティとの外国為替取引により完全にカバーするよう運用を行っているため、顧客及びカウンターパーティとの外国為替取引に係る資産及び負債トータルの増減はほぼ営業収益の額の動きに連動し、これが当社グループのキャッシュ・フローの源泉となっております。一方、主な負のキャッシュ・フローとしては、営業活動によるキャッシュ・フローにおいては、営業費用に係る支出や法人税等の支払に係る支出のほか、増加する外国為替取引に備えて行うカウンターパーティへの差入証拠金の積み増し等への支出があり、投資活動によるキャッシュ・フローにおいては、増加する外国為替取引への対応や競業他社との差別化のために行う外国為替証拠金取引システム等への投資のための支出があります。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、営業活動によるキャッシュ・フローが4,573百万円の支出、投資活動によるキャッシュ・フローが302百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローが1,878百万円の収入となり、現金及び現金同等物の期末残高が前期と比べ2,997百万円減少することとなりましたが、現金及び現金同等物の期末残高は6,257百万円あります。また、外国為替証拠金取引を営む連結子会社のマネーパートナーズは、取引銀行1行とコミットメントライン契約、取引銀行3行と当座貸越契約を締結し、合計で3,800百万円の借入枠を確保しており、期末の借入未実行残高は1,500百万円であります。このため、十分に資金の財源及び流動性が確保されているものと認識、分析しております。
(ⅳ)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループは、2026年3月期までに自己資本利益率8%以上、営業収益経常利益率20%以上を達成することを目標としています。当連結会計年度は自己資本利益率が5.8%、営業収益経常利益率が18.7%となりました。
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