業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)  経営成績の概要

当連結会計年度は、投資銀行事業において事業承継等のニーズに対応したプライベートエクイティ投資を更に加速させるべく案件の組成を推進しました。エンタテインメント・サービス事業では、ムーミンバレーパークにおいてリニューアルを実施し、ウィズコロナとアフターコロナにおける来園者増加を見据えた基盤を整備しました。またライセンス関連については、ライセンシーにおけるムーミン商材の取扱高の増加が続いておりますが、更なる成長に向けた成長基盤の整備やマーケティング活動を推進しました。

当連結会計年度の経営成績は、投資銀行事業においてプライベートエクイティ投資案件の組成・投資実行・回収が順調に進んだことや、航空機アセットマネジメントが好調を維持しアセット投資の回収も増加したことにより、売上高は9,301百万円(前連結会計年度比14.7%増)となり、売上総利益は売上高の増加とメッツァの原価低減により3,990百万円(前連結会計年度比18.4%増)となりました。販売費及び一般管理費は、事業拡大のための人員増強や外部委託の増加などにより前連結会計年度比6.6%増3,402百万円となりましたが、営業利益は売上総利益の増加により587百万円前連結会計年度比230.0%増)、経常利益は540百万円前連結会計年度比366.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は176百万円前連結会計年度比34.6%増)となりました。 なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等の適用により、従来の会計処理方法に比べて売上高及び売上原価がそれぞれ83百万円減少しておりますが、売上総利益、営業利益、経常利益及び税金等調整前当期純利益に与える影響はありません。

(単位:百万円)

 

2021年9月

(前連結会計年度)

2022年9月

(当連結会計年度)

増減額

売上高

8,107

9,301

1,194

投資銀行事業

4,061

4,973

912

公共コンサルティング事業

242

346

103

エンタテインメント・サービス事業

4,106

4,285

179

消去

△303

△303

△0

売上総利益

3,370

3,990

619

投資銀行事業

2,725

2,951

225

公共コンサルティング事業

148

189

41

エンタテインメント・サービス事業

632

975

343

消去

△136

△126

9

営業利益

(セグメント利益又は損失(△))

178

587

409

投資銀行事業

1,303

1,180

△122

公共コンサルティング事業

△3

△14

△11

エンタテインメント・サービス事業

△501

△34

467

消去又は全社費用

△619

△543

76

経常利益

115

540

425

税金等調整前当期純利益

118

556

437

親会社株主に帰属する当期純利益

130

176

45

 

 

セグメント別の業績は以下のとおりであり、売上高についてはセグメント間の内部売上高又は振替高を含めた売上高で表示しております。

 

① 投資銀行事業

投資銀行事業では、プライベートエクイティ投資への引き合いが続いており、案件組成、投資実行及び投資回収が順調に進み、アセット投資の回収も進みました。アセットマネジメントにおいては、レジデンスや再生可能エネルギー設備を投資対象とする複数の案件を新規受託し業務受託による収益を計上しておりますが、これによりアセットマネジメント受託資産残高は前連結会計年度末比111.8%増の561億円となり、ストック型収益の基盤が強化されました。また航空機アセットマネジメントにおいては、コロナ禍の影響により機体検査や機体返還などの技術サービス提供の依頼が好調に推移して、増加する引き合いに対し外部委託を増やして対応しました。

以上の結果、投資銀行事業の売上高は4,973百万円前連結会計年度比22.5%増)となりましたが、アセット投資や航空機アセットマネジメントなどの売上増加に伴う売上原価の増加や人員増強などによる費用の増加によって、セグメント利益は1,180百万円(前連結会計年度比9.4%減)となりました。

 

② 公共コンサルティング事業

公共コンサルティング事業では、財務書類作成のコンサルティングについて前期から大規模自治体を軸に営業活動を推進した結果、令和3年度(2021年4月~2022年3月)における「県」からの財務書類作成・固定資産台帳整備受託件数は令和2年度(2020年4月~2021年3月)と比べ4件増加し、7件となりました。また、2021年1月に総務省が地方公共団体に求めた公共施設等総合管理計画の見直しに関して、これを支援する業務について積極的に営業活動を推進しました。これらにより新規取引先の開拓が進み、令和3年度の取引先団体数(累計)は令和2年度と比べ27団体増加し385団体となり、2022年4月から開始した令和4年度においては9月末までに9団体増加し394団体となりました。

以上の結果、公共コンサルティング事業の売上高は346百万円前連結会計年度比42.8%増)となりましたが、外部委託費の増加によりセグメント損失は14百万円(前連結会計年度は3百万円の損失)となりました。

 

③ エンタテインメント・サービス事業

メッツァでは、ムーミンバレーパークにおいて来園者ニーズに応えるコンテンツ、サービスとすべく、2021年12月に“Well-being”を新しいテーマとしてリニューアルを実施しました。これにより、「自然」や「癒し」、「安らぎ」を求める来園者のニーズに合った運営形態に変更し、チケット価格もワンデーパスのみのわかりやすい料金体系に移行しました。メッツァの来園者数は、2022年4月から行動制限が緩和されたものの、リニューアルのための休園やまん延防止等重点措置の適用、新型コロナウイルス感染症第7波の影響を受け、前期並みの74万人となりました。このような中、新たな収益機会としてムーミンキャラクターズ社と連携した公式オンラインショップを2022年3月1日に開設し、魅力ある商品の提供を開始しました。以上の結果、メッツァ関連の売上高は、前連結会計年度比2.6%増の2,408百万円となりました。なお売上高は、収益認識会計基準等の適用により、従来の会計処理方法に比べて83百万円減少しております。

ライセンス関連については、ムーミン商材を製造・販売するライセンシーの一部で中国のロックダウンによる製造遅延や円安による製品ラインナップ見直しなどが発生した影響を受けましたが、カジュアルウェアを中心とするファッション分野の伸長や付録付き雑誌の販売拡大などにより、総じて取扱高は増加しライセンス収入が増加しました。この結果、ライセンス関連の売上高は前連結会計年度比6.7%増の1,877百万円となりました。なお、ライセンス関連では中長期の成長に向けた成長基盤の整備のために、データに基づくマーケティングのための統一的CRMプラットフォーム構築準備や、ブランディング戦略を推進しております。

以上の結果、エンタテインメント・サービス事業の売上高は4,285百万円前連結会計年度比4.4%増。収益認識会計基準等の適用の影響を除いた場合は前連結会計年度比6.4%増)、セグメント損失はムーミンバレーパークのリニューアルに伴う収益性改善によって前連結会計年度比で467百万円改善34百万円となりました。

 

 

 

(2)  財政状態の概要

財政状態の概要は、「(5) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容  Ⅲ 財政状態の分析」において、分析・検討内容と一体的に記載しております。

 

(3)  キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」といいます。)は、2,375百万円(前連結会計年度末比3百万円減少)となりました。

 

① 営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動による資金の減少は701百万円(前連結会計年度は747百万円の増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益により556百万円、減価償却費により545百万円増加したものの、売上債権の増加により314百万円、営業投資有価証券の増加により1,404百万円減少したことによるものです。

 

② 投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動による資金の減少は141百万円(前連結会計年度は173百万円の減少)となりました。これは主に、固定資産の取得による支出により121百万円減少したことによるものです。

 

③ 財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動による資金の増加は802百万円(前連結会計年度は360百万円の減少)となりました。これは主に、短期借入金の純増減額により125百万円、リース債務の返済による支出により243百万円減少したものの、長期借入れによる収入により1,320百万円増加したことによるものです。

 

 

(4) 生産、受注及び販売の状況

① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

内 訳

生産高(千円)

前期比(%)

投資銀行事業

不動産開発等

149,589

288.8

 

(注)1 生産高は、評価損等による減少を除く販売用不動産及び仕掛販売用不動産の増減額に売上原価を加えた金額により表示しております。

2 当連結会計年度は不動産開発用地を取得したため、前連結会計年度に比べて、生産高が増加しました。

 

② 受注実績

当社グループは受注生産を行っていないため、該当事項はありません。

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前期比(%)

投資銀行事業

4,746,515

+23.3

公共コンサルティング事業

334,130

+46.0

エンタテインメント・サービス事業

4,221,327

+4.7

合計

9,301,972

+14.7

 

(注) 1  セグメント間取引については、相殺消去しております。

     2  主な相手先の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

なお、当連結会計年度の下記の相手先への販売実績は、総販売実績の100分の10未満のため、記載を省略しております。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

東京湾建物ホールディングス合同会社

965,251

11.9

 

3  投資銀行事業の販売実績が増加した主な要因は、プライベートエクイティ投資関連の業務受託及び投資回収、並びに航空機アセットマネジメントによる売上高が増加したことによるものであります。

4 公共コンサルティング事業の販売実績が増加した主な要因は、公共施設等総合管理計画改訂支援等により取引先が拡大したことによるものであります。

 

(5)  経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

当連結会計年度の経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容は、以下の通りであります。文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年12月23日)現在において当社グループが判断したものであります。

 Ⅰ  重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されておりますが、その作成にあたっては、経営者の主観的な判断を伴う見積りが必要になる項目があります。経営者はその見積りが合理的であると判断していますが、市況の変化等により将来の結果が異なるものとなり、連結財務諸表に影響を与える可能性があります。

当社グループの重要な会計方針のうち、特に重要性の高い会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

 Ⅱ 経営成績の分析

①売上高、売上原価、売上総利益、販売費及び一般管理費並びに営業利益

当連結会計年度における売上高は9,301百万円となり、前連結会計年度の8,107百万円より1,194百万円増加(14.7%増)しました。

売上原価は5,311百万円となり、前連結会計年度の4,736百万円より574百万円増加12.1%増)しました。

売上総利益は3,990百万円となり、前連結会計年度の3,370百万円より619百万円増加(18.4%増)しました。

販売費及び一般管理費は3,402百万円となり、前連結会計年度の3,192百万円より210百万円増加6.6%増)しました。

営業利益は587百万円となり、前連結会計年度の178百万円と比べて409百万円増加230.0%増)ました。

 


 

 

投資銀行事業及びエンタテインメント・サービス事業の分析は以下のとおりとなります。なお、上記のグラフ及び下記のセグメント別の数値は、いずれもセグメント間の取引を相殺消去しない数値を使用しております。

(投資銀行事業)

投資銀行事業の業務別の売上高、及び売上総利益は、以下の通りです。


業務受託及び企業投資については、プライベートエクイティ投資案件について、案件組成時のアップフロント報酬、期中報酬、投資回収時のディスポジションフィーや投資利益が計画通りに計上したことや、航空機アセットマネジメントもコロナ禍の影響で技術サービス提供依頼が増加したこと、及びアセット投資の回収も増加したことにより、売上高が増加しました。以上の結果、投資銀行事業の売上高は前連結会計年度比22.5%増4,973百万円となりました。
 売上原価は、アセット投資及び航空機アセットマネジメントにおける売上増加に伴い、前連結会計年度比51.5%増の2,022百万円となりました。

これらの結果、売上総利益は前連結会計年度比8.3%増2,951百万円となりましたが、販売費及び一般管理費は、先行投資としての人的投資の増加等により前連結会計年度比24.4%増の1,770百万円となり、セグメント利益は1,180百万円(前連結会計年度比9.4%減)となりました。

 

(エンタテインメント・サービス事業)

ムーミンバレーパークを含むメッツァでは、メッツァの来園者数が第1四半期にGo Toトラベルの反動とリニューアルのための11日間の休園により前年同期比で10.4%減の22万人となり、第2四半期は新型コロナウイルス感染症の再拡大により緊急事態宣言があった前年同期比で5.9%増の16万人の水準に留まりました。第3四半期は行動制限緩和により前年同期比15.7%増の20万人となったものの、第4四半期は新型コロナウイルス感染症第7波の影響により前年同期比8.5%減の15万人となった結果、通算では74万人と前連結会計年度と同水準となりました。このように来園者数は伸びなかったものの、リニューアルの効果や2022年3月に公式オンラインショップ開設などにより、 メッツァ関連の売上高は、来園者は前連結会計年度比2.6%増の2,408百万円となりました。なお、売上高は収益認識会計基準等の適用により、従来の会計処理方法に比べて83百万円減少しております。

ライセンス関連については、ムーミン商材を製造・販売するライセンシーの一部で中国のロックダウンによる製造遅延や円安による製品ラインナップ見直しなどが発生した影響を受けましたが、カジュアルウェアを中心とするファッション分野の伸長や付録付き雑誌の販売拡大などにより、総じて取扱高は増加しライセンス収入が増加し、ライセンス関連の売上高は前連結会計年度比で6.7%増の1,877百万円となりました。

売上原価はメッツァにおける原価低減と収益認識会計基準等の適用により同基準適用による売上高の増加と同額(83百万円)減少した結果、合計で164百万円減少し、販売費及び一般管理費はメッツァにおける固定費削減により123百万円減少した結果、セグメント損失は前連結会計年度に比べ467百万円改善し34百万円となりました。

 

(単位:百万円)

科目・内訳

2021年9月

2022年9月

増減額

売上高

4,106

4,285

179

 メッツァ関連

2,346

2,408

61

 ライセンス事業

1,759

1,877

117

売上原価

3,474

3,310

△164

売上総利益

632

975

343

販売費及び一般管理費

1,134

1,010

△123

セグメント損失(△)

△501

△34

467

償却前セグメント利益 (注)2

79

445

366

 

(注)1 他のセグメントとの取引を消去しない数値を使用しております。

2 償却前セグメント利益は、セグメント損失に売上原価、販売費及び一般管理費に含まれる減価償却費及びのれん償却費を足し戻して算出しております。

 

メッツァ関連の四半期毎の売上高、及びメッツァ来園者数の推移は、以下のとおりです。


②  経常損益

営業外収益は、埼玉県飯能市よりメッツァに係る企業立地奨励金等による助成金収入37百万円や為替差益27百万円などにより90百万円となり、前連結会計年度の72百万円より18百万円増加(25.5%増)しました。営業外費用は、ムーミンバレーパーク開発のための金融機関借入やリース等による支払利息119百万円や貸倒引当金繰入額15百万円により137百万円となり、前連結会計年度の134百万円より2百万円増加2.2%増)しました。この結果、経常利益は540百万円となり、前連結会計年度の115百万円より425百万円増加366.9%増)となりました。

 

③  税金等調整前当期純損益

税金等調整前当期純利益は556百万円となり、前連結会計年度の118百万円より437百万円増加368.7%増)しました。

 

 

④  法人税等、非支配株主に帰属する当期純損益、親会社株主に帰属する当期純利益

法人税等は128百万円となり、前連結会計年度の94百万円と比べて33百万円増加(35.6%増)しました。非支配株主に帰属する当期純利益は、非支配株主に按分する㈱ムーミン物語の当期純損失の減少並びに飯能地域資源利活用合同会社及びSGI-Group B.V.の当期純利益が増加したことにより251百万円となり、前連結会計年度に比べて358百万円改善しました。親会社株主に帰属する当期純利益は176百万円となり、前連結会計年度の130百万円より45百万円増加34.6%増)しました。

 

 Ⅲ 財政状態の分析

① 流動資産

流動資産は、前連結会計年度末より20.2%増加し、11,022百万円となりました。これは主として、営業貸付金が83百万円減少したものの、受取手形、売掛金及び契約資産(前連結会計年度末は受取手形及び売掛金)が359百万円、成長企業や事業承継案件への新規投資、不動産小口化商品組成のために取得したレジデンスの信託受益権化により営業投資有価証券が1,439百万円増加したことによるものです。

 

② 固定資産

固定資産は、前連結会計年度末より5.2%減少し、6,910百万円となりました。これは主として、ムーミンバレーパークの建物、内外装等の減価償却等により建物及び構築物(純額)が185百万円、工具、器具及び備品(純額)が243百万円減少したことによるものです。

 

③ 流動負債

流動負債は、前連結会計年度末より8.2%増加し、2,587百万円となりました。これは主として、短期借入金が125百万円減少したものの、1年内返済予定の長期借入金が136百万円、支払手形及び買掛金が117百万円増加したことによるものです。

 

④ 固定負債

 固定負債は、前連結会計年度末より13.2%増加し、7,502百万円となりました。これは主として、ムーミンバレーパークの内外装に係るリース債務が230百万円減少したものの、不動産小口化商品組成に伴う不動産取得のための借入により長期借入金が1,143百万円増加したことによるものです。

 

⑤ 純資産

 純資産は前連結会計年度末より5.4%増加し、7,842百万円となりました。これは主として、親会社株主に帰属する当期純利益により利益剰余金が176百万円、非支配株主持分が168百万円増加したことによるものです。

 

以上の結果、総資産は前連結会計年度末より9.0%増加17,933百万円、負債は前連結会計年度末より11.9%増加10,090百万円、純資産は前連結会計年度末より5.4%増加7,842百万円となり、自己資本比率は36.7%となりました。

 

 セグメントごとの分析は、次の通りです。
① 投資銀行事業

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末の6,691百万円に対して2,204百万円増加し、8,895百万円となりました。これは主として、不動産信託受益権の販売が進んだものの新たな不動産小口化商品組成のために取得したレジデンスの信託受益権化やプライベートエクイティ投資残高の増加により営業投資有価証券が増加したことや、航空機アセットマネジメントの好調によって現金及び預金や売掛金などが増加したことによるものです。

 

② 公共コンサルティング事業

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末の141百万円に対して借入による現金及び預金の増加によって70百万円増加し、212百万円となりました。

 

③ エンタテインメント・サービス事業

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末の7,948百万円に対して395百万円減少し、7,553百万円となりました。これは主として、ライセンス関連が好調に推移したことによりこれに係る売掛金が増加し、またマーケティングのための統一的CRMプラットフォーム構築準備によりソフトウェア仮勘定が増加したものの、ムーミンバレーパークについて建物、内外装等の減価償却により建物及び構築物、並びに工具、器具及び備品が減少したことによるものです。

 

 Ⅳ 経営成績に重要な影響を与える要因

「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、当該事業リスクが発生した場合、経営成績に重要な影響を与える可能性があります。

 

(6)  資本の財源及び資金の流動性に係る情報

① 資金調達

当社グループは、投資銀行事業の投融資をはじめとする事業活動に必要な資金の確保と財務の健全性・安定性維持を資金調達の基本方針としており、主に金融機関借入、不動産証券化、エクイティファイナンス、ファイナンス・リース等で資金調達し、適切な手元流動性を確保しています。
 短期資金需要に対しては、営業活動から得られたキャッシュ・フローを主として充当し、必要に応じ銀行借入等で賄っています。例えば、不動産開発案件へのアセット投資では銀行借入により調達しております。また、不動産アセットマネジメント案件などの不動産取得やプライベートエクイティ投資案件においては、個別案件毎にノンリコースローンなどを利用しております。ただし、成長を加速させると判断した場合、当社は投資銀行事業における投融資資金を確保するため、エクイティファイナンスによる調達も行っております。2018年12月4日には第19回新株予約権を発行し、その後の権利行使によって資金を調達(合計1,808百万円)しておりますが、その資金使途を「不動産小口化投資商品組成のための不動産(信託受益権を含む。)取得」などに充てております。なお、子会社に関しては、必要に応じて当社が子会社に対し運転資金や投融資のための資金の貸付を行っております。
 中長期資金需要に対しては、主に金融機関借入、不動産証券化、エクイティファイナンス、ファイナンス・リース等で対応しております。メッツァ開業へ向けての資金需要に対しては、2017年7月にムーミンバレーパークの不動産証券化に係る各種契約を締結して、組成した特別目的会社である飯能地域資源利活用合同会社(当社子会社)が地元企業及び当社子会社の㈱ムーミン物語から匿名組合出資金7.5億円を受け入れ、2018年10月には地域金融機関から長期借入金56億円を調達し、調達期間を長期化しました。また、当社は2014年3月発行の第12回新株予約権、2015年4月発行の第14回新株予約権、2018年1月発行の第18回新株予約権で調達した資金のうち41億円をメッツァ建設資金等の開業準備に充当しました。子会社においては㈱ムーミン物語が第三者割当増資により2018年9月期に1,944百万円を、2019年9月期に898百万円(うち当社出資ファンドが634百万円引受)を調達しました。また2019年3月にセール・アンド・リースバックによりムーミンバレーパークの内外装工事代金として942百万円を調達しました。

なお、前連結会計年度に当社子会社の㈱ムーミン物語は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響の長期化に備え、メッツァの運営資金を確保すべく、コスト削減策を策定し実行しておりますが、これと並行して、制度融資により資金調達しております。また同社は子会社の飯能地域資源利活用合同会社からムーミンバレーパークの不動産を賃貸しておりますが、この賃料支払いについて猶予を受けており、飯能地域資源利活用合同会社の外部借入については㈱ムーミン物語のコスト削減策の遂行を前提に元本据置を受けております。

 

② 資金需要

  当社グループにおける資金需要の主なものは、投資銀行事業においては営業活動における不動産プロジェクトや企業への投融資、人件費等の販売費及び一般管理費の運転資金であります。公共コンサルティング事業における資金需要は、人件費や外注費等の運転資金です。エンタテインメント・サービス事業における資金需要は、ムーミンバレーパーク運営における商品・材料仕入れ、人件費及びその他の諸経費の運転資金であり、投資活動においては、施設・コンテンツへの投資が主な内容であります。
 投資銀行事業における投融資は、不動産等へ投資するアセット投資と、潜在性・将来性豊かな上場/未上場企業・事業や事業承継の課題を抱える企業等に対し投融資するプライベートエクイティ投資の2つに分けられます。当社グループは、投資銀行事業においては投融資が収益拡大を促進していると考えており、今後も事業承継案件を中心に投資案件の組成、実行、回収を行っていく予定であります。
 エンタテインメント・サービス事業においては、メッツァにおいて新型コロナウイルス感染症拡大による売上減少に対応して、コスト削減により運転資金を減少させており、2021年12月のムーミンバレーパークのリニューアルによっても運営コストを低減させております。設備投資については、当面は施設維持・改善と一部のコンテンツ入れ替えを中心とする方針です。

 

(7)  経営上の目標の達成状況について

当社は、期首に単年度の連結業績予想を公表しております。当該予想においては、投資銀行事業においてプライベートエクイティ投資を更に加速化し、投資回収と業務受託により、同セグメントは増収増益を想定する一方、エンタテインメント・サービス事業のメッツァにおいては、ワクチン接種の進展などにより経済環境の回復は続き正常化が進むものの、同業界においては依然としてコロナ禍の影響は残ると想定しておりました。このため来園者数は一定程度は回復するものの、2021年9月期と同様の来園者数を前提に、連結業績予想を算出しておりました。

当連結会計年度は、投資銀行事業においてプライベートエクイティ投資案件の組成、投資実行及び投資回収が順調に進み、アセット投資の回収も進みました。また航空機アセットマネジメントについても機体検査などの技術サービスが計画を上回って推移しました。これらの結果、売上高は計画値を上回りましたが、アセット投資や航空機アセットマネジメントなどの売上増加に伴い売上原価や人員増強などによる費用は計画を上回りました。エンタテインメント・サービス事業は、メッツァにおいて新型コロナウイルスの影響が続いたものの、行動制限緩和やムーミンバレーパークのリニューアルの効果によって、売上高・利益とも計画値を上回りました。

以上の結果、売上高、各段階利益とも期初計画を上回ることとなりました。

(単位:百万円)

 

期初計画

(2021年11月8日公表)

2022年9月期実績

差異

売上高

8,000

9,301

1,301

営業利益

450

587

137

経常利益

300

540

240

親会社株主に帰属する当期純利益

100

176

76

 

 

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