文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。また、本項において、「当社」とは株式会社T&Dホールディングスを意味し、「当社グループ」とは当社並びにその連結子会社及び関連会社を意味しております。また、当社の傘下生命保険子会社である太陽生命保険株式会社(以下「太陽生命」といいます)、大同生命保険株式会社(以下「大同生命」といいます)及びT&Dフィナンシャル生命保険株式会社(以下「T&Dフィナンシャル生命」といいます)の3社を「生命保険会社3社」といいます。
2021年度の日本経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が続いたものの、海外経済の回復や緩和的な金融環境、政府の経済対策等に支えられて、持ち直しの傾向にありました。
生命保険業界におきましては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響が依然としてありましたが、保障ニーズの高まりや営業活動におけるデジタル活用の定着等によって、新契約業績は前年度より増加しました。
資産運用環境につきましては、世界的な需要拡大等を受けたインフレ率の上昇やそれに伴う米国金融緩和策の引き締め方向への転換等により、海外金利は年度末にかけて上昇しました。この間、国内金利は、10年長期国債利回りが日本銀行の許容する変動幅の上限(0.25%)近くまで上昇しました。一方、国内株式は、ロシアのウクライナ侵攻により地政学リスクが高まったことや世界経済の先行きに対する不透明感が増したことで下落しました。
当社グループは、グループ長期ビジョン「Try & Discover 2025」に基づく、グループ成長戦略に取り組み、絶えず変化する人と社会の課題の解決に貢献することで、社会とともに成長する保険グループを目指しております。
つきましては、2021年度の当社グループの主な取組みについてご報告いたします。
①コアビジネスの強化
当社グループは、「お客さま本位」をグループ共通の価値観として、お客さまの利益に繋がる真摯・誠実かつ公正・適切な企業活動を行うために、「T&D保険グループお客さま本位の業務運営に係る基本方針」を定めており、基本方針の趣旨・精神を尊重する企業文化の醸成に取り組んでまいります。この基本方針のもと、生命保険会社3社は、それぞれの特化市場における独自のビジネスモデルに基づき、「コアビジネスの強化」に取り組みました。
(注)1 「健康経営® 」は、「特定非営利活動法人 健康経営研究会」の登録商標です。
2 企業の健康診断の受診促進の支援、経営者・従業員個々の生活習慣病等の発症リスク分析、継
続的な健康増進の取組みを促す健康促進ソリューションとインセンティブの提供等、健康経営
に必要なPDCAサイクルの実践を一貫してサポートするWebサービスです。
なお、太陽生命では、2022年3月に、将来収益及び資本効率の向上を図ることを目的として、個人年金保険の一部を再保険会社に出再いたしました。
②事業ポートフォリオの多様化
当社グループは、国内生命保険事業をコアとするグループ既存事業での利益拡大に加え、グループの経営資源を成長事業に配賦し、資本効率の向上に取り組んでまいります。この方針のもと、T&Dユナイテッドキャピタルは、クローズドブック事業等への投資を通じて、ポートフォリオの多様化に取り組みました。
当連結会計年度の業績は、次のとおりです。
なお、「第5 経理の状況-1 連結財務諸表等-(1)連結財務諸表 注記事項」の(追加情報)に記載のとおり、旧フォーティテュード社におけるグループ組織再編に伴い、米国会計基準上、旧フォーティテュード社において、2020年6月2日に遡って同社の負債が新たな計算方式で再評価されていることから、前連結会計年度は当該取扱いを反映した遡及適用後の数値を記載するとともに、当該数値で前年同期及び前連結会計年度末との比較を行っております。
(連結収支)
① 経常収益
ア 保険料等収入
保険料等収入は、概ね前期並みとなっております。
イ 資産運用収益
資産運用収益は、株式配当金や外国証券利息配当金の増加による利息及び配当金等収入の増加等により、前期比で増加しております。
(当連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)の資産運用収益の状況)
ウ その他経常収益
その他経常収益は、太陽生命の既契約年金ブロック再保険取引に伴う責任準備金戻入額の増加等により、前期比で大幅に増加しております。
エ 持分法による投資利益
持分法による投資利益は、米国金利上昇に伴いフォーティテュード社において再保険貸資産評価損を計上したこと等により、前期比で減少しております。なお、持分法による投資利益には、太陽生命とフォーティテュード社の再保険取引に係る未実現利益の調整227億円が含まれます。
② 経常費用
ア 保険金等支払金
保険金等支払金は、太陽生命の既契約年金ブロック再保険取引に伴う再保険料※の増加等により、前期比で大幅に増加しております。
※再保険契約に基づいて再保険会社へ支払う保険料。
イ 責任準備金等繰入額
責任準備金等繰入額は、太陽生命の既契約年金ブロック再保険取引に伴う責任準備金戻入額の発生等により、前期比で大幅に減少しております。
ウ 資産運用費用
資産運用費用は、為替ヘッジコスト低下等に伴う金融派生商品費用の減少、有価証券売却損の減少等により、前期比で減少しています。
(当連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)の資産運用費用の状況)
③ 経常利益
以上の結果、経常利益は、前期比で大幅に減少しております。
④ 特別利益・特別損失
特別利益は、固定資産等処分益の減少等により、前期比で減少しております。
特別損失は、減損損失の減少や前期に新型コロナウイルス感染症による損失を計上した反動等により、前期比で減少しております。
⑤ 親会社株主に帰属する当期純利益
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比で大幅に減少しております。
なお、親会社株主に帰属する当期純利益に対し、市場の変動により会計上生じる一時的な評価性損益等△250億円を控除したグループ修正利益は、392億円(前期比49.6%減)となりました。
(セグメントの収支)
○生命保険会社3社
<太陽生命>
① 経常収益
ア 保険料等収入
保険料等収入は、保有契約の減少等により、前期比で減少しております。
イ 資産運用収益
資産運用収益は、株式配当金や外国証券利息配当金等の増加による利息及び配当金等収入の増加や、円安に伴う為替差益の増加等により、前期比で増加しております。
ウ その他経常収益
その他経常収益は、既契約年金ブロック再保険取引に伴う責任準備金戻入額の増加等により、前期比で大幅に増加しております。
② 経常費用
ア 保険金等支払金
保険金等支払金は、既契約年金ブロック再保険取引に伴う再保険料の増加等により、前期比で大幅に増加しております。
イ 責任準備金等繰入額
責任準備金等繰入額は、既契約年金ブロック再保険取引に伴う責任準備金戻入額の増加等により、前期比で大幅に減少しております。
ウ 資産運用費用
資産運用費用は、主にヘッジコスト低下に伴う金融派生商品費用の減少、有価証券売却損の減少により、前期比で減少しております。
エ 事業費
事業費は、新契約業績好調等による営業職員報酬の増加等により、前期比で増加しております。
③ 経常利益又は経常損失
以上の結果、経常利益は前期比で減少し、経常損失となっております。
④ 特別損失
特別損失は、減損損失の減少や前期に新型コロナウイルス感染症による損失を計上した反動等により、前期比で減少しております。
⑤ 当期純利益又は当期純損失
以上の結果、当期純利益は前期比で減少し、当期純損失となっております。
<大同生命>
① 経常収益
ア 資産運用収益
資産運用収益は、外国証券利息配当金の増加等により、前期比で増加しております。
② 経常費用
ア 保険金等支払金
保険金等支払金は、解約返戻金の増加等により、前期比で増加しております。
イ 資産運用費用
資産運用費用は、ヘッジコスト低下に伴う金融派生商品費用の減少等により、前期比で減少しております。
ウ 事業費
事業費は、新契約業績好調等による代理店報酬増やシステム経費増等により、前期比で増加しております。
③ 経常利益
以上の結果、経常利益は、前期比で増加しております。
④ 特別損失
特別損失は、前期に減損損失や新型コロナウイルス感染症による損失を計上した反動等により、前期比で減少しております。
⑤ 当期純利益
以上の結果、当期純利益は、前期比で増加しております。
<T&Dフィナンシャル生命>
① 経常収益
ア 保険料等収入
保険料等収入は、新商品(変額保険)の販売開始等により、前期比で増加しております。
イ 資産運用収益
資産運用収益は、金銭の信託運用益の増加等により、前期比で増加しております。
② 経常費用
ア 保険金等支払金
保険金等支払金は、再保険料及び解約返戻金の増加等により、前期比で増加しております。
イ 責任準備金等繰入額
責任準備金等繰入額は、金利の上昇等に伴う一時払終身保険の責任準備金繰入額の減少等により、前期比で減少しております。
③ 経常利益又は経常損失
以上の結果、経常利益は、前期比で増加しております。
④ 特別損失
特別損失は、概ね前期並みとなっております。
⑤ 当期純利益又は当期純損失
以上の結果、当期純利益は、前期比で増加しております。
○T&Dユナイテッドキャピタル(連結)
主に米国金利上昇に伴いフォーティテュード社において再保険貸資産評価損を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期から533億円減少し、79億円の親会社株主に帰属する当期純損失(前期は454億円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。 なお、修正利益については、前期から60億円増加し、186億円(前期比48.7%増)となりました。
(生命保険会社3社の契約業績等(単体))
生命保険会社3社(合算)の契約業績は以下のとおりであります。
個人保険及び個人年金保険を合計した新契約年換算保険料(新契約には、転換による純増加を含みます。以下同じ)は、保障ニーズの高まる中、対面・非対面を融合した営業の定着等により1,219億円(前期比10.5%増)となり、前期比で増加しました。医療保障・生前給付保障等の第三分野の新契約年換算保険料についても、359億円(同12.1%増)となり、前期比で増加しました。
また、個人保険及び個人年金保険を合計した保有契約年換算保険料は1兆5,431億円(同0.5%増)となり、前期比で増加しました。
個人保険及び個人年金保険を合計した新契約高(新契約には、転換による純増加を含みます。以下同じ)は、3兆4,824億円(同9.5%増)となり、前期比で増加しました。
また、当連結会計年度末の個人保険及び個人年金保険を合計した保有契約高は54兆2,502億円(同2.9%減)となり、前期比で減少しました。
以下、生命保険会社3社の契約業績に重要な影響を与えた要因について説明いたします。
① 太陽生命
個人保険及び個人年金保険を合計した新契約年換算保険料は、保障ニーズの高まる中、対面・非対面を融合した営業の定着等により341億円(前期比3.2%増)となり、前期比で増加しました。医療保障・生前給付保障等の第三分野の新契約年換算保険料についても、197億円(同11.4%増)となり、前期比で増加しました。また、個人保険及び個人年金保険を合計した保有契約年換算保険料は、5,800億円(同1.6%減)となり、前期比で減少しました。
個人保険及び個人年金保険を合計した新契約高は、1,796億円(同26.2%減)となり、前期比で減少しました。また、当連結会計年度末の個人保険及び個人年金保険を合計した保有契約高は14兆5,275億円(同10.8%減)となり、前期比で減少しました。
② 大同生命
個人保険及び個人年金保険を合計した新契約年換算保険料は、保障ニーズの高まる中、対面・非対面を組み合わせた丁寧なコンサルティング営業の実践等により606億円(前期比18.8%増)となり、前期比で増加しました。医療保障・生前給付保障等の第三分野の新契約年換算保険料についても、155億円(同11.1%増)となり、前期比で増加しました。また、個人保険及び個人年金保険を合計した保有契約年換算保険料は、7,989億円(同0.1%増)となり、概ね前期並みとなりました。
個人保険及び個人年金保険を合計した新契約高は、2兆8,814億円(同14.7%増)となり、前期比で増加しました。また、当連結会計年度末の個人保険及び個人年金保険を合計した保有契約高は36兆7,252億円(同0.5%減)となり、概ね前期並みとなりました。
③ T&Dフィナンシャル生命
個人保険及び個人年金保険を合計した新契約年換算保険料は、新商品(変額保険)販売開始等により、271億円(前期比3.4%増)となり、前期比で増加しました。医療保障・生前給付保障等の第三分野の新契約年換算保険料についても、7億円(同72.8%増)となり、前期比で増加しました。また、個人保険及び個人年金保険を合計した保有契約年換算保険料は、1,641億円(同11.0%増)となり、前期比で増加しました。
個人保険及び個人年金保険を合計した新契約高は、4,212億円(同1.3%減)となり、前期比で減少しました。また、当連結会計年度末の個人保険及び個人年金保険を合計した保有契約高は2兆9,973億円(同10.9%増)となり、前期比で増加しました。
以下、[保険引受業務] ア 保有契約高明細表、イ 新契約高明細表、ウ 保有契約年換算保険料明細表、エ 新契約年換算保険料明細表、オ 保険料明細表及びカ 保険金等明細表に記載の各数値は、太陽生命、大同生命及びT&Dフィナンシャル生命の合算数値であります。
当連結会計年度末のセグメント別保有契約高
(注) 1 個人年金保険、団体保険(年金特約)の金額は、年金支払開始前契約の年金支払開始時における年金原資(ただし、変額個人年金保険は、責任準備金(最低保証に係る部分を除く))と年金支払開始後契約の責任準備金額の合計額であります。
2 団体年金保険の金額は、責任準備金額であります。
3 その他は、財形保険、財形年金保険、医療保障保険、就業不能保障保険、受再保険の合計で表示しております。なお、各々の計上基準については、財形保険、財形年金保険の金額は、責任準備金額(財形年金保険(財形年金積立保険を除く)の年金支払開始前契約は年金支払開始時における年金原資)、医療保障保険の金額は入院給付金日額、就業不能保障保険の金額は就業不能保険金月額であります。
当連結会計年度のセグメント別新契約高
(注) 1 個人保険及び個人年金保険は、転換による純増加を含みます。
2 個人年金保険の金額は、年金支払開始時における年金原資であります。
3 団体年金保険の金額は、第1回収入保険料であります。
4 その他は、財形保険、財形年金保険、医療保障保険、就業不能保障保険、受再保険の合計で表示しております。なお、各々の計上基準については、財形保険、財形年金保険の金額は、第1回収入保険料(財形年金保険(財形年金積立保険を除く)の年金支払開始前契約は年金支払開始時における年金原資)、医療保障保険の金額は入院給付金日額、就業不能保障保険の金額は就業不能保険金月額であります。
当連結会計年度末のセグメント別保有契約年換算保険料
(注) 1 年換算保険料とは、1回当たりの保険料について保険料の支払方法に応じた係数を乗じ、1年当たりの保険料に換算した金額であります(一時払契約等は、保険料を保険期間で除した金額)。
2 医療保障・生前給付保障等には、医療保障給付(入院給付、手術給付等)、生前給付保障給付(特定疾病給付、介護給付等)、保険料払込免除給付(障がいを事由とするものは除く。特定疾病罹患、介護等を事由とするものを含む。)等に該当する部分の年換算保険料を計上しております。
当連結会計年度のセグメント別新契約年換算保険料
(注) 転換による純増加を含みます。
当連結会計年度のセグメント別保険料
(注) その他は、財形保険、財形年金保険、医療保障保険、就業不能保障保険、受再保険の合計で表示しております。
前連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
当連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
当連結会計年度のセグメント別保険金等
保険金
年金
給付金
解約返戻金
その他返戻金
(注) その他は、財形保険、財形年金保険、医療保障保険、就業不能保障保険、受再保険の合計で表示しております。
(資本の財源及び資金の流動性)
資本の財源及び資金の流動性については、「(2)財政状態の状況」及び「(3)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(2)財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は17兆8,134億円(前年度末比0.1%減)となりました。
主な資産構成は、公社債を中心とする有価証券12兆9,481億円(同0.3%減)、貸付金1兆6,952億円(同2.3%減)、金銭の信託1兆3,248億円(同16.3%増)、現金及び預貯金8,906億円(同12.7%減)、有形固定資産3,726億円(同0.8%減)であります。
負債合計は16兆4,239億円(同0.6%増)となりました。その大部分を占める保険契約準備金は14兆5,053億円(同1.8%減)となっております。
純資産合計は1兆3,895億円(同7.5%減)となりました。純資産の部中、その他有価証券評価差額金は5,096億円(同11.3%減)となっております。
(3)キャッシュ・フローの状況
当社の営業活動によるキャッシュ・フローは、保険料等収入によるキャッシュイン、保険金等支払によるキャッシュアウトが大半を占めております。
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、前期から8,973億円支出増の3,968億円の支出となりました。
これは主に、太陽生命の既契約年金ブロック再保険取引に伴い保険金等支払金が増加したことによるものです。
なお、保険料等収入は、概ね前期並みの1兆7,819億円となりました。
当社の投資活動によるキャッシュ・フローは、収入保険料の運用に係るキャッシュ・フローが中心です。主な資産運用に関するキャッシュ・フローは有価証券の取得・売却等、資金の貸付・回収等です。
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、前期から5,446億円収入増の2,831億円の収入となりました。
これは主に、太陽生命の既契約年金ブロック再保険取引に伴い有価証券の売却を行ったことによります。
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、前期から143億円支出減の577億円の支出となりました。
これは主に、自己株式の取得による支出454億円、配当金の支払による支出306億円、借入れによる収入311億円、借入金の返済による支出108億円によります。また、前期からの増減は、自己株式取得が増加する一方、借入れによる収入増及び前期に社債の償還による支出があったことの反動によります。
なお、当社の株主還元は、当社及びグループ会社の経営の健全性維持に留意し、グループとして必要な内部留保を確保したうえで株主価値の向上に取り組み、安定的な利益配分を実施していくことを基本方針としております。
以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前期から1,702億円減少し、9,152億円(前年度末残高は1兆855億円)となりました。
(4)生産、受注及び販売の実績
当社グループの主たる事業である生命保険業における業務の特殊性により、該当する情報がないため記載しておりません。
(5)その他重要事項
生命保険会社3社合算の基礎利益は1,840億円(前期比14.3%増)、順ざや額は948億円(同63.2%増)となりました。
当連結会計年度末の連結ソルベンシー・マージン比率は1,026.3%となりました(前連結会計年度末は1,094.7%)。また、連結実質純資産は2兆6,675億円となりました(同3兆1,008億円)。
生命保険会社3社のその他重要事項は以下のとおりです。
① 太陽生命
基礎利益は、順ざやの増加等により551億円(前期比4.6%増)となりました。順ざや額は、利息及び配当金等収入の増加等により429億円(同45.2%増)となりました。
ソルベンシー・マージン比率は734.2%(前年度末は852.8%)となりました。また、実質純資産額は8,520億円(同1兆1,542億円)となりました。
② 大同生命
基礎利益は、順ざやの増加等により1,316億円(前期比17.9%増)となりました。順ざや額は、利息及び配当金等収入の増加等により542億円(同74.9%増)となりました。
ソルベンシー・マージン比率は1,203.8%(前年度末は1,293.5%)となりました。また、実質純資産額は1兆5,661億円(同1兆6,858億円)となりました。
③ T&Dフィナンシャル生命
基礎利益は、△26億円(前期は△32億円)となりました。逆ざや額は22億円(前期比6.7%減)となりました。
ソルベンシー・マージン比率は749.5%(前年度末は826.8%)となりました。また、実質純資産額は1,097億円(同1,928億円)となりました。
(当連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)の基礎利益)
(当連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)の順ざやの状況)
(注) 1 順ざや額は、次の算式で算出しております。
順ざや額=(基礎利益上の運用収支等の利回り-(期中)平均予定利率)×一般勘定(経過)責任準備金
2 基礎利益上の運用収支等の利回りは、基礎利益に含まれる運用収支(一般勘定分の資産運用損益)から契約者配当金積立利息繰入額を控除したものの、一般勘定(経過)責任準備金に対する利回りのことであります。
3 (期中)平均予定利率は、予定利息の一般勘定(経過)責任準備金に対する利回りのことであります。
4 一般勘定(経過)責任準備金は、危険準備金を除く一般勘定部分の責任準備金について、以下の方式で算出しております。
一般勘定(経過)責任準備金=(期始責任準備金+期末責任準備金-予定利息)×1/2
(当連結会計年度末(2022年3月31日)のソルベンシー・マージン比率の状況)
(当連結会計年度末(2022年3月31日)の実質純資産額の状況)
(注) 1 上記は、保険業法施行規則第210条の11の3、第210条の11の4及び平成23年金融庁告示第23号の規定に基づいて算出しております。
2 「最低保証リスク相当額 R7」は、標準的方式を用いて算出しております。
太陽生命
(注) 1 保険業法施行規則第86条、第87条及び平成8年大蔵省告示第50号の規定に基づいて算出しております。
2 「最低保証リスク相当額 R7」は、標準的方式を用いて算出しております。
大同生命
(注) 1 保険業法施行規則第86条、第87条及び平成8年大蔵省告示第50号の規定に基づいて算出しております。
2 「最低保証リスク相当額 R7」は、標準的方式を用いて算出しております。
T&Dフィナンシャル生命
(注) 1 保険業法施行規則第86条、第87条及び平成8年大蔵省告示第50号の規定に基づいて算出しております。
2 「最低保証リスク相当額 R7」は、標準的方式を用いて算出しております。
①市場整合的エンベディッド・バリューについて
エンベディッド・バリュー(Embedded Value、以下、EV)とは、株主に帰属すると考えられる価値であり、貸借対照表などから計算される「修正純資産」と、保有契約に基づき計算される「保有契約価値」を合計したものであります。欧州では、生命保険会社の企業価値を評価する指標の一つとされております。
現行の生命保険会社の財務会計では、新契約獲得から会計上の利益の実現までにタイム・ラグがあります。
一方、EVでは、将来の利益貢献が新契約獲得時に認識されるため、財務会計による財務情報を補強することができると考えられております。
当グループでは、欧州の主要保険会社のCFO(Chief Financial Officer:最高財務責任者)から構成されるCFOフォーラムによって公表されたEV計算の基準である「The European Insurance CFO Forum Market Consistent Embedded Value Principles(※)(MCEV原則)」に基づいたEV(以下、MCEV)を開示しております。(※)Copyright© Stichting CFO Forum Foundation 2008
②MCEV及びGroup MCEV
(注) 1 当グループの生命保険事業を対象にしております。
2 当グループの生命保険以外の事業に係る会計基準に基づく純資産であります。
対象事業のMCEVの内訳
(注) 当年度中に販売した新契約(転換契約を含む)の年度末における価値を表したものであります。
当事業年度末のMCEVは、新契約の獲得等により1,625億円増加し、3兆4,146億円となりました。修正純資産は内外金利上昇に伴う債券の時価下落等により減少し、保有契約価値は新契約の獲得、国内金利上昇等により増加しました。
また、新契約価値は、235億円増加し、1,669億円となりました。
③各社別のMCEV
(注) T&Dフィナンシャル生命の新契約価値は契約獲得時点の評価としております。
④第三者機関の意見
当グループは、保険数理に関する専門的知識を有する第三者機関(アクチュアリー・ファーム)に、当グループのMCEV及びGroupMCEVについて検証を依頼し、意見書を受領しております。
(注) 「円貨額が確定した外貨建資産」は、為替予約等が付されていることにより決済時の円貨額が確定し、当該円貨額を資産の貸借対照表計上額としているものであります。
(6)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成は、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況-1 連結財務諸表等-(1)連結財務諸表」の「会計方針に関する事項」に、重要な見積りは「第5 経理の状況-1 連結財務諸表等-(1)連結財務諸表」の「重要な会計上の見積り」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
なお、会計上の見積りについては、財務諸表作成時において入手可能な情報に基づき、その現況が継続するとの仮定により、見積りを実施しております。新型コロナウイルス感染症による当期及び翌期以降の影響は、金額的に軽微であり、会計上の見積りへの影響も軽微です。
① 責任準備金の積立方法
保険契約に基づく将来における債務の履行に備えるため、責任準備金を積み立てております。保険料及び責任準備金の算出方法書に記載された計算前提(予定発生率・予定利率等の基礎率)が、直近の実績と大きく乖離することにより、将来の債務履行に支障を来すおそれがあると認められる場合には、追加の責任準備金を計上する必要があります。なお、責任準備金の積立方法は「第5 経理の状況-1 連結財務諸表等-(1)連結財務諸表」の「会計方針に関する事項」、見積りの内容については「第5 経理の状況-1 連結財務諸表等-(1)連結財務諸表」の「重要な会計上の見積り」にも記載しております。
② 支払備金の積立方法
保険契約に基づいて支払義務が発生したと認められる保険金等のうち、未だ支払っていない金額を見積り、支払備金として積み立てております。将来、見積りに影響する新たな事実の発生等により、支払備金の計上額が当初の見積り額から変動する可能性があります。
③ 退職給付債務及び退職給付費用
退職給付債務及び退職給付費用は、年金資産の期待運用収益率や将来の退職給付債務算出に用いる数理計算上の前提条件に基づいて算出しております。このため、主要な仮定である割引率や長期期待運用収益率等が変動した場合、退職給付に係る資産・負債に重要な影響を与える可能性があります。なお、退職給付債務等の計算に関する事項は「第5 経理の状況-1 連結財務諸表等-(1)連結財務諸表」の「退職給付関係」、見積りの内容については「第5 経理の状況-1 連結財務諸表等-(1)連結財務諸表」の「重要な会計上の見積り」にも記載しております。
④ 固定資産の減損処理
固定資産については、資産グループの回収可能価額が帳簿価額を下回った場合に、その差額を減損損失に計上しております。回収可能価額は、資産グループの時価から処分費用見込み額を控除した正味売却価額と割引後将来キャッシュ・フローとして算定される使用価値のいずれか大きい方としております。今後、主要な仮定である保険営業活動から生じる損益や投資用資産の収支見込みが悪化し、割引前将来キャッシュ・フローが変動した場合、新たに減損損失が発生する可能性があります。なお、固定資産の減損処理に係る基準は「第5 経理の状況-1 連結財務諸表等-(1)連結財務諸表」の「連結損益計算書関係」、見積りの内容については「第5 経理の状況-1 連結財務諸表等-(1)連結財務諸表」の「重要な会計上の見積り」にも記載しております。
⑤ 繰延税金資産の回収可能性の評価
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際し、将来の課税所得を合理的に見積っております。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存しますので、その見積り額が減少した場合は繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。なお、当社及び生命保険会社3社を含む一部子会社は、当社を連結納税親会社として連結納税制度を適用しております。そのため、連結納税グループ全体の連結課税所得の見積りに依存しますので、その見積り額が減少した場合は繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。
⑥ 有価証券の減損処理
当社グループは、資産運用を目的として株式等の有価証券を保有しております。売買目的有価証券以外の有価証券のうち、時価もしくは実質価額が著しく下落したものについては、合理的な基準に基づいて有価証券の減損処理を行っております。なお、減損処理に係る合理的な基準は「第5 経理の状況-1 連結財務諸表等-(1)連結財務諸表」の「有価証券関係」の注記に記載しております。将来、株式市場が悪化した場合には、多額の有価証券評価損を計上する可能性があります。
⑦ 金融商品の時価の算定方法
有価証券の一部及びデリバティブ取引は、時価法に基づいて評価しております。時価は、原則として市場価格に基づいて算定しておりますが、市場価格がない場合には合理的に算定された価額によっております。時価の算定方法については、「第5 経理の状況-1 連結財務諸表等-(1)連結財務諸表」の「金融商品関係」に記載しております。将来、見積りに影響する新たな事実の発生等により、見積り額は変動する可能性があります。
⑧ 貸倒引当金の計上基準
当社グループは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、資産の自己査定基準及び償却・引当基準に則り、債務者の状況に応じ、回収不能見積り額を計上しております。貸倒引当金の計上基準については、「第5 経理の状況-1 連結財務諸表等-(1)連結財務諸表」の「会計方針に関する事項」に記載しております。将来、債務者の財務状況が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。
(参考)固有指標の説明
1.基礎利益
基礎利益とは生命保険本業における期間収益を示す指標の一つであります。
生命保険会社においては、株式、債券、為替市況等の運用環境が変動した場合、有価証券売却損益、有価証券評価損及び為替差損益が発生し、経常利益に大きな影響を与えることがあります。そのため、生命保険会社各社は、ディスクロージャー推進の一環として一般社団法人生命保険協会が定める「ディスクロージャー開示基準」に基づき、2001年3月期決算から、保険本業の期間収益を示す指標として、基礎利益を公表しております。基礎利益は、「経常利益」から有価証券売却益、有価証券売却損、有価証券評価損等の「キャピタル損益」と危険準備金戻入額、危険準備金繰入額、貸付金償却等の「臨時損益」を控除したものであります。基礎利益については、損益計算書に項目が設けられていませんが、参考情報として開示しております。
2.順ざや・逆ざや
生命保険会社は、保険契約者が支払う保険料を計算するにあたって、あらかじめ資産運用による一定の運用収益を見込み、その分保険料を割り引いて計算しております。この割引率を予定利率といいます。そのため、保険会社は、毎年割り引いた分に相当する金額(予定利息)を運用収益等で確保する必要があります。
予定利息を実際の運用収益等でまかなえている状態を「順ざや」といい、まかなえていない状態を「逆ざや」といいます。
3.責任準備金
責任準備金とは、将来の保険金等の支払いを確実に行うため、保険料や運用収益等を財源として積み立てる準備金のことで、生命保険会社の負債の最も大きな部分を占めております。
なお、責任準備金は期末において繰入と戻入とを相殺した差額を損益計算書に計上します。すなわち、繰入額が戻入額を上回る場合はその差額を責任準備金繰入額として経常費用の科目に表示し、戻入額が繰入額を上回る場合はその差額を責任準備金戻入額として経常収益の科目に表示します。
4.ソルベンシー・マージン比率
ソルベンシー・マージンは、大地震や株の暴落等、通常の予測を超えて発生するリスクに対応するための財務的な余裕である「支払余力」を意味しております。生命保険会社は、将来の保険金等の支払いに備えて通常予測できる範囲のリスクについては、責任準備金を積み立てて対応しておりますが、ソルベンシー・マージンは、これを超えるリスクへの備えとなります。ソルベンシー・マージン比率は、「ソルベンシー・マージン総額」(純資産の部合計、価格変動準備金、危険準備金、一般貸倒引当金等)を、通常の予測を超えて発生するリスクを計量化した「リスクの合計額」の2分の1で割ることにより算出される比率であります。
ソルベンシー・マージン比率が200%以上であれば、健全性について一つの基準を満たしていることを示しております。
5.実質純資産額
実質純資産額とは、貸借対照表の資産を基礎として計算した額(有価証券・不動産等について一定の時価評価を行ったもの)から負債を基礎として計算した額(負債の額から価格変動準備金・危険準備金等の額を差し引いた額)を控除した金額をいい、金融庁による早期是正措置において、実質的な債務超過の判定基準として用いられる行政監督上の指標の一つです。
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