経常最高益へ復帰、当期純利益 9期連続最高益更新
当連結会計年度の業績は下表の通りで、売上高、営業利益、経常利益、当期純利益のすべてにおいて前年を上回り増収増益となりました。経常利益は、コロナ禍の減益を1期のみとして最高益へ復帰、親会社株主に帰属する当期純利益は9期連続の最高益更新を達成しました。
オフィスビル増収増益、仲介大幅増益
部門別では、主力のオフィスビル事業が増収増益となったことに加えて、ホテル、イベントホールなどの施設営業分野が前年に比べ落ち込み幅が縮小、不動産賃貸事業は増収増益となりました。また、「新築そっくりさん」などの完成工事事業や中古住宅の仲介が好調な不動産流通事業が増収増益となり業績に寄与しました。分譲マンションを中心とする不動産販売事業は、計上戸数が減少して減収減益となりましたが、高水準の営業利益を達成して好調に推移しました。
営業外損益は△87億円(前期比+5億円)、特別損益は前年に計上した中国大連市における分譲マンション開発合弁会社への出資持分譲渡益118億円がなくなり、△64億円(同△68億円)となりました。
その結果、売上高9,394億円(前期比+2.4%)、営業利益2,338億円(同+6.7%)、経常利益2,251億円(同+7.2%)親会社株主に帰属する当期純利益1,504億円(同+6.4%)となりました。
部門別の営業成績は下表の通りです。
<不動産賃貸事業部門>
通期稼働ビルが寄与、増収増益
当連結会計年度は、前期に竣工した「住友不動産麹町ガーデンタワー」、「住友不動産御茶ノ水ビル」などの通期稼働に加え、前年に取得した大型物件の取得費用がなくなったことなどにより、主力のオフィスビル事業は増収増益を確保しました。
一方、ホテルやイベントホールなどの施設営業分野では、新型コロナウイルス感染症の影響が続くものの、「有明ガーデン」の通期稼働やオリンピック関連などの一時的な収益の寄与により前年対比で落ち込み幅は縮小しました。
その結果、当事業部門の業績は増収増益となりました。
既存ビル空室率5.8%、一進一退
既存ビルの空室率は5.8%と上半期に上昇しましたが、下半期は横ばい圏で推移しました。テナントニーズは多様化しており、市況は一進一退の様相が続いております。
また、新規ビルのテナント募集は、上半期に竣工した「住友不動産田町ビル東館」、「住友不動産神田和泉町ビル」は契約をほぼ完了、第4四半期に竣工した「住友不動産大崎ツインビル東館」や、次期竣工予定の大型ビル「東京三田再開発計画」、「西新宿五丁目北計画」などの募集に注力しております。
<不動産販売事業部門>
期初計画通り、高水準の営業利益達成
当連結会計年度は、前期までに竣工した大規模物件「シティタワーズ東京ベイ」、「シティタワー銀座東」などの引き渡しが順調に進捗したのに加え、「シティタワー武蔵小山」、「シティテラス金町」などが引き渡しを開始、マンション、戸建、宅地の合計で3,604戸(前期比△560戸)を販売計上しました。
前年に比べ計上戸数は減少し減収減益となりましたが、営業利益は504億円となり、期初計画(500億円)通り、高水準の利益を達成しました。
マンション契約順調、次期計上分の8割契約済
マンション契約戸数は前年と同じ3,047戸と計画通り順調に進捗、次期計上予定戸数3,000戸に対し期首時点で約80%(前年約80%)が契約済となっております。
<完成工事事業部門>
受注増、増収増益
当連結会計年度の受注棟数は、「新築そっくりさん」事業で8,362棟(前期比+828棟)、注文住宅事業で2,619棟(同+92棟)と、緊急事態宣言に伴い営業活動を自粛した前年に比べ増加しました。当期は、太陽光発電の新サービス「すみふ×エネカリ」や高断熱リフォームプランなど環境に配慮した新商品を投入、受注増に寄与しました。
その結果、当事業部門の業績は、木材など資材価格上昇による影響もありましたが、計上棟数の増加により増収増益を達成しました。
<不動産流通事業部門>
仲介件数、売上高、営業利益のすべてで過去最高更新
当連結会計年度の仲介件数は、緊急事態宣言に伴い営業活動を自粛した前年に比べ増加したのに加え、9月に導入した新サービス「ステップオークション」の効果などにより、中古マンション取引を中心に38,144件(前期比+3,022件)と、2期ぶりに過去最高を更新しました。
その結果、当事業部門の業績は、売上高と営業利益がともに過去最高(前期に実施したセグメント変更を過去実績に反映後)を更新、大幅な増収増益となりました。
なお、直営仲介店舗は、エリアが重複する不採算店を閉鎖し、都心にマンション専業店を開設するなど入替を継続、当期末時点で全国計256店舗(前期末比△13店舗)となりました。
<その他の事業部門>
フィットネスクラブ事業、飲食業などその他の事業は、売上高9,083百万円(前期比+812百万円)、営業利益617百万円(同+665百万円)となりました。
<中期経営計画の達成状況>
2019年4月より取り組んできた「第八次中期経営計画」は当期(2022年3月期)をもって終了しました。計画2年目に新型コロナウイルス感染症の影響により減収減益を余儀なくされましたが、最終年度の当期は、前述の通り、増収増益とし、1年で経常最高益復帰を果たしました。3ヵ年累計業績は下表の通りで、コロナ禍前に策定した当初目標には届きませんでしたが、営業利益と経常利益は六次から3計画連続の中計最高益を達成することができました。
(億円)
※2019年5月16日公表
<資産、負債、純資産の状況>
当連結会計年度における総資産は5兆8,060億円(前期末比+1,323億円)となりました。賃貸ビル投資により有形固定資産が4兆1,143億円(同+1,021億円)に増加しました。
負債合計額は、4兆1,719億円(前期末比+13億円)となりました。連結有利子負債は、前期末並みの3兆5,599億円(同△13億円)となりました。
純資産合計額は、1兆6,340億円(前期末比+1,310億円)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益が1,504億円となり利益剰余金が増加しました。その結果、自己資本比率は28.1%(前期末26.5%)となりました。
なお、当連結会計年度における連結有利子負債の長期比率は98%(前期末96%)、固定金利比率は96%(同94%)となっております。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローは、
営業活動によるキャッシュ・フロー 192,967百万円 (前期比 △ 32,980百万円)
投資活動によるキャッシュ・フロー △209,984百万円 (前期比 +126,697百万円)
財務活動によるキャッシュ・フロー △ 21,917百万円 (前期比 △124,003百万円)
となり、現金及び現金同等物は36,971百万円減少して150,309百万円となりました。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>
当期の経常利益を2,251億円計上しました。棚卸資産が483億円増加した結果、営業キャッシュ・フローは1,929億円の収入となりました。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>
主に賃貸事業の増強を目的として合計1,795億円の有形固定資産投資を行った結果、投資キャッシュ・フローは2,099億円の支出となりました。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>
調達資金の長期安定化を進めるため、期限到来にともなう社債償還および長期借入金返済合計2,277億円(ノンリコース含む)に対して、3,045億円(ノンリコース含む)の社債発行および長期借入を実施しました。また、コマーシャル・ペーパーを800億円償還した結果、財務キャッシュ・フローは219億円の支出となりました。
③ 生産、受注及び販売の状況
生産、受注及び販売の状況については、前掲「① 財政状態及び経営成績の状況」における各セグメントの業績に関連付けて記載しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2022年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。
当連結会計年度は、売上高9,394億円(前連結会計年度比+219億円)、営業利益2,338億円(同+146億円)、経常利益2,251億円(同+151億円)となりました。売上高、営業利益、経常利益、当期純利益のすべてにおいて前年を上回り増収増益となりました。経常利益は最高益への復帰、親会社株主に帰属する当期純利益は9期連続の最高益更新を達成しました。
当連結会計年度は、主力のオフィスビル事業が増収増益となったことに加えて、ホテル、イベントホールなどの施設営業分野が前年に比べ落ち込み幅が縮小、不動産賃貸事業は増収増益となりました。また、「新築そっくりさん」などの完成工事事業や中古住宅の仲介が好調な不動産流通事業が増収増益となり業績に寄与しました。分譲マンションを中心とする不動産販売事業は、計上戸数が減少して減収減益となりましたが、高水準の営業利益を達成して好調に推移しました。その結果、売上高は939,430百万円(前連結会計年度比+21,958百万円、同+2.4%)、営業利益は233,882百万円(同+14,638百万円、同+6.7%)となりました。
なお、各事業部門の詳細については、前掲「(1) 経営成績等の状況の概要」をご参照下さい。
営業外収益は、受取配当金の増加等により、14,255百万円(前連結会計年度比+378百万円)となりました。また、営業外費用は、支払利息の減少等により、23,023百万円(同△149百万円)となりました。その結果、営業外損益は△8,768百万円(同527百万円の改善)となりました。
当連結会計年度は、前年に計上した中国大連市における分譲マンション開発合弁会社への出資持分譲渡益118億円がなくなり特別利益は 2,524百万円(前連結会計年度比△11,127百万円)となった一方、固定資産除却損など8,986百万円(同△4,256百万円)の特別損失を計上しました。その結果、特別損益は、差引6,462百万円の損失(同6,872百万円の悪化)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益が150,452百万円となり、株主資本が前連結会計年度末比130,072百万円増加 した結果、当連結会計年度末の自己資本は、1,634,049百万円(同+131,028百万円)、自己資本比率は28.1%となりました。
資金調達においては、当連結会計年度中に、調達資金の長期安定化を進めるため、期限到来にともなう社債償還および長期借入金返済合計2,277億円(ノンリコース含む)に対して、3,045億円(ノンリコース含む)の社債発行および長期借入を実施しました。その結果、連結有利子負債は、3,559,993百万円(前連結会計年度末比△1,300百万円)となりました。
なお、当連結会計年度末において、連結有利子負債の長期比率は98%(前連結会計年度末96%)、固定金利比率は96%(同94%)となっております。
2022年4月より開始した「第九次中期経営計画」では、更なる収益基盤強化のため、東京都心における賃貸ビル投資を継続推進することとしております。必要な資金は、拡大する賃貸キャッシュフローを優先配分して賄う方針です。詳しくは、前掲「1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等](3)中期経営計画について 3.設備投資計画および4.資金調達計画」をご参照ください。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債および収益・費用の報告金額および開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5[経理の状況]の連結財務諸表の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針等が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすものと考えております。
販売用不動産(仕掛含む)及び賃貸資産の評価
当社グループは、販売用不動産(仕掛含む)について、連結財務諸表の注記事項に記載のとおり、主として個別法に基づく原価法(収益性の低下による簿価切り下げの方法)により評価しております。また、賃貸資産について、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、資産のグルーピング、減損の兆候の識別、減損損失の認識の判定及び測定を行っております。
お知らせ