文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2022年3月31日)現在において当社グループが判断したものであり、実際の業績等は異なることがあります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、430年の歴史を刻む住友グループの総合不動産会社であり、「信用を重んじ、浮利を追わず」という住友の事業精神を受け継ぎ、従業員、顧客、取引先、債権者、株主等のステークホルダーに対し、当社の企業姿勢を示すスローガンとして「信用と創造」を掲げております。これには、何よりも「信用」を大切にして「浮利を追わず」に、開拓精神を持って新しい企業価値を創り出す、デベロッパーとしての矜持を込めております。
このスローガンのもと、「よりよい社会資産を創造し、それを後世に残していく」ことを基本使命とし、各事業を通じて、環境をはじめとする様々な社会課題の解決に貢献しつつ、企業価値の最大化を目指すことを経営の基本方針としております。
(2)中長期的な経営戦略、目標とする経営指標及び対処すべき課題
①収益基盤強化のため、東京都心における賃貸ビル投資を継続推進
当社のこれまでの成長を支えてきた原動力は、東京都心のオフィスビルを中核とした不動産賃貸事業です。営業利益は当社全体の7割近くを占め、まさに、大黒柱として企業価値の根幹を成しております。
当社は、新宿住友ビル(通称三角ビル)が完成した1970年代初頭からおよそ半世紀にわたり、東京都心に特化したオフィスビル開発を推進、事業基盤を拡充してまいりました。これまでにバブル崩壊やリーマンショックなど未曾有の経済危機と、バブル景気やアベノミクス景気といった様々な環境変化を経てきましたが、当社は首尾一貫して、①資産売却による一時的な利益を追わず、②開発用地を自ら創り出して建設したビルを、③保有賃貸して長期安定的な賃貸収益を蓄積するという経営方針を貫き、継続してまいりました。その結果、現在、東京都心で230棟超の多様なポートフォリオを誇るビルオーナーに成長いたしました。
オフィスビル賃貸事業は、用地取得から商品企画、テナント募集や入居テナントへのサービス、管理に至るまで、総合的な事業遂行能力を必要とします。その中でも、用地取得は最も重要で、当社は、土地を買いまとめたり、地権者の権利関係を調整する再開発の手法で、言わばメーカーのようにビル用地を創り出してきました。加えて、ビル管理やテナント募集でも、自社で行う直接主義を重視し、顧客や現場の実態を的確に把握した上で、常に商品企画の改善や業務の効率化などに鋭意取り組んでまいりました。その結果、高い収益性を実現し、保有不動産の資産価値を高め、企業価値を増大させてまいりました。
コロナ禍を契機として働き方が多様化し、テレワークの活用も広がりましたが、同時に東京都心のオフィスの重要性も再認識されております。当社は引き続き、後述の第九次中期経営計画において目標に掲げている、延床面積70万坪超(2022年3月末時点賃貸延床170万坪の4割強)の東京都心における新規ビル開発計画を着実に推進し、これらを順次完成、稼働させることにより、さらなる収益基盤の拡大、企業価値の向上を目指します。
②中期経営計画を着実に達成、増収増益路線を継続
当社の主力事業である不動産賃貸事業や不動産販売事業では、用地の取得から建物完成、収益計上までに、短くて2~3年、再開発事業など大規模な開発では5年以上を要するものが多々あります。年度計画だけでは、土地の最有効活用を図り収益を最大化するという、不動産業本来の最も重要な視点が損なわれるおそれがありますので、当社は、3年毎に策定する中期経営計画の達成を最重要課題とし、これを着実に遂行することにより企業価値を高めてまいりました。これまでの25年間で8つの経営計画を遂行、リーマンショックやコロナ禍の3期を除く22期で経常増益を達成しました。
当初10期(中計3期間)は、バブル崩壊により痛んだ資産の修復と有利子負債削減に取り組みました。後半の15期(中計5期間)は、賃貸資産を倍増させ、賃貸・販売・完工・流通の4セグメントをより強固なものとして経営基盤を強化、併せて自己資本を充実させて債務格付けをAAゾーンにまで引き上げました。
これから2030年度までの中計3期間は、更なる賃貸資産拡充投資に資金重点を置くスタンスを維持して持続的な利益成長を図りつつ、当社事業そのものの社会貢献度の高さ、投資余力と資本政策の自由度の高まりを踏まえて、強靭な経営基盤、かつサステナブルな成長を目指してまいります。経営環境は当面、コロナ禍、地政学リスク、資源調達の不安定性などの諸問題を抱えておりますが、2030年度の経常利益3千億円実現を視野に入れ、2022年5月に発表した新しい経営計画「第九次中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)」をその第一弾と位置付けて、引き続き企業価値の向上に全力を尽くしてまいります。
※第九次中期経営計画の内容は、「(3)中期経営計画について」に記載のとおりです。
③事業を通じた社会課題の解決、SDGsへの貢献
当社は、430年続く住友の事業精神を継承したサステナビリティ経営を実践しており、「より良い社会資産を創造し、それを後世に残していく」という基本使命のもと、事業活動を通じて、環境をはじめとする様々な社会課題の解決に取り組むとともに、国連の持続可能な開発目標「SDGs」の達成にも貢献してまいります。
当社の主力事業であるオフィスや住宅などの再開発事業においては、木造家屋が密集する地域で堅牢な耐火建築物への建て替えを実施し、行政と連携して防災拠点とすることで、地域全体の防災性を大きく向上させるとともに、コミュニティ形成や活性化を促進する交流拠点を形成するなど地域の課題解決に貢献するまちづくりを推進しています。
また、「新築そっくりさん」事業においては、1996年の事業開始以降、耐震補強工事を標準仕様とし、安心安全な住宅の普及に積極的に努めています。基礎・躯体等を再利用することで、廃棄物の発生量や新たな資材投入を大きく削減することができ、2022年6月には、東京大学・武蔵野大学との共同研究において、調査した施工物件のCO2排出量が建て替えに比べて47%削減されることも確認されました。
2022年5月には、国際的社会課題である2050年カーボンニュートラルに貢献すべく、2030年度までの中間目標として、パリ協定直前の2014年度実績比でCO2排出量を50%削減する目標を掲げました。総合不動産デベロッパーとして、オフィスビル、分譲マンション、注文住宅、リフォームなど、各主力事業で、省エネや創エネの普及促進を図る消費者への訴求力を高めた商品、サービスの開発、提供を推進し、CO2排出量削減目標達成に向けて取り組んでまいります。
当社は、今後とも、事業活動を通じて社会課題の解決に貢献しつつ、企業価値の最大化を目指してまいります。
(3)中期経営計画について
第九次中期経営計画の内容(2022年5月12日公表)は、以下の通りです。
1.業績目標
中計最高益連続更新
3ヵ年累計経常利益 7,500億円、当期利益 5,000億円の達成
八次までの成長ペースを維持し、六次から4計画連続の最高益更新を目指す
<3ヵ年の累計業績目標>
売 上 高 3兆円 (八次中計比 +1,296億円、+ 5%)
営業利益 7,700億円 ( 同 + 825億円、+ 12%)
経常利益 7,500億円 ( 同 + 944億円、+ 14%)
当期利益 5,000億円 ( 同 + 672億円、+ 16%)
2.部門別業績目標と事業戦略
東京のオフィスビル賃貸を確固たる基盤と位置付けることは変えず、
グループの総合力で目標達成を目指す
<事業戦略>
① 不動産賃貸
八次までに構築した収益基盤を維持し、4計画連続の増益を目指す
・オフィスビルは、既存ビルの収益力維持に努めるとともに、八次竣工ビル(延18万坪)の通期稼働と、九次竣工ビル(延19万坪)の新規稼働による収益を確実に取り込む
・ホテル・イベントホール・商業施設などの施設営業分野は、コロナ禍前の収益力を回復し、十次以降の成長回帰を期す
② 不動産販売
八次で実現した高水準の利益規模を維持する
・量を追わず利益重視で販売ペースをコントロールする方針を堅持
・上昇傾向にある建設工事費への対処は課題だが、九次計上分は全件着工済につき影響は限定的
・競争激化の用地取得環境が続く中、着実に確保する方針を継続
③ 完成工事
リフォーム(新築そっくりさん)、注文住宅ともに、品質を高めつつ、コストコントロールに注力し、受注拡大による最高益連続更新を目指す
・高い環境性能や防災性能をはじめ、顧客のニーズを的確に捉えた商品提案により受注拡大を図る
・ウッドショックや資材高に適切に対処し、影響を最小限にとどめる
④ 不動産流通
収益力を一段と強化し、中計最高益の大幅更新を目指す
グループの連携強化と顧客本位のサービスをより一層追求し、シェア拡大を図る
3.設備投資計画(分譲マンションなど販売用の仕入れを除く固定資産投資)
収益基盤強化のため、東京都心における賃貸ビル投資を継続推進
九次3年間で1兆円の投資を見込む
① 再開発を中心とした具体化している延床70万坪超の開発計画への投資7千億円
現時点の賃貸資産稼働見通しは下表の通り
② 「好球必打」新規案件投資枠3千億円
4.資金調達計画
(1)仕掛中物件の追加投資7千億円は、拡大する賃貸CF※で賄える見通し
※賃貸CF(キャッシュフロー):不動産賃貸事業の営業利益+減価償却費
(2)グリーンファイナンスの導入
長期資金総額1兆円のグリーンファイナンスを実施
① DBJ Green Building認証※で3つ星以上の評価を取得済の当社保有ビル(2022年3月末時点で27物
件取得済)のうち、12棟を対象に1兆円をグリーンファイナンスにより調達する
② 資金調達期間中の制約
・CO2排出量、エネルギー使用量等の環境性能開示
・対象物件のDBJ Green Building認証3つ星以上維持
・環境改善等の社会課題に貢献するファイナンスであり、対象物件の売却禁止
③ JCR・R&I 2社からグリーンファイナンス適合評価取得
※DBJ Green Building認証は、日本政策投資銀行が創設した、不動産の「経済性」にとどまらない「環境・社会への配慮」に
おける性能・取組みを評価する認証制度
5.株主還元方針
利益成長に沿った「持続的増配」、「年5円増配」を継続
キャッシュフローは賃貸ビル投資に優先配分する方針を継続
なお、九次中計期間中に自己資本比率は30%を超える見通しで、資本政策の自由度は高まりつつあります。
6.政策保有株式に対する数値目標の導入
保有株式簿価の株主資本に対する比率を2030年度までに10%以下に抑制
当社は、取引先等との安定的・長期的な取引関係の構築および強化等の観点から、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資すると判断した場合は、当該取引先等の株式を取得し保有することができるものとしております。
今般、政策保有株式の保有残高につき数値目標を設定し、一定の規律を設けることといたしました。2022年3月期末時点で、保有する上場株式の簿価(取得原価)2,719億円の株主資本1兆4,792億円(純資産から有価証券評価差額金等を控除)に対する比率は18%に相当しますが、これを今後毎年引き下げ、2030年度までに10%以下に抑制してまいります。
7.CO2排出量(Scope1、2、3)削減目標の設定
パリ協定直前の2014年度対比、2030年度までに50%削減
2050年カーボンニュートラルに賛同表明済
脱炭素への取り組みを事業拡大に結び付け達成を目指す
① オフィスビルを中心とする賃貸事業・施設運営事業において省エネを推進
・新築・リニューアル時の高効率設備導入を一段と追求し、
エネルギー消費等による自社CO2排出を床面積当たり50%削減
・テナントへの省エネ啓発活動を継続
② 主力事業の上流、下流における削減対策推進
・ビルテナント専有部へのグリーン電力導入支援
・建設時のエネルギー消費を抑制
・高性能設計を強化(分譲マンションのZEH-M Oriented標準仕様化)
・戸建住宅の脱炭素に貢献する、太陽光発電の新サービス「すみふ×エネカリ」提供推進
・新築そっくりさんで高断熱リフォーム商品の提供推進
・自動車充電装置の普及を促進
③ 九次中計は総排出量の10%削減を目指す
・総排出量の約6割を占める分譲マンション事業における削減は、設計基準変更後の物件が竣工する十次
中計以降に寄与
・分譲マンション以外は25%削減を目指す
九次 各事業の主な数値目標
① オフィステナント専有部のグリーン電力導入率30%
② 分譲マンションのZEH-M Oriented 設計100%
③ 注文住宅でZEH住宅(標準化済)受注比率60%
④ 新築そっくりさんで高断熱リフォーム商品(投入済)受注比率20%
⑤ 「すみふ×エネカリ」の太陽光発電で創出した環境価値を取得し、
当社グループの自己使用オフィスの電力を全量グリーン化
(4)当社の企業価値を損なう買収提案に対する買収防衛策(当社株式の大規模な買付行為に関する対応方針)
①基本方針の内容とその実現に資する取組み
(イ) 中期経営計画を着実に達成、増収増益路線を継続
当社は、3年毎に策定する中期経営計画の達成を最重要課題とし、これを着実に遂行することにより企業価値を高めてまいりました。これまでの25年間で8つの経営計画を遂行、リーマンショックやコロナ禍の3期を除く22期で経常増益を達成しました。
当初10期(中計3期間)は、バブル崩壊により痛んだ資産の修復と有利子負債削減に取り組みました。後半
の15期(中計5期間)は、賃貸資産を倍増させ、賃貸・販売・完工・流通の4セグメントをより強固なものとして経営基盤を強化、併せて自己資本を充実させて債務格付けをAAゾーンにまで引き上げました。
これから2030年度までの中計3期間は、更なる賃貸資産拡充投資に資金重点を置くスタンスを維持して持続的な利益成長を図りつつ、当社事業そのものの社会貢献度の高さ、投資余力と資本政策の自由度の高まりを踏まえて、強靭な経営基盤、かつサステナブルな成長を目指してまいります。経営環境は当面、コロナ禍、地政学リスク、資源調達の不安定性などの諸問題を抱えておりますが、2030年度の経常利益3千億円実現を視野に入れ、2022年5月に発表した新しい経営計画「第九次中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)」をその第一弾と位置付けて、引き続き企業価値の向上に全力を尽くしてまいります。
(ロ) 成長を支えてきた東京都心のオフィスビル賃貸事業と企業価値
当社のこれまでの成長を支えてきた原動力は、東京都心のオフィスビルを中核とした不動産賃貸事業です。営業利益は当社全体の7割近くを占め、まさに、大黒柱として企業価値の根幹を成しております。
当社は、新宿住友ビル(通称三角ビル)が完成した1970年代初頭からおよそ半世紀にわたり、東京都心に特化したオフィスビル開発を推進、事業基盤を拡充してまいりました。これまでにバブル崩壊やリーマンショックなど未曾有の経済危機と、バブル景気やアベノミクス景気といった様々な環境変化を経てきましたが、当社は首尾一貫して、①資産売却による一時的な利益を追わず、②開発用地を自ら創り出して建設したビルを、③保有賃貸して長期安定的な賃貸収益を蓄積するという経営方針を貫き、継続してまいりました。その結果、現在、東京都心で230棟超の多様なポートフォリオを誇るビルオーナーに成長、2022年3月期の賃貸キャッシュフロー(不動産賃貸事業の営業利益+減価償却費)は2千2百億円に達しております。
オフィスビル賃貸事業は、用地取得から商品企画、テナント募集や入居テナントへのサービス、管理に至るまで、総合的な事業遂行能力を必要とします。その中でも、用地取得は最も重要で、当社は、土地を買いまとめたり、地権者の権利関係を調整する再開発の手法で、言わばメーカーのようにビル用地を創り出してきました。加えて、ビル管理やテナント募集でも、自社で行う直接主義を重視し、顧客や現場の実態を的確に把握した上で、常に商品企画の改善や業務の効率化などに鋭意取り組んでまいりました。その結果、高い収益性を実現し、保有不動産の資産価値を高め、企業価値を増大させてきたものと自負しております。2022年3月期の決算短信にて開示した「賃貸等不動産」の含み益は年々蓄積され、2022年3月末時点で約3兆5千億円に達しております。
(ハ) 買収防衛策の必要性
第九次計画では、東京都心における賃貸ビル投資を継続推進することを第三の目標に掲げており、再開発を中心とした具体化している延床面積70万坪超(2022年3月末時点賃貸延床170万坪の4割超)の開発計画を順次完成、稼働させることにより、さらなる収益基盤の拡大、企業価値の向上、株主利益の増大を目指すこととしております。この大規模な開発計画は、これまで弛まず積み上げてきた多額の先行投資がいよいよ収益化するものです。当社がこれまで長期間に亘り、不動産市況や景気の波にさらされることなく、賃貸ビル開発による事業基盤拡充を継続できたのは、安定収益源である賃貸キャッシュフローが常時下支えとなっていたためであり、この先行投資を有利子負債の際限ない増加に頼らず自信を持って実行するには、2千億円を超える規模に拡大した賃貸キャッシュフローの維持拡大が必要です。また、大型の再開発が中心であるため、全件収益化に目途が立つまでには今後中計2~3期間を要すると見込まれます。
一方、大規模な金融緩和を背景に、国内の優良な収益不動産に対する投資意欲は一段と増しており、東京に多数の優良ビルを持つ当社株式について一方的に大量取得行為が強行されるおそれは否定できません。当社が半世紀にわたって継続してきた、賃貸資産を着実に積み上げることにより企業価値の持続的な拡大を目指す経営方針を否定し、将来の企業価値増大に資する開発計画が成就する前に、保有不動産を売却して含み益をはき出し、一過性の利益を求める短期志向の経営方針を採ることは、結果として、安定収益源の賃貸キャッシュフローを減少させ、開発計画を財務リスクにさらし、当社の企業価値基盤を損なうおそれがないとは申せません。中長期的な展望に基づき着実な企業価値の向上を目指す当社の経営方針は、このような短期志向とは相容れません。よって、現稼働面積の4割を超える70万坪超の開発計画の収益化に概ね目途がつき、企業価値に反映されていない開発計画が一定割合に低下するまでは、買収を意図する投資家が現れた場合に、十分な情報と時間を確保して議論を尽くし、株主の皆様に信を問う必要があると考えます。
また、我が国の金融商品取引法上、会社支配権に影響を及ぼす株取引について、透明性・公平性を担保するための手続きとして公開買付制度が措置され、株主の皆様に判断していただくための情報と時間が確保されることとなっておりますが、公開買付期間が30営業日と短く検討時間として十分とは言いきれません。また、部分公開買付けを容認するものであることから、強圧的買収などの濫用的な買収を必ずしも排除できないこと、そもそも買収者が市場内取引のみで株を買い進めた場合には、公開買付制度が適用されないことといった、法制度上の問題点も残っていると考えております。
以上のことから、今後も当社が持続的に企業価値を向上させるため、引き続き「当社の企業価値を損なう買収提案に対する買収防衛策(当社株式の大規模な買付行為に関する対応方針)」(以下「本対応方針」といいます。)による手続きを予め具備しておくことが、株主共同の利益に合致すると判断しております。本対応方針は、2007年5月17日付取締役会決議に基づき導入され、同年6月の第74期定時株主総会決議に基づき同方針を継続後、第77期、第80期、第83期、第86期および第89期定時株主総会において、それぞれの株主の皆様のご承認を得て、継続または更新され、その有効期間は、2025年6月開催予定の第92期定時株主総会終結時までとなっております。
②当社株式の大規模買付行為に関する対応方針の内容と取締役会の判断
当社は、当社株式の大規模な買付行為が開始された場合において、これを受け入れるかどうかは、当社株主の皆様の判断に委ねられるべきものであると考えておりますが、当社株主の皆様が企業価値ひいては株主共同の利益への影響を適切に判断するためには、大規模買付者および当社取締役会の双方から、当社株主の皆様に必要かつ十分な情報・意見・代替案などの提供と、それらを検討するための必要かつ十分な時間が確保される必要があると考えます。
本対応方針は、当社株式の大規模買付行為に関するルールを設定し、大規模買付者に対して大規模買付ルールの遵守を求めております。大規模買付ルールは、事前に大規模買付者から当社取締役会に対して必要かつ十分な情報が提供され、当社取締役会による一定の評価期間が経過した後に大規模買付行為を開始するというものです。大規模買付者がこの大規模買付ルールを遵守しない場合、あるいは遵守した場合でも、大規模買付行為が当社に回復しがたい損害をもたらすことが明らかであるときや、企業価値ひいては株主共同の利益を著しく損なうときには、当社取締役会として相当と認める措置を講ずることとしております。
なお、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守したか否か、当該大規模買付行為が当社に回復しがたい損害をもたらすことが明らかである場合や企業価値ひいては株主共同の利益を著しく損なう場合に該当するか否か、および対抗措置をとるべきか否かについて取締役会が判断するにあたっては、社外取締役、社外監査役、経営経験者、弁護士、公認会計士等から選任される特別委員会に対し諮問し、その勧告を最大限尊重するものとしております。
以上のとおり、本対応方針は、当社株式の大規模な買付行為に対し株主の皆様が判断するのに必要な情報と時間を確保するためのルールを設定し、大規模買付者がこのルールを遵守しない場合や大規模買付行為が当社に回復しがたい損害をもたらすことが明らかな場合などに対抗措置を講ずることを定めたものでありますので、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであり、当社役員の地位の維持を目的とするものではありません。
(注) 本対応方針の詳しい内容については、当社ホームページ
(https://www.sumitomo-rd.co.jp/uploads/2022.05.12_release2.pdf)をご参照ください。
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