(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの経営成績、財政状態およびキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が残る中で、個人消費および企業収益は持ち直しの動きが見られるものの、雇用情勢は弱い動きとなりました。また、感染拡大や原材料価格の動向が国内外の経済に与える影響に十分注意する必要があり、景気は先行きが不透明な状況で推移いたしました。
当社グループにおきましても、東京都を対象とした度重なる緊急事態宣言とまん延防止等重点措置などの影響を受けて断続的に営業時間の短縮を実施し、さらに自治体からの休業要請もあり、2021年4月25日から5月31日まで一部の店舗を除いて臨時休業を実施いたしました。9月30日には緊急事態宣言が解除されたことにより段階的に営業時間の短縮等の制限が一部緩和され、10月25日以降は一部の事業所を除き通常営業に戻ったものの、2022年1月21日に再びまん延防止等重点措置の適用を受けて、一部の事業所において飲食の提供時間の短縮を実施いたしました。
このような状況下にあって当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高は8,219百万円と前期に比べ47百万円(0.6%)の増収となり、営業利益は602百万円(前期は営業損失213百万円)と前期に比べ815百万円の増益、経常利益は649百万円(前期は経常損失98百万円)と前期に比べ748百万円の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は393百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失290百万円)と前期に比べ683百万円の増益となりました。
報告セグメントの業績は次のとおりであります。
(不動産賃貸関連事業)
不動産賃貸事業では、楽天地ビルをはじめ各賃貸ビルが堅調に稼働し、2021年4月1日に東京都杉並区高円寺北に保育園、小児科クリニック、薬局が入居する新規不動産物件「トラビ高円寺」が営業を開始しました。一方で、東京楽天地浅草ビルの1階から4階の商業施設「まるごとにっぽん」が2020年11月をもって営業を終了し、当該フロアのリニューアル工事を実施したことから、売上高は4,603百万円となり、前期を下回りました。なお、東京楽天地浅草ビルの1階から3階については、新たに大型店舗のユニクロなどをテナントとして迎え、2021年6月4日から順次リニューアルオープンしており、4階については飲食店フロアとして近く営業を開始する予定で、現在その準備を進めております。
ビルメンテナンス事業では、上期のウインズ錦糸町等の休館など、厳しい受注状況が続く中で、売上高は1,171百万円となり、前期を下回りました。
以上の結果、不動産賃貸関連事業の売上高は5,774百万円と前期に比べ51百万円(0.9%)の減収となったものの、セグメント利益は、前期における東京楽天地浅草ビルの除却見込みとなる固定資産の耐用年数を短縮したことに伴う減価償却費の増加の影響がなくなったことから、2,022百万円と前期に比べ787百万円(63.8%)の増益となりました。
(娯楽サービス関連事業)
映画興行界は、新型コロナウイルス感染症の影響が続き、年間興行収入は1,618億円となり、2000年以降で最低だった前年に次ぐ低い水準となりました。
その中にあって映画興行事業では、2021年4月25日から5月31日まで臨時休業したものの、9月30日に緊急事態宣言が解除されたことにより営業時間の短縮等の制限が一部緩和され、10月25日から2022年1月20日までは通常営業いたしました。また、前期に比べ臨時休業期間が短かったこと、「シン・エヴァンゲリオン劇場版」「劇場版 呪術廻戦 0」「竜とそばかすの姫」等の作品が好稼働したことなどから、売上高は1,328百万円となり、前期を上回りました。
温浴事業では、「天然温泉 楽天地スパ」においては、2021年4月25日から5月31日までの全日、および6月1日から20日における土曜日・日曜日に臨時休業したものの、千葉県市川市所在の「楽天地天然温泉 法典の湯」においては、感染防止対策を講じながら営業を継続することができました。また、両施設とも2021年10月25日から2022年1月20日までは通常営業となったことから、売上高は732百万円となり、前期を上回りました。
フットサル事業では、「楽天地フットサルコート錦糸町」において、2021年4月25日から5月11日まで臨時休業したものの、前期より臨時休業期間が短かったことから、売上高は57百万円となり、前期を上回りました。
以上の結果、娯楽サービス関連事業の売上高は2,118百万円と前期に比べ181百万円(9.4%)の増収となり、セグメント損失は114百万円(前期はセグメント損失208百万円)と前期に比べ94百万円の改善となりました。
(飲食・販売事業)
飲食事業では、2020年3月に不採算であったコーヒーショップ1店舗を閉店し、「ドトールコーヒーショップ 錦糸町北口店」「同 シャポー本八幡店」についても、2021年4月30日をもって閉店したことなどから、売上高は159百万円となり、前期を下回りました。
販売事業では、東京楽天地浅草ビル内の「まるごとにっぽん」の直営店をリニューアルのため2020年11月をもって営業を終了し、商品ラインナップに磨きをかけた新「まるごとにっぽん」を2021年6月4日にオープンしたものの、リニューアルに伴う休業と相次ぐ緊急事態宣言の発出等による浅草地区への来街者減少の影響を受け、売上高は166百万円となり、前期を下回りました。
以上の結果、飲食・販売事業の売上高は326百万円と前期に比べ82百万円(20.2%)の減収となったものの、セグメント損失は73百万円(前期はセグメント損失92百万円)と前期に比べ18百万円の改善となりました。
② 財政状態の状況
ア.資産
当連結会計年度末における総資産は42,425百万円と前連結会計年度末に比べ1,821百万円の増加となりました。これは主として、借入れの実施により現金及び預金が増加したこと、新規不動産物件「トラビ高円寺」の取得などにより建物及び構築物および土地が増加したこと、および株価の上昇により投資有価証券が増加したことによるものであります。
イ.負債
当連結会計年度末における負債合計は11,504百万円と前連結会計年度末に比べ1,437百万円の増加となりました。これは主として、工事代金等の支払いにより未払金が減少したものの、東京楽天地浅草ビルのリニューアル工事等の代金支払いに充てるため借入れを実施したこと、西葛西ビルの売却に係る手付金の受取りによりその他の流動負債(前受金)が増加したこと、および保有株式の含み益に係る繰延税金負債が増加したことによるものであります。
ウ.純資産
当連結会計年度末における純資産合計は30,921百万円と前連結会計年度末に比べ384百万円の増加となりました。これは主として、その他有価証券評価差額金が増加したことによるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、2,254百万円と前連結会計年度末に比べ、838百万円(59.3%)の増加となりました。
各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、営業活動による資金は2,128百万円の増加(前期は1,645百万円の増加)となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益および減価償却費を計上したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、投資活動による資金は1,995百万円の減少(前期は984百万円の減少)となりました。これは主として、西葛西ビルの売却に係る手付金(前受金)を受取ったものの、有形固定資産を取得したこと、および有形固定資産を除却したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、財務活動による資金は705百万円の増加(前期は2,187百万円の減少)となりました。これは主として、借入金の返済および配当金を支払ったものの、東京楽天地浅草ビルのリニューアル工事等の代金支払いに充てるため借入れを実施したことによるものであります。
なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりであります。
|
2020年1月期 |
2021年1月期 |
2022年1月期 |
自己資本比率(%) |
71.1 |
75.2 |
72.9 |
時価ベースの自己資本比率(%) |
81.2 |
63.3 |
54.1 |
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) |
1.5 |
2.7 |
2.6 |
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
152.5 |
95.7 |
91.7 |
(注) 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
※各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)より算出しております。
※キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
④ 生産、受注及び販売の実績
当社グループの事業について、ア.生産実績、イ.受注実績の該当事項はありません。
ウ.販売実績
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年2月1日 至 2022年1月31日) (千円) |
前年同期比(%) |
不動産賃貸関連事業 |
5,774,951 |
99.1 |
娯楽サービス関連事業 |
2,118,132 |
109.4 |
飲食・販売事業 |
326,042 |
79.8 |
合計 |
8,219,126 |
100.6 |
(注)1 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年2月1日 至 2021年1月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年2月1日 至 2022年1月31日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
日本中央競馬会 |
1,471,426 |
18.0 |
1,470,891 |
17.9 |
2 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
ア.売上高
当連結会計年度の売上高は8,219百万円と前期に比べ47百万円(0.6%)の増収となりました。これは主として、「娯楽サービス関連事業」の増収によるものであります。
イ.営業利益
当連結会計年度の営業利益は602百万円(前期は営業損失213百万円)と前期に比べ815百万円の増益となりました。これは主として、「不動産賃貸関連事業」の増益によるものであります。
ウ.経常利益
当連結会計年度の営業外収益は230百万円、また、営業外費用は183百万円となりました。
以上の結果、当連結会計年度の経常利益は649百万円(前期は経常損失98百万円)と前期に比べ748百万円の増益となりました。
エ.親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度の法人税、住民税及び事業税は127百万円、法人税等調整額は69百万円となりました。
以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前期における東京楽天地浅草ビルの除却見込みとなる固定資産について耐用年数を短縮したことに伴う減価償却費の増加の影響がなくなったことなどから、393百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失290百万円)と前期に比べ683百万円の増益となりました。
② キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たっては、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき見積りおよび判断を行っておりますが、不確実性が内在しているため、将来生じる実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(3)資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、短期的な運転資金および長期投資に係る資金については、手許資金および金融機関からの借入れにより調達しております。このうち、金融機関からの借入れにより調達した資金については、主に不動産賃貸事業に係る固定資産の取得等に充当しており、支払金利の変動リスクを回避するため、固定金利により資金調達を行っております。なお、当連結会計年度において、東京楽天地浅草ビルのリニューアル工事に伴う資金等として2021年4月30日に3,000百万円の金融機関からの借入れを実行するとともに、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化するリスクに備え、新規の資金調達枠についても検討を行い、2021年6月10日を契約締結日として融資枠2,000百万円のコミットメントライン契約を締結しており、流動性の確保に努めております。
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