当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況及び分析の内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況及び分析
(単位:百万円)
|
2021年3月期 |
2022年3月期 |
増減額 |
増減率 |
売上高 |
408,959 |
398,366 |
△10,592 |
△2.6% |
営業利益又は営業損失(△) |
△29,182 |
1,774 |
30,957 |
-% |
経常損失(△) |
△34,170 |
△2,151 |
32,018 |
-% |
親会社株主に帰属する当期純利益又は 親会社株主に帰属する当期純損失(△) |
△23,680 |
11,854 |
35,535 |
-% |
当連結会計年度における国内経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、感染対策と経済活動の両立が進み、企業収益は持ち直しの動きがみられましたが、オミクロン株による感染再拡大の懸念やウクライナ情勢等により、先行きは依然として不透明な状況で推移しました。
貸家の新設着工戸数は5年ぶりの増加(前年度比9.2%増)となりましたが、賃貸住宅市場においては空き家数の増加が続いており、全国的な需要回復は難しい中で安定した入居率を確保するには、将来的にも高い入居率が見込める三大都市圏を中心とした物件供給、適切なメンテナンスによる物件価値の維持・向上、地域や顧客の特性に合った販売戦略の推進、電子化による利便性の高い集客・契約・入居者サービスの提供が重要と考えております。
このような状況の中、当社グループは、2020年6月に公表した抜本的構造改革を継続し、選択と集中により中核事業である賃貸事業に経営資源を投入するとともに、あらゆるコストの見直しと削減を徹底して実行することにより、事業面及び財務面での安定化、持続的な収支の改善に取り組んでまいりました。
① 売上高
売上高は、前連結会計年度比10,592百万円(2.6%)減少の398,366百万円となりました。これは主に、入居率が上昇した一方で、家賃単価の下落や建築請負売上の減少等があったことにより、賃貸事業売上高が前連結会計年度比8,921百万円(2.3%)減少の383,043百万円となったことによるものであります。
② 売上総利益
売上総利益は、前連結会計年度比24,990百万円(118.5%)増加の46,077百万円、売上総利益率は11.6%(前連結会計年度比6.4ポイント増加)となりました。これは主に、管理原価の削減や一括借上家賃の適正化、空室損失引当金の戻入れ等により、売上原価が前連結会計年度比35,583百万円減少したことによるものであります。
③ 営業利益
営業利益は、1,774百万円(前連結会計年度は営業損失29,182百万円)となりました。これは主に、人件費の減少やコスト管理の徹底等により、販売費及び一般管理費が前連結会計年度比5,966百万円(11.9%)減少したことによるものであります。なお、売上高営業利益率は0.4%(前連結会計年度比7.5ポイント改善)となりました。
④ 経常損失
経常損失は、2,151百万円(前連結会計年度比32,018百万円改善)となりました。これは主に、原価削減等により営業損益は黒字化したものの、支払利息4,474百万円を計上したことによるものであります。なお、売上高経常利益率は△0.5%(前連結会計年度比7.9ポイント改善)となりました。
⑤ 親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、11,854百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失23,680百万円)となりました。
これは主に、発注努力や工事内製化、物件所有者との工法変更合意等による工事単価の低減、不備判定の見直しや解体合意による改修対象の減少等に伴う補修工事関連損失引当金戻入額11,959百万円の計上、今後の業績見通し等を踏まえた繰延税金資産の計上に伴う法人税等調整額△4,401百万円の計上等によるものであり、2018年3月期以来4期ぶりに最終損益の黒字化を達成いたしました。
なお、1株当たり当期純利益は36.04円(前連結会計年度は1株当たり当期純損失84.88円)となりました。
さらに、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度の売上高は1,325百万円増加、売上原価は1,580百万円減少、営業利益は2,905百万円増加、経常損失は同額減少、税金等調整前当期純利益は同額増加しております。
詳細は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください
(セグメント別の経営成績の状況及び分析)
(単位:百万円)
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売上高 |
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営業利益 |
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前期 |
当期 |
増減額 |
前期 |
当期 |
増減額 |
賃貸事業 |
391,964 |
383,043 |
△ 8,921 |
△19,385 |
7,719 |
27,105 |
シルバー事業 |
14,524 |
14,258 |
△ 266 |
△720 |
△ 789 |
△ 68 |
その他事業 |
2,469 |
1,064 |
△ 1,405 |
△1,551 |
△ 1,668 |
△ 116 |
調整額 |
- |
- |
- |
△7,524 |
△ 3,486 |
4,038 |
合計 |
408,959 |
398,366 |
△ 10,592 |
△29,182 |
1,774 |
30,957 |
① 賃貸事業
賃貸事業においては、WEB上での接客・内見・契約といった電子化への対応、壁紙を自分好みに変えられる「my DIY」、スマートフォンでの家電操作や施錠が可能なスマートアパート化の推進、大手警備保障会社との提携によるセキュリティーサービスなど豊富な付加価値を提供するとともに、仲介業者との関係強化、エリアの特性に応じた販売戦略の展開等により、安定した入居率の確保を図っております。
入居率については、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が徐々に緩和し、法人顧客を中心に抑制されていた入居需要が回復傾向にあること、仲介業者との関係強化等の各種施策が奏功したことにより、当連結会計年度末の入居率は85.10%(前期末比+3.38ポイント)、期中平均入居率は81.22%(前期比+2.33ポイント)となりました。なお、管理戸数は567千戸(前期末比6.3千戸減)となりました。
また、当連結会計年度末の直営店舗数は109店(前期末比30店舗減)とし、営業効率と生産性の向上に努めております。
アパート等の受注状況については、界壁等の施工不備問題を背景とした新規受注の停止等により、当連結会計年度の総受注高は2,792百万円(前連結会計年度比52.9%減)、当連結会計年度末の受注残高は6,133百万円(前連結会計年度比36.5%減)となりました。
損益面については、入居率が向上した一方で、新型コロナウイルス感染症の影響による家賃単価の下落や請負工事売上の減少等があったことにより、売上高は383,043百万円(前連結会計年度比2.3%減)となりましたが、管理原価・販管費の削減、一括借上家賃の適正化、物件収支の改善に伴う空室損失引当金の戻入れ等により、営業利益は7,719百万円(前連結会計年度は営業損失19,385百万円)となりました。
② シルバー事業
シルバー事業においては、継続的なオペレーション改善により原価抑制に努めておりますが、新型コロナウイルスへの感染リスクを懸念した介護サービスの利用控えが継続したこと等により、売上高14,258百万円(前連結会計年度比1.8%減)、営業損失789百万円(前連結会計年度比68百万円損失増加)となりました。なお、当連結会計年度末の施設数は87施設となっております。
③ その他事業
グアムリゾート施設の運営等を行っているその他事業は、新型コロナウイルス感染症の影響でグアムリゾート施設の稼働率が大幅に低下したこと等により、売上高1,064百万円(前連結会計年度比56.9%減)、営業損失1,668百万円(前連結会計年度比116百万円損失増加)となりました
(生産、受注及び販売の実績)
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
賃貸事業(百万円) |
3,110 |
△77.1 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.生産実績の著しい変動は、施工不備問題に伴う新規受注停止によるものであります。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
総受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
賃貸事業 |
2,792 |
△52.9 |
6,133 |
△36.5 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記以外の事業につきましては、受注の形態を取っておりませんので記載しておりません。
3.受注実績の著しい変動は、施工不備問題に伴う新規受注停止によるものであります。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
賃貸事業(百万円) |
383,043 |
△2.3 |
シルバー事業(百万円) |
14,258 |
△1.8 |
その他事業(百万円) |
1,064 |
△56.9 |
合計(百万円) |
398,366 |
△2.6 |
(注)1.当社グループの相手先は不特定の法人・個人であるため、主要な販売先の記載は省略しております。
2.セグメント間の取引については相殺消去しております。
3.その他事業の販売実績の著しい変動は、新型コロナウイルス感染症拡大によるグアムリゾート施設の稼働率大幅低下によるものであります。
(2)財政状態の状況及び分析
(単位:百万円)
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2021年3月期 |
2022年3月期 |
増減額 |
増減率 |
資産 |
161,708 |
145,430 |
△16,278 |
△10.1% |
負債 |
158,431 |
134,396 |
△24,035 |
△15.2% |
純資産 |
3,277 |
11,034 |
7,757 |
236.7% |
当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末比16,278百万円減少の145,430百万円となりました。
これは主に、今後の業績動向等を踏まえ、当社において繰延税金資産を4,139百万円計上した一方、現金及び預金が9,340百万円、未収入金が1,088百万円、機械装置及び運搬具(純額)が1,055百万円、リース資産(純額)が1,529百万円、有形固定資産その他(純額)が2,272百万円、無形固定資産その他が1,030百万円それぞれ減少し、アパート退去者等に係る滞留債権増加に伴い貸倒引当金が2,336百万円増加したことによるものであります。
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末比24,035百万円減少の134,396百万円となりました。これは主に、リース債務が2,116百万円、発注努力や工事内製化、物件所有者との工法変更合意等による工事単価の低減、不備判定の見直しや解体合意による改修対象の減少等により補修工事関連損失引当金が15,422百万円、物件収支の改善等により空室損失引当金が6,629百万円それぞれ減少したことによるものであります。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末比7,757百万円増加の11,034百万円となりました。これは主に連結子会社における非支配株主への自己株式取得代金及び配当金の支払等による非支配株主持分の減少1,774百万円、収益認識会計基準の遡及適用による期首利益剰余金の減少4,963百万円があった一方、為替換算調整勘定の増加2,623百万円、親会社株主に帰属する当期純利益11,854百万円があったことによるものであります。なお、自己資本比率は、前連結会計年度末比6.0ポイント上昇し0.7%となりました。
一括借上家賃の適正化や管理原価削減等の抜本的な構造改革を継続して財務面の安定化を図るとともに、仲介業者との関係強化、WEB上での接客・内見・契約といった電子化の推進等により入居率を向上させて収益面の安定化と財政状態の改善に努めたことにより、当連結会計年度末の純資産は大幅に改善いたしました。
(3)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(単位:百万円)
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2021年3月期 |
2022年3月期 |
増減額 |
営業活動によるキャッシュ・フロー |
△40,816 |
△4,460 |
36,355 |
投資活動によるキャッシュ・フロー |
11,829 |
886 |
△10,943 |
財務活動によるキャッシュ・フロー |
23,571 |
△5,886 |
△ 29,457 |
現金及び現金同等物残高 |
53,346 |
44,023 |
△ 9,322 |
営業活動によるキャッシュ・フローは、4,460百万円の支出(前連結会計年度比36,355百万円の支出減少)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が9,693百万円、減価償却費が9,352百万円、貸倒引当金の増加額が2,355百万円となった一方、補修工事関連損失引当金戻入額が11,959百万円、空室損失引当金の減少額が6,629百万円、前受金の減少額が2,188百万円、利息の支払額が4,455百万円、補修工事関連支払額が2,172百万円となったことによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、886百万円の収入(前連結会計年度比10,943百万円の収入減少)となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入が1,180百万円あったことによるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、5,886百万円の支出(前連結会計年度は23,571百万円の収入)となりました。これは主に、ファイナンス・リース債務の返済による支出が3,239百万円、連結子会社における非支配株主からの自己株式取得による支出が1,400百万円、非支配株主への配当金の支払額が1,171百万円あったことによるものであります。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物残高については、営業損益は黒字化を達成した一方で、借入利息の支払、子会社における非支配株主への配当、自己株式の取得等の支出があったことにより、前連結会計年度末比9,322百万円減少の44,023百万円となりましたが、継続的な事業運営に十分な資金を確保しております。
フリーキャッシュ・フローは3,574百万円のマイナスとなりましたが、前連結会計年度末比25,412百万円改善しており、資金の流動性は確実に向上しております。
(契約債務)
2022年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。
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年度別要支払額(百万円) |
||||
契約債務 |
合計 |
1年以内 |
1年超3年以内 |
3年超5年以内 |
5年超 |
長期借入金 |
30,483 |
53 |
135 |
30,181 |
111 |
リース債務 |
2,562 |
1,992 |
543 |
26 |
- |
(財務政策)
当社グループは、設備投資計画に照らして、平常時においては、必要な資金を主に銀行借入や社債発行等により調達する方針としております。
当連結会計年度においては、新たな資金調達をすることなく、営業キャッシュ・フローの改善により事業活動に必要な資金を確保してまいりました。翌年度以降についても、不断の構造改革による賃貸事業の収益力強化とキャッシュ・フローの改善に努め、資金計画に基づき想定される需要に十分対応できる資金を確保してまいります。
なお、2022年3月31日現在、長期借入金の残高は30,483百万円であります。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
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