課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、「当社グループのサービスを通じて、人や企業が後顧の憂いなく安心して本来の力を発揮できるようにサポートすること」を創業来の精神としております。そして、赴任者や転勤者などの持家を管理する留守宅管理サービスをはじめとして、福利厚生代行サービス「福利厚生倶楽部」、顧客特典代行サービス「クラブオフアライアンス」、借上社宅管理アウトソーシングサービス「リライアンス」、海外赴任支援サービスなど、社会にニーズがありながら事業化されていなかったビジネスを立ち上げ、成長してまいりました。

 

<使命>

「日本企業が世界で戦うために本業に集中できるよう、本業以外の業務をサポートすること」

「真のサムライパワーを発揮できるよう、日本企業の世界展開を支援すること」

「これから始まる日本の大転換をサポートすること」

<ビジョン>

『グローバル・リロケーションカンパニーNo.1』

 

創業来の精神を受け継ぎ、新たな成長ステージへ移行すべく、2012年3月期を初年度とする20年以上に及ぶ中長期の事業構想『第二の創業』を策定し、前半を「第二の創業ステージ」、後半を「グローバル創業ステージ」と位置付けて、4年毎に中期経営計画『オリンピック作戦』を策定しております。
 前半の「第二の創業ステージ」においては、国内市場が縮小し日本企業の世界展開が益々加速することを見据えて、日本企業が世界で戦うために本業に集中できるよう本業以外の業務をサポートし、真のサムライパワーを発揮していただけるよう日本企業の世界展開を支援することを掲げて取り組んでいます。

後半の「グローバル創業ステージ」では、日本企業と世界で活躍する企業の従業員の皆様から「海外赴任・海外生活のサポートならリロ」と言われる存在になり、グローバルに展開する企業に対して、その移動に関する一切をサポートできることを掲げ取り組んでまいります。

 

なお、当連結会計年度より、当社グループは、本格的なグローバル展開に向けた経営基盤の強化および財務情報の国際的な比較可能性を高めることを目的として、IFRSを適用いたしました。そのため、従来の日本基準に対し、当社の財務状況や業績に変動が生じております。

 

(2) 目標とする経営指標

当社は、2021年5月13日付で公表した「新第三次オリンピック作戦」に関するお知らせ」において、2025年3月期における業績目標を、売上高2,000億円、税金等調整前当期純利益355億円として、上記の使命を掲げ、その実現に向け、国内シェアダントツNo.1に向けた国内事業のさらなる強化に取り組むと同時に、世界の市場にリーチする土台作りに取り組んでまいりました。
 そのような中、2022年5月6日付で公表した「連結子会社の異動(株式譲渡)およびグローバル・リロケーション事業の共同経営開始に関するお知らせ」に基づき、BGRSグループの売上収益等を当社連結業績から控除することになったことから、中期経営計画を見直すことといたしました。結果、「新第三次オリンピック作戦」の最終事業年度(2025年3月期)における業績目標を、売上収益1,500億円、税引前利益355億円とし、達成に向け取り組んでまいります。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

新型コロナウイルス感染症拡大の影響により経済活動は大きく変動しておりますが、この混乱の後、日本国内においては人口減少がより鮮明となり、国内市場は縮小する一方、人材採用の課題や生産性向上に向けた働き方改革等を背景とした企業のアウトソーシングニーズは拡大するとともに、国外においても日本企業の世界展開がグローバルカンパニーをM&Aでグループ化する方法により、再び加速すると予想しております。

この「新第三次オリンピック作戦」では、使命・ビジョンの実現に向け、国内市場シェアダントツNo.1に向けた国内事業のさらなる強化に取り組むと同時に、世界の市場にリーチする土台作りに挑んでまいります。

また、お客様への更なるサービス充実を決意し、当社グループの底力の基盤となるストックビジネスを強化することに加え、今後も予想される度重なる危機に際し、挑戦を続けられるよう財務基盤の強化に取り組んでまいります。
 そして、全事業におけるシステム化・デジタル化を推進し、利益目標のみならず、より長期的な視点を持ち、当社グループの使命とビジョンの実現に邁進する所存です。

 

 各事業における具体的な取り組みについては以下のとおりです。

 

 <リロケーション事業>

 「リロケーション事業」は、「借上社宅管理事業」、「賃貸管理事業」、「海外赴任支援事業」により構成されております。

 ≪借上社宅管理事業≫
 2011年4月より開始した中期経営計画「第一次オリンピック作戦」から約10年間で、借上社宅管理事業における社宅管理戸数は、3倍超となる20万戸まで拡大してまいりました。また、企業における業務効率化の流れが加速しアウトソーシングニーズが高まる中、社宅管理戸数は順調に増加しており、国内市場シェアダントツNo.1に向けて着実に歩みを進めております。
 「新第三次オリンピック作戦」では、引き続き社宅管理戸数および留守宅管理戸数を積み上げ、ストック基盤を強化してまいります。また、この間に新システムが完成し本格稼働することで、オペレーションの効率化による利益率の改善や、転勤時の物件探しをサポートするリロネットのユーザビリティの向上を図り、競争力を強化していく考えであります。
 なお、当事業では、2025年3月期に営業利益90億円とすることを想定しております。

 

 ≪賃貸管理事業≫
 賃貸管理事業においては、事業承継問題を抱える我が国の不動産賃貸管理業において、この受け皿となるべく「賃貸管理全国7ブロック展開」を2013年より開始いたしました。以来、多数の賃貸管理会社からの賛同を受け、40社以上の賃貸管理会社がグループ入りし、現在、賃貸管理戸数も約10万戸となりました。そして、中間持株会社リロパートナーズを設立し、「リロの賃貸」という共通ブランドをスタートするとともに、賃貸管理会社間でのノウハウ共有やサービスの連携を推進してまいりました。その結果、顧客満足度の向上や事業シナジーを創出することに成功しております。
 「新第三次オリンピック作戦」では、これら機能を通じ、本業界において今後ますます加速していく事業承継問題を解決し、「日本最大の住宅系レンタルマネジメント機関になる」というビジョン実現に向け、引き続き賃貸管理戸数を積み上げてまいります。
 なお、当事業では、2025年3月期に営業利益105億円とすることを想定しております。

 

 ≪海外赴任支援事業≫
 新型コロナウイルス感染症の拡大により、全世界で経済活動が停滞し、国境を跨ぐ人の移動の制限が続いています。しかしながら、このような状況においても、当社グループが手掛ける海外赴任支援サービスへのニーズは相当数いただいており、そこから、日本企業が海外へ人材を派遣する方針に変化はなく、海外赴任支援サービスや海外現地サービスが無くてはならないサービスであると考えております。
 「新第三次オリンピック作戦」では、収益のストック化やシステム投資による業務の自動化などに注力するほか、海外赴任支援サービスと海外現地サービスの連携をより強化し、日本と海外間の移動に係るサービスを拡充してまいります。また、海外戦略事業と連携することで、世界的に人の移動を取り扱うことができる国内唯一の存在として、日本企業の世界展開を支援してまいります。
 なお、当事業では、2025年3月期に営業利益30億円とすることを想定しております。

 

 <福利厚生事業>
 わが国では、昨今、少子高齢化に伴う人口の減少や育児や介護との両立など、労働人口や労働環境が著しく変化をしております。そのため、福利厚生事業においては、「大手企業と中堅・中小企業の福利厚生の格差を埋める」という創業の使命と、近年では、「首都圏企業と地方企業の福利厚生の格差を埋める」という旗印のもと、企業と企業で働く従業員に対し、育児・介護の支援、健康増進・メンタルケアなど社会的に必要とされるサービスを提供し、福利厚生の諸問題を解決してまいりました。
 「新第三次オリンピック作戦」では、働き方改革やテレワークといった勤務形態により発生する新たな課題として、社員間のコミュニケーションをサポートするコンテンツや、社員の健康促進を管理するアプリなどを開発、提供することで、中堅・中小企業および地方への営業をより一層強化し、会員数および契約社数の増加に繋げてまいります。
 また、企業が顧客を囲い込む動きは更に強まっていることから、福利厚生事業で培った全国に及ぶサービス基盤を活かし、クライアント企業の顧客組織化をサポートするCRM事業や不動産管理会社を中心に提供する24時間駆け付けサービスについても、積極的に展開してまいります。
 なお、当事業では、2025年3月期に営業利益145億円とすることを想定しております。

 

<海外戦略事業>
 海外戦略事業は、BGRSを中心に、システム化による合理化を一部前倒しにするなど、事業基盤の構築に注力してまいりましたが、2022年5月6日付で公表いたしました「連結子会社の異動(株式譲渡)およびグローバルリロケーション事業の共同経営開始に関するお知らせ」の通り、BGRSについて、世界のリロケーションカンパニー最大手の一角であるSIRVAグループと統合し、共同で経営することに合意いたしました。本件取引により、BGRSグループを非継続事業として取り扱うこととなります。また、それに伴い「海外戦略事業」を非継続事業に分類する予定であるため、2023年3月期第1四半期連結会計期間より、当社グループの報告セグメントは、当事業を除く3事業とする予定です。

 

 <観光事業>

観光事業では、福利厚生事業の会員基盤やタイムシェア事業の運営ノウハウを活用し、企業の保養所をはじめ、比較的規模の小さい中小型のホテル、旅館の再生に取り組んでおります。地方における中堅・中小規模のホテルでは、賃貸管理会社同様、後継者問題などを抱えていることに加え、新型コロナウイルス感染症により、事業運営を断念するケースも少なくありません。
 「新第三次オリンピック作戦」では、これまでの実績を踏まえ、「観光を通じた地方活性化」を使命とし、引き続き地方における中堅・中小規模のホテルの運営支援を中心に事業を推進してまいります。
 なお、当事業では、2025年3月期に営業利益20億円とすることを想定しております。

 

(4) 新型コロナウイルス感染症(COVID‐19)の影響について

 新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大は国内外で人の移動を制限しており、当社グループも人の移動制限により国内・海外転勤に関連する事業が停滞したほか、観光事業でも大きな影響を受けております。

なお、新型コロナウイルス感染症の経済等への影響は前連結会計年度に続き、年度を通じて継続するものと仮定しております。

なお、事業毎の事業環境と新型コロナウイルス感染症の影響は以下のとおりです。

 

 <リロケーション事業>

 ≪借上社宅管理事業≫

日本企業の人の移動の一部に中止や延期が発生したことで転居支援サービス等一部の収益はコロナ禍前の水準まで回復しておりませんが、借上社宅管理事業の管理戸数が増加したことで管理手数料収入が伸長しました。また、企業におけるアウトソーシングニーズが高まっていることを背景に、顧客企業の新たな獲得も好調に推移し、事業基盤を拡大することができました。

 

 ≪賃貸管理事業≫

人の移動が停滞したことで、一部地域で法人需要や学生需要が落ち込みましたが、賃貸管理戸数が増加したことで管理手数料は伸長しました。また、より充実した住空間を求める動きや都心部から郊外へ移る新たな需要が発生したことなどから、仲介件数や工事件数はコロナ禍前の水準となりました。

 

 ≪海外赴任支援事業≫

国境をまたぐ移動の制限によりコロナ禍前の水準まで海外赴任支援世帯数は回復しておらず、引き続き業績に影響が出ております。しかしながら海外赴任支援サービスへの需要は強く、日本企業が海外へ人材を派遣する方針に変化はないことから、需要の回復に備えシステム投資や事業のストック化を進めてまいります。

 

 <福利厚生事業>

旅行や宿泊などの会員の利用料収入はコロナ禍により減少しておりますが、顧客企業の新たな獲得が順調に推移し、会費収入が伸長いたしました。

 

 <海外戦略事業>

グローバル企業に対する赴任管理サービスや海外赴任に関連する各種データを提供している当事業では、世界的なロックダウンや渡航制限の影響から顧客企業による赴任者数が減少するなど、業績に大きな影響を受けております。

 

 <観光事業>

緊急事態宣言発令期間を中心に、当社グループが運営するいくつかの施設でも休館を余儀なくされたほか、宿泊数が減少したことから、業績に大きな影響を受けましたが、販売関連費用をはじめとした費用削減や当社グループの送客力を活かしたことで、増益となりました。

 

(5) 会社の対処すべき課題

① グループ経営資源の活用

当社グループは、これまで企業福利厚生分野の総合アウトソーサーとして、住宅領域とライフサポート領域の双方にまたがるサービスを提供するグループ体制を構築してまいりました。

今後は、当社グループのサービスをご利用いただいている法人・個人の皆様に、当社グループが提供する複数のサービスを相互にご利用いただけるようにクロスセルモデルを確立するとともに、既存事業とシナジーの高い事業領域においては、新たにサービスを拡充することにより、更なる事業基盤の拡大を図ってまいります。

 

② 新規事業の育成

当社グループは、留守宅管理サービスや福利厚生代行サービス、借上社宅管理業務アウトソーシングサービス、海外赴任支援サービスなど先駆的なビジネスモデルを創出し、これらの事業を拡大することにより成長してまいりました。今後も、さらなる成長に向けて、主力事業と関連性の高い事業領域で新規事業を立ち上げていくとともに、インキュベーション途上にある事業は、早期に事業基盤を確立し利益貢献を果たすよう育成してまいります。

 

③ 景気変動等への対応

当社グループの主力事業である、借上社宅管理事業、福利厚生事業、賃貸管理事業などは、景気変動による影響は限定的であると考えておりますが、観光事業については、景気変動による個人の消費動向の影響を受け易いため、今後もより効率的な運営体制の構築を図るとともに、魅力あるリゾート施設の企画や運営などにも努めてまいります。

 

④ 情報管理体制の強化

当社グループは、多数のお客様や従業員の個人情報を取り扱っており、その情報管理を強化していくことが重要であると考えております。情報セキュリティ保護方針および個人情報基本方針に基づき情報管理を徹底していることに加え、個人情報を多数取り扱う事業会社ではプライバシーマークの認証を取得しておりますが、今後も制度の継続的な運用の見直しや社内教育・研修の実施を継続して行ってまいります。

 

⑤ 海外展開に向けたグローバル人材育成

当社グループは日本企業の世界展開の加速に合わせ、海外赴任支援事業や海外戦略事業を拡大してまいりました。また、グローバルカンパニーで働く人々の移動への対応を鑑み、海外のリロケーションカンパニーのM&Aにより、さらなる事業拡大の準備をしてまいりました。今後は世界市場で競争力を持つために必要な人材の採用と育成に取り組んでまいります。

 

⑥ デジタル化の推進

当社グループは福利厚生事業において大規模なシステム開発を実施し事業の拡大及び利益率の改善を実現してまいりました。他事業でも同様の展開による成長を目論むとともに人手不足への対応を鑑み、さらなるシステム投資を行い、グループ全体のデジタル化推進に取り組んでまいります。

 

⑦ 事業体制強化への対応

当社グループは、企業福利厚生の総合アウトソーサーとして事業継続に向けたBCP(事業継続計画)を定めておりますが、近年増加している天災や新型コロナウイルス感染症をはじめとする感染症拡大等の状況においてもサービスを継続できるように事業体制をより強固にすべく、グループ全社で継続的改善に取り組んでまいります。

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