(1) 経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当事業年度より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。詳細は、「第4 経理の状況 1 財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度の経営成績は、売上高13,215百万円(前期比8.4%減)、営業利益549百万円(前期比35.8%減)、経常利益322百万円(前期比53.1%減)、当期純利益228百万円(前期比61.4%減)となりました。
前期より続く新型コロナウイルスの感染症の影響により、ライフスタイルの変化や在宅時間の増加に伴い、住宅購入に対する需要は依然として根強く、当社の強みである都心部での新築分譲マンション販売は好調に推移しました。不動産開発事業においては、当期に竣工した「サンウッド錦糸町フラッツ」「サンウッド神楽坂」は全住戸を引渡し、売上を計上しました。これにより当期末時点において、新築分譲マンションの完成在庫はゼロとなっております。また、リノベーション事業においても販売は好調に推移し、前期に引続き、過去最高のセグメント業績を更新いたしました。一方で、オフィスや店舗の需要は新型コロナウイルス感染症拡大前の状況には戻っておらず、当期に竣工引渡しを見込んでいた投資用一棟商用ビル「WHARF赤坂田町」「WHARF神田三崎町」の販売において、引渡しが次期以降にずれ込むこととなり、当初目標であった売上高15,000百万円は未達となり、前期比で減収減益となりました。
売上総利益率は16.1%となり、前期比で0.3ポイント上昇しました。当期は不動産開発事業の新築分譲マンション及びリノベーション事業の販売が好調だったことから、利益率は上昇しました。
販売費及び一般管理費は、1,576百万円(前期比11.3%増)となりました。広告宣伝費はほぼ横ばいとなりましたが、新規物件の仕入に伴い、借入関連費用及び控除対象外消費税の増加により、租税公課が増加したことが主な要因であります。
販売面においては上記のとおり、新築分譲マンションは顧客の需要を捉えた商品企画であったことで、「サンウッド錦糸町フラッツ」「サンウッド神楽坂」の両物件が竣工前に全住戸契約完売となりました。次期に竣工引渡予定である「サンウッド瀬田一丁目」「サンウッドウエリス品川御殿山」についても、契約状況は好調に進捗しております。今後は、投資用物件である「WHARFシリーズ」の販売戦略強化が重要であると認識しております。
仕入面においては、新築分譲マンションとして「サンウッドフラッツ神田神保町」「浜田山プロジェクト」「山下町プロジェクト」を新たに取得しました。特に「浜田山プロジェクト」は、2021年11月に資本業務提携契約を締結した京王電鉄株式会社へ持分を一部譲渡し、同社と初の共同事業化を行いました。また、「WHARFシリーズ」等の投資用物件として「六本木プロジェクト」「神宮前プロジェクト」等の事業用地も取得し、仕入状況は順調であります。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。なお、各セグメントのセグメント利益は、売上総利益ベースの数値であります。
Ⅰ 不動産開発事業
主要セグメントである不動産開発事業は、売上高は10,631百万円(前期比10.9%減)、セグメント利益は1,588百万円(前期比9.8%減)となりました。新築分譲マンションにおいては、当期に竣工した「サンウッド錦糸町フラッツ」「サンウッド神楽坂」の全住戸の引渡完了や、前期以前に竣工した完成住戸を引渡し、売上を計上しました。これにより新築分譲マンションの完成在庫は期末時点にてゼロとなりました。また、投資用の一棟収益物件を数件引渡したことで、不動産開発事業は3期連続で10,000百万円超を達成いたしました。しかし、当期売上計上予定であった「WHARF赤坂田町」「WHARF神田三崎町」の2物件の販売において、引渡しが次期以降にずれ込んだことで、前期比で減収減益となりました。
Ⅱ リノベーション事業
リノベーション事業は、売上高2,068百万円(前期比6.1%増)、セグメント利益は255百万円(前期比9.8%増)となりました。前期より引続き住宅購入の需要は根強く、販売活動が好調に推移したことで、当事業において売上高は初めて2,000百万円を突破しました。さらに、在庫回転率向上により長期在庫が少なくなり、利益率も上昇し増益となったことで、過去最高のセグメント業績を2期連続で更新しました。仕入についても順調に進捗しており、次期の目標売上高の大半の仕入を完了しております。一方で、改修工事において一部の住宅設備の製造に遅れが出ていることも影響し、工事期間の延長や工事価格の上昇も懸念されます。今後の市況を注視しつつ、事業拡大を目指してまいります。
Ⅲ 賃貸事業
賃貸事業は、売上高は415百万円(前期比3.9%減)、セグメント利益は240百万円(前期比3.5%減)となりました。当事業はセグメント資産の取得や売却及び開発の開始により、売上高及びセグメント利益は増減しますが、現在保有中の物件の稼働率は引き続き好調に推移しており、安定的な収益を確保しております。12月に一棟商用ビル「WHARF高円寺」が竣工し、新たに賃貸用不動産として保有することといたしました。これによりセグメント資産の入替えを行い、賃貸マンション2棟を不動産開発事業において販売いたしました。
Ⅳ その他
リフォーム、仲介等のその他に含まれる事業の売上高は98百万円(前期比6.7%減)、セグメント利益は40百万円(前期比45.0%増)となりました。新築分譲マンションの設計変更工事の売上高は減少しましたが、利益率の高い仲介事業の手数料収入が増加したことで、減収増益となりました。
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前事業年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当事業年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
増減 |
(増減率) |
売上高 |
14,419百万円 |
13,215百万円 |
△1,204百万円 |
(△8.4%) |
営業利益 |
855 |
549 |
△305 |
(△35.8%) |
経常利益 |
687 |
322 |
△365 |
(△53.1%) |
当期純利益 |
593 |
228 |
△364 |
(△61.4%) |
また、財政状態は以下のとおりであります。
(資産)
当事業年度末における資産合計は26,543百万円となり、前事業年度末に比べ7,177百万円増加しました。これは主に不動産開発事業における新規物件の仕入に伴い仕掛品が5,457百万円増加したこと及び賃貸用不動産の取得等に伴い有形固定資産が974百万円増加したことによるものであります。
(負債)
当事業年度末における負債合計は21,837百万円となり、前事業年度末に比べ7,068百万円増加しました。これは主に不動産開発事業の新規事業用地の取得に伴い、借入金が6,669百万円増加したこと及び買掛金が421百万円増加したことによるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は4,706百万円となり、前事業年度末に比べ108百万円増加しました。これは主に当期純利益の計上及び配当に伴う利益剰余金の増減によるものであります。自己資本比率は17.7%となり、総資産の増加の影響により、前事業年度末比で6.0ポイント低下しました。
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前事業年度 (2021年3月31日) |
当事業年度 (2022年3月31日) |
増減 |
(増減率) |
資産合計 |
19,366百万円 |
26,543百万円 |
7,177百万円 |
(37.1%) |
負債合計 |
14,768 |
21,837 |
7,068 |
(47.9%) |
純資産合計 |
4,597 |
4,706 |
108 |
(2.4%) |
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度末の「現金及び現金同等物」(以下「資金」という。)は1,920百万円となり、前事業年度末に比べ100百万円増加しました。不動産開発事業において複数プロジェクトの売上を計上したことにより資金を獲得し、その資金の一部を当該プロジェクトに係る借入金の返済に充当いたしました。また、当事業年度は多くの新規プロジェクトの事業用地を仕入れ、それに伴う借入れを行っております。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において営業活動の結果使用した資金は6,394百万円(前期は845百万円の獲得)となりました。多くの新規プロジェクトの仕入に伴う棚卸資産の増加により資金が減少しました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において投資活動の結果使用した資金は5百万円(前期比99.5%減)となりました。これは、有形固定資産の売却により資金が増加したものの、有形固定資産の取得による支出により資金が減少したことが主な要因であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において財務活動の結果獲得した資金は6,500百万円(前期比792.3%増)となりました。これは、新規プロジェクトの仕入に伴い借入金が増加し、資金が増加したことが主な要因であります。
なお、キャッシュ・フロー関連指標の推移は以下のとおりであります。
|
2019年3月期 (参考) |
2020年3月期 (参考) |
2021年3月期 |
2022年3月期 |
自己資本比率(%) |
20.8 |
21.1 |
23.7 |
17.7 |
時価ベースの自己資本比率(%) |
12.4 |
9.6 |
13.8 |
9.5 |
キャッシュ・フロー対有利子 負債比率(年) |
5.4 |
96.1 |
15.5 |
- |
インタレスト・カバレッジ・ レシオ(倍) |
14.6 |
0.9 |
5.5 |
- |
(注)自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(1) 株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
(2) キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
(3) 有利子負債は貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。また、利払いはキャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
(4) 2022年3月期は営業キャッシュ・フローがマイナスのため、キャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオは記載しておりません。
③ 販売及び受注の実績
a.販売実績
当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
区分 |
当事業年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
|
金額(千円) |
増減率(%) |
|
(1) 不動産開発事業 |
10,631,944 |
△10.9 |
(2) リノベーション事業 |
2,068,343 |
6.1 |
(3) 賃貸事業 |
415,993 |
△3.9 |
(4) その他の事業 |
98,772 |
△6.7 |
合計 |
13,215,054 |
△8.4 |
b.契約実績
当事業年度の契約実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
区分 |
当事業年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
||||
期首契約残高 |
期中契約高 |
増減率 |
期末契約残高 |
増減率 |
|
金額(千円) |
金額(千円) |
(%) |
金額(千円) |
(%) |
|
(1) 不動産開発事業 |
3,490,505 |
11,350,589 |
16.8 |
4,209,150 |
20.6 |
(2) リノベーション事業 |
170,881 |
2,105,227 |
0.8 |
207,765 |
21.6 |
(3) 賃貸事業 |
- |
415,993 |
△3.9 |
- |
- |
(4) その他の事業 |
16,524 |
137,207 |
57.8 |
54,958 |
232.6 |
合計 |
3,677,911 |
14,009,017 |
13.6 |
4,471,874 |
21.6 |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の当事業年度の財政状況及び経営成績等は、以下のとおりであります。
a.経営成績の分析
(売上高、売上総利益)
当事業年度における売上高は13,215百万円(前期比1,204百万円減)と減収となりましたが、5期連続で10,000百万円超を達成しました。目標とする経営指標である15,000百万円に対しての達成率は88.1%となっております。
前期より引続き世界的な新型コロナウイルス感染症の影響が続く中、ライフスタイルの変化や在宅時間の増加に伴い、住宅購入に対する需要は依然として根強く、新築分譲マンションやリノベーション物件の販売は好調に推移しました。
不動産開発事業においては、「サンウッド錦糸町フラッツ」「サンウッド神楽坂」の2物件が竣工し、全住戸を引渡しました。また、当期に竣工した「WHARF高円寺」を賃貸用不動産として保有することとし、これにより賃貸事業におけるセグメント資産の入替えを行い、一棟賃貸マンション2物件を不動産開発事業において販売しました。不動産開発事業の売上高は10,631百万円(前期比1,298百万円減)と前期に比べ減少しました。これは当初販売を予定していた「WHARF神田三崎町」「WHARF赤坂田町」の販売において、引渡しが次期以降にずれ込むこととなったことで、前期比では減収となりました。
新築マンション事業を主軸とした不動産開発事業は、仕入や開発状況によって竣工時期に偏りがあり、業績変動が大きいため、リノベーション事業や賃貸事業などの事業拡大にも注力しております。リノベーション事業の売上高は2,068百万円(前期比118百万円増)、賃貸事業の売上高は415百万円(前期比16百万円減)となり、引続き安定的な売上計上の拡大を目指してまいります。
この結果、売上総利益は2,125百万円(前期比145百万円減)と減益となりました。
(営業利益)
販売費及び一般管理費は、1,576百万円(前期比160百万円増)となりました。広告宣伝費はほぼ横ばいとなりましたが、新規物件の仕入に伴う借入関連費用及び控除対象外消費税の増加により、租税公課が増加しました。営業利益は549百万円(前期比305百万円減)と大きく減益となり、目標とする経営指標である営業利益1,000百万円に対する達成率は54.9%となりました。
新築分譲マンションの販売においては、販売開始時期に広告宣伝費が多く発生しますが、竣工引渡時期に対して約1年以上先行して販売活動を行うため、売上計上と費用計上の事業年度がずれる傾向があります。そのため、営業利益は次期以降の事業計画による影響があります。
b.財政状態の分析
当事業年度末における資産合計は26,543百万円(前期末比7,177百万円増)、負債合計は21,837百万円(前期末比7,068百万円増)、純資産合計は4,706百万円(前期末比108百万円増)となりました。
不動産開発事業において複数物件を売却し、当該物件に係る借入金を返済しました。当期は仕入が好調に進捗したことで、棚卸資産は5,903百万円増加しました。また、有形固定資産が974百万円増加しましたが、これは「WHARF高円寺」の保有目的の変更に伴う仕掛品からの振替によるものであります。これらの仕入に伴い、借入金は6,669百万円増加しております。
マンション事業は開発に相当の期間を要するため、棚卸資産及び借入金が膨らむ傾向があります。これは、事業規模の拡大を目指す場合にはより顕著に表れ、その影響により自己資本比率は低下します。
これらの結果、当事業年度末における自己資本比率は17.7%となり、前事業年度末比で6.0ポイント低下しました。
c.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社は、新築マンション事業を主要事業としておりますが、当社全体の売上規模が比較的小さいことから、各プロジェクトの個別要因により売上高及び利益の変動が大きくなる傾向があります。そのため、売上高及び営業利益を指標として位置付け、当面の安定経営の目途となる売上高15,000百万円、営業利益1,000百万円を安定的に計上できる体制を構築することを目標として掲げております。
当事業年度における売上高は13,215百万円(目標比88.1%)、営業利益549百万円(目標比54.9%)となりました。引続き当該指標の達成に向け邁進してまいります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析
当事業年度末におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.資本の財源及び資金の流動性
当社の事業資金需要のうち、主なものは不動産開発事業におけるマンション事業用地の取得費及び建築費のほか、各事業における販売費及び一般管理費等の運転資金であります。また、投資を目的とした資金需要は、賃貸事業における不動産開発前の収益物件の取得費等があります。
当社は事業活動に必要な資金を安定的に確保するため、主に金融機関からの借入により資金調達をしております。マンション事業は用地の取得から売却による資金回収までに相当の期間を要するため、個々のプロジェクトに応じ、その大半を長期借入金にて調達しております。これにより、借入金残高は総資産に対し高い割合となる傾向がありますが、プロジェクトの規模及び期間に連動して借入を実行しているため、安定した財務バランスであると考えております。なお、当事業年度末における棚卸資産の残高は19,356百万円、有形固定資産の賃貸用不動産の残高は4,538百万円、借入金及び社債等を含む有利子負債の残高は19,722百万円であります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該の見積りに用いた仮定のうち、重要なものにつきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
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