業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要、並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績の状況

a.連結経営成績に関する説明

当社は、経営理念の実現とさらなる事業成長を遂げるため、長期ビジョンである2026年2月期(2025年度)にめざす姿を定め、社会価値・環境価値・経済価値の創出を通じて、地域社会とともに持続的な成長の実現に向けて取り組んでいます。

2021年2月期(2020年度)を初年度とする中期経営計画(2020~2022年度)では、「海外における高い利益成長の実現」「国内における安定的成長の実現」「成長を支えるファイナンスミックスの推進とガバナンス体制強化」「ESG経営の推進」を成長施策として掲げています。

成長施策の推進においては「海外事業の利益成長の実現と新規出店の加速」「CX(カスタマー・エクスペリエンス)の創造によるリアルモールの魅力の最大化」「次世代モールの構築と都市型SC事業の推進」「DX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進」「中期戦略の推進とESG視点に基づく改革の加速」を経営課題およびめざす姿として定めております。これらの取り組みを通じて地域・社会の課題に対してソリューションを提供し続けることで、地域コミュニティにおける中核施設として社会インフラ機能のポジションを確立していきます。

 

当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症の感染状況は国、エリアにより違いはあるものの、依然として収束には至らず、国内外の当社モールでは一部営業時間の短縮や臨時休業を実施しました。

当連結会計年度の経営成績は、営業収益は3,168億1千3百万円(前期比112.9%)、営業利益は382億2千8百万円(同111.1%)、経常利益は325億4千万円(同114.4%)、親会社株主に帰属する当期純利益は192億7千8百万円(前連結会計年度は18億6千4百万円の損失)と増収増益となりました。当連結会計年度における一時休業期間中の固定費等は、新型コロナウイルス感染症による損失として40億7千5百万円(前連結会計年度は165億7千2百万円)を特別損失に計上しました。

なお、新型コロナウイルス感染症の影響を受けていない2020年2月期との比較(以下、「一昨年対比」という。)では、営業収益は97.7%、営業利益は62.9%、経常利益は58.0%、親会社株主に帰属する当期純利益は56.3%となりました。

 

◆連結経営成績                                 (単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

(前期比)

営業収益

280,688

316,813

+36,125

(112.9%)

営業利益

34,394

38,228

+3,834

(111.1%)

経常利益

28,437

32,540

+4,103

(114.4%)

親会社株主に帰属する

当期純利益又は当期純損失(△)

△1,864

19,278

+21,142

(-)

 

〔ご参考〕2020年2月期対比

 

2020年2月期

当連結会計年度

増減

(一昨年対比)

営業収益

324,138

316,813

△7,325

(97.7%)

営業利益

60,794

38,228

△22,566

(62.9%)

経常利益

56,117

32,540

△23,576

(58.0%)

親会社株主に帰属する

当期純利益

34,239

19,278

△14,960

(56.3%)

 

b.セグメント別事業概況に関する説明

◆セグメント別経営成績                               (単位:百万円)

 

営業収益

セグメント利益又は損失(△)

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

(前期比)

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

(前期比)

日本

237,093

261,214

+24,121

(110.2%)

30,597

31,945

+1,347

(104.4%)

 

中国

31,353

43,139

+11,785

(137.6%)

2,296

6,958

+4,662

(303.0%)

 

アセアン

12,241

12,459

+217

(101.8%)

1,474

△701

△2,175

(-)

海外

43,594

55,598

+12,003

(127.5%)

3,771

6,257

+2,486

(165.9%)

調整額

(-)

25

25

(100.0%)

合計

280,688

316,813

+36,125

(112.9%)

34,394

38,228

+3,834

(111.1%)

 

〔ご参考〕2020年2月期対比

 

営業収益

セグメント利益又は損失(△)

2020年2月期

当連結会計年度

増減

(一昨年対比)

2020年2月期

当連結会計年度

増減

(一昨年対比)

日本

274,999

261,214

△13,784

(95.0%)

52,460

31,945

△20,515

(60.9%)

 

中国

35,850

43,139

+7,288

(120.3%)

5,622

6,958

+1,336

(123.8%)

 

アセアン

13,288

12,459

△829

(93.8%)

2,686

△701

△3,387

(-)

海外

49,138

55,598

+6,459

(113.1%)

8,308

6,257

△2,050

(75.3%)

調整額

(-)

25

25

(100.0%)

合計

324,138

316,813

△7,325

(97.7%)

60,794

38,228

△22,566

(62.9%)

 

■海外

営業収益は555億9千8百万円(前期比127.5%)、営業利益は62億5千7百万円(同165.9%)と増収増益となりました。中国は当連結会計年度の専門店売上は伸長し増収増益となりましたが、アセアンは第3四半期連結会計期間(7月~9月)にベトナムで新型コロナウイルス感染症拡大に伴い臨時休業を余儀なくされ、増収減益となりました。

なお、海外事業としては新型コロナウイルス感染症の影響を受けていない一昨年対比において、営業収益は113.1%、営業利益は75.3%となりました。

中国では北京・天津・山東、江蘇・浙江、湖北、広東の4エリア、アセアンではベトナム、カンボジア、インドネシアの3国を中心にドミナント出店を進めています。当社モールのブランド力向上により集客力が高まることで、優良専門店の誘致や有利なリーシング条件での契約が可能となる等、ブランディングメリットの享受が進んでいます。

また、当社モールでは、日本で培った管理・運営ノウハウを活かし、消費を喚起するセールやイベントの開催による集客力の向上や、日本のモール環境と同等のクリンリネス(清潔、安全、快適な状態)の徹底および計画的な専門店入替を中心としたリニューアルを実施しています。

今後の成長戦略として、2025年に海外50モール体制の実現に向けた新規出店を加速していきます。2025年度末時点では、物件のパイプラインとして70モール体制となる仕込みを完了させるべく、中国・アセアンとも高い成長力が見込まれるエリアにおいて探索・確保を進めていきます。

なお、海外現地法人の決算期は12月末のため、当連結会計年度の業績は1月~12月となります。

 

(中国)

〔当連結会計年度(1月~12月)〕

営業収益は431億3千9百万円(前期比137.6%)、営業利益は69億5千8百万円(同303.0%)と増収増益となりました。新型コロナウイルス感染症の影響を受けていない一昨年対比でも、営業収益は120.3%、営業利益は123.8%と増収増益となりました。

7月下旬に中国全土で新型コロナウイルス感染症の新規感染者が発生し、8月には湖北省の一部モールを臨時休業しました。11月、12月には内陸部において発生した新型コロナウイルス感染症が各地に広がり、各地方政府において厳格なウイルス封じ込めに伴う活動制限やシネマ等の一部業種における入場制限措置等がとられました。

しかしながら、中国では新型コロナウイルス感染症は局地的に発生事例があるものの、政府主導で厳格なウイルス封じ込め対策がとられることから短期間で収束する傾向にあります。当社モールの専門店売上に与える影響は限定的であり、当連結会計年度の既存モール専門店売上は前期比132.0%(対象21モール)、一昨年対比105.3%(対象19モール)と伸長しました。引き続き、中国国内の感染状況を注視しながら営業施策を積極的に推し進めていきます。

 

新規モールでは、5月に広東省4号店となるイオンモール広州新塘(広東省広州市)をオープンしました。既存モールでは、湖北省においてイオンモール武漢経開(湖北省武漢市)、イオンモール武漢金橋(湖北省武漢市)、イオンモール武漢金銀潭(湖北省武漢市)の3モール、広東省においてイオンモール広州番禺広場(広東省広州市)、イオンモール佛山大瀝(広東省佛山市)、イオンモール広州金沙(広東省広州市)の3モール、江蘇省においてイオンモール蘇州園区湖東(江蘇省蘇州市)でリニューアルを実施しました。

 

<当連結会計年度における中国新規モール>

名称

所在

オープン

専門店数

総賃貸面積

特徴

イオンモール広州新塘

広東省広州市

2021年5月29日

220

76,000㎡

中国国内で多く使用されている「WeChat」を利用したイオンモール会員システムを導入する他、AIインフォメーションシステムや顔認証ロッカー、大型LEDビジョンやデジタルサイネージの設置等、デジタル技術を活用したサービスを多く提供し、お客さまの利便性向上を図りました。

 

(アセアン)

〔当連結会計年度(1月~12月)〕

営業収益は124億5千9百万円(前期比101.8%)、営業損失は7億1百万円(前期は14億7千4百万円の利益)となりました。新規モールオープンの効果により増収となったものの、ベトナム、カンボジア、インドネシアでの新型コロナウイルス感染症拡大の影響が大きく、営業利益は減益となりました。なお、新型コロナウイルス感染症の影響を受けていない一昨年対比では、営業収益は93.8%、営業損益は33億8千7百万円の減益となりました。

 

ベトナムでは、5月にベトナム南部で拡大した新型コロナウイルス感染症は7月以降ベトナム全土に拡大、当社モールの出店エリアでは厳格な都市封鎖が実施されましたが、10月より政府指示による社会隔離措置が解除され、当社モール専門店の営業を再開しました。ただし、ワクチン未接種の専門店従業員は店頭での接客対応ができないといった営業上の規制が残っていた影響もあり、当連結会計年度の既存モール専門店売上は前期比73.2%(対象5モール)、一昨年対比65.2%(対象4モール)となりました。

 

カンボジアでは、3月にプノンペン都において拡大した新型コロナウイルス感染症に伴い都市封鎖が実施され、4月には専門店を臨時休業しました。ワクチン接種率向上に伴い、7月をピークに新型コロナウイルス感染症の新規感染者数は減少基調となったものの、シネマ、アミューズメント等一部業種の休業が継続し、年間を通じて集客面で影響を受けた結果、当連結会計年度の既存モール専門店売上は前期比75.9%(対象2モール)、一昨年対比57.0%(対象2モール)となりました。

 

インドネシアでは、新型コロナウイルス感染症の新規感染者数減少に伴い、5月の既存モール専門店売上は一昨年対比8割程度(対象2モール)まで回復しましたが、6月以降再び感染が拡大し、営業時間短縮やアミューズメント業種の休業、モール入場者数の規制等が実施され、当連結会計年度の既存モール来店客数は一昨年対比6割程度と厳しいトレンドで推移しました。

 

新規モールでは、インドネシアにおいて、11月に4号店イオンモール タンジュン バラット(南ジャカルタ区)を一部先行オープンしました。また、2020年10月に一部先行オープンしていたイオンモール セントゥールシティ(西ジャワ区)を2021年10月にグランドオープンしました。既存モールでは、4月にインドネシア1号店のイオンモールBSD CITY(タンゲラン県)において、2015年の開業以来初となる大規模リニューアルを実施しました。

 

<当連結会計年度におけるアセアン新規モール>

国名

名称

所在

オープン

専門店数

総賃貸面積

特徴

インドネシア

イオンモール タンジュン バラット

南ジャカルタ区

2021年11月18日

180(注)

40,000㎡

デジタライゼーションの取り組みとして、中国発ECプラットフォーム企業「JD.ID(ジンドン・インドネシア)」と協業し、同社サイト内におけるバーチャルイオンモールの提案、ライブ動画配信用プラットフォームの共有など、ネットとリアルの融合により、お客さまに新たな利便性を提供しています。

(注)一部先行オープンで、2022年にグランドオープンを予定

 

■日本

営業収益は2,612億1千4百万円(前期比110.2%)、営業利益は319億4千5百万円(同104.4%)と増収増益となりました。新型コロナウイルス感染症の影響を受けていない一昨年対比では、営業収益は95.0%、営業利益は60.9%となりました。

国内では、4月25日に発令された緊急事態宣言により、当社グループのモールおよび都市型ショッピングセンター30施設を5月11日まで臨時休業しました。その後も新型コロナウイルス感染症が拡大し続ける中、営業制限は緩和されたものの緊急事態宣言は対象エリアを拡大しながら9月30日まで断続的に実施されました。緊急事態宣言が解除された10月以降、お客さまの消費行動は外出自粛が続いた反動から改善傾向にありましたが、1月以降、感染力の強いオミクロン株が流行し、まん延防止等重点措置が適用される等、お客さまの消費行動は再び自粛傾向となった結果、当連結会計年度の既存モール専門店売上は前期比108.5%(対象84モール)、一昨年対比82.4%(対象83モール)となりました。

 

当連結会計年度においては、新規モールでは3月にイオンモール新利府 南館(宮城県)、6月にイオンモール川口(埼玉県)、7月にイオンモール白山(石川県)、10月にイオンモールNagoya Noritake Garden(愛知県)をオープンしました。既存モールでは11月にTHE OUTLETS HIROSHIMA(広島県)を増床オープンしました。

 

<当連結会計年度における国内新規モール>

名称

所在

オープン

専門店数

総賃貸面積

特徴

イオンモール新利府 南館

宮城県

2021年3月5日

170

69,000㎡

東北最大級のエンターテインメントモールとして、東北初となる最新の体験型アミューズメント施設や東北最大級のシネマを導入する他、デジタルを活用した新たなショッピング体験の提供として、最新の350インチLEDビジョンによる情報発信など、お客さまの利便性向上の取り組みを推進しています。

イオンモール川口

埼玉県

2021年6月8日

150

59,000㎡

1984年に開業、2018年8月をもって一旦営業終了しましたが、敷地を拡幅しスクラップ&ビルドにより新たにオープンしました。ニューノーマルな社会環境に合わせ、リアルとデジタルを融合した最新型のモールへと生まれ変わり、エリア最大級の39店舗からなるグルメゾーンを展開するとともに、イオンモールアプリを活用したモバイルオーダーサービスやフードデリバリーサービスを導入しました。

イオンモール白山

石川県

2021年7月19日

200

74,000㎡

館内環境においては、メインモール中央部に街路樹が立ち並ぶ空間を演出し、緑豊かな環境でくつろげる室内空間を提供しています。また、日本を代表する各界のシェフがプロデュースする料理を楽しめる新業態「グランシェフズキッチン」をはじめ、北陸エリア最大級となる飲食ゾーンを中心に、エンターテインメント、サービス、物販など多種多様な店舗を展開しています。

イオンモールNagoya Noritake Garden

愛知県

2021年10月27日

150

(商業)  37,000㎡

(オフィス)22,000㎡

オフィス複合型商業施設として当社のオフィスブランド「BIZrium(ビズリウム)」を展開しています。「Work Life

Blend Office」をコンセプトとし、一人ひとりが自分の意志で働き方も暮らし方も選べる柔軟性を兼ね備え、場所も時間もフル活用したくなるライフスタイル提案型オフィスとして、オフィスワーカーに新たな付加価値を提供しています。

 

<当連結会計年度における国内リニューアルモール>

名称

所在

リニューアル

オープン日

専門店数

リニューアル

専門店数

イオンモール岡山

岡山県

2021年3月12日

350

36

2021年10月8日

11

イオンモール草津

滋賀県

2021年3月19日

200

13

イオンモール岡崎

愛知県

2021年4月16日

180

30

2021年9月17日

24

イオンモール京都桂川

京都府

2021年4月23日

220

29

イオンレイクタウンkaze(注1)

埼玉県

2021年4月29日

230

13

2021年7月15日

イオンレイクタウンアウトレット(注1)

埼玉県

2021年4月29日

120

2021年7月15日

イオンモール新利府 北館(注2)

宮城県

2021年7月2日

80

80

イオンモール川口前川

埼玉県

2021年10月8日

170

29

イオンモール鈴鹿

三重県

2021年11月5日

180

22

THE OUTLETS HIROSHIMA(注3)

広島県

2021年11月26日

230

33

(注)1.イオンリテール株式会社からPM受託物件として管理・運営を行っているイオンレイクタウンmoriを含め、3館全体でのリニューアルを実施。

2.イオンリテール株式会社からのPM受託物件として管理・運営を行っていましたが、2021年2月28日付で当社が取得。2021年1月末をもって一時休業し、ハード・ソフト両面で大規模リニューアルを実施し再オープン。

3.専門店数は230店舗(+30店舗)、総賃貸面積は59,000㎡(+6,000㎡)に拡大する増床リニューアル。

 

都市型ショッピングセンター事業において、株式会社OPA(以下、「旧OPA」)は、2021年3月1日に、旧OPAが新設する100%子会社(以下、「新OPA」)を承継会社として会社分割(新設分割)し、分割会社(旧OPA)を当社が吸収合併しました。

新OPAは、ターミナル立地中心の都市型施設8店舗の管理・運営に専念し、経営リソースを集中することにより、新たな価値創造を図っています。新業態開発や事業推進を担う部署を新設し、DXの推進による新たなビジネスモデルの創造および業務効率化等の具現化に向けた取り組みを推進しています。また、重点課題である空床改善に向けては、集客力のある大型店舗の誘致を進めており、金沢フォーラス(石川県)では10月にライフスタイルニーズへの対応強化として大型雑貨店を新規導入し、施設集客力の向上を図りました。

当社が吸収合併したコミュニティ型施設および一部の都市型施設14店舗は、当社のリーシング力を活かし、地域のデイリーニーズを満たす施設への変革を進めるとともに、各エリアの事業部が営業体制をフォローすることで、施設の収益力向上および当社のオペレーション・ノウハウに基づく施設管理機能の強化を推進しています。物件ごとに地域のニーズに合わせた専門店を導入するなど、引き続き変革を進めています。

 

c.成長施策および新たな取り組み

■海外事業の利益成長の実現と新規出店の加速

(中国における新規出店および活性化戦略)

当連結会計年度末時点において、中国は22モール体制まで拡大し、2025年度末時点で29モール体制の実現をめざしています。2023年に(仮称)イオンモール武漢江夏(湖北省武漢市)、2024年に(仮称)イオンモール杭州銭塘新区(浙江省杭州市)、(仮称)イオンモール長沙茶塘(湖南省長沙市)の2モール、2025年に4モール(未公表)の出店を予定しています。

新規出店においては、成長性の高い内陸部を重点出店エリアに定め、湖北省に加えて湖南省を新たな出店エリアと位置づけ、両省を内陸部の核として出店を拡大していきます。湖南省長沙市人民政府との間では「協力連携に関する協定書」を締結しました。本協定に基づき、当社は長沙市における大型ショッピングモールの開発事業において、全面的に協力連携関係を結び、長沙市の消費市場の繁栄および地域経済発展の促進に共同で取り組んでいきます。

 

既存モールでは、リニューアルやローカライズ企画の実施を通じて、急速に変化するお客さまのライフスタイルに対応した専門店や施設の展開、地域の魅力を提案する取り組み等を推進することで、ハード・ソフト両面での進化を図っていきます。イオンモール天津中北(天津市)では、駐車場として利用していた3階フロアを店舗化する増床リニューアルが決定し、2022年秋のオープンに向けて準備を進めています。

 

(アセアンにおける新規出店および活性化戦略)

当連結会計年度末時点において、アセアンは11モール体制まで拡大し、2025年度末時点で23モール体制の実現をめざしています。

最重点出店エリアであるベトナムでは、現在出店している南部、北部に加えて、中部エリアの周辺都市においてもドミナント出店を加速していきます。2月には中部のトゥア・ティエン・フエ省との間で「ショッピングモール開発に関する投資及び事業推進に関する包括的覚書」を締結しました。同様に、3月にバクニン省、5月にドンナイ省、11月にタインホア省との間で覚書を締結する等、新規出店用地の確保に向けて、地方政府との連携強化を図ることで、相互にモール開発を推進する協力体制を構築しています。今後、さらなるベトナム事業の基盤確立をめざし、地方都市への展開を推進していくことで、近年、急激な経済成長を遂げるベトナムの持続的な発展とまちづくりに貢献し、事業拡大を図っていきます。

カンボジアでは、2022年度に3号店イオンモール ミエンチェイ(プノンペン都)の新規オープンを予定しています。また、1号店イオンモール プノンペン(プノンペン都)において、都会的なラグジュアリーモールへの進化を図るべく、2014年の開業以来初となる増床リニューアルを決定、2023年度のオープンに向けた準備を進めています。エンターテインメント機能を拡充した2号店イオンモール センソックシティ(プノンペン都)も含め、それぞれが立地特性を活かしたMD展開を行うことで、プノンペンにおいて更なるエリアドミナンス強化を図っていきます。

インドネシアでは、5号店(仮称)イオンモール デルタマス(ブカシ県)を2024年度オープンに向けて建築着工しました。計画地のデルタマスシティは、同国内不動産最大手のシナルマスランド社と双日株式会社による世界最大規模の都市開発事業としてアジアを代表するスマートシティをめざしており、当社も積極的にプロジェクトに参画し、地域の中核施設として発展に貢献してまいります。

新たな出店国としてミャンマーでは、1号店(仮称)イオンモール ダゴンセイカン(ヤンゴン管区)のオープンを2023年度に計画していましたが、2021年2月にミャンマー国軍によるクーデターが発生し、発令された非常事態宣言も更に延長されたことから、現地の状況を継続的にモニタリングし、着工時期についても見直しております。現地パートナー企業であるSHWE TAUNG(シュエタン) REAL ESTATE CO.,LTD.とは連携を継続しており、決定次第、速やかに公表します。

 

(地域の課題解決に向けた新たな事業展開)

モール事業に続く今後の成長戦略として、カンボジアにおいて、海外物流のプラットフォームとなる同国初の多機能物流センター事業を展開することを決定し、AEON MALL (CAMBODIA) LOGI PLUS

CO.,LTD.を新たに設立しました。同国政府は持続可能な経済成長に向けた施策として、同国最大貨物取引量を有し開発の進むシアヌークビル港と、後背地に位置する経済特区の一部を、自由貿易港(フリーポート)として一体的に運用する構想について、日本政府、JICA(独立行政法人国際協力機構)の技術協力を受けるシアヌークビル港湾公社と連携し検討を進めております。当社は同構想の実現に向けた最初のパイロット事業者として、シアヌークビル港隣接の経済特区エリアに保税機能を含む越境EC事業者に必要なライセンス、および通関代行やフルフィルメントセンター機能を備えた多機能物流センターを設置、運営します。これらの取り組みを通じて、同国における物流課題を解決するとともに、お客さまの利便性向上と当社を含む多種多様な事業者への事業機会やサービスを提供し、同国の更なる発展に貢献していきます。

 

■CX(カスタマー・エクスペリエンス)の創造によるリアルモールの魅力の最大化

(リアルの場でしか体験・体感できない価値提案の強化)

お客さまの消費行動や購買習慣の変容が加速する中、リアルモールを展開する当社では、カスタマー・エクスペリエンス(顧客体験価値)を新たに創造しリアルモールの魅力を最大化していくことで、継続的に集客力向上を図っています。

イオンモール白山では、開放的な大空間で地元金沢の人気料理を楽しめるフードゾーンと、日本を代表するシェフのプロデュースによるレストランゾーンの2つのコンセプト飲食ゾーンを導入し、上質な食の体験を提供しています。イオンモール新利府 南館では、楽しみながらアクティビティ体験が可能な次世代型エンターテインメント施設を導入しました。

イオンモールNagoya Noritake Gardenでは、最新医療設備を取り揃えた大型クリニックを導入し、健康をテーマに様々な機能を持つ店舗を集約したヘルス&ウエルネスゾーンを形成しており、お客さまだけでなくオフィスワーカーにも健康的な生活習慣を提案することで来店動機創出を図っています。イオンモール川口では、生鮮三品やスイーツ、グロッサリー等、幅広い品揃えで展開する食物販ゾーンを充実させることで、来店頻度向上を図っています。

 

(憩いの場としての施設環境づくりの推進)

開放的で居心地の良い外部ゾーンに対するお客さまのニーズが高まる中、「安らぎ」や「心地よさ」といった五感に訴えかける仕掛けを取り入れる等、お客さまにとって憩いの場となる施設環境づくりを推進しています。

イオンモール白山では、メインモール中央部に街路樹が立ち並ぶ空間を演出し、緑豊かな環境でくつろげる室内空間を提供しています。イオンモールNagoya Noritake Gardenでは、1階から3階までの食のゾーン全てを緑豊かな屋外に面する配置とし、屋外席やテラス席を設け、自然環境と四季を感じられる憩いの空間を提供しています。

 

(パートナー企業との共創による新業態開発)

お客さまが求める新たな価値に対し、パートナー企業や地域の皆さまとの共創による取り組みを新たな業態開発につなげ、新しい顧客体験の創造により施設の魅力度向上を図っていきます。

双日インフィニティ株式会社との協働で、イオンレイクタウンkaze(埼玉県)に女性の健康課題を解決するフェムテック専門店のポップアップストアをオープンしました。女性のココロとカラダの悩み、それらを解決する商品やサービス・情報の提供、女性が社会でより活躍するための後押し、そして、女性の健康課題に対する社会全体のリテラシー向上に貢献していきます。

 

(モール敷地の有効活用)

既存モールの周辺敷地の新たな活用として、地域行政やパートナー企業等との連携により新たなライフスタイルに合わせた環境を形成し、人々の交流を促す賑わいを創出することで、従来のモールにはない新たな価値をお客さまに創造するとともに、賃料収入や付帯収入の増加を図っていきます。

イオンモール京都桂川(京都府)では、これまで遊休スペースであった屋外敷地にハウスメーカーの体験型ショールームを設置し、モール内店舗での商談時に実物のモデルハウスが内見できるという付加価値を提案しています。

イオンモール羽生(埼玉県)では、2022年3月実施のリニューアルにおいて屋内外に3つのPark(公園)を新たに設置し、屋外テラス部分にはキッチンカー等の出店可能な店舗スペースを設置する等、屋外でもさまざまな食事を楽しめる空間を提供しています。

 

■次世代モールの構築と都市型SC事業の推進

(多様な開発パターンの構築)

今後のモール開発の方向性は、様々な視点でのマーケット分析に基づき、出店エリアの立地特性に応じた多様な開発パターンによる次世代モールの構築を推し進めることで、新たな価値提案を図っていきます。

イオンモールNagoya Noritake Gardenでは、オフィス複合型商業施設として当社のオフィスブランド「BIZrium(ビズリウム)」を展開しています。「Work Life Blend Office」をコンセプトとし、一人ひとりが自分の意志で働き方も暮らし方も選べる柔軟性を兼ね備え、場所も時間もフル活用したくなるライフスタイル提案型オフィスとして、オフィスワーカーに新たな付加価値を提供しています。海外においても、ベトナム7号店としてオープン予定の(仮称)イオンモール ホアンマイ(ハノイ市)ではオフィス複合型商業施設として「BIZrium」の展開を計画しています。

THE OUTLETS KITAKYUSHU(福岡県)は、地域創生型商業施設の2号店として2022年4月にオープンしました。アウトレット業態によるショッピング体験だけでなく、地元の関係機関や企業との共創により、「学び」を通じた拠点性(エデュケーションツーリズム拠点)の確立につなげる取り組みを展開しています。

(仮称)八王子インターチェンジ北(東京都)では、高齢化・労働者不足・買い物難民・子育て支援・災害対策といった日本社会の構造的課題の解決に向けて、イオンネクスト準備株式会社が展開する顧客フルフィルメントセンター(CFC)を有する次世代型複合商業施設を展開します。オンラインとオフラインが融合する新たなライフスタイル施設として、宅配機能だけでなく、CFCに実店舗を併設した次世代スーパーの展開、シネマコンプレックス、障がい者スポーツ対応施設、道の駅と連携した飲食施設等の構成を計画しています。

(仮称)イオンモール横浜西口(神奈川県)では、2019年2月に閉店したダイエー横浜西口店跡地のスクラップ&ビルドにより、隣接する横浜ビブレ(当社子会社である株式会社OPAが運営)と併せ、横浜駅西口エリアの商業環境の賑わいに寄与していきます。

(仮称)自由が丘二丁目計画(東京都)では、2021年5月に閉店したピーコックストア自由が丘店跡地のスクラップ&ビルドにより、自由が丘の特徴であるストリートが施設内へ続き、新たな出会い・発見を求めて散策できる建物計画とし、地域の皆さまの日常利便性を高めるためスーパーマーケットの導入も予定しています。

 

■DX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進

(DX認定の取得)

当社は、2022年1月に経済産業省が定めるDX認定制度に基づくDX認定事業者の認定を取得しました。DX認定制度は「情報処理の促進に関する法律」に基づき、経営とシステムのガバナンス状況の優良な企業を国が認定し、日本全体のDXを促進することを目的としています。当社は、「ヒトの想い」や「一人ひとりが持つ個性」が重要であると考え、「“ヒトの想い”を中心としたDXの実現」をDXビジョンに掲げ、お客さまのライフステージに応じた新たな価値創造のための事業開拓、デジタル技術やデータを活用した地域やパートナーとの共創による新たなビジネスモデルの創出、次世代に対応するオペレーションシステムの確立に向けた取り組みを推し進めています。

 

(イオンモール共創プログラム)

外部パートナーとの共創による取り組みとして、多様な企業と連携し、革新的なビジネスやサービスを生み出す事を目的に「イオンモール共創プログラム」を実施しました。地域社会の課題や消費環境の大きな変化を視野に入れ、当社の経営資源と社外の技術やネットワークを掛け合わせて「新たな暮らしの未来」をともに事業創造するスタートアップ企業を募集するもので、123件の応募の中から採択企業3社を決定しました。今後、各社と実証準備を行い、効果検証を見据えながら新事業の検討を進めていきます。

 

(マーケティングデータ活用に関する実証実験)

当社は、デジタル技術やデータを活用し、店舗の売り場づくりやお客さまへのサービス向上を目的としたマーケティングデータに関する実証実験を開始しました。イオンレイクタウンkazeに出店するフェムテック専門店のポップアップストアにおいて、お客さまの行動や属性データを個人の特定なしに取得するソリューションが、当店舗の業態特性や消費チャネルの多様化に対応した売り場づくりに反映できると判断し実施します。本実証を経て、お客さまの行動だけでなく、マーケットデータや当社が保有する様々なデータを組み合わせ、有効なマーケティングデータとすることで、お客さま一人ひとりのライフステージを見据えたソリューションに活用していきます。

 

■中期戦略の推進とESG視点に基づく改革の加速

当社は、SDGsと日本および海外における社会課題を考慮したマテリアリティ分析を実施、ステークホルダーおよび自社にとっての重要度を評価し、ESG視点での重要課題として「地域・社会インフラ開発」「地域とのつながり」「環境」「ダイバーシティ・働き方改革」「責任あるビジネスの推進」の5分野10項目からなるマテリアリティを定めています。当社の全社員が個人目標の中にマテリアリティに関する項目を組み込む等、社内における意識向上を図りながら、ESG経営実現に向けた施策を推進しています。

イオングループでは、持続可能な社会の発展に向けたグループ全体の方針である「イオンサステナビリティ基本方針」のもと、環境面では、「脱炭素社会の実現」、「生物多様性の保全」、「資源循環の促進」、社会面では、「社会の期待に応える商品・店舗づくり」、「人権を尊重した公正な事業活動の実践」、「コミュニティとの協働」を重点課題に設定し、各課題への対応を進めることで、サステナブル経営を推進しています。当社においても、ESG視点に基づく経営を推進し、収益と企業価値の拡大を通じて経営基盤を強化し、さらなる発展をめざします。

 

(環境課題の解決に向けて)

・電気・ガスCO2排出量実質ゼロモールの運用

イオンモール川口は、国内の大規模商業施設として初めて、CO2排出量ゼロの電気・ガスを使用する施設として運用しています。当モールでは省エネルギーの取り組みを行うことに加え、東京電力エナジーパートナー株式会社の「非FIT非化石証書付電力メニュー(注1)」により実質CO2排出量ゼロとなる電気を調達しています。都市ガスは東京ガス株式会社から「カーボンニュートラル都市ガス(注2)」の供給を受け使用しています。

同様に、イオンモールNagoya Noritake Gardenにおいても、中部電力ミライズ株式会社の「非FIT非化石証書付電力メニュー(注3)」による調達、都市ガスは東邦ガス株式会社から「カーボンニュートラル都市ガス」の供給を受け使用しています。

 

・地域とともに地産地消の再生可能エネルギーを創出

当社は、地域においてお客さまとともに地産地消の再生可能エネルギー(以下、「再エネ」)を創出し、施設内で使用する電力は入店する専門店分も含めCO2を排出しない電力(以下、「CO2フリー電力」)とすることをめざします。

2025年度までに当社が管理・運営する国内の約160モールで使用する電力を再エネに転換するという目標において、各地域での再エネ直接契約による実質CO2フリー電力調達から、順次地産地消の再エネ(PPA手法(注4)含む)へ切り替え、2040年度には当社直営モールにおいて100%地産地消の再エネ(約20億kwh/年)での運営へ引き上げていきます。2022年度より太陽光発電から着手し、段階的に風力発電等の他の発電手法や、水素エネルギー、蓄電池等を活用していきます。

また、従来のV2H(車(Vehicle)から家(Home))から進化させたV2AEON MALL(車からイオンモール)を推進します。お客さま参加型の再エネ循環プラットフォームを整え、家庭で発電した電力(余剰電力)をEV(電気自動車)でモールに放電し、放電量に応じて環境貢献指数の見える化やポイントなど進呈します。アプリからアクションレコードを管理し、EVによる再エネの放電だけでなく、植樹活動や廃プラ回収、食品ロス対策協力等の環境貢献活動に対しても数値化を行い、活動する意味を見える化することで、お客さまとともに取り組みを推進していきます。

当社は、お客さま自身の「環境意識」を「行動」に繋げるサポートを行うことで、海外も含めた全ての地域の脱炭素社会をお客さまとともに築き上げていきます。

 

・衣料品回収「幸服リレー」の開催

当社では、循環型社会形成に向けて、Reduce(削減する)・Reuse(再利用する)・Recycle(再生する)の3Rに、Rethink(考え直す)・Repair(修理する)・Returnable(回収可能な)の3要素を加えた6Rsの推進を掲げ、サーキュラーモールの実現に向けた取り組みを推し進めています。

その一環として、お客さまが使用しなくなった衣料品回収を行う「幸服リレー」を全国のモールで開催し、4日間で約103トンを回収しました。回収された衣料品は、再生資源にリサイクルされ、新たな衣料品として生まれ変わらせることで、衣類ロスとCO2排出量の削減に貢献していきます。また「幸服リレー!ワールド」として、国内7モールでお客さまからお預かりした衣料品の一部を、カンボジアのモールを通じて現地の子どもたちへ寄贈する取り組みを実施しました。

 

(注)1.東京電力が調達した環境価値を系統電気と一緒にお客さまの需要場所に送るメニューで、実質的にCO2フリー電気を使っているとみなせるものです。

2.天然ガスの採掘から燃焼に至るまでの工程で発生する温室効果ガスを、CO2クレジットで相殺(カーボン・オフセット)し、燃焼させても地球規模ではCO2が発生しないとみなされるものです。なお、対象となるCO2クレジットは、信頼性の高い検証機関が世界各地の環境保全プロジェクトにおけるCO2削減効果をCO2クレジットとして認証したものです。

3.中部電力ミライズのグループ会社が所有する非FIT水力電源から、電気と非化石証書を調達することで、CO2フリー化した電力です。

4.電力小売事業者との契約により、資産を所有せず当社の専用発電所から電力供給を受ける手法です。

 

(社会課題の解決に向けて)

・防疫対策の取り組み

イオンモール上尾(埼玉県)、イオンモール新利府 南館、イオンモール川口、イオンモール白山、イオンモール

Nagoya Noritake Gardenでは、世界的な新型コロナウイルス感染症対策への評価である「WELL Health-Safety Rating(注)」を取得しました。施設内での飛沫感染、接触感染防止対策をはじめ、各出入口での安全対策や施設内の清掃管理体制などを徹底し、お客さまや専門店従業員が安全・安心にご利用いただける施設として管理・運営を行っています。

 

・国内外における新型コロナウイルスワクチン接種の推進支援

当社では、各自治体と連携し、モール内のホールや駐車場等の施設を新型コロナウイルスワクチン接種会場として活用いただく取り組みを推進しています。イオンモール広島府中(広島県)、イオンモール春日部(埼玉県)、イオンモール旭川駅前(北海道)など、全国で約30のモールが新型コロナウイルスワクチン接種会場として使用され、約49万人の方々にワクチン接種が実施されました。当社モールを最大限活用していただくことで、地域の皆さまの安全・安心で快適な暮らしの実現に努めていきます。海外においても、ベトナムのイオンモール ビンズオンキャナリー(ビンズオン省)では、モール内に大規模接種会場を提供し、市内の工場や商業施設で働く約3,300人を対象に、1日約650回のワクチン接種が実施されました。インドネシアでは政府との連携のもと、イオンモール ジャカルタガーデンシティ(東ジャカルタ市)にワクチンセンターを設置し、約1,400人を対象にワクチン接種が実施されました。地域コミュニティにおける感染拡大を防ぐため、今後も地域の皆さまの安全・安心の確保に積極的に協力していきます。

また、イオングループでは、地域全体の接種率を引き上げるため、全国のグループ従業員に対して新型コロナウイルスワクチンの職域接種を推進しており、イオンモール幕張新都心(千葉県)、イオンレイクタウン(埼玉県)等の当社モールが接種会場として使用されています。当社では接種対象枠を当社従業員だけでなく、専門店従業員の方々にも拡大することで、安心して働ける職場環境づくりに努めています。

 

・産学連携協力の取り組み

新型コロナウイルス感染症の影響により、学生にとって学問や文化活動の発表の場が制限されている中、当社モールを活動発表の場として活用していただく取り組みを推進しています。

イオンモールNagoya Noritake Gardenでは、4月に学校法人三幸学園との間で「産学連携協力に関する連携覚書」を締結しました。この覚書に基づき、11月27日から12月25日にかけて、名古屋こども専門学校や名古屋ビューティーアート専門学校等の生徒たちと一緒に、クリスマスツリー装飾を制作するワークショップやメイク体験、エクササイズ体験等、「私らしいクリスマス、見つけよう」と題したイベントを実施しました。

6月には国立大学法人東北大学災害科学国際研究所、公益財団法人イオン環境財団、当社との三者間で「産学連携協力」に関する協定を締結しました。三者は、安全・安心なレジリエント・コミュニティの創生をめざし、「イオン防災環境都市推進研究部門」を東北大学災害科学国際研究所内に立ち上げ、「防災・減災」「杜のデザイン」「感染症対策」の3項目を中心に、地域の皆さまにも参画いただくワークショップ等の実施を計画しています。特に、当社が東北大学雨宮キャンパス跡地に計画する施設づくりにおいて、地域の防災拠点として、地域の皆さまが安心して利用できるよう専門的な視点から検証・実施を進めていきます。

イオンモール白山では、「かがやき、あつまるプロジェクト」として、エリアに所在する学校との産学連携を推進しており、これまでに学校法人国際ビジネス学院、学校法人金城学園、石川県立翠星高校との間で「産学連携協力」に関する覚書を締結しました。モールが学校側に発表場所を提供し、学校側は研究発表やイベントに活用する等、各校との連携を深めて、継続的に地域の活性化と発展に貢献していきます。

 

(注)同認証は、来訪者や従業員などの健康と安全に配慮し、施設を管理・運営していることを第三者検証機関により審査するグローバル基準の評価です。

 

(コーポレート・ガバナンスの強化)

・経営戦略諮問委員会の設置

当社では、経営戦略や経営計画、事業推進における重要事項の審議については、代表取締役社長の諮問機関である経営会議に社外取締役も任意で参加して検討する機会を設けるとともに、社外取締役、監査役全員への取締役会議案の事前説明における議論を経て、取締役会で建設的な議論となるように進めています。

さらに2021年5月には、代表取締役社長の諮問に応じて、重要な政策・経営課題から事前にテーマを設定し、その考え方や取り組みの方向性、具体的計画や進捗状況についての議論、意見交換を行い、社長に助言または答申することを目的として、経営戦略諮問委員会を新たに設置しました。独立社外役員の知見を政策実現や経営課題解決に活かすとともに、戦略や取り組みの方向性、あるいは基準やルールの妥当性や合理性などの議論を重視した体制・運用を行っております。

 

・ガバナンス委員会の設置

2021年11月に、利益相反取引の監督を目的とし、独立社外取締役5名により構成するガバナンス委員会を新たに設置しました。支配株主と少数株主との利益が相反する重要な取引・行為については、同委員会で審議・検討を行い、当社の企業価値向上の観点から当該取引の公正性及び合理性が確保されていることを検証したうえで、取締役会での審議を経て承認を得ることとし、取引の重要性に応じて適切に監督しています。さらに、当社のガバナンス機能強化に向けては、取締役会の実効性評価の向上に向けた議論や、取締役会への議案上程基準の見直し等についても検討を進めていきます。

 

(サステナビリティファイナンスの取り組み)

当社は、社会課題の解決と環境配慮を目的として、2020年9月にサステナビリティボンド発行により300億円の資金調達を行い、新型コロナウイルス感染症対策や東日本大震災復興支援等に充当しておりますが、2021年11月に当社初となるサステナビリティ・リンク・ボンド(以下、「本社債」という。)(注1)を200億円発行しました。本社債は、脱炭素社会の実現に向けたサステナビリティファイナンスへの取り組みとして、あらかじめ定めたサステナビリティ目標を達成するか否かで変化する条件での発行としており、2022年4月にも個人投資家向けサステナビリティ・リンク・ボンドを400億円発行しました。今後もESGの取り組みをさらに拡充していくことで、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

 

名称

イオンモール株式会社第 28 回無担保社債

(社債間限定同順位特約付)

(サステナビリティ・リンク・ボンド)

イオンモール株式会社第 30回無担保社債

(社債間限定同順位特約付)

(サステナビリティ・リンク・ボンド)

発行年限

5年

5年

発行額

200億円

400億円

利率

0.160%

0.490%

条件決定日

2021年11月19日(金)

2022年4月15日(金)

発行日

2021年11月26日(金)

2022年4月28日(木)

償還日

2026年11月26日(木)

2027年4月28日(水)

取得格付

A-(株式会社格付投資情報センター)

A-(株式会社格付投資情報センター)

SPT(注2)

2025年度末における国内の全イオンモールで使用する電力のCO2フリー化

2025年度末における国内の全イオンモールで使用する電力のCO2フリー化

判定後の債券特性

2025年度末の判定時にSPTの未達が確認された場合、2026年10月末までに本社債発行額の0.2%相当額の公益財団法人(イオン環境財団等(注3))への寄付を実施する。

2025年度末の判定時にSPTの未達が確認された場合、2026年10月末までに本社債発行額の0.2%相当額の公益財団法人(イオン環境財団等(注3))への寄付を実施する。

主幹事

みずほ証券株式会社(事務)、

大和証券株式会社、野村證券株式会社

みずほ証券株式会社(事務)、

大和証券株式会社、野村證券株式会社

Sustainability-Linked Bond Structuring Agent(注4)

みずほ証券株式会社

みずほ証券株式会社

外部評価

本社債について、株式会社格付投資情報センター(R&I)より、国際資本市場協会(ICMA)の「サステナビリティ・リンク・ボンド原則」との適合性に対する外部評価(セカンドオピニオン)を取得しました。

本社債について、株式会社格付投資情報センター(R&I)より、国際資本市場協会(ICMA)の「サステナビリティ・リンク・ボンド原則」との適合性に対する外部評価(セカンドオピニオン)を取得しました。

(注)1.あらかじめ定められたサステナビリティ目標を達成するか否かによって条件が変化する債券のことを指す。調達資金が必ずしも特定の資金使途に限定される必要はなく、発行体があらかじめ定めた重要な評価指標(KPI)とSPTによって評価される。KPIに関して達成すべき目標数値としてSPTが設定され、KPIがSPTを達成したかどうかによって、債券の条件が変化することで、発行体にSPT達成に向けた動機付けを与える債券。

2.サステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット。サステナビリティ・リンク・ボンドの発行条件を決定する発行体の経営戦略に基づく目標。

3.公益財団法人イオン環境財団(https://www.aeon.info/ef/)は、助成・支援、植樹、顕彰、環境教育を柱とした公益事業を営む。イオンの基本理念「お客さまを原点に平和を追求し、人間を尊重し、地域社会に貢献する」のもと、岡田卓也氏(イオン株式会社名誉会長相談役・公益財団法人イオン環境財団理事長)他2名からの寄付を基本財産として1990年12月設立。1991年に特定公益増進法人の認可を受けた後、2009年に公益財団法人に移行。

4.サステナビリティ・リンク・ボンドの商品設計およびセカンドオピニオン等外部の第三者評価取得に関する助言等を通じて、サステナビリティファイナンスの実行支援を行う者。

 

(2)財政状態の状況

(資産)

総資産は、前連結会計年度末と比較して690億5千7百万円増加し、1兆4,632億5千6百万円となりました。これは、現金及び預金が442億9千3百万円減少した一方で、減価償却費637億3千5百万円を上回る新店の開業や既存店の活性化、将来用地の先行取得等により1,182億5千3百万円の投資を行ったことで有形固定資産が911億4千4百万円増加したこと、また、為替換算の影響による増加も大きく生じたこと等によるものです。

 

(負債)

負債は、前連結会計年度末と比較して296億1千2百万円増加し、1兆363億2千5百万円となりました。これは、社債(「1年内償還予定の社債」を含む。)が350億円、リース債務(流動負債の「リース債務」を含む。)が105億6千万円、長期預り保証金が84億2千万円、長期借入金(「1年内返済予定の長期借入金」を含む。)が23億7千3百万円増加した一方で、専門店預り金が214億9千1百万円、設備に関する未払金等が53億1千3百万円減少したこと等によるものです。

 

(純資産)

純資産は、前連結会計年度末と比較して394億4千4百万円増加し、4,269億3千1百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益192億7千8百万円の計上や配当金102億3千9百万円の支払等により利益剰余金が90億3千9百万円増加、為替換算調整勘定が300億2千7百万円増加したこと等によるものです。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して411億6百万円減少し、829億7千3百万円となりました。

キャッシュ・フローの状況等については、次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果増加した資金は、614億9千2百万円(前連結会計年度616億2千1百万円)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益が261億4千9百万円(同42億6千8百万円)、減価償却費が637億3千5百万円(同585億8千6百万円)となる一方で、専門店預り金の減少額が221億2千2百万円(同51億8千4百万円)、法人税等の支払額が114億3百万円(同115億2千8百万円)となったこと等によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果減少した資金は、1,223億8千2百万円(同644億4千4百万円)となりました。主な要因は、前連結会計年度に増床を実施したイオンモール高知(高知県)や、同年度にてオープンしたイオンモール上尾(埼玉県)等の設備代金の支払、イオンモールセントゥールシティの資産の取得、当連結会計年度における開発用地先行取得等により有形固定資産の取得による支出が1,178億6千4百万円(同575億3千5百万円)生じたこと等によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果増加した資金は、82億2千5百万円(同122億4千4百万円)となりました。主な要因は、社債の発行による収入が650億円(同600億円)、長期借入れによる収入が340億2千6百万円(同237億3千4百万円)となる一方で、長期借入金の返済による支出が336億4千4百万円(同357億7千4百万円)、社債の償還による支出が300億円(同150億円)、リース債務の返済による支出が163億8千4百万円(同117億2千7百万円)、配当金の支払額が102億3千9百万円(同91億円)となったこと等によるものです。

 

なお、当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、営業活動によるキャッシュ・フローにより獲得した資金及び金融機関からの借入れ、社債の発行等により調達した資金を、運転資金、設備投資資金、並びに配当金の支払等に充当しております。

 

(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

2021年2月期

2022年2月期

自己資本比率(%)

27.1

28.5

時価ベースの自己資本比率(%)

29.2

25.1

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

11.5

12.3

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

6.3

5.7

(注)自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

※1.いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。

2.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、短期借入金、1年内返済予定の長期借入金、1年内償還予定の社債、リース債務(流動負債)、社債、長期借入金及びリース債務(固定負債)を対象としています。

3.キャッシュ・フロー及び利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書に計上されている「営業活動によるキャッシュ・フロー」及び「利息の支払額」を用いています。

 

(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

(5)目標とする経営指標の状況

当社では、将来にわたるキャッシュ・フローの最大化および企業価値向上を目的として、EPS成長率7%(2019年度~2025年度までの年率成長率)、純有利子負債EBITDA倍率4.5倍以内、投下資本利益率(ROIC)5%以上を目標とする経営指標(2025年度目標)としています。

2022年2月期の各種指標の実績は、以下の通りです。

経営指標

目標値(2025年度時点)

実績(2022年2月期)

EPS成長率

7%

△25.0%

純有利子負債EBITDA倍率

4.5倍以内

6.6倍

投下資本利益率(ROIC)

5%以上

2.4%

(注)EPS:親会社株主に帰属する当期純利益/期中平均株式数

   純有利子負債EBITDA倍率:(有利子負債-現金及び現金同等物の期末残高)/(営業利益+キャッ

                   シュ・フロー計算書上の減価償却費)

   投下資本利益率:営業利益×(1-実効税率)/(期首・期末平均自己資本+期首・期末平均有利子負債)

 

(6)生産、受注及び販売の実績

①生産実績、受注実績

生産及び受注の状況については、当社グループは生産を行っておらず、また受注の形態を取っていないため該当事項はありません。

②販売実績

当連結会計年度における営業収益実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

営業収益(百万円)

前年同期比(%)

日本

261,214

110.2

中国

43,139

137.6

アセアン

12,459

101.8

合計

316,813

112.9

 

(注)1.主な相手先別の営業収益実績及び当該営業収益実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

イオンリテール㈱

32,734

11.7

32,653

10.3

2.金額には、消費税等は含まれておりません。

 

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