業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、ワクチン接種の普及と感染対策が進み、経済活動に回復の兆しが見られるものの、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。

しかしながら、当社グループは、主に地方都市及び都市郊外で営業活動を行っているため、人口の多い都市部を中心に講じられている新型コロナウイルス感染防止対策の影響は、都市部に比べて限定的であります。

当社グループは、中低所得者層を主な顧客層として「新築」「中古」「賃貸」に代わる「第四の選択肢」を提供することを目指し、商品化が難しい築古の戸建物件を取扱い、そのままでは住むことが出来ない状態の物件にリフォームで価値を足して販売しております。

販売面においては、賃貸住宅にお住まいのファミリー層を中心に「低価格で高品質の住宅に住みたい」というニーズは底堅く、お客様からの問い合わせ数は前連結会計年度比で増加しております。お客様からの物件への引き合いが多いため商談時の値引きや価格の見直しによる値下げが抑制され、また、オプション販売等の施策により販売単価が上昇し、売上高は前連結会計年度比で増加しております。一方、前連結会計年度の仕入遅延による販売用不動産及び仕掛販売用不動産の不足から、販売活動よりも仕入活動に注力した運営を行ったことにより販売件数は前連結会計年度比で減少しております。

仕入面においては、買取査定時に第三者と接触することを避けようとしていた売主の心理に改善傾向が見られ、買取査定依頼件数は回復し、引き続き、仕入活動に注力した結果、仕入件数は前連結会計年度比で増加いたしました。仕入件数の増加により、販売用不動産及び仕掛販売用不動産についても前連結会計年度末に比して増加いたしました。

利益面においては、リフォーム中契約の増加や上述の値引きや値下げの抑制により、売上総利益率は前連結会計年度比1.6ポイント向上いたしました。販売費及び一般管理費は、社員のモチベーション向上を図るために決算特別賞与269百万円の支給により人件費が増加いたしました。また、仕入拡大を目的としたWEB広告を中心に行い広告宣伝費が増加しております。これらは今後の安定成長に向けた施策によるものであります。並びに、営業外費用にはシンジケートローンの無担保化の実現のためにリファイナンスを行い、その一時費用として223百万円が計上されております。費用については、継続的にコスト意識を高く持ち運営を行っております。

なお、2022年4月28日に公表しました「関東信越国税局からの税務調査に関わる特別損失計上のお知らせ」に記載したとおり、当連結会計年度において、消費税等差額として特別損失に2,385百万円計上し、一方で法人税等還付額を646百万円計上しております。

 

(財政状態)

当連結会計年度の資産合計は、62,644百万円となり、前連結会計年度末の55,520百万円から7,123百万円増加、負債合計は、29,891百万円となり、前連結会計年度末の27,277百万円から2,614百万円増加、純資産合計は、32,752百万円となり、前連結会計年度末の28,243百万円から4,509百万円増加となりました。

(経営成績)

当連結会計年度の業績については、販売件数は6,120件(前連結会計年度比0.6%減)、売上高は101,269百万円(前連結会計年度比3.6%増)、営業利益は13,127百万円(前連結会計年度比15.7%増)、経常利益は12,697百万円(前連結会計年度比14.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は6,845百万円(前連結会計年度比8.0%減)となりました。また、調整後親会社株主に帰属する当期純利益(P.24(参考情報)をご覧ください。)は8,584百万円(前連結会計年度比15.0%増)となりました。

 なお、当社グループは中古住宅再生事業を単一の報告セグメントとしており、その他の事業については量的重要性が乏しいため、記載を省略しております。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて5,700百万円減少して13,409百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の営業活動の結果使用した資金は2,490百万円(前連結会計年度は14,724百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益を10,311百万円計上し、仕入債務の増加額718百万円及び未払消費税等の増加額が2,361百万円あった一方、棚卸資産の増加額が11,432百万円及び法人税等の支払額が4,225百万円あったことによります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の投資活動の結果使用した資金は20百万円(前連結会計年度比6.6%減)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が12百万円あったことによります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の財務活動の結果使用した資金は3,189百万円(前連結会計年度比32.6%減)となりました。これは主に、シンジケートローンのリファイナンスによる長期借入による収入18,500百万円があった一方、長期借入金の返済による支出が19,250百万円及び配当金の支払額が2,466百万円あったことによります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

b.仕入実績

 当連結会計年度の仕入実績は、次のとおりであります。

 当社グループは中古住宅再生事業を単一の報告セグメントとしていることから、買取仕入と競売仕入の仕入方法別に記載を行っております。

セグメントの名称

仕入方法

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

仕入件数(件)

仕入高(百万円)

中古住宅再生事業

買取仕入

6,711

53,231

131.7

競売仕入

144

1,705

99.2

小計

6,855

54,937

130.3

その他

合計

6,855

54,937

130.3

(注)1.上記金額には、外注加工費は含まれておりません。

2.前年同期比は、仕入高の金額で比較を行っております。

 

c.受注実績

 当社グループは受注活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

d.販売実績

 当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。

 当社グループは中古住宅再生事業を単一の報告セグメントとしていることから、地域別の販売実績に分けて記載を行っております。

地域別

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

販売件数(件)

販売高(百万円)

東京圏

754

16,290

100.7

名古屋圏

607

10,560

99.4

大阪圏

356

6,319

101.5

北海道

410

6,129

115.9

東北

805

12,161

106.6

関東

550

7,886

107.7

中部

862

13,300

110.8

関西

99

1,703

96.4

中国

541

8,377

102.5

四国

324

5,023

106.5

九州

812

12,961

95.8

その他

553

112.6

合計

6,120

101,269

103.6

 (注)1.総販売実績に対する割合が10%以上の相手先はありません。

2.上記は、総務省で定める地域区分の三大都市圏、都道府県毎に集計を行っており、当社グループの店舗別販売実績とは異なります。

3.前年同期比は、販売高の金額で比較を行っております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、次のとおりであります。

 

(経営成績)

a.売上高、売上原価及び売上総利益

 当連結会計年度の売上高は、101,269百万円となり、前連結会計年度の97,735百万円から3,533百万円の増加(前連結会計年度比3.6%増)となりました。その主な要因は、お客様からの物件への引き合いが多いため商談時の値引きや価格の見直しによる値下げが抑制され、また、オプション販売等の施策により販売単価が上昇したことによります。

 当連結会計年度の売上原価は、76,621百万円となり、前連結会計年度の75,545百万円から1,075百万円の増加(前連結会計年度比1.4%増)となりました。その主な要因は、耐震性能を向上させるリフォーム工事の実施をはじめとした商品力の向上施策を行ったことによりリフォーム工事に掛かる原価は上昇したものの、商品力向上により足した価値を売価に反映したこと及び上述の通り値引き値下げを抑制した結果、売上高の増加に比して売上原価の増加を抑制しております。

 以上の結果により、当連結会計年度の売上総利益は、24,647百万円(前連結会計年度比11.1%増)となりました。

 

b.販売費及び一般管理費、営業利益

 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、11,519百万円となり、前連結会計年度の10,845百万円から673百万円の増加(前連結会計年度比6.2%増)となりました。その主な要因は、給料手当及び賞与が286百万円、賞与引当金繰入額が60百万円、仕入拡大を目的としたWEB広告を中心に行い広告宣伝費が95百万円、並びに販売に伴う仲介手数料が32百万円増加したことによるものであります。

 以上の結果により、当連結会計年度の営業利益は、13,127百万円(前連結会計年度比15.7%増)となりました。

 

c.営業外損益、経常利益

 当連結会計年度の営業外収益は、受取手数料6百万円、受取保険金15百万円及び受取割引料4百万円等の計上により、40百万円となりました。また、当連結会計年度の営業外費用は、支払利息173百万円及びシンジケートローン手数料278百万円等の計上により、470百万円となりました。

 以上の結果により、当連結会計年度の経常利益は、12,697百万円(前連結会計年度比14.1%増)となりました。

 

d.特別損益、税金等調整前当期純利益

 当連結会計年度の特別損失は、消費税等差額2,385百万円の計上により、2,385百万円となりました。

 以上の結果により、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、10,311百万円(前連結会計年度比6.9%減)となりました。

 

e.親会社株主に帰属する当期純利益

 当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、6,845百万円(前連結会計年度比8.0%減)となりました。

 

(財政状態)

a.流動資産

 当連結会計年度末における流動資産は、60,773百万円となり、前連結会計年度末の53,467百万円から7,306百万円の増加となりました。これは主に、販売用不動産及び仕掛販売用不動産が11,432百万円、未収還付法人税等が657百万円それぞれ増加した一方、現金及び預金が5,700百万円減少したことによります。

 

b.固定資産

 当連結会計年度末における固定資産は、1,870百万円となり、前連結会計年度末の2,053百万円から182百万円の減少となりました。これは主に、のれんが198百万円減少したことによります。

 

c.流動負債

 当連結会計年度末における流動負債は、11,252百万円となり、前連結会計年度末の8,615百万円から2,637百万円の減少となりました。これは主に、買掛金が718百万円、未払消費税等が2,361百万円それぞれ増加した一方、1年内返済予定の長期借入金が730百万円、未払法人税等が111百万円それぞれ減少したことによります。

 

d.固定負債

 当連結会計年度末における固定負債は、18,639百万円となり、前連結会計年度末の18,662百万円から23百万円の減少となりました。これは主に、シンジケートローンのリファイナンスの結果、長期借入金が20百万円減少したことによります。

 

e.純資産

 当連結会計年度末における純資産は、32,752百万円となり、前連結会計年度末の28,243百万円から4,509百万円の増加となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益を6,845百万円計上した一方、剰余金の配当2,467百万円を行ったことによります。この結果、自己資本比率は52.0%となりました。

 

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。

 

(経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況)

 当連結会計年度の事業計画に対する達成状況は以下のとおりであります。

 売上高は、計画比2,353百万円減(達成率97.7%)となりました。当連結会計年度の開始時点の当初計画においては、前連結会計年度に新型コロナウイルス感染拡大の影響で買取仕入が遅延したことにより、販売用不動産及び仕掛販売用不動産等が不足した状態で当連結会計年度が開始し、当該状況を踏まえて当初計画を立案しておりました。当連結会計年度においても賃貸住宅にお住まいのファミリー層を中心に「低価格で高品質の住宅に住みたい」というニーズは底堅く、お客様からの問い合わせ数は堅調に推移しましたが、当初想定よりも販売用不動産及び仕掛販売用不動産等の在庫不足の状況が続いた結果、当初計画は未達成となりました。

 一方、営業利益は、不動産住宅市場における戸建住宅の供給が少ない中で、お客様からの需要が強かったため販売価格の見直しによる値下げや商談時の値引きが抑制されたことに加えて、耐震性を向上させるリフォーム工事の実施をはじめとした商品力の向上施策、オプション販売施策及び原価低減により1件あたりの売上総利益額が増加した結果、計画比618百万円(達成率104.9%)となり計画を達成いたしました。

 

指標

2022年3月期

計画

実績

計画比(達成率(%))

売上高

103,622百万円

101,269百万円

△2,353百万円( 97.7%)

営業利益

12,509百万円

13,127百万円

618百万円(104.9%)

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容)

 キャッシュ・フローについては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

(資本の財源及び資金の流動性)

 当社グループの運転資金につきましては、内部資金または借入により資金調達しております。このうち、借入による資金調達は、限度額4,000百万円のコミットメントラインを含む総額22,500百万円のシンジケートローンを組成して調達しております。

 当連結会計年度末における長期借入金の残高は18,500百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は13,409百万円となっております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

 

(参考情報)

 当社グループは、経営成績の推移を把握するために、以下の算式により算出された調整後親会社株主に帰属する当期純利益及び調整後1株当たり当期純利益を重要な経営指標として位置づけており、各指標の推移は以下のとおりであります。

 

調整後親会社株主に帰属する当期純利益及び調整後1株当たり当期純利益

(単位:百万円)

 

 

2021年3月期

2022年3月期

親会社株主に帰属する当期純利益

7,440

6,845

(調整額)

 

 

 

 アドバイザリー費用(注1)

 

3

 消費税等差額(注2)

 

48

2,385

 法人税等還付税額

 

△646

 法人税等調整額

 

△28

調整額合計

23

1,739

調整後親会社株主に帰属する当期純利益

(③=①+②)(注4)(注5)

7,464

8,584

 対売上高比率

 

7.6%

8.5%

 調整後1株当たり当期純利益(円)

(注3)

 

97.16

111.25

 

(注)1.関東信越国税局の税務調査立会等に係るアドバイザリー費用

2.関東信越国税局からの税務調査により更正決定された金額等

3.調整後1株当たり当期純利益=調整後親会社株主に帰属する当期純利益÷期中平均株式数

4.調整後親会社株主に帰属する当期純利益は、当社グループが投資家にとって当社グループの業績を評価するために有用であると考える財務指標であります。当該財務指標は、非経常的損益項目(通常の営業活動の結果を示していると考えられない項目、あるいは競合他社に対する当社グループの業績を適切に示さない項目)の影響を除外しております。

5.調整後親会社株主に帰属する当期純利益は、当期純利益に影響を及ぼす項目の一部を除外しており、分析手段としては重要な制限があることから、同業他社の同指標あるいは類似の指標とは算定方法が異なるために、他社における指標とは比較可能でない場合があり、その結果、有用性が減少する可能性があります。

 

 

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