課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

① 基本的な考え方

当社は「三つの豊かさの追求」という経営理念を掲げております。具体的には、「経済的な豊かさ」「身体的な豊かさ」、そして「心の豊かさ」を追求することであります。

私たちは、一人の人間として人生の目標を会社の経営理念とすることで、会社のベクトルとそこで働く役員・従業員のベクトルが乖離することがなくなると考えております。そして、この経営理念は、当社の役員・従業員のみならず顧客、株主の皆さま、そして多くのステークホルダーの皆さまにも追求していただけるとともに、当社のビジネスモデルや経営戦略をも深くご理解いただけるものと考えております。また、上記に掲げた理念の追求及びその結果としての利益の追求、つまり「理と利」の追求が、株主価値を高めるものであると考えております。

この経営理念のもと、当社は「成長し続ける真のパブリックカンパニー」をビジョンとして掲げ、邁進してまいります。そして、次世代へとつながるゴーイング・コンサーン企業となるべく、不動産の再活事業を通じて雇用、生産、納税の三大使命を果たしてまいる所存です。

② 理念経営

当社は、経営の健全性、迅速な意思決定、ならびに経営の執行・監督体制を維持・充実することによる株主価値の向上が経営の重要課題であると考えております。不公正・非効率な経営は、株主価値を損なうのみならず、会社の成長にとって致命的な妨げになります。

当社が掲げる「理念経営」は、「三つのS」(注)をキーワードとし、これは企業活動の根幹をなすものであると考えております。

そのためには、取締役及び執行役員をはじめとする経営者及び管理職が率先して、志と自己規律を高めて法令遵守・順法精神の向上に努め、さらに徹底した対話を重ね経営戦略の共有化を図っていくことで、株主価値を高めてまいります。

「三つの豊かさの追求」という一人の人間としての人生の目標に遡り、それを「三つのS」として理念経営に昇華することで、社会的に存在意義のある企業を目指してまいります。

(注) 「三つのS」

① CS…Customer's Satisfaction(顧客満足)

② ES…Employee's Satisfaction(従業員満足)

③ SS…Shareholder's Satisfaction(株主満足)

③ 経営環境

当社が手掛けております不動産再活事業のなかでも不動産の権利調整ビジネスにつきましては、耐震性が不足している旧耐震基準のビル等が多く存在しております。また、年月の経過とともに建築年数も長くなり、建て替え需要も増加し、権利調整ビジネスについては潜在的な市場は増加していくものと考えております。

一方、わが国経済は新型コロナウイルス感染症の影響を受け停滞が長期化しております。今後、ワクチン接種の普及や大規模な経済政策、金融緩和政策などにより回復が期待されるものの、経済情勢は新型コロナウイルス感染症の影響により依然として不透明な状況と言えます。

ただ、当社の2022年7月期における新型コロナウイルス感染症による影響は軽微でありました。売上高は増収になり、利益率のよい販売用不動産の売却があり、経常利益は増益となりました。

 

(2)目標とする経営指標

① 売上高営業利益率及び売上高経常利益率

当社は、経営理念の一つである「経済的な豊かさ」を追求するために、売上高営業利益率及び売上高経常利益率を経営の重要な指標と位置づけております。具体的には、本業である販売用不動産の売却を促進し、売上高営業利益率15%を目指しております。2022年7月期の売上高営業利益率は14.1%であります。

売上高営業利益率を重要な経営指標の基本としつつ、最終的には、株主の皆さまに対する配当還元の原資であり、また従業員に対する豊かさの実現の原資であり、そして何よりも会社が継続して成長していくための根幹である売上高経常利益率の向上を重視してまいります。2022年7月期の売上高経常利益率は12.8%であります。

② ROE(自己資本当期純利益率)

高収益事業に特化し、資本効率をあげることによりROEを重視し、投資者にとって投資魅力のある会社を目指します。2022年7月期におけるROEは35.3%となり、引き続きROEの向上に努めてまいります。

③ 借入金利

金融機関からの借入コストを3%以下へ低減するよう努力するとともにコミットメントライン、SPC等を活用した多様な資金調達を実施してまいります。2022年7月期の当社の各金融機関からの借入金の平均金利は、2.7%であります。当社は引き続き借入金利の低減に努めてまいります。

④ 自己資本比率

財務基盤の強化を行い、自己資本比率30%維持を目指します。2022年7月期は53.5%であり、目標の30%を上回っております。当社では、主には業績の拡大等により引き続き自己資本比率の向上に努めてまいります。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

当社は2022年6月に2027年7月期を最終年度とする中期5ヵ年経営計画を策定しました。当社の過去を振り返りますと、2018年7月期から2019年7月期にかけて100億円規模の大型物件を取り扱うことにより在庫回転率が悪化し、売却予定物件の期ズレ等が発生し赤字に転落しました。その反省を踏まえ、2020年7月期からは中小型物件を中心とした不動産再活ビジネスへ原点回帰することで業績の回復を図り、黒字転換いたしました。以来3期連続で黒字化を達成しております。

中期5ヵ年経営計画では、「日本の建物を再活し、社会に貢献する」、「土地を生み出し、場を創造する」という社会貢献を通じた事業展開により、成長と安定の両立を図ってまいります。この事業展開方針をもとに次の4点を重点目標としております。

① 純資産を積上げ、取引金融機関の増加を目指す

2027年7月期の純資産を約170億円に増加させることを目標としております。そのうえで当社の信用力を高め、取引金融機関を増やし、事業を拡大してまいります。

② 自己資本比率30%~40%を継続的に維持

健全な財務体質を確保してまいります。

③ ストックビジネスの拡充で、収益の安定性を高める

不動産売買事業に加え、収益不動産事業の拡充で収益の2本柱としてまいります。

④ 成長と安定をベースにプライム市場へ

中長期的な企業価値の向上、積極的な不動産投資による事業拡大及び継続的な株主還元施策により流通株式時価総額の向上を図り、東京証券取引所プライム市場への上場を目指します。

 

(4)会社の対処すべき課題

 上記(3)中長期的な会社の経営戦略に記載の経営戦略を会社の対処すべき課題と捉え、経営に邁進してまいります。

 

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