業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 なお、当連結会計年度の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 令和2年3月31日)等を適用しており、当連結会計年度の経営成績及び財政状態に関する説明における前連結会計年度との比較分析については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で行っております。

 ①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度の我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大によって2度にわたる緊急事態宣言が発出されるなど厳しい状況が続きました。国内景気は、令和3年10-12月期の実質GDPが2四半期ぶりのプラス成長となるなど、景気の持ち直しも期待される状況となりましたが、本年2月からのロシアによるウクライナ侵攻を受けて、各国のロシアに対する経済制裁の影響が懸念されることとなり、先行き不透明な状況が続きました。

住宅業界においては、コロナ禍における生活様式の変化を背景とする住宅取得意欲の高まりや住宅取得支援策、低金利の継続等により、新設住宅着工戸数は感染症拡大前の水準に向けて、緩やかな持ち直し基調が続きました。

このような状況の中、当社グループにおいては昨年8月公表の第三次中期経営計画(令和4年3月期~令和6年3月期)において、「新築住宅販売事業の持続的な成長に向けた事業基盤の強化と事業エリアの拡大」、「住宅ストック事業の規模拡大、新築住宅販売事業との相乗効果の最大化」及び「サステナビリティ(ESG)課題への対応強化」との基本方針を掲げ、さらなる企業価値の向上と事業の拡大に取り組んでまいりました。

コア事業の新築住宅販売では、創業30周年記念キャンペーンなどの販売促進策を実施し、本年2月には累計販売棟数が2万棟を超えることとなりました。重点エリアの埼玉県エリアにおいては、埼玉支社の新社屋(さいたま市緑区)が竣工となり、生産販売体制の基盤強化に取り組みました。また、ふじみ野支店(富士見市)において東京都内では初めてとなる練馬区西大泉での分譲を開始しました。神奈川県エリアでは株式会社プラザハウスにおいて、当社ブランドの下で事業拡大を加速すべく商号変更を実施しました。

一方、住宅ストック事業の中古住宅販売では、販売棟数の拡大に向けて、仲介業者との連携の強化や、積極的に競売物件の入札に参加するなど、商品在庫の充実に努めてまいりました。

以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高、利益とも過去最高となり、売上高は548億84百万円(前期比16.4%増)、営業利益は40億22百万円(前期比74.9%増)、経常利益は38億10百万円(前期比81.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は25億83百万円(前期比49.8%増)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

不動産販売

新築住宅販売では、引き続きお客様と社員の安心と安全を第一に、感染防止対策の徹底や非接触型の営業活動に注力するとともに、事業エリアの拡大と既存エリアの深耕に取り組みました。この間、本年2月に当社グループの新築住宅の累計販売棟数は2万棟を達成しました。

事業拡大の重点エリアである埼玉県と神奈川県の状況は次のとおりです。

埼玉県においては、昨年10月にショールーム機能を併設する埼玉支社の新社屋(さいたま市緑区)が竣工し、4月に開設したふじみ野支店(富士見市)と合わせ、県中央から西部エリアにおける生産・販売体制の強化を図ってまいりました。12月には、ふじみ野支店の所管で、東京都内では初めての分譲プロジェクトとなる練馬区西大泉(全21区画予定)の第1期販売「~桜~大泉学園」(全4区画)の分譲を開始したことで、関東全都県での販売がスタートしました。

また、神奈川県においては、M&Aにより子会社化(令和元年7月)した株式会社プラザハウスにおいて、事業拡大に向けた人材の増強と自社施工物件の生産・販売体制の強化を進めたほか、PMI(M&A後の統合)の最終段階として、当社のグループ企業であることを明確化しブランド力の向上と業容の拡大を加速すべく、本年3月、「神奈川グランディハウス株式会社」への商号変更を実施しました。

商品面では、コロナ禍による住環境に求めるニーズの変化に対し、新生活様式に対応した商品の開発や子育て世代に配慮した付加価値の高い商品づくりに努めてまいりました。また、サステナビリティへの意識の高まりに対して、全棟ZEH採用の大型分譲地「ソラタウンつくば松代」(全96区画 茨城県つくば市)等の販売を開始するなどの取り組みを行ってまいりました。本年2月に公表された「2022年オリコン顧客満足度調査建売住宅ビルダー北関東部門」において、「住宅構造・設計」「住宅設備」「デザイン」などの全調査項目で1位となり、3年連続で総合1位を獲得しました。

これらの取り組みにより、当連結会計年度の販売棟数は、過去最高の1,510棟(前期比124棟増)となりました。

中古住宅販売では、コロナ禍において中古住宅への需要は高く販売価格は上昇傾向で推移しました。一方で、仕入面では競合が激化しており、この中で仲介業者との連携の強化や、積極的に競売物件の入札に参加するなど、商品在庫の充実に努めてまいりました。これらの取り組みにより、当連結会計年度の販売棟数は、148棟(前期比11棟増)となりました。

 以上の結果、当連結会計年度における不動産販売の売上高は510億24百万円(前期比15.3%増)、セグメント利益は32億72百万円(前期比88.7%増)となりました。

 

 

建築材料販売

建築材料販売では、「ウッドショック」と呼ばれる輸入木材の流通不足と価格高騰が落ち着きつつあるものの、一方で合板など国産材での品不足や最高値の更新など厳しい状況が続く中、令和4年3月期(自令和3年4月至令和4年3月)の新設木造住宅着工戸数は、本年2月を除く各月において前年同月比で増加となるなど好調に推移しました。一方で、原材料の調達においては「ウッドショック」による世界的な木材価格の上昇が落ちつきつつあったところに、2月から始まったロシアによるウクライナ侵攻に対し、各国の経済制裁にロシア材が加わったことで、先行き不透明な状況が続くこととなりました。

このような状況の中で、サプライチェーンの強化による量的確保と、受注価格の適正化に取り組んだことなどにより、前期と比べ増収増益となり、当連結会計年度における建築材料販売の売上高は35億77百万円(前期比35.4%増)、セグメント利益は4億5百万円(前期比80.7%増)となりました。

 

不動産賃貸

不動産賃貸では、主要の宇都宮エリアにおける賃貸オフィス市場は、新規需要や立地改善等の動きで空室が消化される傾向があるものの、立地が劣る物件や設備更新が遅れている物件は空室が長期化するなど二極化が進んでいます。パーキング市場では、新型コロナウイルスの影響が薄らいできているものの、飲食店関連の需要の高いエリアなどは依然として厳しい状況が続いております。

このような状況の中、賃貸資産の増加や既存資産の稼働率向上に取り組んだことで、前期と比べ増収となりましたが、利益は定期修繕の前倒しなどで管理費用が増加したことで減益となりました。当連結会計年度における不動産賃貸の売上高は2億82百万円(前期比6.0%増)、セグメント利益は1億18百万円(前期比23.1%減)となりました。

 

 ②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動、投資活動、及び財務活動により資金が減少したことで、前連結会計年度末に比べ22億65百万円減少し、110億83百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの変動要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動による資金の減少は、4億44百万円(前期は34億81百万円の増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の獲得があったものの、棚卸資産の増加や法人税等の支払があったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動による資金の減少は、4億81百万円(前期は4億10百万円の減少)となりました。これは主に、支店建物の新築や、賃貸用物件の取得等があったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動による資金の減少は、13億39百万円(前期は58百万円の減少)となりました。これは主に、株主配当金の支払や、自己株式の取得等があったことによるものです。

 なお、自己株式の取得は、本年2月に当社が「信託型従業員持株インセンティブ・プラン」を導入したことに伴い、当該信託が取得した当社株式を自己株式としております。

 

③生産、受注及び販売の実績

  a. 生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメント

の名称

項 目

当連結会計年度(自 令和3年4月1日 至 令和4年3月31日)

件 数

前年同期比(%)

金額(千円)

前年同期比(%)

不動産販売

戸建住宅

1,502

115.4

45,364,761

122.0

注文住宅

46

115.0

898,948

120.7

土  地

38

131.0

701,685

104.6

小計

1,586

115.8

46,965,396

121.7

建築材料販売

プレカット製品

4,813,828

155.6

合計

1,586

115.8

51,779,224

124.2

 (注)1.金額は販売価額によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2.完成物件のみを記載しております。

3.不動産賃貸については、生産活動を伴わないため記載しておりません。

 

  b. 受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

項 目

当連結会計年度(自 令和3年4月1日 至 令和4年3月31日)

受注高

受注残高

件数

前年同

期比
(%)

金額(千円)

前年同

期比

(%)

件数

前年同

期比
(%)

金額(千円)

前年同

期比

(%)

不動産販売

戸建住宅

1,480

105.7

45,110,367

113.4

128

114.3

4,424,030

123.8

注文住宅

43

102.4

880,198

109.7

17

85.0

300,976

94.1

土  地

29

72.5

701,887

59.2

2

25.0

69,717

25.2

他の不動産

2,434,075

98.6

100,427

76.1

その他

2,259,482

125.0

176,002

126.1

小計

1,552

104.7

51,386,011

111.6

147

105.0

5,071,154

114.2

建築材料販売

建築材料

7,439,461

128.5

599,998

71.8

合計

1,552

104.7

58,825,473

113.5

147

105.0

5,671,152

107.4

 (注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2.不動産賃貸については、受注を行っていないため記載しておりません。

3.不動産販売の他の不動産は、中古住宅等の販売であります。

4.不動産販売のその他は、外構工事等の追加工事等であります。

 

  c. 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメント

の名称

項 目

当連結会計年度(自 令和3年4月1日 至 令和4年3月31日)

件 数

前年同期比(%)

金額(千円)

前年同期比(%)

不動産販売

戸建住宅

1,464

108.8

44,260,549

116.2

注文住宅

46

115.0

898,948

120.7

土  地

35

97.2

909,156

93.3

他の不動産

2,465,545

100.9

その他

2,490,538

125.8

小計

1,545

108.6

51,024,739

115.3

建築材料販売

建築材料

3,577,749

135.4

不動産賃貸

賃貸収入

282,366

106.0

合計

54,884,855

116.4

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.件数欄については、土地は区画数、注文住宅及び戸建住宅は棟数を表示しております。

3.不動産販売の他の不動産は、中古住宅等の販売であります。

4.不動産販売のその他は、外構工事等の追加工事等であります。

 

地域別販売実績

セグメント

地域

項目

令和3年3月期

令和4年3月期

件数

売上高

件数

売上高

金額(千円)

構成比

(%)

金額(千円)

構成比

(%)

不動産

販売

栃木県

戸建住宅

653

17,098,933

38.6

673

17,959,785

35.2

その他

2,050,474

4.6

2,507,339

4.9

小計

653

19,149,407

43.2

673

20,467,124

40.1

茨城県

戸建住宅

364

9,910,357

22.4

351

9,933,811

19.5

その他

1,088,445

2.5

1,230,621

2.4

小計

364

10,998,803

24.9

351

11,164,433

21.9

群馬県

戸建住宅

162

4,258,351

9.6

178

4,710,632

9.2

その他

238,146

0.6

301,175

0.6

小計

162

4,496,497

10.2

178

5,011,808

9.8

千葉県

戸建住宅

108

3,837,907

8.7

138

5,608,806

11.0

その他

420,495

0.9

279,680

0.5

小計

108

4,258,402

9.6

138

5,888,487

11.5

埼玉県

戸建住宅

57

2,310,572

5.2

114

4,556,642

8.9

その他

500,223

1.2

514,467

1.0

小計

57

2,810,796

6.4

114

5,071,110

9.9

神奈川県

戸建住宅

42

1,861,208

4.2

53

2,686,185

5.3

その他

494,526

1.1

390,516

0.8

小計

42

2,355,735

5.3

53

3,076,702

6.1

その他

戸建住宅

3

169,046

0.3

その他

175,265

0.4

176,026

0.4

小計

175,265

0.4

3

345,073

0.7

不動産販売合計

1,386

44,244,908

100.0

1,510

51,024,739

100.0

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

 ①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当連結会計年度の経営成績は、売上高は548億84百万円(前期比16.4%増)となり過去最高を記録しました。不動産販売セグメントでは、首都圏を中心としたエリア拡大戦略が奏功し、新築住宅の販売棟数は1,510棟(前期比124棟増)を記録しました。その結果、不動産販売セグメントの売上高は510億24百万円(前期比15.3%増)となりました。また、建築材料販売セグメントにおいては、輸入木材の流通不足と価格高騰が落ち着きつつある一方で2月にはロシアによるウクライナ侵攻による各国の経済制裁にロシア材が加わったことにより不透明な状況が継続しています。このような経済環境下において、サプライチェーンの強化による量的確保と受注価格の適正化に取り組んだことなどにより、売上高は35億77百万円(前期比35.4%増)となりました。不動産賃貸セグメントの売上高は、賃貸資産の増加から2億82百万円(前期比6.0%増)となりました。

 利益面では、事業拡大の重点エリアである埼玉県、神奈川県をはじめとした販売棟数が伸長し、また、コロナ禍の住環境に求めるニーズの変化に対応した商品企画等により、営業利益は40億22百万円(前期比74.9%増)、経常利益は38億10百万円(前期比81.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は25億83百万円(前期比49.8%増)となり、いずれも過去最高益を更新しました。

 当連結会計年度末の財政状態は、総資産は前連結会計年度末に比べ28億31百万円増加し、609億1百万円となりました。主な要因は、短期借入金の返済等により現金及び預金が減少する一方で、不動産販売事業のエリア拡大に伴う分譲用地の取得等により、棚卸資産が増加したことによるものです。

 負債は、前連結会計年度末に比べ13億31百万円増加し、362億41百万円となりました。コロナ禍において手元流動性を高める目的で借り入れていた資金を返済する一方で、分譲用地の取得が進んだことなどで工事代金の未払等が増加したことによるものです。

 純資産は、前連結会計年度末に比べ14億99百万円増加し、246億60百万円となりました。これは、株主配当金の支払いがあった一方で、親会社株主に帰属する当期純利益の獲得があったことによるものです。

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因及びその対応策については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「第2 事業の状況 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

 ②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載の通りです。

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、販売用不動産の用地取得・造成・建築等の製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用の支払であります。投資資金需要のうち主なものは、事業拠点への設備投資、賃貸用不動産の取得資金であります。

 運転資金については、主に自己資金、金融機関からの短期借入金により調達し、投資資金については、主に社債及び金融機関からの長期借入金により調達しており、当連結会計年度末における有利子負債残高は289億9百万円となっております。また、流動性リスクに備えるために金融機関とは十分な融資枠を設定しております。

 

 ③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 なお、また、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (追加情報)」に記載しております。

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