有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社グループは、これらのリスクを認識した上で、事態の発生の回避に努め、発生した場合には事業への影響を最小限にとどめるべく対策を講じる所存です。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年6月29日)現在において入手可能な情報に基づき、当社グループが判断したものです。
感染症の流行が発生した場合、出控えや渡航制限に伴う移動需要の減少や消費の低迷などにより、運輸業における輸送人員の減少、流通業における来店客数の減少や休業・短縮営業による売上低迷、ホテル業における外国人宿泊客・国内宿泊客の減少のほか、感染対策に伴う事業運営体制への制約など、各事業で多大な影響を受ける可能性があります。当社グループでは、感染症の流行への対策として、当社を中心としたBCP(事業継続計画)に基づき、社会インフラを担う企業グループとして、感染拡大防止と事業活動の継続に取り組むとともに、グループ各社の構造改革を進め、最適な事業運営体制を構築してまいります。
現在、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化しており、テレワークの定着等により鉄道やバスの輸送人員はコロナ禍以前の水準に回復することは想定しづらいと捉えており、このような生活様式の変容は、将来における当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。新型コロナウイルス感染症の影響への対応策については、第2〔事業の状況〕1〔経営方針、経営環境及び対処すべき課題等〕(3)経営環境及び対処すべき課題に記載のとおりです。
② 気候変動・自然災害等
大規模地震の発生のほか、気候変動により発生頻度が高まっている大型台風や集中豪雨等の自然災害が発生した場合、当社グループの事業運営に支障をきたし、営業休止やお客様の減少等により売上が減少するほか、施設等の復旧費用が発生するなど、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、鉄道事業において「自然災害への対応力と危機管理体制の強化」を目指し、安全性向上に向けた取り組みを行っております。気象情報システムによる監視体制の構築や耐震補強工事などの施設改良の推進、災害発生を想定した各種訓練の実施など、策定しているBCPの改善も図りながら各種対策に取り組んでおります。
③ 情報セキュリティ
当社グループは、多数のコンピューターシステム等の情報通信ネットワークを活用して事業を行っているほか、お客様の個人情報を含む機密情報を保持しております。そのため、サイバーテロ等の第三者による妨害行為や機器の故障等により重大な障害が発生した場合や、個人情報の持ち出しやシステムの設計不備等により個人情報が流出した場合、システム復旧やお客様への損害賠償等による費用が発生するほか、当社グループの信用の低下等により、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、リスク管理委員会の中に情報セキュリティ分科会を設け、情報管理基本方針を定めているほか、マニュアル・ガイドラインの整備やインシデント発生時の対応フローを適宜見直す等、体制整備を推進しております。また、「京王グループ個人情報保護方針」を公表するとともに、「京王グループ個人情報管理体制」を構築し、個人情報の適切な管理に努めております。
④ コンプライアンス
当社グループは、鉄道事業をはじめとする各事業において関係法令を順守し、コンプライアンス体制の整備・拡充に努めておりますが、これらに反する行為が発生した場合、当社グループの信用の低下等により、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、当社「コンプライアンス委員会」が中心となって、グループ全体のコンプライアンス体制を推進し、コンプライアンスに関する各種取り組みの検証や改善策の検討等を行っています。
人為的要因を含む機器の誤作動などによるトラブルや事故、踏切などにおける第三者に起因する事故、テロ等不法行為による被害等により、当社グループにおける施設に損害が発生し、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社では、皆様から信頼され、愛される鉄道であるために、「『安全』は最大の使命であり、最高のサービスである」ことを常に意識し、「全社員が一丸となり継続的改善に取り組み、安全最優先の鉄道を創る」ことを最大の命題として、日々の業務に取り組んでおります。鉄道事故やトラブルが発生した際は、原因究明と再発防止策を速やかに実行するなど、継続的改善を進めております。
なお、2021年10月31日に発生した京王線車内での傷害事件への対応については、第2〔事業の状況〕1〔経営方針、経営環境及び対処すべき課題等〕(3) 経営環境及び対処すべき課題に記載のとおりです。
また、当社グループは、流通業などで食品の販売等を行っております。当社グループでは、食品の安全性確保に十分留意しておりますが、当社グループ固有の品質問題のみならず、社会全般にわたる一般的な品質問題などが発生した場合、損害賠償等による費用が発生するほか、風評等により売上が減少することなどにより、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、今後の成長に向けた競争力強化のため企業買収を行っており、また、将来行うことがあります。買収にあたっては対象会社の収益性や潜在的リスクの精査等を十分に行っておりますが、企業買収前に想定していなかった事実の発覚や企業風土の違いから、計画どおりに成果が上がらず、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
高齢化の進行により、安全対策、バリアフリー化などの設備投資の増加が見込まれるほか、少子化による将来的な人口の減少により、当社グループの鉄道、バス、タクシー等に対する旅客輸送需要を減退させ、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、京王グループ理念のもと、鉄道、バスをはじめとした幅広い事業を通じて、お客様にとって利便性が高く快適と感じるような生活サービスを提供することで、沿線地域が将来にわたって発展し、「住んでもらえる、選んでもらえる」沿線づくりを進めています。
当社グループは、鉄道事業を中心に、当社沿線を主たるマーケットとして事業を展開しており、国内の経済情勢の影響を受けております。消費の低迷、販売価格の低下、賃貸不動産賃料の減額、観光市場の低迷、所有資産の価値低下、ウクライナ情勢などによる原材料価格や電気代・軽油費等のエネルギー価格の高騰などが、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
鉄道運送事業者の旅客運賃等については、鉄道事業法第16条により、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたもの(総括原価)を超えないことを、国土交通大臣が審査して認可することとなっております。この規制により、当社の事業活動が制限され、当社の業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、鉄道事業以外でも、当社グループが展開する各事業については、様々な法令・規則等による規制を受けており、これらの規制に重大な変更があった場合、当社グループの事業活動が制限されるほか、法令・規則・開示制度等を遵守するための費用が発生するなど、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの有利子負債残高の大半は固定金利で調達した長期借入金、社債の長期資金であるため、市場金利の変動による影響は限定的であると考えております。また、当社は日本の格付機関よりAAの格付を取得しておりますが、この格付は合理的な説明が付されていない有利子負債の増加などにより、絶えず見直される可能性を有しているため、慎重な対応が必要となっております。格付の引下げが行われた場合、資金調達コストが上昇し、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、キャッシュマネジメントシステム(CMS)によりグループ内の余剰資金を最優先に活用し、そのうえで不足する資金については、経済情勢や金利動向を踏まえ適時適切な調達を行うことで、経営環境に対応した有利子負債の適正な管理に努めております。
当社グループは、株式等の投資有価証券を保有しており、企業年金資産においても多くの株式・債券等を保有しているため、株式・債券市況の低迷や投資先の自己資本の悪化等が生じた場合には、評価損や売却損の計上、年金資産評価額の下落による退職給付費用の増加、その他有価証券評価差額金の減少による自己資本比率の低下等により、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、保有する有価証券および投資有価証券について、時価の変動や発行体の財務状況等について定期的かつ適宜確認を行うとともに、上場株式の保有基準に基づき保有の是非を判断のうえ、必要に応じて売却等を行っております。また、当社の企業年金資産においては、社内規程に基づき、資産配分の状況や見直しの必要性について定期的な検証を実施しております。
なお、上記は当社グループの事業その他に関し、予想される主なリスクを具体的に示したものであり、ここに記載されたものが当社グループのすべてのリスクではありません。
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