当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
資産合計は、前期末比3億5千1百万円(0.0%)減の9,003億4千6百万円となりました。これは、「投資有価証券」が減少したことによるものです。
負債合計は、前期末比79億8千8百万円(1.6%)増の5,126億4千1百万円となりました。これは、有利子負債が増加したことによるものです。
純資産合計は、前期末比83億3千9百万円(2.1%)減の3,877億5百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純損失の計上により「利益剰余金」が減少したことによるものです。
(連結貸借対照表)
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症(以下「感染症」)の影響が大きく、個人消費、雇用情勢及び非製造業の一部における企業収益に弱さがみられるなど、依然として厳しい状況で推移いたしました。
このような状況の中で、当社グループは、運輸業をはじめとした総合生活産業として必要な人員を確保しつつ、お客様及び従業員への感染防止の措置を講じた上で需要動向を踏まえ事業を運営しております。また、中期経営計画「E4プラン」の基本方針である「グループ経営強化による収益拡大の確実な実現」、「安全かつ安心なサービスの提供」、「社会的要請に対応した経営推進体制の確立」に基づき諸施策を推進してまいりました。
以上の結果、2020年度に引き続き、入国制限によるインバウンド需要の消失に加え、外出の自粛等による消費の低迷等の影響を受け、営業収益は2,141億5千7百万円(前期比3.1%増)となり、営業損失は52億1百万円(前期は営業損失180億5千6百万円、128億5千5百万円の改善)となりました。経常損失は、31億9千1百万円(前期は経常損失321億6千5百万円、289億7千3百万円の改善)となり、親会社株主に帰属する当期純損失は44億3千8百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失302億8千9百万円、258億5千1百万円の改善)となりました。なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)の適用により、営業収益は171億6千8百万円減少しております。
(連結損益計算書)
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(運輸業)
感染症対策として、政府公表の基本的対処方針等を踏まえ、従業員のマスク着用、消毒、換気及びお客様が手を触れる箇所を中心とした鉄道・バス車両等への抗菌・抗ウイルス加工の実施に加え、鉄道業を中心とした新型コロナワクチンの職域接種を3回目接種まで実施しております。
鉄道事業では、当社及び北総鉄道株式会社において、沿線の活性化に繋がるよう成田空港線及び北総線の運賃について、本年10月を実施予定とする値下げを公表いたしました。
安全輸送確保の取り組みとして、2018年度より進めていた列車無線設備更新工事が概ね完了し、より高品質な通話の実現が可能なデジタル方式の列車無線の使用を開始しております。また、高架橋の耐震補強工事及び西登戸駅の駅舎建替え工事等を進めました。
大規模工事については、葛飾区内の押上線連続立体化工事において、京成立石駅の仮駅舎新設工事を推進いたしました。
営業面では、政府による行動制限緩和等を見据え、10月より、一部運休していたスカイライナーの運転を再開いたしました。また、本年2月にダイヤ改正を実施し、一部スカイライナーの青砥駅停車を正式ダイヤとし、押上・都営浅草線・京急線方面から成田空港へのアクセスを更に充実させました。さらに、人気タレントが演じる「京成王子」をモチーフにした特別装飾のスカイライナーを7月より運行いたしました。このほか、コロナ禍での旅行需要に対応して、京成線全線が一日乗り降り自由となる「京成線ワンデーパス」等の企画乗車券を期間限定で発売いたしました。
バス事業では、感染症の影響に伴う成田空港発着航空便の運休・減便や東京ディズニーランド及び東京ディズニーシーの入園者数の制限等を踏まえ、高速バス路線において運休・減便を2020年度に引き続き、実施いたしました。一方、柏の葉・流山おおたかの森~東京駅間の路線を新設するなど、需要の取り込みを図りました。一般乗合バス路線においては、需要の変化に応じたダイヤ改正等を実施いたしました。
タクシー事業では、帝都自動車交通株式会社において、事前確定運賃サービスを開始し、利便性及びサービス向上に努めました。
また、バス事業及びタクシー事業の共通の取り組みとして、東京2020オリンピック・パラリンピックの開催に伴い、選手・スタッフ輸送を受注し、収益の確保に努めたほか、安全・円滑な輸送サービスの提供に寄与いたしました。
以上の結果、2020年度に引き続き、インバウンド需要の消失や感染症の影響を受けた外出の自粛等により、営業収益は1,176億4千5百万円(前期比12.4%増)となり、営業損失は127億3千5百万円(前期は営業損失256億7千7百万円、129億4千1百万円の改善)となりました。
(事業別内訳)
(当社鉄道事業運輸成績表)
(流通業)
ストア業では、株式会社京成ストアにおいて、千葉市内等での移動訪問販売事業を拡大したほか、「リブレ京成千葉中央店」及び「リブレ京成松飛台店」を新たにオープンいたしました。また、株式会社コミュニティー京成において、フランチャイズ契約を締結し「リトルマーメイド千葉中央駅店」の営業を開始いたしました。さらに、「ファミリーマート京成西船駅前店」を新たにオープンしたほか、千葉県内にあるファミリーマート直営店4店舗の運営を引き継ぎ、収益の拡大に努めました。
その他流通業では、京成バラ園芸株式会社において、バラ園初となる、いちご狩り施設をオープンし、集客に努めました。
しかしながら、営業収益は474億4千1百万円(前期比22.5%減)となり、営業損失は3億5百万円(前期は営業損失1億8千8百万円)となりました。なお、「収益認識に関する会計基準」の適用により、営業収益は170億8千4百万円減少しております。
(事業別内訳)
(不動産業)
不動産賃貸業では、「京成千葉中央ビル」、「京成リッチモンドホテル東京錦糸町」及び「京成リッチモンドホテル東京押上」等が稼働したほか、市川市市川等の賃貸施設を取得いたしました。
不動産販売業では、中高層住宅「サングランデ八王子」及び「サングランデ立石」の全戸引き渡しを完了したほか、中高層住宅「パークホームズ千葉」の引き渡しを開始いたしました。また、中高層住宅予定地として、千葉市若葉区都賀の土地を取得いたしました。このほか、京成不動産株式会社において、「KEISEI×BIZcomfort青砥駅前」等のシェアオフィスを3店舗オープンいたしました。
以上の結果、マンション販売戸数の増加等により、営業収益は274億2千万円(前期比12.2%増)となり、営業利益は87億3千7百万円(前期比2.9%増)となりました。
(事業別内訳)
(レジャー・サービス業)
レジャー・サービス業では、対象の京成グループ各施設にて、新型コロナワクチン接種証明または陰性証明の提示で、優待・割引のサービスを受けることができる「京成グループ ワクチン接種優待キャンペーン」を実施いたしました。また、「京成ホテルミラマーレ アネックス」、「京成リッチモンドホテル東京錦糸町」及び「京成リッチモンドホテル東京押上」を開業いたしました。このほか、京成トラベルサービス株式会社において、感染症の状況を考慮した上で、京成線内を特別行路で運行する各種のイベント列車ツアー等、多様な旅行商品の企画・催行により、収益の確保に努めました。
以上の結果、2020年度に引き続き、感染症の影響を受けた外出の自粛等の影響により、営業収益は80億6千3百万円(前期比20.1%増)となり、営業損失は19億6千6百万円(前期は営業損失20億6千3百万円、9千6百万円の改善)となりました。
(建設業)
建設業では、鉄道施設改良工事や当社グループ外から受注している各種工事を実施いたしました。
以上の結果、建築工事の増加により、営業収益は264億5千2百万円(前期比13.3%増)となりましたが、営業利益は7億8千9百万円(前期比32.3%減)となりました。
(その他の事業)
その他の事業では、営業収益は78億6千1百万円(前期比6.0%減)となり、営業利益は3億4千万円(前期比38.7%増)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失に減価償却費等を調整した結果、288億3千1百万円の収入となり、前連結会計年度と比べ195億4千8百万円の収入増となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出等により337億6千4百万円の支出となり、前連結会計年度と比べ50億8千6百万円の支出増となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の発行による収入等により12億3千6百万円の収入となり、前連結会計年度と比べ202億6千2百万円の収入減となりました。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比べ36億2千3百万円減少し、252億7千7百万円となりました。
(連結キャッシュ・フロー計算書)
当社グループ(当社及び連結子会社)の事業内容は、役務の提供を主たる事業としており、生産、受注及び販売の状況について、金額あるいは数量で示すことはしておりません。
そのため、生産、受注及び販売の状況については、「② 経営成績の状況」におけるセグメントごとに業績に関連付けて示しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループでは、長期経営計画「Eプラン」(2010~2021年度)を推進し、その最終段階となる中期経営計画「E4プラン」(2019~2021年度)では、最終年度(2021年度)における数値目標の達成に向けて、基本方針・基本戦略に基づき、各事業を推進してまいりました。
当連結会計年度は、「E4プラン」の基本方針・基本戦略に基づき、京成千葉中央ビルの開業及び収益賃貸物件の取得等を実施しました。以上の結果、前期比では増収、収支改善となったものの、新型コロナウイルス感染症の影響及び「収益認識に関する会計基準」の適用により、数値目標は未達となりました。
(経営指標)
(注) EBITDA倍率=有利子負債残高÷(営業利益+減価償却費)
② 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、運転資金及び設備投資資金について、営業活動によるキャッシュ・フローに加え、金融機関からの借入及び社債の発行等により調達することとし、事業運営上必要な流動性の確保と安定的な調達を基本方針としております。なお、鉄道車両等については、総支払コストの有利性や費用の平準化に鑑み、主にリースにより調達しております。また、複数の金融機関との間で震災対応型コミットメントライン契約等を締結し、安定的な資金調達に備えております。
有利子負債残高については、収益力強化や事業選別の徹底等により、有利子負債の増加を抑制する所存であります。
なお、当面は、新型コロナウイルス感染症の影響によるキャッシュ・フローの減少を補うため、資金調達を機動的に行い、流動性を確保するとともに、財務健全性の維持・向上に努めてまいります。具体的には、シンジケートローンを含む銀行借入、社債及び短期社債(コマーシャル・ペーパー)等から最も有利な資金調達を実施いたします。
設備投資については、当社グループの持続的成長に資する中長期的な収益拡大に向けた投資を継続的に実行してまいります。特にコア事業である運輸業、不動産賃貸業に経営資源を集中的に投下し、安全の確保と競争力の強化により収益拡大を目指してまいります。
当連結会計年度においては、通常投資では、鉄道・バス・タクシー等の車両の更新等、戦略投資では、収益賃貸物件の取得等の、将来の収益拡大に向けた投資に充当いたしました。
なお、当面は経費の節減や設備投資の精査に継続して取り組むとともに、新型コロナウイルス収束後の移動・観光需要の復調等を確実に捉え、収益の回復及び将来的な事業拡大に向けた施策を推進してまいります。
株主還元については、更なる株主還元の充実に向けて、安定的かつ継続的に利益還元してまいります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
お知らせ