課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 本資料に記載されている当社グループの業績予想、目標、計画、予想その他の将来情報については、当連結会計年度末現在において入手可能な情報に基づき作成した当該時点における当社の判断又は考えに過ぎず、実際の当社グループの業績、財政状態その他の結果は、国内外の政治、経済、金融情勢の変動や、意図する施策の状況その他の本資料の作成時点で不確実な要素等により、本資料の内容又は本資料から推測される内容と大きく異なる場合があります。

 当社グループは、2006年に制定したグループの経営理念及び経営方針である「グループビジョン」と、グループのコンプライアンスに関する基本原則を定めた「西武グループ企業倫理規範」のもと、都市交通・沿線事業、ホテル・レジャー事業、不動産事業のほか、スポーツ事業など幅広い事業活動を通じて、その社会的責任を果たし、新たな行動と感動を創造することにより、お客さまに信頼され、選ばれる企業グループを目指しております。

 「グループビジョン」は、グループの役割・使命及び基本姿勢を示した「グループ理念」、この理念を実現するための行動指針「グループ宣言」及びこれらをお客さまへのメッセージとして集約した「スローガン」から構成され、内容は以下のとおりであります。

 

<グループビジョン>

 

☆グループ理念

 私たち西武グループは地域・社会の発展、環境の保全に貢献し、安全で快適なサービスを提供します。また、お客さまの新たなる感動の創造に誇りと責任を持って挑戦します。

 

☆グループ宣言

 私たちは、「お客さまの行動と感動を創りだす」サービスのプロフェッショナルをめざします。

①誠実であること

・常に、「安全」を基本にすべての事業・サービスを推進します。

・常に、オープンで、フェアな心を持って行動します。

・常に、お客さまの声、地域の声を大切にします。

②共に歩むこと

・常に、自然環境、地球環境への配慮を忘れません。

・常に、地域社会の一員として行動します。

・常に、グループ内外と積極的に連携を図ります。

③挑戦すること

・常に、グローバルな視点を持って行動します。

・常に、時代を先取りする新しいサービスを提案します。

・常に、お客さまの生活に新しい感動を提供します。

 

☆スローガン

 でかける人を、ほほえむ人へ。

 

 

 企業価値の極大化に向け、「西武グループ長期戦略」に基づき、当社グループが保有する経営資源の有効活用をおこないながら、様々な事業・サービスを組み合わせて提供できる領域・付加価値を拡大し、あらゆる場面でお客さまの生活を応援していく企業グループとなることで、今後とも持続的かつ健全な成長を目指してまいります。

 

 このような中、当社グループは、2021年5月13日に「「アフターコロナの社会における目指す姿」を見据え、コロナショックを乗り越え、飛躍への道筋をつける。」をテーマに、「経営改革」「デジタル経営」「サステナビリティ」の3点を骨子とし、「西武グループ中期経営計画(2021~2023年度)」(以下、「中期経営計画」)を策定いたしました。

 

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 中期経営計画では、事業環境の前提として、2022年度には新型コロナウイルス感染症の流行が収束に向かい、2023年度にはインバウンドや国内景気が回復していくと想定しております。そのような中で、当社グループは、コロナ禍で進んだ価値変容、行動変容はアフターコロナの社会に定着するとの想定から、それに対応しビジネスモデルを変革いたします。また、今回のコロナショックのような危機は今後も繰り返し起こるものと想定し、いかなる事業環境下においても、企業価値、株主価値の極大化を果たしていけるように企業体質を強化してまいります。

 これを踏まえ、中期経営計画は、当社グループの「アフターコロナの社会における目指す姿」を「最良、最強の生活応援企業グループ」とし、その実現に向けて取り組んでいく3ヵ年として策定し、2ヵ年目に入っています。

 当社グループは、これまでもこれからも「でかける人を、ほほえむ人へ。」を変わらぬスローガンとして掲げ、お客さま、地域社会とともに成長していく企業として、お客さまの行動と感動を創造し、豊かで持続可能な社会を実現してまいります。お客さま、地域社会、地球環境にとって「最良」であり、それを支えるために揺るがぬ安全・安心を守り抜き「最強」であることを目指し、BHAG(Big Hairy Audacious Goals)をキーワードにイノベーションに挑戦し続けます。

 

<中期経営計画の取り組み>

 ここからは、「経営改革」「デジタル経営」「サステナビリティ」の3点を骨子とした取り組みについて、その進捗と翌連結会計年度以降の取り組みをご説明いたします。

 

Topic1:経営改革

 コロナ禍で浮き彫りになった経営課題にまっすぐ挑み、以下のとおり、「アセットライトな事業運営」「損益分岐点の引き下げ」「ニューノーマルに合わせたサービス変革」という3つのテーマに対し、聖域なく「経営改革」を断行いたします。

 

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テーマ① アセットライトな事業運営

 繰り返し起こると想定される危機に対してより強固な体質を構築すべく、アセットの「保有」と「運営」の一体構造から、「アセットライト」をテーマにビジネスモデルを変革すべく、下記の方針に基づき、すべての資産・事業の内容について保有メリットや開発の余地、また、売却・流動化によるキャッシュ創出規模などを総合的に勘案し、峻別を進めてまいりました。

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 「売却・流動化」については、2021年7月1日には西武建材株式会社の株式譲渡、2021年12月に新横浜スクエアビルなどオフィスビルの流動化を実施いたしました。さらに、一歩踏み込んだ事業ポートフォリオの見直しとして、西武建設株式会社の株式95%を、2022年3月31日に株式会社ミライト・ホールディングスへ譲渡いたしました。また、ホテル・レジャー事業については、流動化について協議を進め、2022年2月10日には、GIC Private Limited(以下「GIC」といいます。)の関係会社であるReco Pine Private Limitedとの間で、株式会社プリンスホテル(現株式会社西武リアルティソリューションズ)が保有するホテル・レジャー事業の一部資産31物件について、収益の極大化を企図するとともに、当社グループのアセットライト化の推進とホテル・レジャー事業の一層の発展、さらには当社グループ全体の企業価値の極大化につなげ、当社グループとGICとの長期的なパートナーシップを構築することを目的として、法的拘束力を有する基本協定書を締結いたしました。流動化実施後(2022年度予定)においては、ホテルオペレーター会社「株式会社西武・プリンスホテルズワールドワイド(2021年12月13日設立)」が対象物件の運営業務を受託することとしており、GICとの長期的かつ強固なパートナーシップに基づき、GICが国内外において有するホテル経営の知見及び資金力を活用した安定的な成長投資により、また、GICが有する国内外の豊富なネットワークの活用により、ホテル・レジャー事業に係る資産の本源的な価値の極大化、及び業界No.1のホテルチェーンの構築を実現し、当社グループの「企業価値向上の原動力」であるホテル・レジャー事業の中長期的な成長をはかってまいります。

 また、継続保有する資産については、価値極大化をはかるため、株式会社プリンスホテルが保有するホテル・レジャー事業の資産も集約し総合不動産会社としてグループの保有資産の価値極大化をはかる「株式会社西武リアルティソリューションズ(2022年4月1日株式会社プリンスホテルから商号変更)」へのグループ内組織再編を決定し、2022年4月1日から新体制での運営に移行いたしました。

テーマ② 損益分岐点の引き下げ

 当連結会計年度の取り組みとして、都市交通・沿線事業におけるダイヤ改正・路線の見直しやホテル・レジャー事業における要員コントロールなどにより、恒常的な固定費低減に取り組んでまいりました。

 翌連結会計年度においては、テーマアセットライトな事業運営に向けた取り組みの進捗により、西武建設の株式譲渡による効果の発現を見込むほか、引き続きホテル・レジャー事業の一部資産の流動化等各事業において恒久的な固定費削減に努めてまいります。

 加えて、翌連結会計年度における取り組みとして、グループ各社のバックオフィス業務の共通化についても、下記のとおり、2023年度のシェアード会社の設立を目指し、具体的に設計、準備を進めてまいります。

 

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テーマ③ ニューノーマルに合わせたサービス変革

 「プリンスグランドリゾート軽井沢」を国内を代表する「ワーケーションリゾート」としての地位確立を目指すエリアと位置づけ、東日本旅客鉄道株式会社などと連携し、施設やサービス、商品の充足をおこないました。さらに、アウトドア事業領域の拡大に向け株式会社R.projectと提携いたしました(2021年10月1日「株式会社ステップアウト」設立)。

 引き続き、新たな時代において、西武グループのサービスをご利用いただくお客さまを広げ、満足いただくことで、多様なサービスを繰り返しご利用いただく「西武グループのファン」を増やしてまいります。

 

Topic2:デジタル経営

 攻めと守り双方の視点からデジタル経営を実現すべく、グループ会員組織「SEIBU PRINCE CLUB」を中心にグループ内外のデータをつなぎ利活用できる「グループマーケティング基盤」を構築してまいりました。その利活用により、前述のニューノーマルに合わせたサービス変革、さらには「西武グループのファン」獲得につなげてまいります。

 また、管理系基幹システムのグループ共通システム化などを進め、業務改革、働き方改革を実現し、固定費削減につなげます。

Topic3:サステナビリティ

 安全、環境、社会、会社文化の4領域12項目のアジェンダにおいて持続可能な社会実現のため「サステナビリティアクション」に取り組んでまいりました。中でも、環境への取り組みは、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言への賛同や、2020年度に設立した西武アグリ株式会社などにより西武グループ初となるソーラーシェアリングを開始するなど、気候変動が進む中でリスク・ビジネス機会双方の影響を適切に認識し、積極的に対応していく「グリーン経営」の実現に努めてまいりました。

 

<都市交通・沿線事業の経営改革>

 都市交通・沿線事業においても西武鉄道株式会社の定期収入はリモートワークの定着などにより需要減少が継続しており、人々の行動変容・価値変容が進むことによって、「移動」頻度も大きく見直されることとなり、定期収入がコロナ禍前の状態まで完全に回復する可能性が低くなっております。こうしたことから、上記の取り組みに加え、翌連結会計年度については、都市交通・沿線事業の損益構造をさらに見直すべく、下記のとおり、「組織・運営体制の見直し」「売上高向上」「固定費の低減」を柱に、「都市交通・沿線事業の経営改革」を推進いたします。

 

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 これらの施策実行により、都市交通・沿線事業の中核である西武鉄道株式会社が、新たな時代に対応し、シームレスな移動・暮らしや、スマートな事業運営を実現してまいります。

 

<今後に向けて>

 ホテル事業資産のアセットライト化、西武建設株式会社の株式譲渡により今後の成長に向けた財務基盤の拡充が実現することとなります。

 今後のホテル・レジャー事業及び不動産事業の成長戦略は、①株式会社西武・プリンスホテルズワールドワイドによる国内外のホテル拠点の拡大、②株式会社西武リアルティソリューションズが中心となり、2024年度以降本格化する都心エリアの大規模再開発をシームレスに実現することに加えて、軽井沢・箱根・富良野などの知名度の高いリゾートについても、サステナビリティを意識した上で、再開発に注力してまいります。これに上記都市交通・沿線事業の経営改革を加えて、アフターコロナの社会における持続的成長を実現してまいります。

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<重視する経営指標>

 「アフターコロナの社会における目指す姿」に向けて、「アセットライト」を意識し、下記4つの資本効率や最適資本構成を示す経営指標について「中長期的に目指す水準」を設定いたしました。

   ・ROE                10%以上

   ・ROA                3.5%以上

   ・自己資本比率             25~30%

   ・ネット有利子負債/EBITDA倍率  6倍台

 

 今後、これらの経営指標を重視し、経営改革などコロナショックを乗り越えていく進捗を管理してまいります。

 

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 当社グループは、今後も企業価値・株主価値の極大化に向けて企業運営をおこなってまいります。

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