(当社のリスクマネジメント体制及び運用状況)
当社グループは、事業活動に関わるあらゆるリスクを的確に把握し、リスクの発生頻度や経営への影響を低減していくため、当社の経営戦略部を当社及び西武グループ全体のリスクマネジメント統括部署とし、同部担当の業務執行担当役員を、グループ全体のリスクマネジメントの実施及び運用の責任と権限を有するリスクマネジメント総括責任者とするとともに、当社において、当該リスクマネジメント総括責任者を議長とし、当社の各部長・室長を構成員とするリスクマネジメント会議を開催しております。
また、グループ内子会社のうち、主要7社各社に、当該各社及びそれぞれの会社がガバナンスの観点から監督すべき系列の会社(以下「ガバナンス系列の会社」という。)におけるリスクマネジメントに関する社内体制を統括する部署としてリスクマネジメント統括部署を設置しています。さらに、当該主要7社各社のリスクマネジメント統括部署を担当する業務執行役員を、当該各社及びそれぞれの会社に属するガバナンス系列の会社におけるリスクマネジメントの実施及び運用の責任を有するリスクマネジメント責任者としています。
各社リスクマネジメント統括部署は、リスクマネジメントの状況を取りまとめ、各社のリスクマネジメント総括責任者又はリスクマネジメント責任者に報告します。かかる報告を受けたリスクマネジメント責任者は、当該報告を取りまとめ、各社の取締役会及び内部監査部門、ならびに当社のリスクマネジメント総括責任者に報告しております。さらに、リスクマネジメント総括責任者は、これらの報告を取りまとめ当社の取締役会及び監査・内部統制部に報告しております。
(当社グループの事業に関する主なリスク及び各リスクの発生可能性・影響度の評価)
当社グループの事業に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主な事項には次のようなものがあり、各リスクの発生可能性・影響度の評価は、下記のとおりであります。当社グループは、これらのリスクを十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に最大限の努力をいたします。
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発生可能性 |
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低 |
中 |
高 |
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影 響 度 |
大 |
・重要な訴訟 |
・法的規制とコンプライアンス ・食中毒や食品管理 ・経済情勢 |
・収益構造 ・自然災害・事故・感染症 ・少子高齢化及びそれにともなう人材確保 |
中 |
・有利子負債 ・為替変動 ・与信管理 |
・競争激化 ・中期経営計画 ・気候変動 ・風評 ・保有資産の価値 ・情報システム・情報管理 |
・技術革新 ・観光客減少 |
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小 |
・退職給付費用・退職給付 債務 ・協力企業・取引先 |
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・燃料費・電気料金・ 原材料価格の高騰 |
(各リスクの内容及び対応状況)
下記事項には将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は原則として当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経済情勢に関するリスク
当社グループは、日本国内を主たるマーケットとして事業を展開しており、各種経済情勢の影響を受けております。当社グループでは、経済情勢・市況を常時把握し、大幅な情勢の変化の際には、迅速なグループ方針の決定と正確なグループ展開に努めるとともに、効率的な事業運営体制を構築することとしています。しかしながら、それでもなお、消費の低迷や雇用状況の悪化、企業活動の停滞、需要の減少、民間工事及び公共工事の減少、不動産市況の低迷、海外経済の下振れ、地政学的リスク等が当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(2) 法的規制とコンプライアンスに関するリスク
当社グループでは、「西武グループ企業倫理規範」や「西武グループ人権方針」を定め、事業活動を通じてその社会的責任を果たすとともに、株主の皆さま及びお客さまをはじめとするすべてのステークホルダーからの信頼を獲得し、企業価値・株主価値を極大化させることに努めております。
また、当社グループの各事業においては、それぞれ法的規制を受けております。各法的規制を遵守するために、当社グループは、経済法制遵守体制を徹底し、また、法令改正や各種規制に関する情報収集及び社内教育の実施をおこなうように努めております。
都市交通・沿線事業等においては鉄道事業法、道路運送法等の法的規制を受けております。鉄道業では、鉄道事業法の定めにより、経営しようとする路線及び鉄道事業の種別毎に国土交通大臣の許可を受けなければならず(鉄道事業法第3条)、また、上限運賃の設定及び変更につき、国土交通大臣の認可を受けなければなりません(同第16条)。現在、鉄道業における当社グループの運賃は上限運賃に設定されているため、運賃の引上げには国土交通大臣の認可が必要となります。そのため、営業コストが増加した場合等であっても、その影響を適切な時期や程度において運賃に転嫁できない可能性があります。
なお、当社グループが現在受けている上記鉄道業の許可及び認可については、期間の定めはありません。また、これら鉄道業の許可又は認可について、鉄道事業法、同法に基づく命令もしくはこれらに基づく処分又は許可・認可に付した条件への違反等に該当した場合には、国土交通大臣は事業の停止を命じ又は許可を取り消すことができるとされております(同第30条)。有価証券報告書提出日現在におきまして、当社が知りうる限りこれらの違反等に該当する事実は存在せず、鉄道業の継続に支障を来す要因は発生しておりません。しかしながら、これらの違反等に該当し国土交通大臣から事業の停止を命じられ、又は許可が取り消された場合には、当社グループの事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。バス業やタクシーにおいても、道路運送法の定めにより、一般旅客自動車運送事業の許可(道路運送法第4条)等を受けなければなりません。
また、安全、バリアフリー化、省エネルギー、環境等に関する規制の強化に対応するための投資が必要となる可能性があります。
ホテル・レジャー事業では、旅館業法や食品衛生法等の法的規制を受けております。具体的にはホテル業における旅館業法による事業経営の許可(旅館業法第3条)等があります。
不動産事業では、宅地建物取引業法、都市計画法、建築基準法、建設業法、土壌汚染対策法等の法的規制を受けております。例えば、当社グループの保有するいずれかの不動産でアスベストを含む有害・有毒物質が発見された場合、その不動産の価値が下落する可能性があり、また、有害物質の対策をおこない、関連する環境責任を果たすために多大な費用の計上が必要となる可能性があります。さらに、これらの法制が変更された場合には、新たな義務の発生、費用負担の増加、保有不動産に関する権利の制限等により、保有不動産の価値低下や事業範囲の制限、大幅な開発計画の見直し等が生じる可能性があります。
これら現在の規制に重要な変更がおこなわれた場合や新たな規制が設けられた場合には、規制を遵守するために必要な費用が増加する可能性があり、また、規制に対応できなかった場合は、当社グループの活動が制限される等、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
また、新たな会計基準や税制の導入・変更により、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(3) 自然災害・事故・感染症等に関するリスク
本項目については、地震、台風、大雨など自然災害が昨今全国的に顕著な影響を及ぼしていることや、新型コロナウイルス感染症の脅威が続いていること、また、当社グループの事業特性上、影響を受ける範囲が広いと考えていることから、前述(2)のとおり、発生可能性「高」・影響度「大」のリスク項目と認識しております。リスク内容の詳細や対応状況は下記のとおりです。
当社グループの事業においては、「安全・安心」を最重要課題と認識し、運輸安全マネジメント体制をはじめとする都市交通・沿線事業における安全性向上の取り組みやホテル・レジャー事業における食の安全確保の施策の推進、施設の安全対策の実施等安全管理には万全の注意を払っております。しかしながら、大規模な事故、地震等の自然災害、テロ行為等が発生した場合、その対策費用の発生及びビジネスモデルの転換等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
また、台風や冷夏、酷暑、降雪の状況等の天候不順の場合にはホテル・レジャー事業においてお客さまの減少等が見込まれるほか、新型コロナウイルス感染症等治療方法が確立されていない感染症が流行した場合、都市交通・沿線事業やホテル・レジャー事業等において休業や出控え等が懸念され、営業収益の減少や対策費用の発生等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症に関する影響については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (6) 経営成績に重要な影響を与える要因について」に記載しております。
(4) 少子高齢化及びそれにともなう人材確保に関するリスク
本項目については、本国において少子高齢化が確実に進行していることや、当社グループの事業特性上、影響を受ける範囲が広いと考えていることから、前述(2)のとおり、発生可能性「高」・影響度「大」のリスク項目と認識しております。リスク内容の詳細や対応状況は下記のとおりです。
当社グループでは、都市交通・沿線事業やホテル・レジャー事業等お客さまの生活に密着した事業を展開しております。具体的には、当社グループは、都市交通・沿線事業における定住人口増加策やインバウンド(訪日外国人)等へのパラダイムシフト施策を展開しております。しかしながら、少子高齢化による就業・就学人口の減少や現在又は将来における人口の減少により鉄道業やバス業等における輸送人員の減少、レジャー施設の利用人員の減少等が懸念されます。特に鉄道業においては西武鉄道沿線地域に経営資源が集中しており、同地域の人口の減少等による影響が懸念されます。また、当社グループは、鉄道業の営業収益の相当部分を通勤・通学で利用されるお客さまから得ており、東京の昼間人口の減少は当社グループの都市交通・沿線事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、都市交通・沿線事業、ホテル・レジャー事業では特に多くの労働力を必要としております。当社グループでは、採用手法の多様化、若手社員の離職回避策等をおこなっているものの、今後、若年層の人材確保がさらに困難になることが懸念されます。これらの場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(5) 観光客の減少に関するリスク
当社グループはホテル・レジャー事業を中心に、海外からの観光客の増減を含む日本の観光市場の動向により大きな影響を受けます。日本の観光市場は、日本の経済状況、為替相場の状況、諸外国における対日感情、自然災害、事故、疫病等の影響を受ける可能性があります。
また、当社グループでは、海外においては主として米国ハワイ州においてホテル・レジャー事業を運営しております。これらは、上記の要因による影響を受けるほか、米国景気をはじめとして国際情勢に変動が生じた場合には、ハワイ州への渡航者数が減少することにより、営業収益が減少する可能性があります。
これらのリスクへの対応策として、当社グループでは、単一市場に依存しないマーケティングや旅客誘致プロモーション活動の強化、国内施設・海外施設間の相互送客、リスクを機とした新たな商品開発、グループ共通の会員サービスやマーケティング活動の強化等に取り組んでおりますが、それでもなお、日本又はハワイにおける観光客の急激な減少は、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(6) 「西武グループ中期経営計画」等に関するリスク
当社グループは、「「アフターコロナの社会における目指す姿」を見据え、コロナショックを乗り越え、飛躍への道筋をつける。」をテーマとした、「西武グループ中期経営計画(2021~2023年度)」を3ヵ年フィックス方式で策定しておりますが、当社グループがこの計画に基づく経営戦略及び経営目標又はその他の開発計画等を達成できない場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
例えば、かかる中期経営計画のトピックの一つとして、経営改革を断行しており、その一環として、2022年2月10日に、GIC Private Limitedの関係会社であるReco Pine Private Limitedとの間で、下記二点を主な内容とする、法的拘束力を有する基本協定書を締結いたしました。
・当社連結子会社である株式会社プリンスホテル(現株式会社西武リアルティソリューションズ)が保有するホテル・レジャー事業資産の全76物件のうち、ザ・プリンス パークタワー東京をはじめとした一部資産(以下「本ホテル・レジャー資産」という。)を、GICグループが出資する複数の会社へ譲渡すること
・当社連結子会社である株式会社西武・プリンスホテルズワールドワイドが本ホテル・レジャー資産の運営業務を、当社連結子会社である株式会社西武SCCATが本ホテル・レジャー資産のビルマネジメント業務をそれぞれ受託すること
当社は、当該基本協定書に基づき、上記資産譲渡に係る売買契約の締結及び実行に向けて準備を進めておりますが、何らかの事象の発生により、資産譲渡が実行できない場合などには、当社グループの上記中期経営計画に基づく経営戦略及び経営目標又はその他の開発計画等の遂行に悪影響を与える可能性があり、かかる場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(7) 重要な訴訟に関するリスク
当社グループは、契約締結時におけるリーガルチェックの徹底や、講習会の実施等による法務知識の向上、顧問弁護士と連携した適切な対応に努めているものの、通常の業務過程において、契約を巡る紛争、損害賠償、労働紛争、環境汚染等に関連して第三者から訴訟その他の法的手段を提起されたり、政府から調査を受けたりする可能性があります。法的手続対応の負担に加え、仮に当社グループに不利に判決、決定等が下された場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(8) 有利子負債に関するリスク
当社グループは、鉄道業、ホテル業等継続して多額の設備投資を必要とする事業をおこなっており、有利子負債についてはその削減に努めておりますが、有利子負債から現預金を差し引いたネット有利子負債残高は当連結会計年度末現在8,436億28百万円となっております。
資金調達にあたっては、長期かつ固定金利での借入を主とすることによる短期的な金利上昇リスクへの対応や調達条件の改善・維持、調達手法の多様化等の対応をはかっております。また、アセットライトな事業運営を実現すべく、資産・事業の売却及び流動化の実施ならびに設備投資の厳選等BSマネジメントの強化をはかっておりますが、今後の金利の上昇や金融市場の変化又は当社グループの財務状況等の悪化にともなう格付けの引下げ等によっては支払利息が増加したり、返済期限を迎える有利子負債の借換えに必要な資金を含む追加的な資金を望ましい条件で調達することが困難になる可能性があります。これらの事情により、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。また、借入の返済に充てるため、充分な資金を設備投資等に使用することができなくなる可能性もあります。
(9) 保有資産の価値に関するリスク
鉄道業やホテル業等の事業を展開する当社グループは、その事業の性質上、多くの不動産等の固定資産を保有しております。当社グループでは、事業別ハードルレートの運用による投資の厳選や、既存資産の稼働向上に向けた、資産・事業の売却及び流動化等による資産ポートフォリオの見直し(ノンコア資産の整理)等各種取り組みをおこなっているものの、当社グループが保有している不動産、有価証券等の資産には、価格変動リスクが存在するため、経済情勢又は景気の動向、保有資産のキャッシュ・フロー創出能力の低下等によって保有資産の価値が毀損し、減損損失の発生、又は売却により売却損が発生する等当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(10) 競争激化に関するリスク
当社グループは、多くの事業で厳しい競争に直面しております。
当社グループのホテル・レジャー事業におけるホテル業においては、新型コロナウイルス感染症の影響にともない、宴会や飲食需要が減少している一方、オンライン会議や食事宅配サービス等のステイホームに対応した企業の進出が相次ぐ中で、多様化する消費者のニーズに対応すべくサービスの差別化をおこなう必要があり、異業種との競争が激化しております。
また、従来の外資系や宿泊特化型ホテルの進出、及び民泊等については、新型コロナウイルス感染症の影響によりマーケットが縮小しているため、業界として一層競争が激化いたします。
また、当社グループの不動産事業は、不動産賃貸業における商業施設等の運営において、競合他社との価格、立地等での厳しい競争に直面しております。
これらのリスクへの対応策として、当社グループでは、婚礼やMICE、野球といったイベント開催時に、お客さまへPCR検査の機会を提供するサービスや、多数保有する宴会場にて、グループ内外のコンテンツを活用した自主興行などをおこなうMICE2.0へ向けた取り組み、ワーケーションの推進のほか、日本最大級のネットワークを活かしたチェーンオペレーション、当社グループのブランドマネジメントによる競合他社との差別化や、必要に応じた事業提携・買収の活用検討、サステナビリティアクション推進、グループ各社の役割強化に向けたグループ内組織再編の実施に向けた意思決定、グループ共通の会員サービス強化等を実施し、競争力の維持及び強化に努めております。しかしながら、それでもなお、これらの競争に関し、優位性を確保できなかった場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(11) 情報システム・情報管理に関するリスク
当社グループでは、都市交通・沿線事業、ホテル・レジャー事業等様々な事業分野で、多くのⅠTシステムを使用しております。当社グループは、障害(攻撃)対応・復旧への訓練の実施、高可用なシステム導入を実現するプロジェクト管理、及び権限棚卸、協力企業の安全性確認等の対策をおこなっているものの、これらのシステムについて事故・災害、人為的ミス等によりその機能に重大な障害が発生した場合、当社グループの業務運営に影響を与え、営業収益の減少又は対策費用の発生により、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。また、他の鉄道事業者、鉄道関連サービス提供業者等他社のシステム障害による影響を受ける可能性があります。さらに、当社グループでは、ホテル・レジャー事業における宿泊者名簿や会員制サービス、都市交通・沿線事業における定期乗車券やIC乗車券の販売、不動産事業やグループポイントカード運営等における顧客データ等個人情報を含むデータベースを管理しております。当社グループでは、eラーニング、サイバー攻撃対応訓練等を活用したセキュリティ関連教育をおこない、個人情報の管理に十分留意しておりますが、万一、個人情報の流出等の問題が発生した場合、当社グループへの損害賠償請求や当社グループの信用の低下により当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(12) 燃料費・電気料金・原材料価格の高騰に関するリスク
都市交通・沿線事業においては、原油価格の高騰によりバス業やタクシー等において燃料費が増加する場合があります。鉄道業においては、特に東京電力エナジーパートナー株式会社から供給される電力に依存しており、今後、基本料金の引き上げや再生可能エネルギーの普及にともなう促進賦課金の増加により、電気動力費が上昇する場合があります。
これらのリスクへの対応策として、当社グループは、燃料費、電気動力費、原材料等の価格変動の常時把握、省エネ機器や車両の導入検討、グループメリットを活かした取引先との価格交渉をおこない、効率的な事業運営をはかってまいりますが、原油価格や電気料金、原材料の価格が高騰した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(13) 収益構造に関するリスク
本項目については、当社グループの事業特性上、特に注視すべきリスクであることから、前述(2)のとおり、発生可能性「高」・影響度「大」のリスク項目と認識しております。リスク内容の詳細や対応状況は下記のとおりです。
当社グループの事業のうち、特に都市交通・沿線事業、ホテル・レジャー事業及び不動産事業においては、営業コストの相当部分が、人件費、減価償却費等の固定費で構成されているため、営業収益の比較的小幅な減少であっても、営業利益に大きな影響を及ぼすことになります。このようなリスクへの対応策として、当社グループでは、上記「西武グループ中期経営計画(2021~2023年度)」に掲げる「経営改革」を聖域なく進めており、資産・事業の売却、流動化を進めるなどの事業ポートフォリオの見直しによるアセットライトな事業運営、固定費削減等による損益分岐点低下、事業別ハードルレートの定着、浸透による効率的な設備投資実現のほか、働き方改革によるコスト削減に努めているものの、このような収益構造が、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。また、上記「経営改革」を進めているものの、特に、ホテル・レジャー事業については、営業収益の変動が比較的大きいことから、より大きな経済変動や感染症の新たなパンデミックが発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を受ける可能性があります。
(14) 風評に関するリスク
当社グループの事業の多くは「西武」と「プリンス」等のブランドでサービスと製品をお客さまに直接提供しております。当社グループでは、ブランドマネジメントの実行、適切な情報管理、開示体制の整備、CS・ES向上施策をおこなっているものの、「事業等のリスク」に記載のいずれかのリスクが現実となった場合を含め、当社グループのブランドイメージが損なわれた場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。さらに、これらのブランドと同一又は類似のブランドを使用する第三者も存在するため、これらのブランドイメージを損なうような第三者の行為・言動等が間接的に当社グループの評判を損なう可能性があります。
(15) 食中毒や食品管理に関するリスク
当社グループにおいてはホテルやレストラン、店舗等において食事の提供や食品の販売をおこなっております。当社グループでは、食品安全管理体制の整備、食品安全監査、食品安全教育をおこない、品質管理や食品衛生には十分注意しておりますが、食中毒事故が発生した場合は営業停止の処分を受けるほか、当社グループの信用やブランドを毀損し、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
そのほか、ノロウイルスによる食中毒や家畜の伝染病の発生等食品衛生や食の安全、安心に関する問題が発生した場合、営業収益の減少や在庫の廃棄ロス等の発生により、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(16) 与信管理に関するリスク
当社グループでは、取引先の財務状況の把握、債権残高の把握、与信チェックにより与信管理体制の強化に努めておりますが、取引先の資金繰りの悪化等により代金の回収等に支障を来した場合等、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(17) 協力企業・取引先に関するリスク
当社グループは、協力企業への管理・監督、業務委託管理体制の整備や「西武グループ人権方針」の開示をおこない理解を求めることにより、協力企業・取引先が当社又はお客さまへ提供するサービスがコンプライアンスを遵守し、確実に高い基準を満たすように努めておりますが、協力企業・取引先がそうした基準を満たすことができなかった場合等は、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(18) 退職給付費用・退職給付債務に関するリスク
当社グループの従業員の退職給付費用及び債務は、割引率や年金資産の長期期待運用収益率等の数理計算で設定される前提条件に基づいて算出されております。実際の結果が前提条件と相違した場合又は前提条件が変更された場合は、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(19) 為替変動に関するリスク
当社グループは、在外子会社に対する資金モニタリングにより、事業収支の推移及び設備投資予定等を随時確認することや、為替や国内外の金利動向を踏まえた在外子会社による効率的な資金調達方法の検討を進めているものの、為替の変動により営業利益が減少し、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
また、当社は、連結財務諸表を円表示で作成しているため、外貨表示で作成されている在外子会社の財務諸表の日本円表示への換算に際して、為替相場の状況により、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(20) 気候変動に関するリスク
当社グループは、年々影響が大きくなる気候変動について、移行リスク・物理的リスク両面から影響を受ける可能性があります。
移行リスクについては、気候変動抑制に向けた各国の温室効果ガス排出規制の強化や炭素税の賦課などにより、電気料金や温室効果ガスを排出する化石燃料費が上昇する可能性や、低炭素社会への移行に対応できないことによるレピュテーションリスクなどにより、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。また、物理的リスクについては、豪雨・土砂災害など異常気象の激甚化による運休・休業の影響や建物の改修コスト増加の可能性に加え、夏期の気温上昇による出控えやホテル・レジャー事業における降雪量の減少によるスキー客の減少等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(期間欄 短期:1~3年 中期:4~10年 長期:10年以上)
(影響度欄 矢印3本:影響度大 矢印2本:影響度中 矢印1本:影響度小。下向きの矢印:リスク、上向きの矢印:機会)
これらの気候変動リスクについては、具体的には、当社グループでは、2030年度までにCO2排出量原単位(営業収益当たりCO2排出量)を2018年度比で25%削減することを目標に、省エネルギー車両・設備の導入や、太陽光発電等の自然エネルギー、次世代バイオディーゼル燃料等の再生可能エネルギーの活用、ソーラーシェアリング事業の実施など地球温暖化防止策を進めるとともに、激甚災害に備えた訓練の実施、避難計画の策定等をおこない、危機管理体制を整えるなど災害対策を実施することで、気候変動による影響低減のためのビジネスモデルの転換等の検討に努めております。
また、当社は「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言」に2021年度より賛同を表明し、その取り組みについて議論する「TCFDコンソーシアム」にも参加しております。気候変動の事業へのリスクと機会の検証については、「2℃未満」「4℃」の複数シナリオについて検証を実施するなど、提言に沿った分析、開示をおこなっております。さらに、上記温室効果ガス排出量削減を含む、サステナビリティアクションを今後も持続的・積極的かつ体系的に進めるため、当社の経営戦略部を統括部署とし、事業部門と協働してグループ横断的に取り組むとともに、当社社長執行役員を委員長・議長とする「西武グループサステナビリティ委員会」を設置し、国際要請の確認や、当社グループにおける温室効果ガス排出量削減状況の確認及び削減に向けた取り組みの検討をおこなうほか、情報開示事項の共有等を実施して気候変動リスクの未然防止に努める体制を整備しております。
しかしながら、脱炭素社会への想定外かつ急速な移行に対応できなかった場合、当社グループの信用・ブランドの毀損にともなう売上の減少や、対策費用、設備更新の発生により、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(21) 技術革新に関するリスク
当社グループの多くの事業分野で、新技術の進化及びその進化がもたらすビジネス変革のスピードは加速度的に増しております。
当社グループでは、DX(デジタル・トランスフォーメーション)戦略の浸透活動や、DX戦略について専門的かつ具体的な助言を求めるため、エグゼクティブアドバイザーの招聘、新しい顧客体験(UX/CX)の提供を企図した新規施策の実施、DXデジタル人材の確保・育成、グループ顧客情報の統合とグループマーケティング基盤構築、新技術活用による業務効率化、5G等新技術に関するパートナーとの協業等を推進しているものの、先進技術の利活用に関する理解不足及び導入の遅れは、競合他社と比べてのサービス品質の低下による顧客離れを招く恐れがあり、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
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