(1)経営成績等の状況の概況
当連結会計年度における当企業グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に対するワクチンの普及や、緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置の解除等により、景気持ち直しの動きがみられたものの、ウクライナ情勢等に起因する世界的な経済活動の停滞が懸念されるなど、依然として先行きは不透明な状況となっております。
当業界におきましても、原油価格の高騰や人手不足等、経営環境は引続き厳しい状況が続いております。
こうした中、当企業グループの当連結会計年度は、営業収益1,250億94百万円(前年同期比5.2%増)、営業利益111億14百万円(同5.2%増)、経常利益119億57百万円(同9.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益71億17百万円(同10.7%増)となりました。
各セグメント別の営業状況は、次のとおりであります。
(営業収益につきましては、セグメント間の内部売上高又は振替高を含んでおりません)
(物流センター事業)
当連結会計年度の営業収益は769億63百万円(前年同期比7.6%増)、営業利益は93億10百万円(同13.0%増)となりました。
増収増益の主な要因につきましては、物流センター運営の充実と新規に受託したセンターが順次業績に寄与したことや2021年2月に栄進急送(株)及びマルコ物流(有)を子会社化したことによるものであります。
この結果、営業収益は54億43百万円の増収、営業利益は10億67百万円の増益となりました。
また、新規受託の概況につきましては、14社の物流を受託しております。
稼働状況につきましては、14社のうち12社稼働しております。残り2社につきましては、2022年4月以降の稼働を目指し準備を進めてまいります。なお、物流センターの総数は、130センターとなっております。
引続き日々収支、全員参加、コミュニケーションを徹底して行い、収支改善に向け取り組んでまいります。
(貨物自動車運送事業)
当連結会計年度の営業収益は481億31百万円(前年同期比1.6%増)、営業利益は17億98百万円(同22.3%減)となりました。
営業収益につきましては、特別積み合わせ事業の物量が新型コロナウイルス感染症の影響等から回復傾向にあったことや2021年10月に大一運送(株)を子会社化したことにより、7億74百万円の増収となりました。
営業利益につきましては、営業収益の増加や積載率の向上、輸送コストの抑制に取り組みましたが、燃料単価上昇による影響等で5億16百万円の減益となりました。
今後につきましては、新規案件の獲得やグループ内での取引拡大を進め、物量の増加に努めるとともに、管理強化による輸送コストの抑制に取り組み、収益の確保に努めてまいります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末より33億77百万円増加し、181億82百万円になりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、136億円の資金獲得となりました。これは主に税金等調整前当期純利益118億6百万円、減価償却費54億49百万円により増加し、法人税等の支払額39億91百万円により減少したことによるものであります。これにより営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ21億33百万円資金獲得が増加しております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、60億33百万円の資金使用となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出54億91百万円の資金使用によるものであります。これにより投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ14億17百万円資金使用が減少しております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、41億89百万円の資金使用となりました。これは主に長期借入金の返済による支出21億88百万円、リース債務の返済による支出21億94百万円によるものであります。これにより財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ1億25百万円資金使用が増加しております。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産及び受注の実績
当企業グループの各事業は、受注生産形態をとらないため、セグメント毎に生産金額及び受注金額を示すことはしておりません。
b.営業収益の実績
当連結会計年度における営業収益実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
|
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
物流センター事業 |
76,963 |
+7.6 |
貨物自動車運送事業 |
48,131 |
+1.6 |
合計 |
125,094 |
+5.2 |
物流センター事業におけるセンター施設能力は次のとおりであります。
セグメントの名称 |
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
||||
センター数 |
面積(㎡) |
センター数 増減 |
センター数 |
面積(㎡) |
センター数 増減 |
|
物流センター事業 |
128 |
1,219,803 |
11 |
130 |
1,216,471 |
2 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当企業グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項の記載につきましては、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。
①当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.当企業グループの目標とする経営指標と当連結会計年度の実績は次のとおりであります。
指標 |
前連結会計年度実績 |
当連結会計年度目標 |
当連結会計年度実績 |
営業収益(百万円) |
118,876 |
125,000 |
125,094 |
営業利益(百万円) |
10,563 |
11,000 |
11,114 |
経常利益(百万円) |
10,913 |
11,500 |
11,957 |
親会社株主に帰属する当期純利益(百万円) |
6,427 |
6,750 |
7,117 |
1株当たり当期純利益(円) |
341.69 |
358.83 |
378.84 |
営業収益経常利益率(%) |
9.2 |
9.2 |
9.6 |
自己資本当期純利益率(ROE)(%) |
10.1 |
10.0 |
10.3 |
当企業グループは株主持分単位当たりの成長性及び収益体質の強化を重視する観点から引き続き「日々収支」「全員参加」「コミュニケーション」の3つのキーワードを深化させ、物流センター(3PL)事業を軸とする事業展開をしてまいりました。
この結果、1株当たり当期純利益は378.84円、営業収益経常利益率9.6%、ROE10.3%となり、1株当たり純利益及び営業収益経常利益率につきましては、前連結会計年度実績及び当連結会計年度の目標を上回り、ROEにつきましても10%以上を達成しております。
b.営業外損益
重要と考える項目は支払利息であり、参考数値の推移は次のとおりであります。
回次 |
第47期 |
第48期 |
第49期 |
第50期 |
第51期 |
借入金残高(百万円) |
24,086 |
22,286 |
22,025 |
22,801 |
22,698 |
① 支払利息(百万円) |
193 |
165 |
158 |
146 |
142 |
② 営業利益(百万円) |
9,029 |
9,913 |
10,190 |
10,563 |
11,114 |
①÷②(%) |
2.1 |
1.7 |
1.6 |
1.4 |
1.3 |
営業収益経常利益率(%) |
9.2 |
8.9 |
8.7 |
9.2 |
9.6 |
返済の促進による借入金の減少、金利の低下により上記表のとおりの推移となっております。借入金の返済を促進し、金利の変動リスクをおさえるため金利の固定化を進め、支払利息の圧縮を進めてまいります。
c.特別損益
特別利益につきましては、投資有価証券売却益18百万円が発生しております。
また、特別損失につきましては、和解金146百万円、物流センター移転閉鎖損失16百万円、投資有価証券評価損6百万円が発生しております。
②財政状態の分析
資産、負債及び純資産の状況
当企業グループの当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末比63億76百万円増加し、1,356億72百万円と
なりました。これは主に、営業収益の増加等により現金及び預金が増加したこと、設備投資により固定資産が増加
したことによるものであります。
負債につきましては、前連結会計年度末比1億2百万円増加し、540億79百万円となりました。これは主に、借
入金の返済が進んだものの、支払手形及び買掛金が増加したことによるものです。
純資産につきましては、前連結会計年度末比62億74百万円増加し、815億92百万円となりました。これは主に、
当期純利益80億91百万円の計上と、剰余金の配当による15億2百万円の減少によるものであります。この結果、自
己資本比率は、前連結会計年度末の51.1%から52.7%へと増加しております。
なお、これらの財政状態の変動には、連結子会社の増加による影響も含まれております。
③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、営業活動により136億円増加、投資活動により60億33百万円減少、財務活動により41億89百万円減少した結果、前連結会計年度末に比べ33億77百万円増加し、181億82百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フロー
税金等調整前当期純利益118億6百万円、減価償却費54億49百万円の計上による増加がありましたが、法人税等の支払39億91百万円等の減少があり、136億円の資金獲得となりました。前連結会計年度から21億33百万円の資金獲得増加となります。
投資活動によるキャッシュ・フロー
新規物流センターの建設等の有形固定資産の取得による支出、連結子会社の株式取得による支出などにより60億33百万円の資金使用となりました。前連結会計年度から14億17百万円の資金使用減少となりました。
財務活動によるキャッシュ・フロー
長期借入れによる収入27億90百万円はありましたが、長期借入金の返済による支出21億88百万円及びリース債務の返済による支出21億94百万円、配当金の支払い15億2百万円等により41億89百万円の資金使用となりました。
当企業グループの運転資金需要のうち主なものは、地代家賃、人件費、下払い運賃の他、一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、子会社、関係会社株式の取得等によるものであります。
当企業グループはこれらの資金需要について主に手元の現金及び現金同等物と営業活動から獲得した現金により調達する予定であり、資金状況に応じて金融機関から借入れによる資金調達を基本としております。
また、当企業グループは事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、当連結会計年度末において、現在必要とされる資金水準を十分に満たす流動性を保持していると考えております。
④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当企業グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
a.固定資産
当企業グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候は、主として物流センター等の営業損益が継続してマイナスとなる場合、固定資産の時価が著しく下落した場合、あるいは荷主様との取引終了等で回収可能価額を著しく低下させる変化がある場合に把握しております。減損の兆候があると判定した資産又は資産グループに関する減損損失の認識及び測定に当たっては、慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
なお、固定資産の減損の検討対象資産の主要な部分を占める有形固定資産は、当連結会計年度末において878億32百万円であり、物流センター事業438億12百万円及び貨物自動車運送事業440億20百万円で構成されております。
b.投資有価証券
当企業グループは、保有する有価証券について、時価のあるものについては、期末における時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合に時価まで減損処理を行い、30%以上50%未満下落した株式等の減損にあっては、個別銘柄毎にその回復可能性を総合的に検討し実施することとしております。また、時価のない有価証券については1株あたり純資産額が取得原価の50%以下になった場合に、減損処理を行っております。将来、株式の市況又は投資先の業績が悪化した場合には、さらなる評価損の計上が必要となる可能性があります。
c.繰延税金資産
当企業グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
d.貸倒引当金
当企業グループは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。将来、取引先の財務状況等が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。
e.退職給付
従業員の退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されています。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準及び退職率などが含まれます。当企業グループは、割引率を主に優良社債の金利により決定しているほか、報酬水準の増加率及び従業員の平均勤務期間については当企業グループの過去の実績値に基づいて決定しています。
f.のれん
当企業グループは、のれんに関して効果の発現する期間を見積り、その期間で定額法により償却しておりますが、その資産性の評価について検討した結果、当初想定したキャッシュ・フローが見込めなくなった場合に、評価の切り下げを行う可能性があります。
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