(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症への感染防止対策が継続される中、原油高に伴う燃料費や原材料費等の高騰が続き、2022年2月以降、ヨーロッパにおける地政学的リスクの深刻化に伴い世界経済が急激に不安定化するなど、極めて不透明な状況のもとで推移しました。
このような状況のもと、当社グループでは、お客様と従業員の感染防止を最優先に、安全輸送の維持と安心してご利用いただけるサービス提供に総力をあげて取り組みました。
当連結会計年度の営業収益は、11,603百万円(前期営業収益10,448百万円)となりました。さらに、安全・安心を確保するものを除き、全ての費用について精査し節減を継続した結果、営業利益は500百万円(前期営業損失338百万円)となりました。これに、新型コロナウイルス感染症に係る特例措置の適用を受けた雇用調整助成金279百万円などの営業外収益及び営業外費用を加減した経常利益は883百万円(前期経常利益128百万円)となり、特別利益及び特別損失ならびに法人税等を加減し、非支配株主に帰属する当期純利益を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は673百万円(前期親会社株主に帰属する当期純損失338百万円)となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態及び経営成績に影響を及ぼしております。そのため、経営成績に関する説明においては、対前期増減額及び増減率を記載しておりません。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (会計方針の変更)」をご参照ください。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(運輸業)
鉄軌道事業、バス運送事業、タクシー事業ともに、前期との比較では増収となりましたが、新型コロナウイルス感染症拡大以前の売上水準を依然大幅に下回る極めて厳しい経営状況が続いています。
こうした中、嵐山線では、帷子ノ辻駅および車折神社駅のバリアフリー対応工事、踏切設備や電柱・まくら木の更新など、安全・安心のための設備投資を計画的に継続し、北野線では行き違い設備改修により従来2駅の行き違い駅を4駅に増やしたことで、輸送力向上と保安度向上を両立させる基盤整備を行いました。また観光庁「既存観光拠点の再生・高付加価値化推進事業」の採択を受け、映画のワンシーンが車内で体験できるエンターテインメント電車「ザ・ライドKYOTO」の運行、撮影所の見学や講演会、映画上映会の開催など、イベント「映画と暮らすまち、太秦」を、関係事業者や地元商店街と連携して実施し、沿線地域の活性化を図りました。
叡山ロープウェイでは、原動滑車更新工事を行い安全性向上を図るとともに、搬器車体のデザインを、叡山ケーブル、叡山電鉄㈱、江若バス㈱などとの統一コンセプトによる「比叡山・びわ湖<山と水と光の廻廊>デザイン」にリニューアルし、情報発信力の強化を図りました。また観光庁「既存観光拠点の再生・高付加価値化推進事業」の採択を受け、比叡山頂駅の美装整備を行いました。
京都バス㈱では、2021年12月17日、前身の洛北自動車㈱の創立から100周年を迎え、沿線地域と連携したPRを実施するとともに、冬季閑散期には観光庁「既存観光拠点の再生・高付加価値化推進事業」の採択を受け、京都駅から大原への特急バス「大原女号」を、大原エリア内では「大原周遊シャトルバス」「大原~貴船周遊シャトルバス」を期間限定で運行し、利用促進に取り組みました。また2022年3月19日のダイヤ改正では、京都市バス2系統の京都市交通局との共同運行を開始するとともに、入出庫ルートで「臨東山系統」「臨丸太町系統」を営業運行として新たに設定するなど、収益基盤の強化・拡大を図りました。
京福バス㈱の乗合バス部門では、高速バスが2021年6月から12月まで、コロナ禍による需要急減で全面運休するなど厳しい環境下ではありましたが、2021年10月に福井市中心市街地を運行するコミュニティバス4路線をまちづくり福井㈱から移管して一般路線化したほか、福井県立恐竜博物館への直行路線バスも2台目車両を投入するなど、利用促進と収支改善に努めました。貸切バス部門では、東京オリンピック・パラリンピックや全国高等学校体育大会北信越大会の輸送、新型コロナワクチンの接種会場への送迎輸送など特需を取り込み、売上の確保に取り組みました。
タクシー事業においては、コロナ禍による需要低迷に合わせ稼働を調整して経費削減を行ったほか、ケイカン交通㈱では坂井市デマンドタクシーの春江地区などでの配車・運行の受託、あわら温泉・坂井市観光デマンドタクシーの実証実験、福井交通㈱では福井市南東地区フルデマンド乗合タクシーの運行や観光周遊バス運行の実証実験など、補助事業を活用しながら、「afterコロナ」を見据えた利用促進策を地元行政や事業者と連携して実施しました。
以上の結果、運輸業の営業収益は5,863百万円(前期営業収益5,232百万円)となり、営業損失は615百万円(前期営業損失1,224百万円)となりました。
(提出会社の鉄軌道事業の運輸成績表)
種別 |
単位 |
当連結会計年度 |
|
|
(2021.4.1~2022.3.31) |
対前期増減率(%) |
|||
輸送人員 |
定期 |
千人 |
2,553 |
- |
定期外 |
〃 |
3,731 |
- |
|
計 |
〃 |
6,285 |
- |
|
旅客運輸収入 |
定期 |
百万円 |
237 |
- |
定期外 |
〃 |
732 |
- |
|
計 |
〃 |
970 |
- |
(業種別営業成績)
種別 |
当連結会計年度 (2021.4.1~2022.3.31) |
|
営業収益 |
対前期増減率 |
|
|
百万円 |
% |
鉄軌道事業 |
1,042 |
- |
バス運送事業 |
4,333 |
- |
タクシー事業 |
612 |
- |
消去 |
△125 |
- |
計 |
5,863 |
- |
(不動産業)
不動産販売事業におきましては、京都地区・福井地区ともに分譲土地や建売住宅の現地販売会の実施や宣伝活動に積極的に取り組み、販売件数の増加から増収となりました。
不動産賃貸事業におきましては、京都地区・福井地区とも、居住系賃貸物件の賃貸収入が堅調に推移するとともに、BOAT RACE(ボートレース)三国では、有観客開催日やモーニングレース開催日数の増加、電話投票会員の増加に加え、動画共有サイトでの専用チャンネルの開設やキャッシュバックキャンペーンの充実など営業努力が寄与し、増収となりました。
以上の結果、不動産業の営業収益は4,734百万円(前期営業収益4,416百万円)となり、営業利益は1,201百万円(前期営業利益1,098百万円)となりました。
(業種別営業成績)
種別 |
当連結会計年度 (2021.4.1~2022.3.31) |
|
営業収益 |
対前期増減率 |
|
|
百万円 |
% |
不動産賃貸事業 |
5,289 |
- |
不動産販売事業 |
201 |
- |
消去 |
△756 |
- |
計 |
4,734 |
- |
(主な相手先別の収益実績及び総営業収益に対する割合)
相手先 |
前連結会計年度 (2020.4.1~2021.3.31) |
当連結会計年度 (2021.4.1~2022.3.31) |
||
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
越前三国競艇企業団 |
3,360 |
32.16 |
3,532 |
30.45 |
(レジャー・サービス業)
物販業におきましては、嵐山駅「らんでんや」では、アニメやゲームアプリを題材とした東映太秦映画村とのコラボレーションイベントを嵐電とともに開催、ランデンプラザ帷子の「映画のまちの駄菓子売り場映菓座」では、夏の縁日、オープン1周年などの独自イベントを展開するなど、情報発信と販売促進を図りました。
ホテル業におきましては、三国観光ホテルでは、福井県の観光需要喚起策「福井deお得キャンペーン」への参画による利用獲得努力や、夏休みシーズンの団体客受入れなどにより宿泊人員が増加、ホテル京福福井駅前では、北信越インターハイ開催や、各種学会、コンサートの再開により宿泊人員が増加、さらに北陸新幹線の工事関係者などへの連泊向けECOプランの販売等により増収となりました。
越前松島水族館では、一般客の増加に加え、修学旅行・遠足など団体客受入により増収となりました。
以上の結果、レジャー・サービス業の営業収益は1,222百万円(前期営業収益1,199百万円)となり、営業損失は85百万円(前期営業損失207百万円)となりました。
(業種別営業成績)
種別 |
当連結会計年度 (2021.4.1~2022.3.31) |
|
営業収益 |
対前期増減率 |
|
|
百万円 |
% |
ホテル業 |
452 |
- |
水族館業 |
380 |
- |
物販業 |
201 |
- |
その他 |
201 |
- |
消去 |
△13 |
- |
計 |
1,222 |
- |
②キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益に加え、減価償却費等の非現金支出項目による資金留保などにより1,578百万円の収入となり、前連結会計年度に比べ86百万円の収入減となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出などにより975百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ220百万円の支出増となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済などにより936百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ1,083百万円の減少となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は1,701百万円となり、前連結会計年度末に比べ332百万円の減少となりました。
③生産、受注及び販売の実績
当社グループのサービス・販売等は、必ずしも一様ではないため、セグメント毎に金額あるいは数量での記載は行なっておりません。
そのため生産、受注及び販売の実績については、「(1)経営成績等の状況の概要」における各セグメント業績に関連付けて記載しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、以下のとおりであります。
(経営成績の分析)
当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症拡大以前の売上水準を大幅に下回る極めて厳しい経営状況が依然として継続したものの、前期と比較して緩やかながら回復基調で推移した結果、営業収益は11,603百万円(前期営業収益10,448百万円)となり、営業利益は500百万円(前期営業損失338百万円)となりました。また、雇用調整助成金などの営業外収益や支払利息などの営業外費用を加減した経常利益は883百万円(前期経常利益128百万円)となり、当社嵐山線の設備投資などに対する補助金収入や当社グループ会社所有土地建物上の他社高架橋柱の耐震補強工事に伴う建物の建替えによる固定資産受贈益などの特別利益及び減損損失などの特別損失を加減した税金等調整前当期純利益は1,212百万円(前期税金等調整前当期純損失129百万円)となりました。これに法人税等および非支配株主に帰属する当期純利益を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は673百万円(前期親会社株主に帰属する当期純損失338百万円)となりました。
(財政状態の分析)
総資産は、減価償却費や減損損失による有形固定資産の減少などにより、前連結会計年度末に比べ598百万円減少し、20,152百万円となりました。
負債は、長期借入金の減少などにより、前連結会計年度末に比べ1,324百万円減少し、12,055百万円となりました。
純資産は親会社株主に帰属する当期純利益による利益剰余金の増加などにより、前連結会計年度末に比べ726百万円増加し、8,096百万円となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりです。
経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、当社グループは、「連結営業収益」、「連結ROE」、「連結有利子負債/EBITDA倍率」を重要な指標として位置付けております。各指標は、以下のとおりです。
経営指標 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
連結営業収益 |
10,448百万円 |
11,603百万円 |
連結ROE |
△5.0% |
9.7% |
連結有利子負債/EBITDA倍率※ |
8.70倍 |
4.47倍 |
※連結有利子負債/EBITDA倍率=(社債+借入金)÷(営業利益+減価償却費)
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フローの状況の分析)
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
(資本の財源及び資金の流動性)
当社グループの資金需要の主な内容は運転資金及び設備投資資金であり、これらの調達方法につきましては、営業活動により獲得した資金を充当し、不足分を借入金など有利子負債により調達することとしております。
借入による資金調達に関しましては、運転資金については短期借入金で、設備投資資金については、長期借入金及び社債の調達を基本としております。
なお、重要な設備投資の計画につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1)重要な設備の新設等」に記載のとおりです。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
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