業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が進み経済社会活動に持ち直しの兆しも見られましたが新たな変異株による感染が拡大したことやウクライナ情勢の緊迫化に伴うエネルギーや原材料価格の上昇等予断を許さない状況が続きました。

 このような経済環境の中物流業界におきましては国内外における貨物量は回復傾向であるものの原油価格の高騰による燃料価格の負担がさらに増加するなど依然として厳しい環境にあります。

 当社グループにおきましては、国内部門では食品・衛生用品・日用雑貨等の貨物量が引続き堅調に推移しました一方国際部門につきましては世界各地の経済活動制限により減少した国際輸送需要が増加に転じる中で航空便の減便コンテナ不足港湾混雑等による航空・海上貨物輸送スペースの供給不足といった要因が加わり特需的な需給の逼迫とそれに伴う運賃高騰の状態が継続しました。

 このような状況の下引続き適正運賃の確保社会的なインフラとしての意識を強くした営業活動等により利益の向上に努めてまいりました。

 以上の結果、当連結会計年度の営業収益は、47,645百万円(前期比8.2%増)となり、営業利益は3,028百万円(前期比28.1%増)、経常利益は3,097百万円(前期比25.1%増)となりました。また、固定資産の減損損失243百万円を計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は1,948百万円(前期比29.8%増)となりました。

 なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (会計方針の変更)」をご参照ください。

 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 貨物自動車運送事業

  貨物自動車運送事業につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響から貨物輸送量が全般的に復調する中で食品・衛生用品・日用雑貨等については堅調に推移したことから貨物自動車運送事業収入は34,731百万円(前年同期比3.4%増)となりました。セグメント利益は、適正運賃の確保および経費削減の効果等により2,484百万円(前年同期比9.8%増)となりました。

 国際物流事業

  国際物流事業につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により制限されていた世界各地の経済活動が回復してきたことと特需的な需給逼迫による価格上昇を背景に国際物流事業収入は11,575百万円(前年同期比22.7%増)となりました。セグメント利益は適正運賃の確保および経費削減の効果等により985百万円(前年同期比109.4%増)となりました。

 不動産賃貸事業

  不動産賃貸事業につきましては、不動産賃貸事業収入は863百万円(前年同期比1.2%減)となり、セグメント利益は462百万円(前年同期比16.0%減)となりました。

 その他事業

  リース業、コンピュータソフト開発保守業、保険代理店業、部品販売業、太陽光発電業、清掃業、事務代行業を中心としたその他事業収入は490百万円(前年同期比234.6%増)となり、セグメント利益は59百万円(前年同期比1.8%増)となりました。

  なお収益認識基準に関する会計基準の適用に伴うセグメント別の営業収益とセグメント利益の増減額は以下の とおりであります。

 

営業収益

セグメント利益

貨物自動車運送事業

(百万円)

△435

0

国際物流事業

(百万円)

△843

△7

不動産賃貸事業

(百万円)

その他事業

(百万円)

△29

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、投資活動の結果使用した資金1,935百万円と財務活動の結果使用した資金1,296百万円を、営業活動の結果得られた資金3,804百万円でまかなったことにより前連結会計年度末に比べ574百万円増加し5,273百万円となりました各キャッシュ・フローの状況と主な要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、3,804百万円(前年同期比5.3%増)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益2,899百万円、減価償却費1,670百万円、減損損失243百万円、売上債権の増加423百万円、支払手形及び営業未払金の増加414百万円、未払消費税等の減少139百万円、法人税等の支払額1,058百万円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、1,935百万円(前年同期比91.2%増)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出1,133百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出728百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は、1,296百万円(前年同期比18.8%減)となりました。これは主に長期借入金による収入930百万円、長期借入金の返済による支出1,620百万円、リース債務の返済による支出283百万円、配当金の支払額322百万円によるものであります。

 

③ 生産、受注および販売の実績

 当社グループの事業は受注生産形態をとっていないため、生産規模および受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
 このため生産、受注および販売の実績については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」における各セグメント業績に関連付けて示しております。

   販売実績
   当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

貨物自動車運送事業(百万円)

34,719

103.4

国際物流事業(百万円)

11,572

122.7

不動産賃貸事業(百万円)

863

98.8

報告セグメント計(百万円)

47,155

107.4

その他(百万円)

490

334.6

合計(百万円)

47,645

108.2

(注)1.セグメント間の内部売上高又は振替高は含めておりません。

   2.当連結会計年度における主な相手先の販売実績および総販売実績に対する割合は、当連結会計年度に販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がないため、記載を省略しております。

 

④ 財政状態の分析

(資産)

  当連結会計年度末における流動資産の残高は、15,458百万円(前連結会計年度末は14,671百万円)となり、786百万円増加しました。現金及び預金の増加801百万円、受取手形、営業未収金及び契約資産の増加527百万円、受託現金の減少528百万円、リース投資資産の減少148百万円が主な要因です。

  固定資産の残高は、25,789百万円(前連結会計年度末は26,160百万円)となり、371百万円減少しました。のれんの増加371百万円、差入保証金の増加212百万円、繰延税金資産の増加76百万円、建物及び構築物(純額)の減少511百万円、リース資産の減少231百万円、投資有価証券の減少290百万円が主な要因です。

(負債)

  当連結会計年度末における流動負債の残高は、13,374百万円(前連結会計年度末は13,474百万円)となり、99百万円減少しました。支払手形及び営業未払金の増加434百万円、前受金の増加58百万円、賞与引当金の増加51百万円、未払消費税等の減少121百万円、受託現金の減少等による預り金の減少516百万円が主な要因です。

  固定負債の残高は、7,309百万円(前連結会計年度末は8,218百万円)となり、909百万円減少しました。役員退職慰労引当金の増加99百万円、退職給付に係る負債の増加74百万円、長期借入金の減少722百万円、リース債務の減少235百万円、繰延税金負債の減少111百万円が主な要因です。

(純資産)

  当連結会計年度末における純資産の残高は、20,563百万円(前連結会計年度末は19,138百万円)となり、1,424百万円増加しました。利益剰余金の増加1,611百万円、その他有価証券評価差額金の減少171百万円が主な要因です。

この結果、自己資本比率は3.0ポイント上昇し、49.8%となりました。

 

⑤ キャッシュ・フローの状況の分析

 キャッシュ・フロー関連指標の推移は下記のとおりであります。

 

2018年3月期

2019年3月期

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

自己資本比率(%)

41.5

42.7

44.6

46.8

49.8

時価ベースの自己資本比率(%)

31.8

21.5

19.6

27.2

28.5

債務償還年数(年)

4.4

3.8

2.9

2.5

2.1

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

31.6

33.6

41.4

55.4

65.6

※自己資本比率:自己資本/総資産

 時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

 債務償還年数:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

 インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数により計算しております。

3.営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

  経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。

  なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末日において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り

  当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

  連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

② 財政状態および経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容

 ⅰ 財政状態に関する分析

   当連結会計年度の財政状態については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ④ 財政状態の分析」に記載のとおりであります。

 ⅱ 経営成績に関する分析

  (営業収益)

   営業収益は、世界規模での新型コロナウイルスの感染が続いておりますが、国内を中心とした貨物自動車運送事業において、食品・衛生用品・日用雑貨等が引続き堅調に推移する一方、国際部門におきましては、世界各地の経済活動制限により減少した国際輸送需要が増加に転じる中で、航空便の減便、コンテナ不足、港湾混雑等による航空・海上貨物輸送スペースの供給不足といった要因が加わり、特需的な需給の逼迫とそれに伴う運賃高騰の状態が継続した結果、増収となりました。

   以上の結果、当連結会計年度における連結営業収益は47,645百万円(前期比8.2%増)となりました。

  (営業利益)

   営業利益は、燃料価格の上昇という要因はありましたが、営業収益の増加を背景に、適正運賃の確保および経費削減の効果等により、当連結会計年度における連結営業利益は3,028百万円(前期比28.1%増)となりました。

  (経常利益)

   営業外収益は、受取保険金の減少等により194百万円となり前連結会計年度より51百万円減少しました。

   営業外費用は、保育園運営費用の減少等により125百万円となり、前連結会計年度から9百万円減少しました。

   以上の結果、当連結会計年度における連結経常利益は3,097百万円(前期比25.1%増)となりました。

  (親会社株主に帰属する当期純利益)

   特別利益は、固定資産売却益の減少等により52百万円となり、前連結会計年度より12百万円減少しました。

   特別損失は、固定資産の減損損失243百万円等の計上により250百万円となり、前連結会計年度より92百万円減少しました。

   法人税等は、950百万円となり、前連結会計年度より254百万円増加しました。

   以上の結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は1,948百万円(前期比29.8%増)となりました。

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因について

  当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

④ 戦略的現状と見通し

  経営戦略の現状と見通しについては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境および対処すべき課題等」に記載のとおりであります。2022年4月よりスタートさせた新たな中期経営計画の経営戦略に基づき、ESGやSDGs等の社会的責任への取組み、人材確保育成や経営資源の選択と集中等のグループ体制強化、収益力向上、持続的成長と企業価値向上等の柱を具体的に推進してまいります。また、従業員の健康・感染予防等に十分注意しながら、全社一丸となって物流を止めないという使命を果たしてまいります。

  通期の業績予想につきましては、連結営業収益48,800百万円、連結営業利益3,100百万円、連結経常利益3,150百万円、親会社株主に帰属する当期純利益2,080百万円を見込んでおります。

 

⑤ 資本の財源および資金の流動性についての分析

  当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 (資金需要について)

  当連結会計年度において実施した設備投資の総額は1,136百万円であり、その主なものとして、貨物自動車運送事業におきましては、機械装置及び車輌運搬具476百万円、パソコン等の工具、器具及び備品の取得398百万円、建物及び構築物の取得73百万円、ソフトウエアの取得32百万円等により、総額980百万円の設備投資を実施しております。

  国際物流事業におきましては、機械装置及び車輌運搬具38百万円、パソコン等の工具、器具及び備品の取得11百万円、建物及び構築物9百万円、ソフトウエアの取得4百万円等により、総額64百万円の設備投資を実施しております。設備投資資金は自己資金および借入金で賄っております。

  また、翌連結会計年度については、車輌の代替え、既存の機械・システム等の入替え等を見込んでおります。設備投資資金は自己資金および借入金で賄う予定であります。

 

⑥ 経営者の問題意識と今後の方針について

  経営者の問題意識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得

お知らせ

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得