業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(以下「NXグループ」という。)が判断したものになります。

なお、当社は、第116期より決算期(事業年度の末日)を3月31日から12月31日に変更し、NXグループの決算期を12月31日に統一しております。決算期変更の経過期間となる当連結会計年度の期間は9ヶ月となります。このため、(1)経営成績について、損益に関する対前期増減額及び増減率については、記載しておりません。

 

(1)経営成績

当連結会計年度の世界経済は、主要先進国でのワクチン接種が進んだことによる経済活動の再開や財政支援等により、新型コロナウイルス感染症による経済的影響が縮小した結果、日本を含む主要国経済では景気回復傾向が持続しましたが、依然として、多くの新興国、途上国では感染拡大に伴う経済活動制限による影響が残っており、変異株による感染再拡大や世界的なインフレ率上昇、資源価格の高騰などによる景気後退リスクも加わって、先行き不透明な状況の中、総じて厳しい経営環境となりました。

このような経済情勢の中、物流業界においても、昨年大きく落ち込んだ荷動きは、日本を含む世界各国における生産、販売活動の再開により回復傾向が持続しており、米国を中心に消費財などの需要拡大に伴うアジア各国からの輸送量が急拡大し、米国、中国が牽引する形で国際貿易も回復に転じました。

日本国内においても、新たな生活様式等に伴うECとデジタル関連商材への需要拡大や、化学、非鉄金属、生産用機械、電気機械等の需要が年度を通じて堅調に推移いたしました。一方、自動車産業等において、世界的な半導体不足や感染拡大に伴うロックダウンによる海外などからの部品調達の停滞により、生産調整が行われたことや、個人消費全体が足踏み状態となったことから、全体としての荷動きは力強さに欠ける状況で推移いたしました。

また国際輸送においては、世界的な荷動きの急回復に伴う海上コンテナ不足と、米国を中心とした海上コンテナとコンテナ船の滞留が重なったことで、世界的なスペース不足と海上運賃の高騰に更なる拍車をかけ、本船スペース、コンテナ不足による需給逼迫が続く状況となりました。航空貨物輸送においても、国際旅客便の運休や減便が継続していることで慢性的なスペース不足となっており、航空運賃も高騰する状況となりました。

 

NXグループは、このような経営環境のもと、2019年4月にスタートいたしました5年間の経営計画「NXグループ経営計画2023~ 非連続な成長“Dynamic Growth”~」における3年目となり、足元の経営基盤を強化しながら、2021年度中間目標に定めた各種指標の達成と、2037年の創立100周年に向けたありたい姿として掲げる「グローバル市場で存在感を持つロジスティクスカンパニー」という長期ビジョン実現に向け、グループ一丸となって取組んでまいりました。

 

[事業の成長戦略]

  「コア事業の成長戦略」については、ワンストップ営業、アカウント営業を推進してきた結果、グローバルな営業体制が整いつつあり、営業戦略の中核に「グローバルアカウントマネジメント」を据え、営業体制、組織の更なる強化に取組んでおります。「お客様の考える価値」を見極め、お客様のニーズにあった商品やサービスを提供することで、顧客(産業)軸アプローチを強化し、併せて事業軸、エリア軸の強化に繋げていくことで、コア事業の成長に繋げてまいりました。高齢化する社会に対応する医薬品産業や、国家事業として基盤強化が図られる半導体産業など、今後の拡大が見込まれる産業のサプライチェーン領域に新たな成長を求め、継続的な事業強化を続けてまいりました。

 世界的な荷動きの急回復による国際貿易の旺盛な需要により、特に国際フォワーディングと海外事業は好調に推移しましたが、日本国内においては、生産の停滞や、緊急事態宣言などの影響により低迷した貨物輸送需要は年度の途中より徐々に回復に向かうも、取扱数量は総じて低調に推移いたしました。

 

 

 

  「顧客(産業)軸」「事業軸」に関する各種KPIの進捗は以下のとおりです。

 

項目

(売上高)

日本

海外

2021年

1月~12月実績

2020年

1月~12月実績

対前同

増減率

2021年

1月~12月実績

2020年

1月~12月実績

対前同

増減率

電機・電子産業の

取組強化

1,123億円

943億円

19%

1,865億円

1,352億円

38%

自動車産業の

取組強化

854億円

625億円

37%

1,081億円

697億円

55%

アパレル産業の

取組強化

155億円

165億円

△6%

787億円

531億円

48%

医薬品産業の

取組強化

159億円

144億円

10%

241億円

133億円

81%

半導体関連産業の

取組強化

285億円

192億円

48%

167億円

94億円

79%

 

 ※国内実績、KPI数値は、日本通運個別のみ。

 

項目

(フォワーディング数量)

2021年

1月~12月実績

2020年

1月~12月実績

対前同

増減率

海上フォワーディングの

拡大※1

75万TEU

66万TEU

13%

航空フォワーディングの

拡大※1

97万t

72万t

35%

項目

(売上高)

2021年

1月~12月実績

2020年

1月~12月実績

対前同

増減率

非日系顧客の拡大

(GAM・GTA) ※2

741億円

406億円

82%

 

※1.実績、増減率は四捨五入し記載

※2.GAMとは、Global Account Managementの略。GTAとは、Global Target Accountsの略。

 

  「日本事業の強靭化戦略」につきましては、NXグループ事業の核となる日本国内物流事業の収益性の更なる改善と経営基盤の強化に向け、国内組織の大括り化により間接部門人員の再配置を進め、先端技術導入による業務効率化や生産性の向上に努めるとともに、CSR経営の強化と営業戦力の増強も進めてまいりました。また、グループ内作業戦力の最大活用による外注費の抑制と、徹底したコストコントロールに努めてまいりました。

 

  「日本事業の強靭化戦略」に関する各種KPIの進捗は以下のとおりです。

 

日本事業強靭化
戦略

項目

 2019年度
 実績

2020年度
 実績

2021年度実績
(4月~12月)

累計

(2019年4月~ 2021年12月)

経営計画

2023年度目標(5年累計)

組織の大括り化・

管理組織の
スリム化

支店間接部門

人員の再配置

 △11億円
 (△124名)

 △14億円
 (△156名)

△33億円
 (△375名)

 △45億円
 (△500名)

本社人員の

再配置

 △8億円
 (△91名)

△0.4億円
(△4名)

事務プロセスの
改革

超勤

(事務系社員)

△11億円

△13億円

5億円

△29億円

△50億円

人材派遣費

(事務系)

1億円

△10億円

△2億円

合計

△20億円

△45億円

3億円

△63億円

△95億円

 

 

 

[長期ビジョン実現のための取組み]

「取組みを支える機能の強化」における「IT戦略のイノベーション」では、情報セキュリティ強化や事務生産性に貢献する更なるRPA普及を進めると共に、コロナ禍におけるニューノーマルへ対応するコミュニケーション基盤の整備を推進いたしました。

「持続的成長と企業価値向上のためのESG経営」については、グループ全体として持続的に成長していくために、純粋持株会社(ホールディングス)体制移行への準備に取り組むとともに、ホールディングス体制移行に併せ、ブランド強化のためにブランドアイデンティティーを導入し、2022年1月4日より、NXグループとして、グローバルなブランディングを展開すべく準備を進めてまいりました。また、CО2排出量削減等の環境経営の更なる推進に加え、ダイバーシティの前提となる、長時間労働の撲滅、有給休暇取得の取組みとともに、柔軟な働き方の実現に向けた各種取組みの推進を通じてワークスタイルの変革への挑戦にも努めてまいりました。また、物流センターの流動化スキームによる資産の圧縮と拠点整備の両立や、リース事業の非連結化など、事業ポートフォリオの見直し等による資本効率向上への取組みに加え、グループ経営体制の強化に向けた各種検討も進めてまいりました。

 

この結果、 売上高は1兆7,632億円 営業利益は687億円経常利益は736億円親会社株主に帰属する当期純利益は540億円となりました。

なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等の適用により、売上高は596億円減少しておりますが、営業利益、経常利益、及び親会社株主に帰属する当期純利益に与える影響は軽微であります。

 

報告セグメントの業績概況は以下のとおりであります。

 

(売上高の明細)

セグメントの名称

前連結会計年度
(自 2020年4月 1日
  至 2021年3月31日)
(百万円)

当連結会計年度
(自 2021年 4月 1日
  至 2021年12月31日)
(百万円)

増 減
(百万円)

増減率(%)







日本

1,212,803

1,008,278

米州

78,141

86,650

欧州

117,134

132,834

東アジア

143,689

178,079

南アジア・
オセアニア

114,738

146,838

警備輸送

69,239

51,361

重量品建設

45,877

35,806

物流サポート

447,837

267,132

2,229,462

1,906,981

調整額

△150,266

△143,699

合計

2,079,195

1,763,282

 

 

(セグメント利益(営業利益又は営業損失(△))の明細)

セグメントの名称

前連結会計年度
(自 2020年4月 1日
  至 2021年3月31日)
(百万円)

当連結会計年度
(自 2021年 4月 1日
  至 2021年12月31日)
(百万円)

増 減
(百万円)

増減率(%)







日本

51,981

37,966

米州

487

5,273

欧州

3,404

6,401

東アジア

8,445

5,033

南アジア・
オセアニア

9,879

13,001

警備輸送

△907

143

重量品建設

5,219

4,996

物流サポート

13,645

7,730

92,156

80,545

調整額

△14,055

△11,791

合計

78,100

68,754

 

(注)当社は、2021年度より決算期を3月31日から12月31日に変更しており、前連結会計年度は、当社及

び3月決算の連結子会社については2020年4月1日から2021年3月31日まで(12ヶ月間)の損益を、従来より12月決算の連結子会社については、2020年1月1日から2020年12月31日まで(12ヶ月間)の損益を基礎として連結しておりましたが、当期は、当社及び全ての連結子会社について2021年4月1日から2021年12月31日まで(9ヶ月間)の損益を連結しております。

このため、対前連結会計年度増減額及び増減率については記載しておりません。

 

①日本(ロジスティクス)

航空貨物、海運貨物の取扱が増加したこと等により、売上高は1兆82億円となりました。一方、航空・船舶利用費や燃油単価の上昇等により、営業利益は379億円となりました。

②米州(ロジスティクス)

航空貨物の取扱が増加したこと等により、売上高は866億円となり、営業利益は52億円となりました。

③欧州(ロジスティクス)

航空貨物及び倉庫配送の取扱が増加したこと等により、売上高は1,328億円となり、営業利益は64億円となりました。

④東アジア(ロジスティクス)

航空貨物の取扱が増加したこと等により、売上高は1,780億円となりましたが、航空利用費が増加し、営業利益は50億円となりました。

⑤南アジア・オセアニア(ロジスティクス)

航空貨物、海運貨物の取扱が増加したこと等により、売上高は1,468億円となり、営業利益は130億円となりました。

⑥警備輸送

設定便、集配金業務の減少等により、売上高は513億円となり、各種コスト削減等の効果により営業利益は1億円となりました。

⑦重量品建設

プラント関連工事の減少等により、売上高は358億円となり、営業利益は49億円となりました。

⑧物流サポート

石油販売単価が上昇したことに加え、物流機器販売が堅調に推移しましたが、リース事業の分社化や、当連結会計年度の期首より収益認識に関する会計基準等を適用したこと等により、売上高は2,671億円となり、営業利益は77億円となりました。

 

 なお、NXグループの取り扱う輸送手段は多岐にわたるとともに、実運送や利用運送も行っており、セグメント情報に関連付けて、輸送手段ごとの販売実績の的確な表示を行うことは困難であります。

 このため生産、受注及び販売の状況につきましては、上記セグメントの業績に示しており、記載を省略しております。

 

(2) 財政状態

当連結会計年度末の総資産は 1兆6,182億円 となり、 前連結会計年度末に比べ136億円 0.8%減 となりました。

流動資産は 7,085億円 前連結会計年度末に比べ632億円 8.2%減 、固定資産は 9,096億円 前連結会計年度末に比べ496億円 5.8%増 となりました。

流動資産減少の主な要因は、リース事業の吸収分割に関連した短期貸付金の減少等によるものです。

固定資産増加の主な要因は、有形リース資産の増加等によるものです。

当連結会計年度末の負債合計は 9,612億円 前連結会計年度末に比べ698億円 6.8%減 となりました。

流動負債は 4,748億円 前連結会計年度末に比べ406億円 7.9%減 、固定負債は 4,864億円 前連結会計年度末に比べ292億円 5.7%減 となりました。

流動負債減少の主な要因は、リース事業の吸収分割に関連した短期貸付金の減少等に伴う短期借入金、コマーシャル・ペーパーの減少等によるものです。

固定負債減少の主な要因は、長期借入金の減少等によるものです。

当連結会計年度末の純資産は 6,569億円 前連結会計年度末に比べ562億円 9.4%増 となりました。

純資産増加の主な要因は、利益剰余金の増加等によるものです。

 

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、 1,318億円 で、 前連結会計年度末に比べ365億円減 となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは 440億円の収入 となり、 前連結会計年度に比べ1,025億円 収入が減少しました。その主な要因は、未払消費税等のその他債務の支払い等に伴う減少、決算期変更に伴う賞与引当金の減少によるものです

投資活動によるキャッシュ・フローは 1,014億円の収入 となり、 前連結会計年度に比べ1,507億円 収入が増加しました。その主な要因は、リース事業の吸収分割に関連した貸付金の回収による収入が増加したこと等によるものです。

財務活動によるキャッシュ・フローは 1,968億円の支出 となり、 前連結会計年度に比べ1,732億円 支出が増加しました。その主な要因は、リース事業の吸収分割に関連した貸付金の回収による収入が増加したことに伴うコマーシャル・ペーパーの償還等に加え、社債の発行による収入が減少したこと等によるものです。

  

NXグループの資本の財源及び資金の流動性につきまして、NXグループの主要な資金需要は、利用運送費、燃油費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びにNXグループの設備の新設、改修等に係る投資であります。

これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金のほか、金融機関からの借入及び社債発行等による資金調達にて対応していくこととしております。

手許の運転資金につきましては、当社及び一部の連結子会社においてCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入することにより、各社における余剰資金の一元管理を行うことで、資金効率の向上を図っております。

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

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