課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、「人を大切にすることを基本理念とし、お客様にとってなくてはならない存在としての山九を築きます。そして、社業の発展を通じて社員の福祉向上並びに社会の発展に貢献します。」とする経営理念のもと、各事業分野における豊富な実績と、技術・技能に裏付けられた質の高いサービスを提供することにより、お客様・株主・従業員・社会(地域)から信頼を獲得し、世の中から選ばれる企業であり続ける事を目指してまいります。

 

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 (2) 中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題

企業を取巻く経営環境は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、人々の社会生活や経済活動を一変させる中、多くの製造業で今後もサプライチェーンへの影響が続くことが予想されます。また、差し迫る気候変動リスクや国内の人口減少、デジタルトランスフォーメーションの進展、世界的な政治・地政学リスクなども踏まえ、今後、企業はグローバルな生産・供給体制の再編や事業構造の見直しが行われると予想され、リスク管理や効率性の面から様々な対応が必要とされることが考えられます。

このような状況を踏まえ、中期経営計画を2年間延長し「中期経営計画2020+」として以下の4点に重点を置き、急激な事業環境変化に対応できる体制を構築し、ソリューション企業としてグローバルに「お客様から選ばれる企業であり続ける」ことを目指してまいります。

 

 ① 基盤強化

世の中がどのように変化しても、人を大切にする当社にとって「安全」が最優先であり、事業の根幹です。そして、これまで培った技術・技能・現場力を磨き続け、高品質なサービスを提供すること、コンプライアンス遵守を徹底することが、お客様からの信頼のベースとなります。当社グループの強みである現場力・管理力を向上させ、ハード・ソフトの両面から「安全・品質・コンプライアンス・リスク管理」の強化を図り、お客様の信頼向上と事業の安定化に繋げてまいります。また、グローバルに事業が拡大する中で、山九品質を世界に浸透させるとともに、グループガバナンス体制を強化し、当社がお客様から選ばれ続けるための基盤を固めてまいります。

 

  ② 人財強化

当社グループが提供している物流事業、機工事業のサービスは、「人」が生み出す力であり、人財の確保・育成は最も重要な課題と認識しております。日本国内においては、既に人手不足の問題が顕在化しており、当社グループ全体で計画的に必要な人財を採用し、その教育に力を注いでまいります。これまで脈々と培ってきた技術・技能・ノウハウを伝承し、現場力を強化することで更に高品質なサービスを提供してまいります。

特に機工事業の工事やメンテナンスにおいては、必要なときに必要な人財を組織的に供給することができる「動員力」が当社グループの強みであり、関係会社を含めた当社グループと、各事業における協力会社との連携をより強固なものとし、全国において要員の流動化を図りながら、他社を圧倒する「動員力」の維持・拡大に努めてまいります。また、グローバルに人財の確保と育成を推進し、高い技術・技能を持った人財を適材適所に配置し、更に国境を越えた人財の流動化を図ることで、変わりゆくお客様のニーズに柔軟に対応できる体制を構築してまいります。

 

 ③ 収益力向上

国内外の各部門において費目別の原価率管理を徹底すること、また、省人化・機械化等による生産性向上を図ることにより、マーケットにおいて「勝てる原価作り」を推進してまいります。構内作業に代表されるように、いつもお客様のそばに寄り添って事業を営んでいる強みを活かし、お客様のニーズを見極め、適正な価格でご満足いただけるサービスを提供してまいります。

物流事業における国内外の倉庫や、機工事業における大型クレーン、ユニットドーリなど、戦略的に行っている設備投資に関しては、その機能を十分に活かした高付加価値なサービスを提供することで、投資の早期回収を図っていくとともに、不採算作業の高収益作業への転換・切替えを推進し、グループ全体で収益性の向上に努めてまいります。

 

 ④ 事業領域の確保・継続

お客様の大きな変化が見込まれる中においても、我々の事業領域を確保・継続し、新たな事業の拡大を図るため、「高度化」、「深化」「一括化」「グローバル化」の4つの施策により競争力の強化を図ってまいります。

1点目の施策として、専門性の強化や省力化で付加価値を創造し、事業の「高度化」を進めてまいります。操業とメンテナンスを一体化したサービス体制の構築、医療・危険物など専門性が必要な付加価値の高い物流サービスへの対応強化等を図って参ります。また、これまでに培った強みを活かし、再生エネルギーや環境関連等の分野にも積極的に進出してまいります。

2点目は、お客様工程の請負や計画からの参画による既存事業の「深化」を進めてまいります。機工事業においてはメンテナンスやプロジェクト案件など、お客様のアウトソーシングニーズに対応できる技術力を磨き、計画段階からお客様のサポートを行っていくことで、確実な案件獲得に繋げると共に新たな事業領域の拡大を図ってまいります。物流事業においては、物流診断やお客様の業務設計からサポートすることで幅広いニーズへの対応を図ってまいります。

3点目は、3PL、3PM(一括メンテナンス)の拡大、「山九のユニーク」の推進による「一括化」を進めてまいります。長期ビジョンにおいてコア事業に掲げている、「プラント・エンジニアリング(機工)」、「オペレーション・サポート(工場構内サービス)」、「ロジスティクス(物流)」、3事業のそれぞれが強みを磨くとともに各事業が連携し、工場建設から構内における操業・メンテナンス、原材料や製品の物流まで、ワンストップのサービスを提供することができる「山九のユニーク」を推進してまいります。

4点目は、「グローバル化」の推進です。海外において需要が高まっているプラントの建設やメンテナンスについては、日本で培ったノウハウを海外に展開できるよう海外ナショナル社員を育成する施設の整備を進め、サービスレベルの高度化に繋げてお客様のグローバルニーズへの対応力を強化してまいります。物流事業においては、自由貿易の拡大に対応すべく、グローバルネットワークを活かして日本と各現地法人において確実に輸出入作業を獲得することで国際物流事業領域の維持および拡大を図り、お客様のグローバルサプライチェーンマネージメントに貢献するための積極的な提案営業を行ってまいります。

 

  (3) 目標とする経営指標

当社グループは、引き続き 「営業利益率5.0%以上」「D/Eレシオ0.6以下」の維持を掲げ、常にお客様から選ばれるため 持続的な成長を図るとともに安定した財務体質を維持してまいります。

 

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