業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染に関する緊急事態宣言の再発出や、まん延防止等重点措置の期間延長等の影響もあって、経済活動は依然不安定な状況が続いたなかで、ロシアによるウクライナ侵攻をはじめ、地政学的リスクの高まり懸念もあり、先行きは極めて不透明な状況が続いております。

 当社グループの主要な事業であります物流関連業界におきましては、緊急事態宣言の解除やワクチン接種が進んだこともあり、貨物輸送量は回復するものと期待をしておりましたが、世界的な原材料等の価格高騰や半導体不足による生産活動の停滞の影響もあって、期待したほどの増加は見込めませんでした。そうしたなかで、原油価格の高騰や、労働時間の規制対応に向けた労働環境の改善等の課題も多く、当社グループを取り巻く経営環境は非常に厳しい状況が続いております。

 このような状況のもと、当社グループでは、最終年度となります中期経営計画(スローガン:「エスラインブランドの価値向上“Think next Value”」)の経営目標達成と企業価値の向上に向けて、グループ一丸となって取り組んでまいりました。

 この結果、当連結会計年度の業績は、営業収益482億54百万円(前年同期比1.0%増)、営業利益13億14百万円(前年同期比12.6%減)、経常利益14億31百万円(前年同期比12.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は9億66百万円(前年同期比0.5%減)となりました。

なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。詳細については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。

 

セグメント別の業績は、次のとおりであります。

[物流関連事業]

 物流関連事業の主な事業収益は、貨物自動車運送事業、倉庫業、自動車整備事業、情報処理サービス業、損害保険代理業等があります。また、主なサービス部門として「輸送サービス」「物流サービス」「ホームサービス」があります。

 トラックによる企業間輸送を主とする「輸送サービス部門」におきましては、当社の主力事業であります特別積合せ貨物運送事業における貨物輸送量が、第1四半期は、前期に比べて増加傾向となったものの、第2四半期以降は、度重なる緊急事態宣言の発出や、まん延防止等重点措置の期間が長期に亘った影響で経済活動の停滞が続いたため、企業間の取り扱い貨物量は回復しないまま、低調に推移いたしました。

 こうしたなか、小口貨物の減少を補うため、中部地区では、近郊グループ会社の車両の有効活用により、小・中ロットの積合せ貸切輸送や新規取引先の開拓などに取り組むために、「配車センター」を立ち上げ営業活動を強化したことや、阪神港湾地区における輸入貨物の配送を専門に行う「阪神港湾センター」では、輸入コンテナ貨物の受け入れや専門輸送業務にも積極的に取り組んだことにより、貸切貨物の輸送量が大幅に増加しました。また、適正運賃収受に向けた営業活動や、さらなる輸送ニーズの掘り起こしに加え、原油価格の高騰に伴う燃料サーチャージの収受にも努めた結果、輸送サービス部門全体では増収となりました。

 商品保管や物流加工を行う「物流サービス部門」におきましては、前期は中部地区を中心に新たな物流センターを新設し、商品の保管から配送までを一貫して行う物流サービスの取扱量の拡大を図るための営業活動を行いましたが、今期は愛知県大口町に小牧物流センターを稼働いたしました。この施設では、「物流サービス機能」と「輸送サービス機能」を主とする2つの事業会社が、お互いの特長を活かすことにより、協業して商品の保管から配送までを一貫して作業を行っており、当社グループでは初めての試みとなる「物流センター」であります。このような複数の物流センターの稼働により、庫腹量が増加したことで、コロナ禍での巣篭り関連商品である部屋着や日用雑貨品、菓子類等の保管や加工業務が順調に推移いたしました。反面、海外からのアパレル商品が、世界的なコンテナ不足により、予定していた商品の入荷が遅れること等もあって、期待したほどの収入の確保には至りませんでした。しかしながら、物流サービス部門全体では増収となりました。

 大型貨物の個人宅配を行う「ホームサービス部門」におきましては、新規取引先の開拓や、運賃改定に取り組みましたが、前期の特別給付金支給による白物家電を中心とした買い替え特需の反動もあって、低調な推移となりました。

 また、引越しサービスにおきましては、上期は、外出をはじめとする移動制限等の影響により、個人の引越しや、法人関係の事務所引越しが、低調に推移いたしました。下期は、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の解除もあって、転勤に伴う引越しが回復しましたが、上期の減少分を補えるほどの伸びは無く、ホームサービス部門全体では減収となりました。

 以上の結果、物流関連事業全体では、僅かな増収となりました。

 

 一方、利益面では、効率的な運行コースの設定や省エネ運転等による燃料の使用量の削減、運行コースや配送コースの見直し等あらゆる諸経費について削減に取り組みましたが、燃料価格の高騰や慢性的なドライバー不足による外注費用が大きく増加した結果、減益となりました。

 この結果、物流関連事業の営業収益は474億89百万円(前年同期比1.0%増)、セグメント利益(営業利益)は16億41百万円(前年同期比8.3%減)となりました。

[不動産関連事業]

 不動産関連事業におきましては、当社グループ各社にて保有している不動産の有効活用を図るために、外部への賃貸事業を営んでまいりました。

 この結果、不動産関連事業の営業収益は4億48百万円(前年同期比0.2%減)、セグメント利益(営業利益)は2億41百万円(前年同期比2.9%増)となりました。

[その他]

 その他事業におきましては、主に、旅客自動車運送事業および売電事業を営んでおります。旅客自動車運送事業におきましては、緊急事態宣言の解除に伴い、クラブ・サークル活動等の遠征や冠婚葬祭時の送迎業務が一部回復したことで、増収となりました。

 また、売電事業におきましては、㈱エスラインギフの名古屋第1・第2センター、豊橋支店、豊田支店、豊田センターおよび㈱スリーエス物流の本社第1センターの計6か所で発電を行っております。(総発電量1,333.96kW)

 この結果、その他事業の営業収益は3億16百万円(前年同期比2.6%増)、セグメント利益(営業利益)は62百万円(前年同期比17.6%減)となりました。

 

 財政状態につきましては、当連結会計年度末の連結資産合計は416億43百万円(前連結会計年度末408億8百万円)となり、前連結会計年度末比8億35百万円増加しております。この主な要因は、有形固定資産の取得による増加であります。

また、連結負債合計は159億82百万円(前連結会計年度末158億86百万円)となり、前連結会計年度末比96百万円増加しております。この主な要因は、借入の実行による増加と流動負債のその他の減少、未払法人税等の減少によるものであります。

連結純資産合計は256億60百万円(前連結会計年度末249億22百万円)となり、前連結会計年度末比7億38百万円増加しております。この主な要因は、利益剰余金の増加と退職給付に係る調整累計額の増加によるものであります。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末より1億10百万円資金が減少し、38億24百万円となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、27億29百万円の収入(前年同期は27億22百万円の収入)となりました。この主な要因は、税金等調整前当期純利益と減価償却費の計上による収入であります。

投資活動によるキャッシュ・フローは、36億28百万円の支出(前年同期は41億61百万円の支出)となりました。この主な要因は固定資産の取得による支出であります。

財務活動によるキャッシュ・フローは、7億88百万円の収入(前年同期は15億90百万円の支出)となりました。この主な要因は借入の実行による収入と借入金の返済、配当金の支払による支出であります。

 

(キャッシュ・フローの指標)

 

 

2021年3月期

2022年3月期

自己資本比率

(%)

61.07

61.62

時価ベースの自己資本比率

(%)

24.15

23.73

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

当社グループの扱う輸送商品は単一ではなく、輸送距離もまちまちであり、また受注形態をとらない事業で、セグメントごとに生産規模および受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(a) 経営成績等

(イ) 財政状態

当連結会計年度末の財政状態につきましては、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

(ロ) 経営成績

当連結会計年度の経営成績につきましては、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

(b) 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの経営に影響を与える大きな要因として、収益の動向と費用の動向が上げられます。

収益の動向は、輸送サービス部門におきましては、コロナ禍において個人宛の宅配貨物量は好調を維持しているものの、当社の主力であります企業間物流における特積み貨物の輸送量は、度重なる緊急事態宣言の発出等により経済活動の停滞が続いたこともあり、低調に推移いたしました。一方、貸切貨物の輸送量に関しては、中部地区における貸切輸送の営業活動を強化し、さらに、阪神港湾地区における輸入コンテナ貨物の受け入れや専門輸送業務に取り組んだことで大幅に増加し、増収となりました。物流サービス部門におきましては、海外からのアパレル商品において、世界的なコンテナ不足により、予定していた商品の入荷が遅れること等もあり、期待したほどの伸びはなかったものの、物流センターの建築により庫腹量が増えたこともあり、巣篭り商品の保管・加工業務が順調に推移し、増収となりました。ホームサービス部門におきましては、前期の特別給付金支給による白物家電を中心とした買い替え特需の反動等の影響が大きく、減収となりました。この結果、営業収益は2期ぶりの増収となりました。

費用の動向は、省エネ運転等による燃料の使用量の削減に努めましたが、原油価格の高騰の影響が大きく、燃料費が大幅に増加いたしました。また、運行・配送コースの見直しを行うことで、効率化に向けて取り組みましたが、慢性的なドライバー不足により、外注費用が増加いたしました。その結果、費用も増加いたしました。

この様な取り組みの結果、営業収益の増加分以上に、費用が増加したことで、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は共に減益となりました。

当連結会計年度におけるROEは3.82%(目標比2.68ポイント)、自己資本比率は61.62%(目標比+11.62ポイント)であり、ROEは目標未達成、自己資本比率は目標達成となりました。引き続き当該指標の改善に取り組んでまいります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(a) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

(b) 資本の財源及び資金の流動性

(イ) 資金需要

当社グループの資金需要につきましては、営業活動については、営業活動に必要な運転資金が主要なものであります。投資活動については、車両運搬具の購入、事業伸長・生産性向上および新規事業立上げを目的とした設備投資が主要なものであります。

今後、成長分野に対しては必要な設備投資をしていく予定であります。全体的には、将来見込まれる成長分野での資金需要も見据え、最新の市場環境や受注動向も勘案し、資産の圧縮および投資案件の選別を行っていく予定であります。

(ロ) 資金調達

当社グループは、運転資金、投資資金についてはまず営業キャッシュ・フローで獲得した資金を投入し、不足分について有利子負債の調達を実施しております。

長期借入金等の長期資金の調達については、事業計画に基づく資金需要、金利動向等の調達環境、既存借入金の償還時期等を考慮の上、調達規模、調達手段を適宜判断して実施していくこととしております。

一方で、有利子負債を圧縮するため、キャッシュマネジメントシステムにより当社グループ内での余剰資金の有効活用を図っており、また、売上債権や固定資産の稼働向上等を通じて資産効率の改善にも取り組んでおります。

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。

 

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