文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社は、会社設立以来、社是「和」のもと、「法の遵守」、「社会貢献」、「環境と顧客の優先」、「全員参加」を経営の基本理念として掲げ、「ときめき(自主性)、ひらめき(創造性)、こだわり(独自性)」の精神を持って、事業運営に取り組み、「エスラインブランドを築く」ことを経営のビジョンとしております。今後につきましても株主の皆様をはじめ取引先、社員、地域社会等ステークホルダーとの深い信頼関係に基づき、着実な事業の発展と企業価値の安定的な向上に注力してまいりたいと考えております。
(2) 中長期的な経営戦略に基づく取組み
当社は、多数の投資家の皆様に長期的に継続して当社に投資していただくため、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を向上させるための取り組みとして、次の施策を実施しております。これらの取り組みは、「第4 提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等(1)コーポレート・ガバナンスの概要⑦株式会社の支配に関する基本方針について」の会社の支配に関する基本方針の実現に資するものと考えております。
当社は、陸軍統制令や終戦により統合・分離を経て、1947年に「岐阜トラック運輸株式会社」として設立以来、貨物自動車運送事業を中心として、全国配送に向けた輸送路線網の充実や拠点の整備、大量高速輸送時代に先駆けたトレーラー輸送の開始、Sライン日本グループによる全国輸送ネットワーク体制の確立、業界初のオンラインシステム(スリーエスシステム)の稼動、子会社化方式による輸送周辺領域業務の取り組み等、お客様の様々なニーズにお応えすべく注力してまいりました。
また、当社は、グループ体制のさらなる発展と結束力の強化、収益力の向上、また、各事業会社の迅速な意思決定と環境変化にも機動的かつ柔軟な対応を図ることにより企業価値を高めることを目的として、会社分割によって2006年10月に純粋持株会社体制に移行し、現在に至っております。
当社グループは、貨物自動車運送事業のうち、主に小口商業貨物輸送(特別積合せ)事業を営むエスライングループ8社と、地域や顧客に特化した物流サービス全般を行う事業会社10社および損害保険代理業や産地直送品販売を行う事業会社2社からなるスワローグループ12社の合計20社で構成され、札幌から鹿児島までを結ぶ路線内に支店・営業所を有しておりますが、主には東京から福岡までの太平洋ベルト地帯を事業基盤としてトラック輸送を中心とした物流関連事業を営んでおります。
当社は、持株会社体制への移行により、貨物自動車運送事業、倉庫業、物品販売事業、情報処理事業、自動車整備事業等、輸送事業とその関連周辺分野を中心とした事業領域において経営資本を投下し管理体制を敷き、事業の効率化と生産性向上を推進することにより、当社グループの一層の利益体質の確立と企業価値の向上を図り、総合物流企業としてさらなる発展と飛躍を目指して、日々注力しております。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
<当社の中期経営計画>
① 名称
“ありがとう創造計画”
② 計画期間
2022年4月1日から2025年3月31日(3か年)
③ 中期経営計画のテーマ
長期ビジョンで目指す事業像『商品を送る安心と、受け取る嬉しさをつなぐ、ありがとう創造企業』を実現するために、『荷物を運ぶ、保管する、その最適な方法をお客様とともに考える事で、お客様に「ありがとう」と思われる会社』になる。また、『働き方改革を通じ、社員からも「ありがとう」と思われる会社』になる、といった、たくさんの「ありがとう」を創造する3か年計画とする。
④ 中期経営計画の方針
(a) 規模の拡大
(イ)コロナ禍からの輸送需要回復を着実に取り込むとともに、新たな荷主開拓・荷主層再編を継続して取り組み、確固たる収益基盤を築く。
(ロ)特定の輸送・物流サービス(取扱商品、荷主層、地域、運送形態)を対象に、推進体制を重点的に強化し、持続的成長に向けた成長エンジンとする。
(b) 質の向上
(イ)基幹システムリニューアルとあわせた、輸送サービスにおけるDX推進、倉庫の省人化・効率化投資の積極推進など、次世代を見据えた最新技術導入を推進し、提供サービス・オペレーションをより洗練させる。
(ロ)当社グループとしての研修・人材育成強化に加え、採用・人材育成に資する新規事業を立ち上げ(例:研修会社、保育所)、当社における人材の質のさらなるレベルアップのためのインフラを整備する。
(c) 推進体制・基盤の強化
(イ)当社が中心となってグループ各社を統括・牽引する姿を目指し、持株会社機能を見直し、グループとしての推進体制を再構築する。
(ロ)業績管理の中核である事業セグメント別業績管理について、基準、システム、運用ルールの面から再構築を図り、正確な情報を提供できる姿を実現する。
⑤ 事業分野別の取組方針
(a) 輸送サービス分野
(イ)当社グループの中核事業である特積事業は、コロナ禍からの物量回復を確実に取り込むとともに、採算性への意識改革やDX取組を通じた収益性改善を実現する。
(ロ)貸切事業、輸出入貨物の取引等、さらなる需要掘り起こしを企図し、推進体制を強化する。
(b) 物流サービス分野
(イ)関東エリアにおける倉庫拠点網拡大、営業体制強化による収益力拡大を図るとともに、近年中部エリアに新設・大幅改修した倉庫拠点の稼働率を向上させ、収益の柱として確立する。
(ロ)倉庫の省人化・効率化を積極的に推進し、倉庫オペレーションのさらなる高度化・専門化を追求する。
(c) ホームサービス分野
当社toC物流として位置付けられる大型商品(家電)配送事業と引越事業は、推進体制を拡大・強化し、配送品質を向上させる事で、さらなる収益拡大を図る。
(d) 流通分野(新規事業)
(イ)流通機能(受発注、代金決済機能、需要予想)を拡充し、システム提供、運用支援、輸送・保管と組み合わせた流通機能の一貫提供により、流通ソリューション企業としての足掛かりを作る。
(ロ)本業の人材育成・採用強化に貢献し、過度な投資を必要としない事業を新規事業の有力候補と位置づけ、事業化を推進する。
(ハ)長期ビジョン実現に向けた課題であるEC物流への取り組みを図るために、ECサイト構築への試行や、ESG取組(社会貢献)の一環として、地域配送サービスの展開に向けた商品配送についての研究も推進する。
(e) ESGの取り組み
(イ)持続可能な社会の実現、中長期的な企業価値の向上を目指して、環境・社会に配慮した事業運営に取り組む。また、グループ経営力を高めるためのガバナンス強化を推進する。
(ロ)企業市民として、地域清掃や安全指導等の地域貢献活動に取り組む。
⑥ 経営目標
|
2025年3月期(最終年度) |
営業収益 |
540億円 |
経常利益(利益率) |
21億6千万円(4.0%) |
ROE |
5.0% |
(4) 経営環境と対処すべき課題
今後の見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染症に対する予防接種の浸透や治療薬の開発が進むことにより、経済活動も回復に向かうものと期待しておりますが、完全な終息には、まだ相当な時間がかかると思われます。そうしたなか、物流関連業界におきましては、コロナ禍での様々な対応により、商品の流通形態は実店舗での購買からネット環境へと消費様式が変化し、個人への宅配輸送量は増加したものの、企業間物流の輸送量は伸び悩む状況となっております。また、改正労働法施行による残業時間の規制強化に伴う労働環境の改善への取り組みによる人件費の増加、物流施設内作業の省力化・自動化のためのシステム費の増加、燃料費の高騰や車両価格の値上げ等、数多くのコスト増加要因が見込まれ、当社を取り巻く経営環境は引き続き厳しい状況が続くものと予想されます。
こうしたなか、当社は中期経営計画の策定にあたり、長期ビジョンで目指す事業像『商品を送る安心と、受け取る嬉しさをつなぐ、ありがとう創造企業』の実現のために、『荷物を運ぶ、保管する、その最適な方法をお客様とともに考える事で、お客様に「ありがとう」と思われる会社』になる。また、『働き方改革を通じ、社員からも「ありがとう」と思われる会社』になる、といった、たくさんの「ありがとう」を創造する3か年(計画期間:2022年4月1日から2025年3月31日)とする中期経営計画を策定いたしました。
その中期経営計画では、
① 規模の拡大
② 質の向上
③ 推進体制・基盤の強化
の3つの基本方針と、「輸送サービス分野」「物流サービス分野」「ホームサービス分野」の各分野に「流通分野」を新規事業として加え、取り組むこととしました。また、「ESG」の取り組みについても推進し、さらなる企業価値の向上に取り組んでまいります。
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