当連結会計年度における日本経済は、新型コロナウイルスの感染対策の徹底及びワクチン接種の普及と共に経済活動や消費行動に回復の動きがみられました。一方でエネルギーコストの上昇や原材料価格の上昇傾向、ウクライナ情勢の影響も加わり先行きは依然として不透明な状況にあります。
当社グループが主軸をおく低温食品物流業界におきましては、従前からのライフスタイルの変化に支えられた低温食品の需要拡大基調が続く中、コロナ禍による外食機会の減少により落ち込んでいた業務用食品の荷動きは前期比で増加基調に回帰してきた一方で、家庭用食品の巣ごもり需要は平年並みの水準に落ち着いてきました。また、原油価格の高騰や輸送用コンテナ不足の長期化と荷動きの鈍化は、前期に対し業績の下振れ要因となりました。
このような食品需要の急激な変化の中、当社グループは第二次中期経営計画の最終年度をスタートさせました。この計画の中で基本方針に掲げた「新たなインフラ整備と営業開発の推進」を実現するため、TC事業において当社グループ最大規模となる首都圏物流センターに加え岡山物流センターを、DC事業の拠点として南九州営業所と中部支店三期増築棟の計4か所の物流施設を新たに稼働いたしました。また、収益力の拡大施策といたしまして、従前から取り組んできた自社車両による配送比率の引き上げをはじめとしたコスト構造の見直しや、倉庫における適正な在庫管理の取り組みを継続して進めております。また、「人材の確保と活用」については、従業員の定着率向上に向けた働きやすい職場環境づくりや従業員の処遇改善等の継続的な取り組みに加え、社内研修制度の刷新などの新たな取り組みも進めてまいりました。
以上の結果、当連結会計年度の業績につきましては、営業収益は1,108億68百万円(前年同期比0.4%増)、営業利益は44億82百万円(前年同期比15.3%減)、経常利益は51億5百万円(前年同期比10.0%減)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、33億16百万円(前年同期比9.8%減)となりました。なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等の適用により当連結会計年度の営業収益は246百万円減少し、営業原価は246百万円減少しております。
セグメント別の経営成績を示すと、次のとおりであります。
a.TC事業(通過型センター事業)
前期は、巣ごもり消費の拡大により食品スーパーや小売店で扱う家庭用チルド食品の需要が膨らみ物量は大幅な増加となりましたが、当期はこの需要が減少し平年並みの物量に落ち着きました。更に、外出機会やインバウンドの減少、及びテレワークによる都心エリアのコンビニエンスストア関連の物量減少は、改善傾向にあるものの当期も継続していることなどにより、営業収益は711億47百万円(前年同期比0.7%減)となりました。
セグメント利益につきましては、自社車両を活用した配送効率化の推進による効率化はあったものの、原油取引価格の上昇に伴う燃料費の増加や従業員の処遇改善に伴う労務コストの増加などにより、30億91百万円(前年同期比23.8%減)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、営業収益は218百万円減少しております。また、営業利益、経常利益については影響ありません。
b.DC事業(保管在庫型物流事業)
前期は、巣ごもり消費の拡大により食品スーパーや小売店で扱う家庭用冷凍食品の需要が膨らみ物量は大幅な増加となりました。当期はこの需要が減少し平年並みの物量となる一方で、前期に発生していた主に外食店舗向け業務用冷凍食品の物量減少の状況は、当期は回復傾向にあったことなどにより、営業収益は379億64百万円(前年同期比2.6%増)となりました。
セグメント利益につきましては、労務コンプライアンスの推進や従業員の処遇改善に伴う外注費及び労務費の増加や原油取引価格の上昇に伴う燃料費の増加による悪化要因はあったものの、倉庫荷役の適切な管理により労働生産性が向上したこと、再保管在庫の減少に伴う外注費の削減、及び海外事業の収益が拡大したことなどにより、54億32百万円(前年同期比5.1%増)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、営業収益は10百万円減少しております。また、営業利益、経常利益については影響ありません。
c.その他
警備輸送業・病院等関連物流業・人材派遣業・保険代理店業等により営業収益は17億57百万円(前年同期比3.6%減)、セグメント利益は1億64百万円(前年同期比20.6%減)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、営業収益は18百万円減少しております。また、営業利益、経常利益については影響ありません。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高(以下、「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ16億47百万円減少し57億55百万円となりました。
当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた「資金」は、 88億59百万円 (前年同期 90億81百万円の資金の獲得) となりました。
これは主に、「税金等調整前当期純利益」及び「減価償却費」等、資金の増加によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動に使用された「資金」は、83億99百万円(前年同期 68億75百万円の資金の使用)となりました。
これは主に、「有形固定資産の取得による支出」等、資金の減少によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動に使用された「資金」は、 21億84百万円 (前年同期 21億7百万円の資金の使用) となりました。
これは主に、「長期借入金の返済による支出」及び「リース債務の返済による支出」等、資金の減少によるものであります。
(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
(注)1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
3.営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を払っている全ての負債を対象としております。また利払いについては連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
a.営業収益実績
当連結会計年度の営業収益実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
なお、当社グループの事業内容は、輸配送、保管、荷役等の物流サービスであり、生産、受注及び販売に該当する金額あるいは数量は開示しておりません。
(注) 1.金額はセグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.主要受託先別の営業収益実績及び当該営業収益実績の総営業収益実績に対する割合は次のとおりであります。
b.外注実績
当社グループは、保管・荷役及び輸配送等の一部を外注に依存しております。
当連結会計年度における外注実績をセグメントに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.外注比率は事業の種類別セグメントの営業収益実績に対する外注実績の割合であります。
2.外注内容は主に外注配送、外注倉庫、外注荷役、外注委託作業であります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって採用した重要な会計方針等につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表(注記事項)(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載し、会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表(注記事項)(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
当連結会計年度における営業収益は、コロナ禍により家庭用食品の巣ごもり需要は平年並みの水準に落ち着いてきた一方で、外食機会の減少により落ち込んでいた業務用食品の荷動きは前年同期比で増加基調に回帰してきたことにより、1,108億68百万円(前年同期比0.4%増)となりました。各報告セグメントの外部顧客に対する営業収益に占める割合は、TC事業64.2%、DC事業34.2%、その他1.6%となりました。
財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ34億99百万円増加し885億59百万円となりました。このうち流動資産につきましては、前連結会計年度末に比べ10億5百万円減少し189億52百万円となりました。これは主に現金及び預金が16億47百万円減少したことなどによるものであります。また、固定資産につきましては、前連結会計年度末に比べ45億5百万円増加し696億6百万円となりました。これは主に建設仮勘定が35億25百万円減少したものの、建物及び構築物が58億10百万円、機械装置及び運搬具が10億57百万円増加したことなどによるものであります。
(負債)
負債は、前連結会計年度末に比べ10億14百万円増加し428億61百万円となりました。このうち流動負債につきましては、前連結会計年度末に比べ10億80百万円減少し164億97百万円となりました。これは主に短期借入金が8億円減少したことなどによるものであります。また、固定負債につきましては、前連結会計年度末に比べ20億94百万円増加し263億63百万円となりました。これは主に長期借入金が10億41百万円増加したことなどによるものであります。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度末に比べ24億85百万円増加し456億97百万円となり、自己資本比率は50.7%となりました。
キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、労務費、外注費であります。投資を目的とした資金需要は、設備等によるものであります。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入金を基本としており、設備投資につきましては、自己資金及び金融機関からの長期借入金を基本としております。
資金需要を満たすための資金は、原則として、営業活動によるキャッシュ・フローを財源としますが、巨額の資金需要に対応する場合等は、円滑な事業活動に必要なレベルの流動性の確保及び財務の健全性・安定性を維持するため、金融機関等から借入等を行う方針であります。資金調達を行う際は、期間や国内の市場金利動向等、また自己資本比率、DEレシオ(負債資本倍率)やROEといった財務指標への影響度等を総合的に勘案しながら、最適な調達を実施しております。
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