当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
<経済環境>
当連結会計年度における世界経済は、国や地域によるばらつきを伴いつつも、総じてコロナ危機による落ち込みから持ち直し、世界経済の成長率は6.1%となりました。
米国・欧州・中国経済は、夏場以降の新型コロナウイルスの再拡大による下押し圧力はあったものの、ワクチン接種の効果、財政出動や金融緩和の継続により回復の道をたどりました。
我が国経済は、マイナス成長から脱却はしたものの、度重なる緊急事態宣言の発令によるサービス消費の低迷、円安・資源高も加わり、成長率は1.6%にとどまりました。
当連結会計年度の為替は、110円台で始まり、その後9月下旬までは安定した動きが続きましたが、10月以降は米国の利上げ観測の高まりを背景に円が売られ、11月には4年ぶりに115円台、年明け3月には米国ゼロ金利政策が解除され122円台と円安が進行しました。
<外航海運業>
大型タンカー市況は、コロナ禍による世界的な原油需要の減少による荷動きの減少に加え、解撤の停滞による船腹過剰の状態が市況の低迷に拍車をかけ、年間を通じて一般的な損益分岐点を大きく下回るレベルで推移しました。石油製品船もジェット燃料など石油製品需要が大きく減少したことにより製油所の稼働率の低下が大きく影響し、大型船同様に低水準で推移しました。一方でLPG/LNG船市況については需要の増大や貨物価格の地域差の拡大などを要因として荷動きが活発化し、期中を通じておおむね堅調に推移しました。また、本年3月に入りこれらタンカーおよびLPG/LNG船市況は、ロシアによるウクライナ侵攻による原油高などの影響を受けて急伸しました。
バラ積船市況は、中長期的な需給改善トレンドに加え、コロナ禍に起因した船隊稼働率の低下および世界の粗鋼生産回復などドライバルク荷動きの全般的な増加といった複数のプラス要因が重なり、2021年央よりマーケットが大きく改善しました。しかし大型船型については、2022年初より季節的要因と見られる下落により標準的な損益分岐点を大きく下回るレベルとなりましたが、再び回復基調に転じています。中小船型については、コンテナ船市況高騰の影響を受けるなど、大型船ほどの市況の乱高下は見られませんでしたが、2021年央より上昇後概ね堅調に推移しました。
自動車船市況については、2021年は新型コロナウイルス感染拡大の影響による自動車の販売・生産停止を受けた荷動きの減少からの回復が見込まれたものの、半導体不足による部品供給問題や東南アジアにおける感染拡大が自動車メーカーの減産の要因となり、荷動き増加の傾向に若干水を差しました。しかしながら、コロナ禍以降に日本と欧州のオペレーターにて行われた解撤の促進など、船腹供給量が絞り込まれていたため、影響は軽微にとどまりました。
コンテナ船市況は、2020年央からの急回復が依然継続中で、港湾の混雑や一部地域におけるコンテナ不足などを背景に引き続き高水準で推移しました。
また、ロシアによるウクライナ侵攻の市況に与える影響については前記のとおりタンカーと LPG/LNG船において顕著なものが見られますが、今後の動向が注視されます。
このような状況のもと、当連結会計年度の外航海運業部門は、前連結会計年度に竣工・取得した船舶の稼働増に加えて、タンカー1隻、LNG運搬船2隻、チップ船2隻の新規稼働もあり、売上高は41,924百万円(前年同期比21.5%増)となり、前年と比べて入渠隻数の減少もあり、外航海運業利益は6,178百万円(前年同期比74.5%増)となりました。また、特別利益として、当社の連結子会社が所有する船舶3隻の船舶売却益2,616百万円を計上しています。
<ホテル関連事業>
ホテル関連事業部門では、新型コロナウイルス感染拡大の影響が長期化し、夏には一旦増加傾向に向かい始めていた国内宿泊客の動きも10月に入って減少傾向に転じ、1年を通して大変厳しい状況が続きました。この結果、ホテル関連事業部門の売上高は3,382百万円(前年同期比34.2%減)となり、ホテル関連事業損失は2,068百万円(前年同期はホテル関連事業損失1,753百万円)となりました。なお、営業外収益に雇用調整助成金1,129百万円(前年同期は778百万円)を計上しています。
<不動産賃貸業>
不動産賃貸業部門では、売上高は508百万円(前年同期比0.6%増)となり、不動産賃貸業利益は292百万円(前年同期比0.7%減)となりました。
以上の結果、当連結会計年度において売上高は45,815百万円(前年同期比14.1%増)、営業利益は4,401百万円(前年同期比111.4%増)、経常利益は、主に前述の雇用調整助成金および営業外費用にデリバティブ評価損479百万円の計上があり、4,346百万円(前年同期比65.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、前述の特別利益および税金等調整前当期純利益の変動に応じ法人税等調整額458百万円の計上があり、3,277百万円(前年同期比163.0%増)になりました。
当連結会計年度における資産の部は、前連結会計年度末より32,469百万円増加し、237,569百万円となりました。これは主に中古取得や新造船竣工に伴う船舶の増加によるものです。
負債の部は、前連結会計年度末より23,827百万円増加し、190,186百万円になりました。これは主に船舶取得に伴う借入金の増加によるものです。また、純資産の部は、前連結会計年度末より8,642百万円増加し、47,382百万円となりました。これは主に、利益剰余金および非支配株主持分の増加によるものです。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて2,108百万円増加し、23,137百万円と
なりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動によって得られた資金は、19,896百万円(前年同期比6,752百万円増)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益7,132百万円に、減価償却費15,066百万円等を加減算した結果です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動に使用した資金は、31,478百万円(前年同期比9,090百万円減)となりました。これは主に新造船建造費等の支払い37,769百万円と、有形固定資産の売却による収入6,937百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動によって得られた資金は、12,028百万円(前年同期比17,446百万円減)となりました。これは主に長期借入れによる収入の38,490百万円と、長期借入金の返済26,412百万円によるものです。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、以下のとおりです。
(資金需要)
当社グループの運転資金需要の主なものとして、外航海運業においては海運業費用で、船員費・船舶修繕費等の船費、船舶管理業務に係る労務費やシステム関連費用が含まれます。ホテル関連事業においては原材料仕入や労務費等のホテル運営費、不動産賃貸業においては保有不動産の維持管理費です。その他、各事業における人件費、物件費等の一般管理費があります。
また設備資金需要の主なものとして、外航海運業においては船舶投資、ホテル関連事業や不動産賃貸業においては設備の拡充・更新投資があります。当連結会計年度中に総額37,463百万円の設備投資を実施しました。
(財務政策)
当社グループの事業維持拡大には、低コストで、安定的な資金確保が重要と認識しています。
設備資金需要に対しては、金融機関からの長期借入を中心に調達し、一部の船舶についてはリースの活用も行っています。また運転資金需要に対しては、営業活動から得た資金や内部留保資金、金融機関からの借入および社債発行により賄っています。
流動性確保の観点から、金融機関との当座貸越契約による借入枠を有しているほか、国内外の関係会社の余剰資金について、グループ内金融による資本効率の向上を図っています。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いていますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりです。
(繰延税金資産の回収可能性)
繰延税金資産の回収可能性の判断にあたっては、「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針(企業会計基準適用指針第26号)」に基づいて企業の分類を行い、将来の課税所得見込額やタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しています。将来の課税所得見込額については、過去の業績や将来の業績予測、市況等を勘案して見積もっています。また、新型コロナウイルス感染症の影響については、今後の広がり方や収束時期等を正確に予測することは困難ですが、当連結会計年度末で入手可能な情報等を踏まえ、2022年4月より徐々に回復すると仮定して見積りを行っています。
当該見積りや仮定について、その時の業績や将来の経済環境の変化等により課税所得の見積りの見直しが生じた場合、繰延税金資産や法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。
(固定資産の減損)
固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたって、主に各セグメントの個別物件ごとに資産のグルーピングを行い、収益性が著しく低下している資産について帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしています。なお、回収可能価額は、正味売却価額と使用価値のいずれか高い方としています。減損損失を認識するかどうかの判定及び使用価値の算定において用いられる将来キャッシュ・フローは、期末現在の使用状況や事業計画、市況等を勘案して見積もっています。また、新型コロナウイルス感染症の影響については、今後の広がり方や収束時期等を正確に予測することは困難ですが、当連結会計年度末で入手可能な情報等を踏まえ、2022年4月より徐々に回復すると仮定して見積りを行っています。
当該見積りや仮定について、事業計画の変更や市況の変化等により変更が生じた場合、減損損失が発生する可能性があります。
(生産、受注及び販売の状況)
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は、次のとおりです。
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