(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度(2021年4月1日~2022年3月31日、以下「当期」という)における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりです。
①財政状態及び経営成績の状況
当期のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が徐々に緩和される中で、企業の生産活動等において持ち直しの動きがみられます。
航空業界を取り巻く環境は、依然として厳しい状況にあるものの、需要は国内線を中心に回復基調にあり、入国制限が徐々に緩和される中で国際線の需要にも回復の兆しがみられます。
経営成績では、このような経済情勢の下、人の移動が徐々に回復し、売上高はコロナ禍の影響を大きく受けた前期から増加しました。コストに関しては、運航規模が昨年度から大きく拡大した一方で、前期からのコストマネジメントを引き続き徹底した結果、営業費用は前期と同水準に抑えました。しかしながら、コロナ禍の影響が続いていることから、各段階損益で損失を計上しています。
財政状態では、純損失の計上に加え、収益認識会計基準等の適用により利益剰余金が減少しています。
また将来の設備投資等のため転換社債型新株予約権付社債及び普通社債を発行し、1,700億円を調達しました。
収益認識会計基準等の適用が財政状態に与える影響の詳細については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。
以上の結果、当期の財政状態及び経営成績等は以下のとおりとなりました。
1) 財政状態
当期末の資産合計は、前期末に比べ105億円増加し、3兆2,184億円となりました。
当期末の負債合計は、前期末に比べ2,194億円増加し、2兆4,150億円となりました。
当期末の純資産合計は、前期末に比べ2,089億円減少し、8,034億円となりました。
2) 経営成績
当期における売上高は1兆203億円(前期比40.0%増)、営業費用は1兆1,934億円(前期比0.0%減)となり、営業損失は1,731億円(前年同期 営業損失4,647億円)、経常損失は1,849億円(前年同期 経常損失4,513億円)、親会社株主に帰属する当期純損失は1,436億円(前年同期 親会社株主に帰属する当期純損失4,046億円)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは764億円の支出となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは2,300億円の収入となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは936億円の収入となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前期末に比べて2,507億円増加し、6,210億円となりました。
③生産及び販売の実績
1) セグメント別売上高
最近2連結会計年度のセグメント別売上高は次のとおりです。
|
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
||
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
構成比(%) |
金額(百万円) |
構成比(%) |
航空事業 |
|
|
|
|
国際線 |
|
|
|
|
旅客収入 |
44,726 |
4.5 |
70,151 |
5.6 |
貨物収入 |
160,503 |
16.2 |
328,750 |
26.1 |
郵便収入 |
2,948 |
0.3 |
5,448 |
0.4 |
小計 |
208,177 |
21.0 |
404,349 |
32.1 |
国内線 |
|
|
|
|
旅客収入 |
203,119 |
20.6 |
279,877 |
22.3 |
貨物収入 |
20,881 |
2.1 |
24,932 |
2.0 |
郵便収入 |
2,550 |
0.3 |
2,666 |
0.2 |
小計 |
226,550 |
23.0 |
307,475 |
24.5 |
航空事業収入合計 |
434,727 |
44.0 |
711,824 |
56.6 |
LCC収入 |
22,071 |
2.2 |
37,813 |
3.0 |
その他の収入 |
147,216 |
14.9 |
135,459 |
10.8 |
航空事業小計 |
604,014 |
61.1 |
885,096 |
70.4 |
航空関連事業 |
|
|
|
|
航空関連収入 |
222,139 |
22.5 |
206,806 |
16.4 |
航空関連事業小計 |
222,139 |
22.5 |
206,806 |
16.4 |
旅行事業 |
|
|
|
|
パッケージ商品収入(国内) |
38,530 |
3.9 |
26,243 |
2.1 |
パッケージ商品収入(国際) |
492 |
0.1 |
171 |
0.0 |
その他の収入 |
6,028 |
0.6 |
19,868 |
1.6 |
旅行事業小計 |
45,050 |
4.6 |
46,282 |
3.7 |
商社事業 |
|
|
|
|
商社収入 |
79,958 |
8.1 |
81,694 |
6.5 |
商社事業小計 |
79,958 |
8.1 |
81,694 |
6.5 |
報告セグメント計 |
951,161 |
96.3 |
1,219,878 |
97.0 |
その他 |
|
|
|
|
その他の収入 |
36,643 |
3.7 |
38,130 |
3.0 |
その他小計 |
36,643 |
3.7 |
38,130 |
3.0 |
売上高合計 |
987,804 |
100.0 |
1,258,008 |
100.0 |
セグメント間取引 |
△259,121 |
- |
△237,684 |
- |
売上高(連結) |
728,683 |
- |
1,020,324 |
- |
(注)1.セグメント内の内訳は内部管理上採用している区分によっています。
2.各セグメントの営業収入はセグメント間の売上高を含みます。
3.LCC収入は、Peach Aviation㈱の収入です。
4.収益認識会計基準等を当連結会計年度の期首から適用し、収益認識に関する会計処理方法を変更しました。
当該変更は、主に航空事業セグメントの売上高に影響しています。
2) セグメント別取扱実績
(a) 航空事業
(ア)ANAブランド輸送実績
最近2連結会計年度の輸送実績は次のとおりです。
項目 |
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
|
国際線 |
|
|
|
旅客数 |
(人) |
427,392 |
825,524 |
座席キロ |
(千席キロ) |
14,465,583 |
20,524,342 |
旅客キロ |
(千人キロ) |
2,840,451 |
5,550,477 |
利用率 |
(%) |
19.6 |
27.0 |
有効貨物トンキロ |
(千トンキロ) |
4,588,226 |
6,966,178 |
貨物輸送重量 |
(トン) |
655,019 |
976,644 |
貨物トンキロ |
(千トンキロ) |
3,251,280 |
5,186,055 |
郵便輸送重量 |
(トン) |
13,686 |
18,737 |
郵便トンキロ |
(千トンキロ) |
71,766 |
87,665 |
貨物重量利用率 |
(%) |
72.4 |
75.7 |
国内線 |
|
|
|
旅客数 |
(人) |
12,660,650 |
17,959,225 |
座席キロ |
(千席キロ) |
26,896,624 |
34,288,864 |
旅客キロ |
(千人キロ) |
11,567,744 |
16,382,448 |
利用率 |
(%) |
43.0 |
47.8 |
有効貨物トンキロ |
(千トンキロ) |
708,266 |
957,661 |
貨物輸送重量 |
(トン) |
218,032 |
251,332 |
貨物トンキロ |
(千トンキロ) |
240,422 |
281,992 |
郵便輸送重量 |
(トン) |
23,458 |
24,663 |
郵便トンキロ |
(千トンキロ) |
23,203 |
24,180 |
貨物重量利用率 |
(%) |
37.2 |
32.0 |
(イ)ANAブランド運航実績
最近2連結会計年度の運航実績は次のとおりです。
項目 |
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
||
国際線 |
国内線 |
国際線 |
国内線 |
|
運航回数(回) |
26,632 |
212,145 |
38,527 |
276,732 |
飛行距離(km) |
146,710,038 |
178,966,221 |
224,573,623 |
239,638,839 |
飛行時間(時間) |
191,600 |
306,540 |
291,833 |
413,559 |
(注) 1.国内線旅客実績には、アイベックスエアラインズ㈱、㈱AIRDO、㈱ソラシドエア及び㈱スターフライヤーとのコードシェア便実績及びオリエンタルエアブリッジ㈱との一部のコードシェア便実績を含みます。また、2021年8月27日からPeach Aviation㈱とのコードシェア便実績を含みます。
2.国際線、国内線ともに不定期便実績を除きます。
3.国際線貨物及び郵便実績には、コードシェア便実績、エアラインチャーター便実績、ブロック・スペース契約締結便実績及び地上輸送実績を含みます。
4.国内線貨物及び郵便実績には、㈱AIRDO、㈱ソラシドエア、オリエンタルエアブリッジ㈱及び㈱スターフライヤーとのコードシェア便実績、エアラインチャーター便実績及び地上輸送実績を含みます。また、2020年 11月1日からPeach Aviation㈱とのコードシェア便実績を含みます。
5.座席キロは、各路線各区間の有効座席数(席)に各区間距離(km)を乗じた数値の合計です。
6.旅客キロは、各路線各区間の旅客数(人)に各区間距離(km)を乗じた数値の合計です。
7.有効貨物トンキロは、各路線各区間の有効貨物重量(トン)に各区間距離(km)を乗じた数値の合計です。なお、旅客便については、床下貨物室(ベリー)の有効貨物重量に各区間距離を乗じています。また、床下貨物室の有効貨物重量には、貨物・郵便の他、搭乗旅客から預かる手荷物搭載の有効搭載重量も含まれています。
8.貨物トンキロ及び郵便トンキロは、各路線各区間の輸送重量(トン)に各区間距離(km)を乗じた数値の合計です。
9.貨物重量利用率は、貨物トンキロと郵便トンキロの合計を有効貨物トンキロで除した数値です。
(ウ)LCC輸送実績
最近2連結会計年度の輸送実績は次のとおりです。
項目 |
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
|
旅客数 |
(人) |
2,080,931 |
4,267,002 |
座席キロ |
(千席キロ) |
4,932,786 |
7,863,780 |
旅客キロ |
(千人キロ) |
2,403,357 |
4,846,740 |
利用率 |
(%) |
48.7 |
61.6 |
(注)1.座席キロは、各路線各区間の有効座席数(席)に各区間距離(km)を乗じた数値の合計です。
2.旅客キロは、各路線各区間の旅客数(人)に各区間距離(km)を乗じた数値の合計です。
3.LCC実績は、Peach Aviation㈱の実績です。
(b) 航空関連事業
航空関連事業に含まれる連結子会社の取扱状況等については、構成する各種事業が多岐にわたり、かつ重要性の観点から開示しておりません。
(c) 旅行事業
旅行事業に含まれる連結子会社の取扱状況等については、構成する各種事業が多岐にわたり、かつ重要性の観点から開示しておりません。
(d) 商社事業
商社事業に含まれる連結子会社の取扱状況等については、構成する各種事業が多岐にわたり、かつ重要性の観点から開示しておりません。
(e) その他
その他に含まれる連結子会社の取扱状況等については、構成する各種事業が多岐にわたり、かつ重要性の観点から開示しておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当期末時点において判断したものです。
①財政状態
<資産の部>
流動資産は、営業未収入金等が増加したことから、前期末に比べて676億円増加し、1兆2,939億円となりました。
固定資産は、売却及び減損損失の計上に伴い航空機が減少したこと等により、前期末に比べ566億円減少し、1兆9,228億円となりました。
以上により、当期末における総資産は前期末に比べて105億円増加し、3兆2,184億円となりました。
<負債の部>
負債合計は、当連結会計年度期首から収益認識会計基準等を適用し契約負債を計上したことに加え、資金調達により社債等が増加したことから、前期末に比べて2,194億円増加し、2兆4,150億円となりました。
なお、有利子負債(無利子のユーロ円建転換社債型新株予約権付社債を含む)は前期末に比べて946億円増加し、1兆7,501億円となりました。
<純資産の部>
株主資本は、当期純損失の計上及び収益認識会計基準等の適用により利益剰余金が減少したことから、前期末に比べて2,583億円減少し、7,023億円となりました。
その他の包括利益累計額は繰延ヘッジ損益等の増加等により、前期末に比べて483億円増加し、948億円となりました。
これらの結果、純資産合計は前期末に比べて2,089億円減少し、8,034億円となりました。
なお、自己資本比率は24.8%(前期末31.4%)となり、有利子負債と自己資本の比率を示すD/Eレシオは2.2倍(前期末1.6倍)となりました。
収益認識会計基準等の適用が財政状態に与える影響の詳細については「第5 経理の状況 1. 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。
②経営成績
航空業界を取り巻く環境は、依然として厳しい状況にあるものの、需要は国内線を中心に回復基調にあり、入国制限が徐々に緩和される中で国際線の需要にも回復の兆しがみられます。
このような経済情勢の下、人の移動が徐々に回復し、売上高はコロナ禍の影響を大きく受けた前期から増加し1兆203億円(前期比40.0%増)となりました。コロナ禍の影響が続いていることから、営業損失は1,731億円(前期 営業損失4,647億円)、経常損失は1,849億円(前期 経常損失4,513億円)、親会社株主に帰属する当期純損失は1,436億円(前期 親会社株主に帰属する当期純損失4,046億円)となりました。
当社は、事業における安全と品質の追求等の取り組みが評価され、米国S&P Global社の「Sustainability Awards 2022」において、2年連続で最高格付であるゴールドクラスに選定された他、世界の代表的な社会的責任投資の指標である「Dow Jones Sustainability World Index」の構成銘柄に5年連続で選定されました。
当社グループは、2050年度までに航空機の運航で発生するCO2排出量を実質ゼロにする等、中長期環境目標を刷新し、目標の達成に不可欠なSAF(Sustainable Aviation Fuel)の普及に向け、幹事企業として国産SAFの商用化等に取り組む有志団体「Act For Sky」を設立しました。さらに、航空便をご利用いただく企業の脱炭素化をサポートするプログラム「SAF Fight Initiative」を開始しました。今後も事業を通じて環境問題等の社会課題解決に取り組み、持続的な成長と企業価値の向上を目指してまいります。
なお、収益認識会計基準等を当連結会計年度の期首から適用しており、当期に係る各数値については、当該会計基準を適用した後の数値となっています。詳細については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。
以下、当期におけるセグメント別の概況をお知らせいたします。
(なお、各事業における売上高はセグメント間内部売上高を含み、営業利益はセグメント利益に該当します。)
◎航空事業
コロナ禍により甚大な影響を受けているものの、旅客需要は前期から増加した他、好調な貨物需要を積極的に取り込み貨物収入が過去最高となったこと等から、売上高は前期を上回り8,850億円(前期比46.5%増)となりました。事業構造改革プランを着実に遂行し、減価償却費、整備費及び人件費等の固定費の削減を進めたこと等により、前期に比べて損益は改善しましたが、営業損失は1,629億円(前期 営業損失4,478億円)となりました。
なお、ウクライナ侵攻の影響を受け、本年3月から羽田=ロンドン、パリ線を運休したものの、羽田=フランクフルト線、成田=ブリュッセル線ではロシア上空を迂回して運航を継続しました。一方、国際線貨物では好調な米国路線の運航規模を拡大したこと等により収入への影響は限定的なものとなりました。
当社グループは、英国SKYTRAX社による「World Airline Awards 2021」において「機内客室の清潔さ」をはじめ4部門で最も優秀な航空会社に選ばれた他、英国の航空データ分析を提供するCIRIUMの「The On-Time Performance Awards」にて、2021年の定時到着率が全世界で1位に認定されました。
<国際線旅客(ANAブランド)>
国際線旅客では、新型コロナウイルスの感染再拡大や変異株の流行により旅客需要が大きく低迷した状況が続きましたが、海外赴任・帰任を中心とするビジネス需要やアジア発北米行きの接続需要が回復し始めたこと等から旅客数・収入ともに前期を上回りました。通期ではコロナ禍以前の1割程度の水準にとどまりましたが、本年3月から日本の入国制限が緩和されたことにより回復の動きは一層強まっています。
路線ネットワークでは、アジア発北米行きの接続需要を取り込むため、7月より一部の北米路線を羽田から成田空港発着に移管する等、機動的な運航路線の選択や臨時便の設定等に努めました。
営業・サービス面では、顔認証技術による新しい搭乗手続き「Face Express」を7月より成田=メキシコシティ線で開始し、成田=ブリュッセル、ムンバイ、チェンナイ線に順次拡大しました。また、本年2月から日本発の米国・欧州・中国路線において、事前にオンラインで渡航書類を登録・確認するサービス「ANA Travel Ready」を導入し、スムーズにご搭乗いただけるようにする等、利便性の向上に努めました。
以上の結果、当期の国際線旅客数は82万人(前期比93.2%増)となり、収入は701億円(同56.8%増)となりました。
<国内線旅客(ANAブランド)>
国内線旅客では、上期に緊急事態宣言が繰り返され需要が低迷しましたが、宣言解除後の第3四半期(10月~12月)には需要が回復基調を辿り、旅客数・収入はコロナ禍において四半期ベースで最高となりました。第4四半期(本年1月~3月)に変異株が拡大し、まん延防止等重点措置が適用されると再び需要が減少しましたが、解除の見通しが立った本年3月中旬から需要は強く回復を始めました。その結果、旅客数・収入ともに新型コロナウイルスの影響を大きく受けた前期を上回りました。
路線ネットワークでは、航空需要の変動に合わせて運航規模の調整を進め、特に10月からは回復する需要を取り込むために、週末や年末年始・春休み等において臨時便を積極的に設定しました。
営業・サービス面では、12月から全席にパーソナルモニター付きの新シートを装備した国内線新仕様のボーイング787-9型機を投入しました。また、12月からテレビアニメ「鬼滅の刃」とタイアップした搭乗キャンペーンや機内サービス等を実施し、さらにキャラクターを描いた特別デザイン機を2機就航させました。
以上の結果、当期の国内線旅客数は1,795万人(前期比41.9%増)となり、収入は2,798億円(同37.8%増)となりました。
<国際線貨物(ANAブランド)>
国際線貨物では、経済の回復による貨物需要の活発化に加え、海上輸送の混雑に伴う航空へのシフト等により、引き続き航空貨物需要は好調に推移しました。旺盛な需要を背景に、4月から成田=ロサンゼルス線、10月から成田=香港線、成田=台北線、11月から成田=青島線に大型の貨物専用機ボーイング777F型機を就航させる等、貨物専用機を最大限活用したことに加え、旅客機を使用した貨物専用便を機動的に設定したこと等により、自動車部品や半導体・電子機器、ワクチン等の医薬品の需要を積極的に取り込みました。
以上の結果、当期の国際線貨物輸送重量は976千トン(前期比49.1%増)となり、収入は過去最高の3,287億円(同104.8%増)となりました。
<LCC>
LCCでは、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が解除された第3四半期(10月~12月)や本年3月には需要が好調に推移したことに加え、運航規模を拡大した効果もあり、旅客数・収入ともに新型コロナウイルスの影響を大きく受けた前期を上回りました。
路線ネットワークでは、7月に関西=女満別線、10月に福岡=石垣線を新規開設しました。今後も需要回復等の動向を見極め、ネットワークの拡充を図ってまいります。国際線はアジア各国の入国制限の継続のため、期初から全路線で運休しています。
営業・サービス面では、行き先を選べない旅を提案する「旅くじ」を機内や専用の自動販売機で販売しました。「旅くじ」には指定された行き先への航空券が購入できるピーチポイントや、旅先でのミッション等が入っており、目的地を運に任せる新たな旅の体験を提供し、需要の創出に取り組みました。
以上の結果、当期のLCC旅客数は426万人(前期比105.1%増)となり、収入は378億円(同71.3%増)となりました。
<その他>
航空事業におけるその他の収入は1,354億円(前期比8.0%減)となりました。なお、航空事業におけるその他には、マイレージ附帯収入、機内販売収入、整備受託収入等が含まれています。
コロナ禍における新たな取り組みとして、駐機する国際線機材を貸し切って機内ウェディングを実施した他、当社グループの総合トレーニングセンター「ANA Blue Base」において、パイロット・整備士・客室乗務員の職業体験ツアーや施設・訓練の様子を見学いただけるツアーを開催しました。
◎航空関連事業
グループ内における投資抑制の影響に伴いシステム開発業務の取扱高が減少したこと等により、売上高は2,068億円(前期比6.9%減)となり、営業損失は6億円(前期 営業利益36億円)となりました。
ご好評いただいている機内食のインターネット販売について、11月から商品ラインアップを拡充し、新たにANA国際線ビジネスクラスの機内食の販売を開始しました。
◎旅行事業
前期に引き続き当社グループが企画する全ての海外旅行の催行を中止したことに加え、国内旅行は「Go Toトラベルキャンペーン」の効果があった前期に比べて取扱高が減少しました。一方で、グループ内からデジタルマーケティング等の機能が移管されたことにより受託収入が増加しました。
以上の結果、当期の旅行事業における売上高は462億円(前期比2.7%増)、営業損失は21億円(前期 営業損失50億円)となりました。
4月にデジタル領域での販売強化に向けて、顧客データを活用したプラットフォーム事業を担うANA X㈱に旅行事業を移管するとともに、地域創生事業会社のANAあきんど㈱を設立しました。当社グループは「マイルで生活できる世界」の具現化を目指しており、航空だけでなく徒歩・電車等での移動に対して、マイル等に交換できるポイントが貯まるモバイルアプリサービス「ANA Pocket」の提供等を開始しました。
◎商社事業
航空需要の緩やかな回復に伴い、空港物販店「ANA FESTA」等で増収となった他、半導体市場の好調な需要を受けて電子事業の取扱高が増加しました。一方で、当期より収益認識会計基準等を適用したことによる減収影響を受けました。
以上の結果、当期の商社事業における売上高は816億円(前期比2.2%増)、営業利益は5億円(前期 営業損失42億円)となりました。
◎その他
新型コロナウイルスの影響により、建物・施設の保守管理事業において取扱高が減少したものの、不動産関連事業において住宅開発や物件管理等の取扱高が増加しました。
以上の結果、当期のその他の売上高は381億円(前期比4.1%増)、営業利益13億円(前期 営業損失0億円)となりました。
③キャッシュ・フローの状況
<営業活動によるキャッシュ・フロー>
税金等調整前当期純損失1,753億円に減価償却費等の非資金項目、営業活動に係る債権・債務の加減算を行った結果、営業活動によるキャッシュ・フローは764億円の支出となりました。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>
設備投資における支出の一方で、有価証券の償還による収入等を加えた結果、投資活動によるキャッシュ・フローは2,300億円の収入となりました。
以上の結果、フリー・キャッシュ・フローは1,536億円の収入となりました。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>
社債発行による資金調達を行ったことから、財務活動によるキャッシュ・フローは936億円の収入となりました。
④資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、運転資金及び設備投資資金(主に航空機等)につきましては、自己資金または金融機関からの借入、及び社債発行等により資金調達することとしており、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としています。
当期においては、有利子負債の返済及び設備投資資金等の手当てのため1,700億円の社債等の発行を実施した他、民間金融機関から1,000億円の借り換えを実施しました。
当期末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は、1兆7,501億円となっています。また、現金及び預金に有価証券を加えた手元流動性は9,509億円となりました。
なお、2022年3月31日現在、複数の金融機関との間で合計1,480億円のコミットメントライン契約を締結しています。
⑤経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況
指標 |
2019年度 |
2020年度 |
2021年度 |
売上高 (百万円) |
1,974,216 |
728,683 |
1,020,324 |
営業利益又は営業損失(△) (百万円) |
60,806 |
△464,774 |
△173,127 |
売上高営業利益率 (%) |
3.1 |
△63.8 |
△17.0 |
株主資本利益率(ROE) (%) |
2.6 |
△39.1 |
△15.9 |
総資本利益率(ROA)(%) |
2.4 |
△16.0 |
△5.3 |
自己資本比率 (%) |
41.4 |
31.4 |
24.8 |
当社グループは、新型コロナウイルス感染症の拡大により甚大な影響を受けていますが、「ANAグループの新しいビジネス・モデルへの変革」に基づき、コロナがもたらす人々の行動変容に対応し、感染症の再来にも耐え得る強靭な企業グループに生まれ変わるための事業構造改革プランを着実に遂行してまいります。
⑥重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」及び「(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。
お知らせ