業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。当社は、介護事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

① 財政状態の状況

(資産)

 当事業年度における資産合計は9,015百万円となり、前事業年度末から4,227百万円増加しました。これは主に、「PDハウス今宿」、「PDハウス岸部」、「PDハウス藤沢」、「PDハウス門真」、「PDハウス板橋」のリース資産計上や、「PDハウス秋吉」の土地購入によるものです。

(負債)

 当事業年度における負債合計は8,150百万円となり、前事業年度末から4,055百万円増加しました。これは主に、「PDハウス今宿」、「PDハウス岸部」、「PDハウス藤沢」、「PDハウス門真」、「PDハウス板橋」のリース債務計上や「PDハウス秋吉」の建設に伴う新規借入金によるものです。

(純資産)

 当事業年度末における純資産合計は864百万円となり、前事業年度末から171百万円増加しました。これは主に、当期純利益の計上により利益剰余金が増加したことによるものです。

 

② 経営成績の状況

 当事業年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染拡大の長期化や新たな変異株の発生による断続的な感染拡大が続く中、ワクチン接種の普及により経済活動も徐々に持ち直していくことが期待されますが、ロシアのウクライナ侵攻に伴う経済封鎖の影響なども相まって、資源・原材料価格が高騰し、依然として先行き不透明な状況が続いております。

 当社の関連する介護及び医療環境につきましては、団塊の世代が全て75歳以上の高齢者となる2025年に向けて、高齢者が要介護状態になっても、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けられる社会の実現(地域包括ケアシステムの構築)への取り組みが進められています。地域に関わらず適切な医療・介護が受けられる体制が求められ、質の高い在宅医療・訪問看護の確保が重要となってきています。さらに指定難病においてはその専門性を有することから、専門病院や専門介護のニーズが今後ますます高まっていくものと考えております。

 このような環境のもと、当社は、パーキンソン病専門施設である「PDハウス」の全国展開を加速させております。当事業年度において、「PDハウス今宿」(九州3棟目)、「PDハウス西宮の沢」(北海道2棟目)、「PDハウス岸部」(関西初)、「PDハウス藤沢」(関東2棟目)、「PDハウス門真」(関西2棟目)、「PDハウス板橋」(関東3棟目)を新規開設いたしました。また、管理体制の強化のため、東京本社を移転拡張いたしました。これを機にさらなる事業拡大を目指してまいります。

 以上により、当事業年度における経営成績は、売上高8,419百万円(前年同期比55.8%増)、営業利益490百万円(前年同期比52.2%増)、経常利益348百万円(前年同期比10.1%増)、当期純利益は255百万円(前年同期比5.9%増)となりました。

 なお、当社は、介護事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度末に比べて318百万円増加し、814百万円となりました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは378百万円の資金増加(前事業年度は201百万円の資金増加)となりました。これは法人税等の支払額が98百万円であったほか、増収に伴い売上債権の増加額が607百万円となった一方で、税引前当期純利益346百万円、減価償却費311百万円、賞与引当金の増加104百万円、未払金及び未払費用の増加254百万円が生じたことなどによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは633百万円の資金減少(前事業年度は648百万円の資金減少)となりました。これは有形固定資産の取得による支出452百万円、敷金の差入による支出143百万円が生じたことなどによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは573百万円の資金増加(前事業年度は489百万円の資金増加)となりました。長期借入金の返済による支出290百万円、配当金の支払額84百万円があったものの、短期借入金による収入1,040百万円があったことなどによるものであります。

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、生産に該当する事項がないため、生産実績に関する記載を省略しております。

 

b.受注実績

 当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、受注に該当する事項がないため、受注実績に関する記載を省略しております。

 

c.販売実績

 当事業年度の販売実績は次のとおりであります。

 なお、当社は介護事業の単一セグメントであるため、サービス区分別の販売実績を記載しております。

サービス区分の名称

当事業年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

PDハウス           (千円)

5,016,597

239.4

医療特化型住宅         (千円)

2,366,678

102.6

グループホーム         (千円)

161,869

100.5

デイサービス          (千円)

392,566

100.5

福祉用具事業          (千円)

438,052

107.5

加圧トレーニング事業      (千円)

44,133

104.3

合計(千円)

8,419,898

155.8

 (注)1.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当事業年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

石川県国民健康保険団体連合会

2,807,056

51.9

3,020,764

35.9

福岡県国民健康保険団体連合会

582,427

10.8

1,123,156

13.3

富山県国民健康保険団体連合会

655,273

12.1

2.当事業年度における富山県国民健康保険団体連合会に対する販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため記載を省略しております

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この財務諸表の作成においては、経営者による会計上の見積り、判断並びに仮定を用いることが必要となりますが、これらは期末日における資産・負債の金額、開示期間の収益・費用の金額及び開示情報に影響を与えます。ただし、これらの見積り、判断並びに仮定は、過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果とは異なる場合があります。

 当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社は「自らが輝き、人を元気にする」を経営理念に掲げております。わが国は2007年に超高齢社会(公益財団法人長寿科学振興財団の定義)へと突入し、2025年に団塊の世代がすべて75歳以上(国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計)」)となることを契機に、高齢化の様相は今後一層強くなり、介護・医療の需要はさらに高まるとされています。一方で、介護・医療の制度を経済的に、また人的に支える労働人口の減少が予測されており、今後の高齢化の進展に対応し得る介護・医療の持続可能な制度設計がわが国の根本的、かつ緊要な課題のひとつであることは論をまちません。

 当社では、この課題に対して、指定難病であるパーキンソン病患者を対象とした「PDハウス」とこれに関連するサービスの提供を通じて、地域の介護・医療資源を効果的かつ効率的に利用できる仕組みづくりを行うことで応えてまいります。地域では、病床削減とこれに伴って療養の場を病院から在宅(自宅や施設等)へ移すとする政策を受けて、特に慢性期や終末期における介護・医療の需要が高まっております。パーキンソン病患者は慢性期が長期化する傾向があることから、当社にとって有利な事業環境であり、引き続き事業を積極的に展開していく背景となっております。

 

 当事業年度において、当社では新たに6施設(福岡県福岡市「PDハウス今宿」、北海道札幌市「PDハウス西宮の沢」、大阪府吹田市「PDハウス岸部」、神奈川県藤沢市「PDハウス藤沢」、大阪府門真市「PDハウス門真」、東京都板橋区「PDハウス板橋」)を開設いたしました。当社は、介護事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

(売上高)

 当事業年度の売上高は8,419百万円となり、前事業年度より3,015百万円の増加となりました。これは主に、既存施設及びサービスの利用率が向上し、また新規に「PDハウス」を開設(6施設)、サービス提供が開始されたことにより介護保険及び医療保険収入が生じたことなどによります。

 

(売上原価、売上総利益)

 当事業年度の売上原価は6,314百万円となり、前事業年度より2,286百万円の増加となりました。これは主に、新規に「PDハウス」を開設したことに伴い採用した施設従業員の人件費が生じたことなどによります。この結果、売上総利益は2,105百万円(前年同期比53.0%増)となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 当事業年度の販売費及び一般管理費は1,615百万円となり、前事業年度より560百万円の増加となりました。これは主に、業務の規模拡大に伴い採用した本社従業員の採用費用及び人件費が生じたことなどによります。この結果、営業利益は490百万円(前年同期比52.2%増)となりました。

 

(営業外収益、営業外費用、経常利益)

 当事業年度の営業外収益は25百万円となり、前事業年度より18百万円の減少となりました。これは主に、新型コロナウイルスの感染拡大防止対策に対する補助金等が減少したことなどによります。また、当事業年度の営業外費用は167百万円となり、前事業年度より117百万円の増加となりました。これは主に、新規出店によりリース債務の支払利息が増加したことなどによります。この結果、経常利益は348百万円(前年同期比10.1%増)となりました。

 

(特別利益、特別損失)

 当事業年度の特別利益は0百万円となりました。これは、株式譲渡に伴う投資有価証券売却益が発生したことによります。また、当事業年度の特別損失は2百万円となりました。これは主に、札幌支社閉鎖に伴う固定資産除却損が発生したことなどによります。

 

(当期純利益)

 当事業年度の法人税等合計は90百万円となり、この結果、当期純利益は255百万円(前年同期比5.9%増)となりました。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

 キャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 当社の資金需要のうち主なものは、新規施設開設のための資金、運転資金等となっております。当社の資金調達については、自己資金及び金融機関からの借入れ等で実施しております。なお、これらの資金調達方法については、資金需要の額や使途に合わせて柔軟に検討を行い、決定しております。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社の経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に記載のとおり認識しており、これらのリスクについては発生の回避及び発生した場合の対応に努めてまいります。

 

⑤ 経営戦略の現状と見通し

 当社は介護サービスの提供を行っておりますが、現在運営している施設については、稼働率も順調に推移しているほか、介護保険制度や医療保険制度において報酬が決まっていること等により売上高を増加させることは難しいため、今後はコスト削減及び運営の効率化等により利益率を向上させ、強固な収益基盤を構築したいと考えております。

 成長戦略としましては、北陸エリアで2019年3月期に第1号施設を開設し、2020年3月期に全国展開を開始後、当事業年度末において全国12か所で運営を行っているパーキンソン病患者専門の有料老人ホーム「PDハウス」が、高い稼働を維持していることから、「PDハウス」の新規開設を積極的に推進してまいります。これまでパーキンソン病患者専門の有料老人ホームが無かったことに加え、高齢化社会の進行により同疾患患者数が増加しており、需要が高まっていることを受け、各都道府県における患者数等を勘案し、施設の開設を進めてまいります。

 

⑥ 経営者の問題意識と今後の方針について

 当社の経営者は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社が今後さらなる成長を遂げるためには、さまざまな課題に対処することが必要であると認識しております。

 それらの課題に対応するために、経営者は常に事業環境の変化に関する情報の入手及び分析を行い、「PDハウス」による競合との差別化を推進し、さらなる事業拡大を図ってまいります。

 

⑦ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)目標とする経営指標」に記載のとおり、売上高及び経常利益率を重要な経営指標としております。

 「PDハウス」の事業拡大により、売上高については、当事業年度は8,419百万円と前年同期比で55.8%増加しております。これは、現時点において予定どおりの進捗となっており、堅調に推移しているものと認識しております。一方で、経常利益率については、当事業年度は4.1%と前年同期比で1.7ポイント減少しております。これは、新規出店に係る先行投資をした影響によるもので、高収益企業へのさらなる成長に向けた基盤固めが進んでいるものと認識しております。

 

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